b TVの冒険(2023-02-04)musicアナログ(LP)時代、The Beatlesはファンが同じ曲を二度買いしないように配慮して、先行シングルをアルバムに収録しなかった。アナログ盤の40分前後という時間的な制約によるものだった。短篇小説集に表題作が収録されないことは稀だが、音楽アルバムにはタイトル曲が入っていないことがある。
《Revolver》(1966)に同名曲は存在しないけれど、先行シングル
〈Paperback Writer〉〈Rain〉の2曲は未収録だった。Led Zepplinの
〈Houses Of The Holy〉、PJ Harveyの
〈Dry〉、Televisionの
〈Adventure〉などは同名タイトル ・アルバムに入っていない。前2曲は次のアルバムに収録されたが、2ndアルバムのリリース後に解散してしまったTVはタイトル曲が存在することさえ分からず仕舞いだった。ボートラ4曲を追加したリマスター盤
《Adventure》(Elektra / Rino 2003)で日の目を見るまでは。バンド名のイニシャルでもあったTom Verlaine(享年73)が1月28日に亡くなった。Alvvaysの
〈Tom Verlaine〉が「追悼歌」のように聴こえてしまう厳冬である。。>﹏<。
b たのしい暮しの断片 2(2023-02-11)books『シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない』(平凡社 2022)は「天然生活」に連載されていた
『暮しの断片』(2019)の続篇。木のヘラ、手芸、ロマンスグレイ、甘酒ミルク、肥満、ジンジャーシロップ、通信販売、「宿命の女と運命の男」、ブランド・ショッピング、トースター、トウモロコシ、杏、花など、日用雑貨から映画、おやつ、猫、家電まで、金井美恵子が日常生活の些細な欠片を記憶によって蒐集する 「小さな暮らしを楽しむための生活情報誌」 という趣旨に最適なエッセイ集である。著者は子供の頃、母親が作ってくれた「おそろいとおさがり」の服から、Aさん家のおばあさんが 「はぎれ細工」(パッチワーク)のように縫い集めて作った手縫いのシャツや上っ張り、姉や兄のおさがり(同じ服)を妹や弟が着ることになることから、「着たきり雀」 という言葉を思い出し、ドイツの現代美術作家ヨーゼフ・ボイスが消費文化を批判した「ウサギは服を着がえたりしない」という有名な発言を引いて、ボイスの展覧会が「消費文化の砦」だった西武百貨店内の美術館で開かれたことを皮肉る。姉・金井久美子のアッサンブラージュ(全35点)もカラフルで愉しい。
b「夜廻り猫」の世界(2023-02-18)comic『夜廻り猫 9』(講談社 2022)は全86話(722~807)を収録している。「8コマ・マンガ」 に登場するネコたちは新聞連載の「4コマ・マンガ」などと同じく、季節は移ろうけれど基本的に年を取らない。重郎は永遠の子猫として生き、長老(元・重郎)も死なない。ネコやイヌだけではなく、登場人物たち‥‥ワカルと暮らす高齢女性さっちゃん、宙さんの飼主・先生(前川清次朗)、我儘モネを愛する夫婦、カラーとメロディ姉妹の女飼主、野良猫モフ(チャッピー)の世話をする青年と中年女性、帽子猫と子猫きよしを飼うことになった老人(渡辺潔)‥‥おこそずきん白猫(布美)と同居するお師匠(三浦)さんは単行本未収録の
「三浦さん九十三歳」(第851話 2023・1・27)で年齢が判明した。遠藤平蔵や見習いワカルが涙の匂いを嗅ぎつけた老若男女も過去を振り返ることはあっても成長することなく、現在の現実(コロナ禍やウクライナ戦争)を健気に生きている。番外 「春の雪」(6頁)と 「あとがきまんが」(5頁)を併録。カラー扉絵・口絵(3頁)、「夜廻り新聞」(1頁)付き。
b 肉球アイコン(2023-02-22)catday猫の日(2023・2・22)に
「猫」(Cat)でグーグル検索すると、左上に見慣れない
「肉球アイコン」が表示された。灰縞のネコの手が肉球にタッチするGIFアニメに促されてタップすると、可愛い鳴き声と共にネコの手が伸びて来て、足跡(肉球スタンプ)を残す。任意のスペ ースをクリックするたびに、様々な鳴き声に呼応して灰、黒、茶トラなど色とりどりのネコの手でスタンプされるのだ。とっても面白いギミックだが、全く実用的ではない肉球印。これではネコに悪戯されて検索出来ないではないかというユーザは下部に表示されている「黒丸白抜きX」をクリックすることで、可愛らしい(煩わしい?)ネコの手から解放される。拙ブログも「ネコの手を借りたい」と思ったけれど、これが意外に難しそう。手始めに
〈猫のジョナス〉〈ネコ・ログ #68〉〈折々のねことば 13〉など、ネコ関連記事タイトルの右端にあるリンク ・アイコン、黒猫マーキー(Maukie)の代わりに招き入れてみました。
b 川野芽生初期作品集(2023-02-25)books『月面文字翻刻一例』(書肆侃侃房 2022)は著者がデビュー以前(2013~2017年頃)に執筆した掌篇小説集。ネットで公開したり、同人誌に寄稿した全49篇を収録。「月面文字翻刻一例」 「眠られぬ夜と昼のための物語」 「本盗人」 「桜前線異常なし」 という4テーマに分かれている。いわゆるオチのある「ショート・ショート」ではなく、未発表の長編ファンタジ ーから零れ落ちた断片、失われた夢のエピソードのような趣き。表題作は月面に紋様を描く彫師(私)が語る話で、フィリップ・K・ディックの
「逆まわりの世界」のように彫師は老いずに若返って行く。「月の鱗粉」 は地球に落ちて来た月が地面を突き抜けて黒い穴を空けるという山尾悠子の「遠近法」を想わせる異世界を描く。短歌ムック
「ねむらない樹 vol.7」(2021)に寄稿した短篇 「蟲科病院」 と書き下ろし 「天屍節」(前者は体内に寄生する悪性の蟲を除去し、良性の蟲を植えつける医者ルルズルー(私)、後者は空から落ちて来る腐りかけた天使の骨を焼いて人形を造る「私」の物語)を巻末に併録した「初期作品集」だが、「本当に本当の初期といったら三歳頃になる」(おぼえがき)というのだから驚きである。
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Adventure
- Artist: Television
- Label: Elektra / Rhino
- Date: 2003/09/23
- Media: Audio CD
- Songs: Glory / Days / Foxhole / Careful / Carried Away / The Fire / Ain't That Nothin' / The Dream's Dream / Adventure / Ain't That Nothin' (Single Version) / Glory (Early Version) / Ain't That Nothin' (Run-Through, Instrumental)
シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない たのしい暮しの断片
- 著者:金井 美恵子(文)/ 金井 久美子(絵)
- 出版社:平凡社
- 発売日:2022/11/28
- メディア:単行本
- 目次:木のヘラが台所に再び参加する / 手芸と手すさび / 白髪交りの思い出 / 季節のおやつ / 肥満と反省 / ジンジャーシロップと甘酒 / 時間のかかる買い物 / ファム・ファタル、オム・ファタル?/ 運命の男、スクリーンの中の、/ 輝く眼と頬 / ユニバーサル・デザインとトースター / 命あっての‥‥ / 家にいるとおきること / 心地よい場所 / スイートコー...
夜廻り猫 9
- 著者:深谷 かほる
- 出版社:講談社
- 発売日:2022/11/22
- メディア:コミック
- 目次:世界地図 / 北極の熊 / 存在祝い / 全員 / 痔猫の土産 / お母さんの匂い お父さんの匂い / 必死で友達のふりをしていた / モクとお父さん / さっちゃんのそうめん / 叩かれる / 味方 / 七日 / ゴミ君 / 夏休みのソーセージ / 餞 / 一人で行って / 何も出来ない日 / 猫の家出 / 助け / 生活の心配 / 何個何個いくつ / まいったよ / クッション / お姉ちゃまの...
Catspaw Icon
- Engine: Google Search
- Format: GIF Animation
- Date: 2023/02/22
- Media: Internet
月面文字翻刻一例
- 著者:川野 芽生
- 出版社:書肆侃侃房
- 発売日:2022/10/19
- メディア:単行本
- 目次:月面文字翻刻一例 / 月の鱗粉 / 水死 / 月の夜に / 闇の夜に / 廃世 / 月よりもやすらかに / 闇の夜に貴方は/ やわらかい兄 / 遠き庭より / 不寝番 / みどりの狼 / 陽宮 / シメール、帰還兵 / 上陸 / 鳥と男と / 棲まうもの / 塔 / 黄金の鬣 / 火とカサンドラ / 本盗人 / 花兵 / 水墓 / 多情 / 砂の両手 / ものがたりたちの森 / 女の子たちは工場を出て / 薔薇の...
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