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スニーズ・ラブ 42 [s k n y s - l a b]



  • ♭ もっとネコを撮るニャ!(2018-07-07)
  • 動物写真家・岩合光昭さんの『カラー新版 ネコを撮る』(朝日新聞出版 2018)は『ネコを撮る』(朝日新聞社 2007)に収録されていたモノクロ写真をカラーに差し替えたリニューアル新書。本文は旧版と同じだが、写真のページ数も増え、W表紙カヴァ(ロング腹・腰巻き?)には「もっとネコを撮るニャ!」というキャッチコピーまである。「ネコにアプローチ」の「早起きは三文の徳」で早朝4時半(5〜6月)に起きるという冒頭の記述で、多くの素人カメラマンは萎えるかもしれないが、ヒトと共存するネコもヒトに合わせて夜型生活(夕方〜夜間)に変化しているという。第一人者が伝授する「撮影編」は実際にネコを撮っている自称「動物写真家」や、これから撮りたい思っているネコ愛好家にとっても絶好の指南書となるはず。ギリシャ、イタリア、スペイン、エジプトなど「世界のネコ」。ネコ科のライオンやチーターだけでなく、パンダ(大熊猫)も登場する「野性のネコ」。カラー写真に添えられたキャプションも実践的な撮影方法のヒントになっているニャ!

  • ♭ 沈黙の奇蹟(2018-07-14)
  • 岡上淑子は「幻のコラージュ作家」だった。1950年代に1950年代に「LIFE」「VOUGE」「Harper's BAZAAR」などのアメリカ・グラフ雑誌に掲載された写真を切り抜いて貼り合わせた作品はマックス・エルンストのコラージュのようにシュールで美しく、妖しく心を掻き乱す。結婚を機に創作から遠ざかり、長らく忘れ去られていた。1996年に再発見されると、国内外で個展が開かれて、海外の美術展に出品・所蔵されるようになった。金井美恵子は『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』(新潮社 2012)の表紙カヴァに〈彷徨〉を使用し、フォト・コラージュ6点〈破船〉〈昇天〉〈呼び声〉〈廃墟の旋律〉〈王女〉〈孤独の讃歌〉をモチーフにした小説集『カストロの尻』(2017)も上梓した。自選コラージュ77点を収録した『はるかな旅 岡上淑子作品集』(河出書房新社 2015)に続いて、コラージュ128点、写真22点を収録した『岡上淑子全作品』(2018)も高知県立美術館「岡上淑子コラージュ展―はるかな旅」の公式図録として刊行された。ちなみに「岡上」は「おかのうえ」と読む。図書館の仮名入力(おかがみ、おかうえ、おかじょう)ではヒットしない可能性もあるので要注意。

  • ♭ シャ・ノワール(2018-07-21)
  • 『魅惑の黒猫』(グラフィック社 2015)はシャ・ノワール(Chat Noir)の魅力を丸ごと詰め込んだ黒い大型本。黒ネコのように全身黒ずくめ‥‥表紙カヴァだけでなく、天・地・小口も黒く塗られている。横書き・左開きのページに黒ネコの写真やイラスト、図版などを多数収録。著者のナタリー・セメニークは「小さな黒豹、ボンベイ」の魅力を語ることから始めるが、中世の魔女狩りで火刑に処されたり、建設中の建物の壁に生きたまま塗り込められたり、高い塔から投げ落とされたり、ハロウィンで大量虐殺された黒ネコ受難の「黒歴史」にも大きくページを割いている。黒ネコは不吉な迷信や不幸の象徴から、「幸福のマスコット」へ転身する。チャーチル、ビル・クリントン、アンドレ・マルローなどの政治家、マーク・トウェイン、ステファン・マラルメ、ピエール・ロティ、ヘミングウェイ、ドレス・レ ッシング、ジャン・コクトー、アンリ・マティスなどの作家や芸術家たちに愛された「セレブたちの黒猫」。「文学の中の黒猫」ではテオフィル・ゴーティエやコレットの作品から抜粋し、エドガー・アラン・ポーの「黒猫」(1843)を完全収録している。

  • ♭ ヨーク・ハッターの悲劇(2018-07-28)
  • 大好きな作家が推薦していたり、書評で絶賛されていたり‥‥ある本を読む動機は分かりやすいが、読まなかった理由は良く分からない。エラリー・クイーンの『Xの悲劇』(創元推理文庫 1960)は高校1年生の時に読んで気に入っていたのに、なぜ続けて『Y』『Z』と読まなかったのか、興味が推理小説から動機なき不条理小説に変わったのか、ミステリーを愉しむ余裕がなくなったのか、今思い返しても曖昧模糊とした忘却の彼方である。『Y』を読もうと思い立ったのは森博嗣の『ψの悲劇』(講談社 2018)が出版されたからである。Gシリーズ後期3部作はクイーンへのオマージュになっているのだ。『χの悲劇』(2016)は『X』を読んでいる読者には冒頭から真犯人がバレていた。『ψ』の前に『Y』を読んでおくに如くはない。「エピローグ」を終えて、巻末の「舞台裏」を読むまで真犯人が分からない。しかも最後に大きな謎が残る。毒入りミルクを飲んだ殺人犯は自殺したのか、殺害されたのか、それとも事故だったのか?‥‥ドルリー・レーンがミルクの入ったグラスを置き替えたのでしょうか?

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2018-07)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    カラー新版 ネコを撮る

    カラー新版 ネコを撮る

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:朝日新聞出版
    • 発売日:2018/05/11
    • メディア:新書(朝日新書 669)
    • 目次:ネコにアプローチ / 撮影編 / 世界のネコ / 野生のネコ / あとがき /『カラー新版 ネコを撮る』に寄せて


    岡上淑子全作品

    岡上淑子全作品

    • 著者:岡上 淑子
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2018/01/18
    • メディア:ハードカヴァ
    • 内容:優美で不穏、繊細で大胆―幻のコラージュ作家の150作品を完全収録。高知県立美術館「岡上淑子コラージュ展―はるかな旅」公式図録


    はるかな旅 岡上淑子作品集

    はるかな旅 岡上淑子作品集

    • 著者:岡上 淑子
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日: 2015/03/26
    • メディア:ハードカヴァ
    • 内容:幻のフォト・コラージュ作家、半世紀の時を超えて国内初の作品集、待望の刊行。自選作品77点および全作品一覧表収録の決定版


    魅惑の黒猫 知られざる歴史とエピソード

    魅惑の黒猫 知られざる歴史とエピソード

    • 著者:ナタリー・セメニーク(Nathalie Semenuik)/ 柴田 里芽(訳)
    • 出版社:グラフィック社
    • 発売日: 2015/10/07
    • メディア:大型本
    • 目次:はじめに / 黒猫とボンベイ / 受難の歴史 / 伝説の猫 / 民間伝承と迷信 / フットライトを浴びて / キャバレー "黒猫" / 写真クレジット


    Yの悲劇

    Yの悲劇

    • 著者:エラリー・クイーン(Ellery Queen)/ 越前 敏弥(訳)
    • 出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)
    • 発売日:2010/09/25
    • メディア:文庫(角川文庫 ク 19-2)
    • 目次:ふたたび、読者への公開状 / プロローグ / 第一幕 / 第ニ幕 / 第三幕 / エピローグ / 舞台裏 / 解説・桜庭 一樹

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