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ネコ・ログ #72 [c a t a l o g]

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  • 私は猫に声をかける時、何オクターブも高い声が出る。意図的ではなく、子供の頃から自然にそうなる習性が身についている。「ネコメンタリー」 が放送された時、私の猫撫で声を聞いた人が「ヤマザキさんの声当ててるの誰?」などとSNSに書き込んでいたそうだが、ベレン〔引用者註:著者が飼っているベンガル種の雌猫〕もまたその高い声は自分だけのものと思 っている節がある。「かわいい」 と人間に愛でられることが彼女にとっての生存の意義でもあるのだろう。そのくせ、ベレンは普通の猫のように「ニャーオ」などとは鳴かない。いつも短く 「ナ」 とか、「マ」 みたいな、猫にしてはドスの利いた低い声で訴えかけてくる。息子はそれは「ハハの真似をしているんだよ」と言う。普段低い声で喋る私に合わせて、ベレンもそんな鳴き声になってしまったのではないかというのだが、その憶測もあながち外れてはいない可能性もある。
    ヤマザキマリ 『猫かいれば、そこが我が家』


  • #640│ミロ│地域猫 ── 黒猫メイドカフェ?
    クリスマスやハロウィンの仮装よろしく、飼い主が面白がってペットの犬や猫にコスプレさせるのは動物にとって迷惑千万以外の何ものでもない。水玉模様の壷の中で睡るペルシャ、ピンクのハンモックで寛ぐハイランドなど、生後13週未満の子猫たちに最小限の小道具を添えた動物写真家レイチェル・ヘイルの写真集『S M I T T E N』(グラフィック社 2006)がギリギリの限界点で、それ以上に過多な演出は慎むべきだと思う。必要に応じて止むを得なく着装される「エリザベス ・カラー」や頭部に被るネット包帯は正に怪我の功名というか、意外に可愛らしかったりする。白い保護ネットを被っている黒猫ミロちゃんはホワイトブリムと黒い制服姿のメイドを想わせなくもない。渋谷や原宿にネコカフェはあっても黒猫メイドカフェはないでしょう。ウェイトレス少女たちがネコ耳(カチューシャ)を着けてコスプレする「黒猫メイドカフェ」はオタクの聖地・秋葉辺りに実在しそうですが。

    #641│ピノ│飼い猫 ── 折々の三毛ネコ
    日本と世界を「ネコ歩き」している岩合光昭さんが三毛猫の姿を見かけることが最近少ないと写真集で書いていたが、素人のネコ撮りブロガーが徘徊している界隈では意外に三毛と出合うことが多い。JRI**駅前公園のアンちゃん、ヘアーショップK**のベルちゃん、都電沿線のゴトちゃん。スコティッシュ・フォールドのミスちゃんと同じ民家で飼われているピノちゃんも黒 ・白・茶色の三毛である。人懐っこい天然スコのミスちゃんとは対照的に小心者のピノち ゃんはビビっているのか、恥ずかしがり屋なのか、なかなか馴れる様子がない。ミスのように鳴きながら自ら近寄って来てゴロニャン(横たわる)することはないけれど、玄関のキャ ットスルーからミスが外へ出てくると、その後を追うように勢い良く飛び出て来る。もう少し会う頻度が多ければ親密な間柄になれそうですが、三毛姉妹(?)の暮らしている方面に行く機会が少ないのは残念至極。

    #642│ブン│飼い猫 ── 谷中のネコたち 6
    JR西N**方面から「夕やけだんだん」を左に見て横切る。脇道を歩いて、常に20人ほどの行列を作っているかき氷専門店「ひみつ堂」の前を通る。その先の民家の前にサバトラと白のネコがいた。右耳先をカットされているが、鈴の着いた赤い首輪をしているので飼い猫だと分かる。カメラを構えていると、タイミング良く玄関から2人の男性が出て来た。「写真を撮っても良いですか?」 と訊くと、快く承諾してくれた。初対面なので警戒しているネコの方は決して撮影を快諾しているようには見えない不機嫌顔だったか何とか撮れた。少し歩くと左手に子供達が遊んでいるグラウンド「防災広場初音の森」が見えて来る。その向かいの谷中防災コミュニティセンター内3階に中央図書館「谷中分室」がある。図書館のイメージキャラクターは黒猫「やんにゃん」。借りていた本を返却してエレヴェータで1階には降りず、細長い分室の裏口から外へ出る。これから谷中霊園を通って、JRN**駅へ向かう。

    #643│ベル│飼い猫 ── ガラス越しの三毛
    JR O**駅周辺の飲食街を歩いていると、ヘアーショップK**の前に数人の女子高生が集まっていた。何をしているのかと思ったら、スマホでネコを撮っていた。店内に敷いてある灰色の足拭きマットの上に寝そべって、三毛ネコが興味深そうに外界を見つめているではないか。これ幸いと彼女たちに便乗して撮ってみた。夕暮れの下校時なので外は暗いけれど、営業中の店内は明るい。ガラスのドア越しなので、不鮮明なソフト・フォーカスになってしまったが、大きく瞠った目とピンと立った耳が魅力的なベッピン三毛だった。室内飼いらしく毛並みも綺麗。髪の毛を美しく整える理容室に相応しい看板ネコである。この理容室には数年前、真っ白いネコが同じような姿勢で外を眺めて顧客を招いていたから、ベル(仮名)ちゃんは少なくとも二代目の看板ネコなのかもしれない。

    #644│ミャウ│ノラ猫 ── のねこのぞう
    大濱普美子の小説集『たけこのぞう』(国書刊行会 2013)は 「のっぺらぼうの平仮名書きからは、どんな内容の話なのか見当がつかず、ひょっとしたらまるでそぐわないイメージを与えてしまうかもしれない」 という著者の懸念から、文庫版化の際に冒頭に収録された処女作『猫の木のある庭』(河出書房新社 2023)に改題された。「ひと」(朝日新聞 2023・9・25)によると《2018年度から環境省などが始めた「ノネコ管理計画」。奄美大島の島内で暮らす猫のうち、環境省が山中で自活する「のねこ」とみなした猫が、アマミノクロウサギなど希少種の脅威になっているとして捕獲されている。譲渡先が見つからなければ、猫たちは殺処分される》。小学生の頃、飼っていたウサギの骨折を診断してくれた動物病院の先生に憧れて獣医師を志した齊藤朋子さんは「殺処分ゼロ」を実現するために2009年、野良猫の不妊・去勢手術専門の動物病院を都内に開いたという。「同じ猫なのに『ノネコ』とされたら駆除される。獣医師こそ率先して動かなくて、誰がこの子らの命を救えるのでしょう」

    #645│ホク│飼い猫 ── きつね塚のネコ
    初対面で撮れるラッキーなネコもいれば、何年経っても撮れない不運なネコもいる。JRI**駅近くにある「きつね塚商店会」裏の露路に暮らすネコは後者だった。活動時間や行動範囲が異なるのか、なかなか出合うことが出来ない。先日、運良く見かけた時にネコの後を追 ってみたところ、周回パトロールするテリトリ(縄張り)は意外に広く、お気に入りの場所もあることが分かった。民家の門扉の中や家と家の狭い隙間に入ってしまうと見送るしかないけれど。ホクちゃんは左耳先カットされている飼い猫。ハチ割れ(マズル)と胸部と前脚だけが白い黒猫である。人懐っこくて、近づいても逃げることは少ない反面、四六時中動き回っているので写真は撮り難い。決して鮮明な写真ではない。休息して寝そべっているところも撮れたけれど、構図的には拙ブログにアップした写真が「ベスト・ショット」である。

    #646│サカ│飼い猫 ── ネコと自転車
    水色の自転車の前にいた初対面のネコを撮った。強面の容姿なのに人懐っこい。駐車場はネコにとって危険極まりない場所である。クルマの下に隠れていると発進したタイヤに轢かれる可能性があるし、エンジンルームに入り込んでいると巻き込まれてしまう怖れもある。特に寒い冬場はクルマを運転する前にボンネットを掌で叩く「ネコバンバン」は欠かせない。車道を急いで渡るネコはクルマという「走る凶器」の実体を正しく認識出来ない。猛スピードで走る「得体の知れない怪物」だと思っているかも知れない。危険な乗り物だと分かっているヒトだって人身事故が毎日絶えないのだから、外ネコにとっては最大の脅威である。駐車場に較べれば駐輪場は比較的安全だと思う。2017年12月、電動式自転車に乗った女子大生(右手に飲料水、左手にスマホ、左耳にイヤホン)が女性高齢者を死亡させた事故があったが、ネコが自転車に撥ねられて死ぬことは稀ではないかと思う。

    #647│ハン│ノラ猫 ── ネコとレンガ本
    百鬼夜行シリーズ17年ぶりの新作長編『鵼の碑』(講談社 2023)は携行に不向きである。「レンガ本・鈍器本」 と俗に称されるノベルス版は新書なのに重くて嵩張る。久しぶりに出会った黒白ハチ割れネコを撮ろうとして、図書館から貸し出した3冊の本( 「鵼の碑」 「レインボー戦隊」 「オールド・ポッサムの抜け目なき猫たちの詩集」 )を下に置くと、好奇心を持 ったのか興味深そうに近づいて来た。『鵼の碑』は大長編(832頁)なのに、失踪した婚約者、20年前に芝公園で発見された3人の他殺体消失事件、光る猴、燃える石碑などの謎は解かれるが、新たな事件は何にも起こらない。昭和29年の設定になっているけれど、福島原発事故(2011・3・11)が起こらなければ恐らく書かれなかった「反原発の書」ではないか。以下蛇足‥‥H**図書館の受付カウンターにテイクフリーの栞の束が置いてあって、何気なく選んだ1葉が「謹製 開運白蛇栞」だった。これって、百鬼夜行のノベルス版に挿み込まれている京極夏彦直筆の妖怪栞じゃないの。「御祓済」 とのことなので、御利益がありそうです。

    #648│ドミノ│飼い猫 ── ネコのように生きなさい
    虹の橋を渡ったネコたちのスライドショー〈にゃんこスライダー〉を拙ブログに設置した記念にイレギュラーではあるけれど、ドミノちゃんに再登場してもらった。美術家・横尾忠則は画文集『タマ、帰っておいで』(講談社 2020)の掉尾で、横尾家の家族の一員として15年間暮らした愛猫タマ(本名タマゴ)が遺した手紙という体裁で「タダノリ君、どうぞ猫のように生きてください」と綴る。愛猫まると暮らす解剖学者の養老孟司さんは『まる文庫』(講談社 2013)の中で「要するに「ネコになってしまう」のである」と書く。英政治哲学者ジョン・グレイは『猫に学ぶ』(みすず書房 2021)の中で 「猫のように生きるということは、自分が生きている人生以上に何も求めないということだ」 と結ぶ。ネコはSNSなどの誹謗・中傷を気に病んで自殺することもないし、ストーカー殺人などの加害・被害者になることもない。座右の銘は「ネコのように生きる」にしたいけれど、これが激ムズにゃん。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する 「ネコ・カタログ」(cat-alog)の第72集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコの見出しをクリックするとトップに戻ります。今までに640匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していたことに驚かされます。容赦ないTNR(Trap Neuter Return)で、外ネコの個体数が減ってしまうのは残念です。TNR推進者は日本からノラネコたちを一掃したいのでしょうか。第72集の常連ネコはピノとミャウ。macOS(Photos)で自動作成される「メモリーズ」のスライドを眺めていて、拙ブログにもスライドショーを設置したら虹の橋を渡ったネコたちの供養になるのではないかと思い着きました。〈メモリアル・キャ ッツ 1〉は2023年7月に永眠した長毛・長寿のロンちゃん(2012-2023)。〈メモリアル ・キャッツ 2〉は3年前に不慮の事故で急逝したドミノちゃん(2012-2019)です。R.I.P.

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    猫がいれば、そこが我が家

    猫がいれば、そこが我が家

    • 著者:ヤマザキマリ
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2023/09/21
    • メディア:単行本
    • 目次:ベレン 大切な関係ほど、程よい距離感 / 一番怠惰なのは人間? / ベレンの来日 / 私の “ニャンコ先生” / 猫の名前 / 猫の出産、私の出産 / 人の心が豊かな国は猫も幸せ? / 生命反応を感じていたい / プリニウスと私 /「信頼」という落とし穴 /「今日から二人で頑張りまし ょうね」/ 三つ子の魂 / 母が足りない / イタリア家族との再会 / マンミズモは猫愛に置き...


    S M I T T E N ── 子ねこに夢中!

    S M I T T E N 子ねこに夢中!

    • 著者:レイチェル・ヘイル(Rachael Hale)/ 山下 理恵子(訳)
    • 出版社:グラフィック社
    • 発売日:2006/10/25
    • メディア:大型本
    • Kittens:Vega / Hunkydory / Pumpkin / Daisy / Dolly / Minnie / Riley / Fantasia / Simba / Lila / Jessie / Sky & Suby / Ziggy / Hunphrey / Achilles & Apollo / Bubble & Squeak / Dinx / Kerron / Alfie / Eddie / Anastasia & Victoria / Bear / Muggle, Nigel & Derek / Kandy & Kaleb / Dominic & Jackson / Kok...


    たけこのぞう

    たけこのぞう

    • 著者:大濱 普美子
    • 出版社:国書刊行会
    • 発売日:2013/06/19
    • メディア:単行本
    • 目次:猫の木のある庭 / フラオ・ローゼンバウムの靴 / 盂蘭盆会 / 浴槽稀譚 / 水面 / たけこのぞう


    鵼の碑

    鵼の碑

    • 著者:京極 夏彦
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2023/09/14
    • メディア:新書(講談社ノベルス)
    • 目次:鵼 久住加壽夫の創作ノオトより / 蛇 / 虎 / 貍 / 猴 / 鵺 / 鵼

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