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F A V O R I T E ー A L B U M S 2 2 [f a v o r i t e s]

  • iViV (Ignatub 2023) Oriane Lacaille440


  • レユニオンのSSW&アコーディオン奏者ルネ・ラカイユの娘の1stアルバム。オリアーヌのウクレレ、バリトン、ダイアトニック、Heloïse Divilly(ドラムス)、Yann-Lou Bertrand(コントラバス)、ギター、トランペット、フルート、ドブロ、バンジョー、アコーディオンの伴奏で、クレオールの 「マロヤ」 を歌う。〈iViV〉はLeyla McCalla(チェロ)、〈Lam La Mer〉には父親ルネとLoy Ehrlich(ゲンブリ)が参加。全11曲・45分。紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(12頁)付き



  • EARTH (Forever Living Originals 2022) SAULT439


  • 2022年11月1日から5日間限定でフリーDLされた英覆面ユニ ットSAULTのニュー・アルバム5枚が2023年にフィジカル化(LP・CD)した。一括購入する経済的な余裕はないので、デジタル(MP3)で愛聴している《Untitled (GOD) 》だけ1枚を入手したのだが、リリースから半年ほど経って値下げしていたので、《AllR》《11》《Earth》《Today & Tomorrow》の4枚を纏めて購入した。昨年末に突然発表されたCleo Solのアルバム2枚《Gold》《Heaven》もフィジカルで発売される



  • ME CHAMA DE GATO QUE EU SOU SUA (Mr Bongo 2023) Ana Frango Eletrico438


  • リオ新世代のSSWアナ・フランゴ・エレトリコの3rdアルバム・カヴァには獰猛そうなニ頭の虎が描かれている。「猫と呼んで下さい、私はあなたのものです」 というタイトルなのに。可愛い猫撫で声で歌っていても、本性は気性の激しい虎だったりして。オープニング曲〈Electric Fish〉のエレクトロ・ブギ ーには腰が抜けたが、ディスコやブラジリアン・ブギーなど、70〜80年代以降の音楽を参照・研究した成果だという。全10曲・32分。デジパック仕様、2つ折りのライナー・カード付き



  • ATLAS (Awe 2023) Laurel Halo437


  • ローレル・ヘイローの5年ぶりとなる5thアルバムは昏れなずむ大禍時のアンビエント・コラージュである。静謐なピアノと暗鬱なストリングス、不穏なドローンの分厚い津波が執拗に寄せては返すアルバムを年明け(2024)に聴くと、音楽が変貌していたことに気づく。まるで大災害(能登半島地震)を予見したかのような鎮魂歌に聞こえるからだ。四十九日忌に公開された坂本龍一のプレイリスト 「funeral」(葬儀)の最後の1曲(死の3日前に追加されたという)は彼女の〈Breath〉だった



  • i/o (Real World 2023) Peter Gabriel436


  • 逆さ蛍になって久しいピーガブ、21年ぶりの10thアルバム。全12曲・68分を 「Bright-Side Mix」(Mark 'Spike' Stent)と 「Dark-Side Mix」(Tchad Blake)の2ヴァージョンで収録した2CDと 「In-Side Mix」(Dolby Atmos)を同梱した2CD +Blu-ray Audioでリリースされた。Tony Levin(ベース)、David Rhodes(ギター)、Manu Katché(ドラムス)という盤石の布陣で、Brian Enoも参加している。全36曲・205 分。見開き4面紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(32頁)付き



  • HUECOS (Club Del Disco 2022) Melina Moguilevsky435


  • 異形なオブジェ・カヴァが象徴するように妖しく神秘的な3rdアルバム。飼い猫バタトが傍を彷徨く間、無糖コーヒーを飲み干した彼女は 「バンドでやって来たことが終わったと感じ、別の側面から音楽を作る必要があると気づいた」 と語る。Cesar Lerner(アコーディオン)が参加した〈Todo el sentido〉。Vitor RamilとM.M.が一緒に歌う〈Respirar〉。Candelaria Zamar(ヴォーカル)、Fernando Kabusacki(ギター)と共演した〈El fuego〉など全7曲・32分。見開き紙ジャケ仕様



  • DES DE LA CUINA (Bankrobber 2023) Magali Datzira434


  • スペイン・バルセロナ生まれのベース奏者マガリ・ダッチラ(Magalí Datzira)の 「声とコントラバス」 。ギター、ピアノなどのアクースティック・サウンドに乗せてスペイン、カタル ーニャ、ポルトガル、イタリア、英語で歌う。彼女が宅録した〈The Cutest Boy (Alt Take)〉と〈Des De La Cuina〉の即興ヴァージョン〈Plorant Sobre La Cuina〉を含む(裏カヴァには12曲しか記載されていない)全14曲・35分。見開き紙ジャケ仕様、カタルーニャ語のブックレット(16頁)付き



  • ADJANI, BANDE ORIGINALE (Parlophone 2023) Isabelle Adjani433


  • 突然リリースされた仏女優イザベル・アジャーニのデュエット ・アルバム。添付されたステッカーに 「The Long-Awaited」 と記されているので、長きに渡って進行中のプロジェクトだと分かる。Peter Murphy、Etienne Daho、Simon Le Bon、Youssou Ndour、Banjamin Biolay、David Sylvianなど、超豪華な男性陣から彼女への敬愛が溢れ出る。〈Samourai〉〈Shamisen〉〈Hara-Kiri〉という題名もある。全14曲・61分。見開き3面紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(20頁)付き



  • THIS STUPID WORLD (Matador 2023) Yo La Tengo432


  • 「今年の漢字 2023」 は「税」ではなく、「闇」 ではないか。若者を特殊詐欺に勧誘する闇バイト。派閥のパーティ券収入を裏金化してキックバックする闇献金。世界に目を向ければ「愚」という漢字も瞼に浮かぶ。米男女トリオ、ヨ・ラ・テンゴの最新アルバムは 「インディ・ロックの最も揺るぎない組織が遍在する闇と対峙する」(Pitchfork)。「この愚かな世界、それが私を殺している」(This stupid world, it’s killing me)。全9曲・49分。見開き紙ジャケ仕様、ブックレット(8頁)付き



  • MADRES (Ninja Tune 2023) Sofia Kourtesis431


  • ペルー・リマ生まれで、独ベルリンを拠点に活動するDJ・プロデューサー、ソフィア・クルテシスの1stアルバム。癌に冒された母親を延命させた脳神経外科医ピーター・ヴァイコツィに敬意を表した〈Vajkoczy〉、敬愛するManu Chaoに手紙を書いたことで共演に至った〈Estación Esperanza〉など全10曲・49分。〈How Music Makes You Feel Better〉という曲名通り、多幸感溢れる癒しのハウス・ミュージック。癌病院の補助看護師から転身したKelly Lee Owensにも相通じる



  • TEMPO DE VENDAVAL (Independente 2023) Nara430


  • ブラジル・ミナス出身のSSW、フルート奏者ナラ・ピニェイロ(Nara Pinheiro)の1stアルバム。Antonio Loureiro(ドラムス、ピアノ、シンセ、ギター、ベース)のプロデュース。彼女は5曲をMarcio Guelber(7弦ギター、アコーディオン)と共作している。AntonioとTiago Amudの〈Parto〉、5拍子の〈Tempo de Vendaval〉など全9曲・35分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き。Manuel LinharesやKaterina L'dokovaなどロウレイロの手掛けた作品に外れなし



  • SOFTSCARS (Ninja Tune / Bayonet 2023) Yeule429


  • ユール(Yeule)はシンガポール生まれのSSWナット・チミエル(Nat Ćmie)のプロジェクト。その名前はFF13の少女パドラ=ヌス・ユール(Paddra Nsu-Yeul)に由来する。「柔らかい傷」(softscars)とは時を経て傷が癒えても残る痕跡(トラウマ)の比喩だという。岩井俊二の長編アニメ映画 「花とアリス殺人事件」(2015)のサントラ、ヘクとパスカルのインスト・カヴァ〈Fish in the Pool〉を含む全12曲・40分。ス ーパー・ジュエル・ボックス、歌詞ブックレット(8頁)入り



  • DESIRE, I WANT TO TURN INT... (Perpetual Novice 2023) Caroline Polachek428


  • キャロライン・ポラチェックはNYマッハタン生まれのSSW。家族と移住した東京で幼少時を暮らす。コロラド大学在学中にシンセ・ポップ・デュオを結成。Ramona LisaとCEP名義で2枚、ソロ・アルバム《Pang》(Sony 2019)をリリースしている。ベルカント・オペラとラップが交錯する〈Welcome To My Island〉、GrimesとDidoとコラボした〈Fly To You〉、 パウル・クレーの絵画を想わせる〈Crude Drawing Of An Angel〉など全12曲・45分。歌詞ブックレット(16頁)付き



  • SUELTA (Halley 2023) Meritxell Neddermann427


  • スペイン・カタルーニャ生まれのSSWメリチェル・ネッデルマンの2ndアルバム。Thom Yorke(Radiohead)にインスピレーションを得たという〈Suelta〉は多重ヴォーカルとシンセのカットアップ、英バンドSupertrampにオマージュした〈Restaurante en el mar〉は80年代ロック風、オートチュ ーンを使った〈Si ets tu〉はエレクトロニカ、70年代の米ポ ップ・ソウル調の〈T'esperaré una mica más〉など、全10曲・35分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き



  • GENTE (Pineapple French Pop 2023) Leo Middea426


  • ポルトガル・リスボンを拠点に活動するリオ出身のSSWレオ ・ミデア(Leo Middea)の5thアルバム。Caetano Velosoを想わせる優柔なヴォーカルがサンバ やレゲエなどのダンサブルなビートに映える。Jorge Ben Jor風のサンバ・ファンキの〈Que Sorte〉、サンパウロ生まれのSSWマルー・マガリ ャエス(Mallu Magalhaes)とデュエットした〈Borboleta Efeito〉。CDはボートラ〈Tous Yeye〉を追加した全12曲・34分。見開き紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(8頁)付き



  • JAVELIN (Asthmatic Kitty 2023) Sufjan Stevens425


  • ギラン・バレー症候群で闘病中と報じられたSufjan Stevensの10thアルバム。《Carrie & Lowell》(2015) 以来の歌もので、〈Shit Talk〉でBryce Dessener(The National)がギターを弾いている以外、全ての楽器を本人が演奏。作家のAdrienne Maree Brown、米SSWのMegan Lui、Hannah Cohenなどがコーラス参加。Neil Youngのカヴァ〈There's A World〉を含む全10曲・42分。見開き紙ジャケ仕様、コラ ージュ・ブックレット(48頁)付き。歌詞はインナーに記載



  • I INSIDE THE OLD YEAR DYING (Partisan 2023) PJ Harvey424


  • PJHは2nd以来30年間在籍していたレーベル(Island)から移籍した。ここ数年来、旧譜のデモ・アルバムが乱発されたのは残された契約を履行するためだったのかと想われる。7年ぶりの10thアルバムもFlood、John Parishという長年の盟友2人のプロデュースだが、今までの激烈なイメージを払拭している。「愛猫を抱く素っぴんポートレイト」 のように。全12曲・40分。見開き三面紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き。国内流通仕様CDは対訳・解説(John Harris)を封入



  • GIRL WITH FISH (Saddle Creek 2023) feeble little horse423


  • Seb Kinsler、Ryan Walchonski(ギター)、Jake Kelley (ドラムス)、Lydia Slocum(ヴォーカル、ベース)の4人組ノイズ・ポップ・バンドの2ndアルバム。「魚を持つ少女」 というタイトルは美術館で想像した絵画の題名で、バンド内でウケたジョークに由来しているという。シューゲイズ、不協和音のギター、「ノイズ・ロックの感触とDIY志向のポップとの融合、異なる感性が興味深い方法で衝突する」(NME)。全11曲・26分。見開き紙ジャケ仕様、9つ折り歌詞・ポスター付き



  • HAYDAY (Julia's War 2021) feeble little horse422


  • 米ペンシルヴァニア・ピッツバーグで、2021年に結成された4人組。「Alex G、ドリームポップ実験主義者のSweet Tripと地元の爆音ギター・バンドへのバンド・メンバーたちの愛から生まれた《Hayday》は20代の実存的な恐怖を描いた容赦なく、意図的に混沌としたドキュメントである」(Pitchfork)。再発盤(Saddle Creek 2022)はボートラ2曲〈Dog Song 2〉と〈Termites (Full Body 2 Remix)〉を追加収録。全13曲・26分。見開き紙ジャケ仕様、9つ折り歌詞・ポスター付き



  • CONTINENT I CONTINGUT (Hidden Track 2021) Maria Hein421


  • マリア・エイン(Maria Hein)はスペイン・マヨルカ島ファラニチュ生まれのSSW。デビュー・アルバムはMariaのギタ ー 、ピアノ、キーボードの弾き語りフォークに、レーベル・オーナーでプロデュサーのFerran Palau(キーボード、ドラムス)、Dani Comas(ベース)がバックアップする。ミニマムで控え目なサウンドだが、スペイン語で歌う10代のフェラニチェラ(felanitxera)には新鮮な親密さがある。全10曲 ・26分。見開き紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(8頁)付き


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