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F A V O R I T E ー A L B U M S 7 [f a v o r i t e s]

  • ASTHMATIC KITTY DIGITAL SAMPLER, WINTER 2014 (Asthmatic Kitty 2013)


  • Sufjan Stevensが主宰するレーベル「喘息病みの子ネコちゃん」のサンプラー・アルバム。瞬きするネコの容姿に違わず、全曲フル試聴&フリー・ダウンロードという太っ腹。Sufjan Stevens、Chris Schlarb、Lily & Madeleine姉妹、Helado Negro、Land Of A Thousand Rappersなど9組、全14曲を収録。44年振りに2ndアルバムを発表したLinda Perhacsの新曲〈Freely〉も入っている。「猫ジャケ探検隊」には嬉しい贈り物。フィジカル(CD)でもリリースして欲しいにゃん 140



  • RUN FAST (TJR 2013) The Julie Ruin


  • Kathleen Hanna(Bikini Kill、Le Tigre)が結成した新バンドのデビュー・アルバム。Sara Landeau(ギター)、Kathi Wilcox(ベース)、 Carmine Covelli(ドラムス)、Kenny Mellman(キーボード)、Kathleen Hanna(ヴォーカル)という5人編成でパンク、エレクトロ、ガール・ポップを繰り広げる。元祖ライオット・ガルー(riot grrrl)らしい少女の狂乱さと可愛らしさが同居するアルバム。カヴァを飾るアリソン・ミッチェル(Allyson Mitchell)のクリーチャーも魅力的 139



  • THE MAN WHO DIED IN HIS BOAT (Kranky 2013) Grouper


  • Grouperは米ポートランド出身の女性Liz Harrisのソロ・プロジェクト。《Dragging A Dead Deer Up A Hill》(2008)と同時期に録音されていた未発表音源集らしいが、リヴァーブのかかったギターと気怠いヴォーカルの織り成す幽玄なサウンドは「ローファイ・エンヤ」と呼びたくなる。夢の中で流れるBGMのように輪郭の暈やけたサウンドには睡眠導入剤のような効果もある。ドローン、アンビエント、シューゲイザー‥‥はストレス過剰社会が生んだ癒し系音楽なのかもしれない 138



  • LA JEANNE (Quart De Lune 2013) La Jeanne


  • Jane Breduillard(ヴォーカル)とRoberto Baccherini(ギター)によるユニットのデビュー・アルバム。アクースティック・ギター、アコーディオン、ベース、ドラムスにサックス、トランペット、クラリネット、ヴァイオリン、チェロなどを配したノスタルジックな正統派シャンソンにJaneのヴォーカルが映える。「歌う女優」のウィスパー・ヴォイス(ロリ声)ではなく、「歌える仏女優」の深みのある声(顔に似合わない)なのだ。思わずジャケ買いした人も少なくないでしょうね 137



  • WED 21 (Crammed Discs 2013) Juana Molina


  • アルゼンチン音響派歌姫の6thアルバムはセルフ・プロデュース。全ての楽器を彼女1人で演奏しているという。パーカッシヴなギターが撥ねる7拍子の〈Eras〉、アナログ・シンセがブヒョブヒョ鳴る〈Lo Decidi Yo〉、間奏でサックスが荒れ狂う6拍子の〈Las Edades〉。ビートが強調されたサウンドには高揚感もある。聴き込むほどに浮遊するヴォーカルと幽玄なるエレクトロニカに魅惑される。英DominoからClammedに移籍しても、素顔を隠した「ヘン顔の女たち」は健在なのだ 136



  • SEASONS OF YOUR DAY (Rhymes Of An Hour 2013) Mazzy Star


  • 「90年代における最高のサイケデリア・バンドの1つ」と称されるMazzy Star。17年振りの4thアルバムは幻想的な猫ジ ャケだった。Hope Sandovalの夢見るような気怠いヴォーカルとDavid Robackのブルージーなギターがカリフォルニアの白昼夢を現出。スライドや変則チューニングのギター・サウンドと浮世離れした儚げなヴォイスは水を求めて砂漠を彷徨う旅行者や桃源郷を目指す探検家の姿を想わせる。故Bert Janschがギターで客演、Colm Ó Cíosóig(MBV)も参加にゃん 135



  • THE WEIGHING OF THE HEART (Second Language 2013) Colleen


  • パリ生まれスペイン在住の女性アーティストColeen(Cécile Schott)の4thアルバム。歌詞カード(8頁)を中綴じした見開きブックレット・シリーズ(2L Library Series)の1冊としてリリースされた。ギター、チェロ(viola da gamba)、ピアノ、オルガン、クラリネット、トイ・ガムランなど音数の少ないアクースティック・サウンドだが、エレクトロニカ風に響く。最大の変化は本人自ら歌っていること。澄み切った音響空間は非電子化したBjorkやJulianna Barwickを想わせる 134



  • SILENCE YOURSELF (Matador 2013) Savages


  • ロンドンで結成されたポスト・パンク4人組のデビュー・アルバム。女性版Joy Divisionとも称される内省的な情念が黒く爆発する。ウィリアム・ゴールディングの小説から採ったというバンド名。ジョン・カサヴェテスの映画の台詞をサンプリングした〈Shut Up〉から始まり、クラリネットの鳴り響くバラード〈Marshal Dear〉で終わる11曲38分。Jehnny Beth(フランス人)のクールでスタイリッシュなヴォーカル、Gemma Thompsonの空間を引き裂くノイズギターもカッコ良い 133



  • ENORMOUS DOOR (Ex 2013) The Ex & Brass Unbound


  • 4人のブラス奏者‥‥Mats Gustafsson(サックス)、Ken Vandermark(サックス&クラリネット)、Roy Paci(トランペット)、Wolter Wierbos(トロンボーン)とのコラボ・アルバム。新曲に加え、Katherina(ドラムス)が歌うエチオピアン・ガレージの〈Belomi Benna〉、7"シングル〈Our Leaky Home〉、既発アルバム収録曲の〈Bicycle Illusion〉〈Theme From Konono〉をブラス・ヴァージョンにリメイク。Getatchew Mekuriaとの共演による相乗効果かしら 132



  • FRENCH SWINGING MADEMOISELLE 1967 (Born Bad 2013) Clothilde


  • 1967年に4曲入りコンパクト盤2枚をリリースして消えた元祖フレンチ・アイドロン、クロチルドちゃんのリイシュー・アルバム。既出8曲にレア・トラック(イタリア語ヴァージョン2曲)と未発表曲1曲を加えて初アルバム化。〈猫のしっぽをふんじゃダメ〉という代表曲に因んだ、4隅にネコのイラストを配したアルバム・カヴァも「ネコード」として洒落ている。ブックレット(12頁)に収録されたインタヴューのタイトルは「Clothilde, the «Emily Strange» of French Pop」131



  • MACAXEIRA FIELDS (Sonhos & Sons 2012) Alexandre Andres


  • ブラジル・ミナスの若きSSWによる2ndアルバム。音楽監督を務めるAndre Mehmariの許に、Antonio LoureiroやRafael Martiniなどが集結。本人のヴォーカル、フルート、ギターにTatiana Parra、Monica Salmaso、Juan Quintero(Aca Seca Trio)もゲスト・ヴォーカル参加。ロックともジャズとも異なる優雅で繊細なチェンバー・ポップを創り上げている。祖母マリア・エレナ・アンドレス(Maria Helena Andres)の描いたイラストも瑞々しい。「国内盤」はジャケ違い 130



  • ZOOM (Wrasse 2013) Rachid Taha


  • アラブ・ロック野郎が9年振りに帰って来た。Justin Adamsのプロデュースで、Mick Jonesがゲスト参加。エジプトの歌手ウム・クルスーム(Oum Kalthoum)の歌唱をサンプリングした〈Zoom Sur Oum〉。プレスリー(Elvis Presley)のカヴァで有名な〈Now Or Never〉も収録。〈Voila Voila〉のセルフ・カヴァでは〈Rock The Casbah〉(2004)に引き続いてBrian Enoが全面サポート。Joe Strummerの遺志を継承するのかようなポスト・パンク〜アラブ・ロックが炸裂! 129



  • LOST SIRENS (Rhino 2013) New Order


  • 《Waiting For The Sirens' Call》(2005)のアウト・テイク集だが、ボツ曲というわけではなく2枚組でリリースするコンセプトが見出せずに、お蔵入りしていた楽曲だという。〈I Told You So〉の別ミックスを含めた全8曲。未発表曲集の魅力は2013年に彼らの新曲が聴けること。地中に埋めたタイムカプセルのように真新しく、保存庫に寝かせていたワインのように芳醇な香りを放つ。Peter Hook(リード・ベース)のいないNew Orderは、Ian CurtisのいないJoy Division? 128



  • MBV (Mbv 2013) My Bloody Valentine


  • 来日公演では聴衆に耳栓が配られたという元祖シューゲイザーによる22年振りの3rdアルバム。デビューから四半世紀を経て古色蒼然どころか、シューゲイザーという1ジャンルを確立してしまったMBVの新作は良くも悪くも変わっていない。当初は公式サイトだけの限定販売(LP+CD+DLの3種)だったが、ネット通販や輸入CDショップでも買えるようになった。見開きカード・スリーヴ(紙ジャケ)、8頁ブックレット付き、歌詞は記載されていない。「YouTube MBV」で全曲試聴可 127



  • Y'ANBESSAW TEZETA (Terp 2012) Getatchew Mekuria & The Ex & Friends


  • エチオピアを代表するサックス奏者とオランダのパンク・エクスペリメンタル・バンドの異種格闘アルバム第2弾(2CD)。The Ex(トランペット、ギター、ドラムス)とホーン隊(クラリネット、サックス、トロンボーンなど)がサポート。The Exはバックアップに徹しているので「共闘」とは言い難いが、ライヴ盤は強烈。ICP(Instant Composers Pool)オーケストラやThe Exとの共演ライヴだけでなく、60年代初頭に録音された貴重な音源(約半世紀前!)も収録されているのだ 126



  • MONKEY ME (Polydor 2012) Mylene Farmer


  • Laurent Boutonnatが復帰した9thアルバム。2人の関係(作詞・作曲)はマンネリ気味のような気もするけれど、赤目のアルバム・カヴァは《Bleu Noir》(2010)よりも好印象。暗鬱で耽美的なミレーヌ姫が好きなので、〈Nuit D'Hiver〉のような曲がもっとあって良かった。New Order風のエレクトロ・ポップに目新しさはないが、コンゴ生まれのアーティスト、オリビエ・デ・サガザン(Olivier De Sagazan)の作品にインスパイアされたという〈A L'Ombre〉の公式PVは必見! 125



  • BASTARDS (One Little Indian 2012) Bjork


  • 《Biophilia》(2011)のリミックス・シングル・シリーズを1枚に纏めたアルバム。Omar Souleymanの〈Crystalline〉と〈Thunderbolt〉はアラビック調で胡散臭い。Death Gripsの〈Sacrifice〉と〈Thunderbolt〉は破壊的でクレイジー。Matthew Herbertのヒップホップ化した〈Crystalline〉も愉しい。換骨奪胎というか、軒を貸して母屋を取られそうな曲もあるけれど、流石にBjorkは度量が広い。オリジナルが物足りなかったファンも満足出来るでしょう。全13曲・68分 124



  • MELODY'S ECHO CHAMBER (Fat Possum 2012) Melody's Echo Chamber


  • Melody's Echo Chamberは南仏出身の女性マルチ楽器奏者、Melody Pochetのソロ・プロジェクト。デビュー・アルバムはKevin Parker(Tame Impala)が全面プロデュース&ミックスしている。サイケデリックなドリーム・ポップ、フレンチ風のシューゲイザー。ウィスパー・ヴォイスとアナログ・シンセの組み合わせはStereolabを想わせるところもある。サウンドだけでなく、5拍子の〈Quand Vas Tu Rentrer〉、6拍子の〈Snowcapped Andes Crash〉などリズムの変化もある 123



  • LONERISM (Modular 2012) Tame Impala


  • 豪パースで結成されたTame Impalaの2ndアルバムはバンドというよりも、Kevin Parkerのソロ・プロジェクトに近い。サイケデリックでドリーミーなロックはエレクトロニカの迷路から一歩突き抜けた解放感がある。Kevin Parkerの高音ヴォイスがリスナーを幸福感で包む。ドリーム・ポップの〈Mind Mischief〉、グラムっぽい乗りの〈Elephant〉、サイケなインストと化す〈Keep On Lying〉‥‥。Dave Fridmannのミックスによって、The Flaming Lips風のサウンドになった 122



  • 'ALLELUJAH! DON'T BEND! ASCEND! (Constellation 2012) God's Pee


  • 1994年モントリオール・ケベックで結成されたポスト・ロック・バンドGodspeed You! Black Emperorの4thアルバム。6年間の活動休止を挿んだ10年振りの新作は20分の長尺2曲を含む全4曲。ギター、ベース、ドラムスのインスト・ロックだが、コントラバス、チェロ、ダルシマー、ヴィブラフォン、マリンバ、グロッケンシュピール、ハーディ・ガーディ、ヴァイオリンなどが深い陰影を落とす。カナダの奥深い森林に響き渡る自然(雨・風・嵐・雷)のように雄大で美しく神秘的 121


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    コメント 2

    ぶーけ

    記事に全然関係なくてごめんなさい。
    ミレーヌ姫の新作、楽しみです。最近のアルバムがイマイチ好みでなくて、ミレーヌ熱もだいぶ下がってましたが、今度はいけるかも?
    でも、タイトルはちょっと・・?
    by ぶーけ (2012-12-09 09:51) 

    sknys

    ぶーけさん、コメントありがとう。
    妖しい赤目ジャケに期待大。
    前作はなかったことにしましょう^^;

    タイトルの「モンキー」はミレーヌ姫の亡くなったペット(猿)と
    関係があるらしい。
    アルバム(通常盤)を入手したら、この記事に追加しておきます。
    by sknys (2012-12-09 23:48) 

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