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F A V O R I T E ー A L B U M S 1 6 [f a v o r i t e s]

  • LITTLE OBLIVIONS (Matador 2021) Julien Baker


  • ジュリアン・ベイカーの3rdアルバムは殆どの楽器を彼女1人で演奏したバンド・サウンド。インディ・ロック、エレクトロニック、ポスト・ロック、シューゲイズ、スローコアなど、多岐に渡るジャンルを自在に横断する。朝目覚めると狼の巣穴に戻って行くオオカミ少年、トラックの放熱格子に挟まって死んでいた蛾‥‥〈Favor〉にはLucy DacusとPhoebe Bridgers (Boyguinus)がバック・ヴォーカルで参加。見開き紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き。全12曲・43分 320



  • FOR THE FIRST TIME (Ninja Tune 2021) Black Country, New Road


  • BCNRは英ロンドンを拠点に活動する男女7人組。2018年、先任ヴォーカリストの性的暴行で解散状態に陥った前身バンドの元メンバーを中心に結成された。ギター、ベース、ドラムス 、キーボードにヴァイオリンとサックスという編成。ポスト・パンク、フリー・ジャズ、プログレ、クレズマーなどのインプロヴィゼーションを繰り広げ、Izaac Woodのスポークン・ワ ードのようなヴォーカルと相俟って衝撃を放つ。スリップケース仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き。全6曲・41分 319



  • ON ALL FOURS (Rough Trade 2021) Goat Girl


  • 山羊娘はポスト・パンクの荒野からサイケデリアの森へ踏み入る。魑魅魍魎がパレードする禍々しいアートワーク。ジョン・バースの『やぎ少年ジャイルズ』の一節から採られた「四つん這い」というタイトル。シンセを導入したエレクトロ色の濃いサウンド。Lætitia Sadier(Stereolab)を想わせる気怠いヴ ォーカル。不協和音と実験性、倦怠感と不安が共存する2ndアルバムは1st(全19曲・40分)よりも引き延ばされた全13曲 ・55分。見開き紙ジャケ仕様、4つ折り歌詞カード付き 318



  • UN CANTO POR MEXICO VOL. 1 (Sony Music 2020) Natalia Lafourcade


  • ナタリア・ラフォルカデの7thアルバムは「メキシコのための歌」。メキシコ中部地震(2017)で被災したベラクルス州ソン・ハローチョ・ドキュメンテーション・センター(Centro de Documentación del Son Jarocho)の再建支援コンサートのスタジオ録音盤。マリアッチやソン・ハローチョなどのカヴァ6曲、ホルヘ・ドレクスレル(Jorge Drexler)とデュエ ットした〈Para Que Sufrir〉など自作・共作9曲を含む全15曲・64分。見開き紙ジャケ仕様、9つ折りポスター付き 317



  • UNTITLED (BLACK IS) (Forever Living Originals 2020) SAULT


  • 英国の匿名バンド、ソー(SAULT)の3rdアルバム。黒灰地に突き上げた拳が浮かび上がるカヴァには曲名と「PRODUCED BY INFLO」しか記載されていないが、Inflo(Dean Josiah Cover)、Cleopatra Nikolic(Cleo Sol)、Melisa Young (Kid Sister)の3人組らしい。ジョージ・フロイド事件に端を発した「Black Lives Matter」運動を鼓舞するメッセージ性の濃い内容で、4thアルバム《Rise》と共に2020年を象徴するアルバムとなった。全20曲・57分。デジパック仕様 316



  • CLUB FUTURE NOSTALGIA (Warner 2020) Dua Lipa


  • 《Future Nostalgia》(2020)のクラブ・リミックス(DJ MIX)は「2CD BONUS EDITION」に同梱されているが、限定アナログ盤(2LP+2CD)はジャケ違いだった。Madonna 、Missy Elliott 、Gwen Stefaniなどのゲスト陣に囲まれて中央でポーズするデュア・リパ(Dua Lipa)の足許で、後ろ向きの白ネコが見上げている。なぜネコがいるのかは分からないけれど、「猫ジャケ」 の1枚に認定したい。全17曲・52分のノンストップPV〈Club Future Nostalgia〉も愉しい 315



  • BRIGA DE FAMILIA (Risco 2020) Vovo Bebe


  • リオ生まれのVovo Bebe(Pedro Dias Carneiro)の3rdアルバム。9人のバンド編成で、リオ最新型ロックを爆発させる。疾走するするリズム、破天荒なハーモニーなど多彩な音楽要素を混在〜昇華させたアヴァンポップ。「家族の争い」 を再現した騒々しいパンク〈Briga de Família〉、Ana Frangoとデュエットしたファンク〈Exodo〉、学生のブルーズ〈Aluno〉、Luiza Brina(ヴォーカル)が客演した〈Jao Mininu〉‥‥全13曲・43分。デジパック仕様、6つ折り歌詞カード付き 314



  • SOMEONE NEW (Luminelle 2020) Helena Deland


  • カナダ・ヴァンクーヴァー生まれのヘレナ・ダランドはJesca HoopやJessica Prattと同じように、その蠱惑的なヴォイスだけでアピール出来る女性SSWである。それだけにヴォーカルを彩るサウンド・プロダクトが鍵になる。本人の指向なのか、プロデューサGabe Waxの手腕なのか、デビュー・アルバムは頽廃・耽美的なドリーム・ポップとなった。Portisheadを想わせるトリップホップの〈Someone New〉など、全13曲 ・48分。見開き紙ジャケ仕様、4つ折り歌詞カード付き 313



  • THE TRUE STORY OF BANANAGUN (Full Time Hobby 2020) Bananagun


  • バナナガン(Bananagun)は豪メルボルンのアフロビート・バンド。Nick Van Bakelのソロ・プロジェクトに、従兄弟のJimi Gregg(ドラムス)が加わったことから、バンドに発展した。トロピカリアの〈Bang Go The Bongos〉。ガレージ ・サイケの〈The Master〉。アフロ・ファンクの〈People Talk Too Much〉。Stereolabを想わせるドリーミーなポップ ・ソング〈Out Of Reach〉。サイケ・ロックの〈Mushroom Bomb〉などを含む全11曲・40分。見開き紙ジャケ仕様 312



  • NOTRE-DAME-DES-SEPT-DOULEURS (Secret City 2020) Klo Pelgag


  • 加ケベック生まれのSSWクロ・ペルガグの3rdアルバム。《7つの苦悩の聖母》というタイトルは実在する地名で、幼いクロエは街道を通る度に車窓から見える地名表示看板に恐れ慄いていた。出産、破局、死別、発病などの辛いを体験した彼女は現地を訪れる。そこは楽園のような島だった。Kate Bushを想わせるヴォイスとサウンドで、Owen Pallettが管弦楽器の編曲をしている。全12曲・42分。三面紙ジャケ仕様、8連綴り歌詞カード付き。カス爺の 「クロ・ペの太陽」 を参照 311



  • MI SPECCHIO E RIFLETTO (Unseen Worlds 2020) Silvia Tarozzi


  • 伊詩人アルダ・メリーニ(Alda Merini)に触発されたマルチ奏者シルヴィア・タロッツィの2ndアルバム。彼女のヴァイオリン、キーボード、ピアノ、スライド・ギター、アコーディオンに、チェロ、フルート、クラリネット、サックスなどを配したチェンバー・ミュージック。10年間(2008~19)に起こったこと。「妊娠というサイケデリックな体験」、出産、結婚、祖母の死などをテーマにしている。全16曲・56分。スリップケ ース仕様、8つ折り歌詞・ポスター、DLカード封入 310



  • IN THE BACKYARD OF THE CASTLE (Halley 2020) Meritxell Neddermann


  • スペインのカタルーニャ生まれのSSWメリチェイ・ネッデルマンの1stアルバム。先にデビューした妹のJudit(ジュディット)とは音楽性が異なる。ビアノ弾き語りタイプと思いきや、ヴォイス加工したり、ラップ調だったり、トリップホップ風だ ったり‥‥全9曲・32分と短いが、Disc2にエクステンデッド ・ヴァージョンとピアノ・インスト曲〈Interludi〉が収録されている(全10曲 ・50分)。2CDデジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き。〈Inside〉のMVに魅了されます 309



  • SONGS AND INSTRUMENTALS (4AD 2020) Adrianne Lenker


  • Big Thiefのアルバム《U.F.O.F.》《Two Hands》(2019)はバラ売りだったが、エイドリアン・レンカーのソロ・アルバムは2CDとしてリリース。《Songs》はアクースティック・ギター弾き語りフォーク11曲、《Instrumentals》はアンビエント風コラージュ2曲で構成されている。コロナ禍によるツアー短縮後、米マサチューセッツ州西部の小屋に籠もり、8トラック・レコーダで録音されたという。見開き紙ジャケ仕様、4つ折りライナーノーツ付き。歌詞はインナーに記載 308



  • THE ASCENSION (Asthmatic Kitty 2020) Sufjan Stevens


  • 5年振りの8thアルバムは《Carrie & Lowell》(2015)のようなアクースティック・フォーク路線ではなく、《The Age Of ADZ》(2010)に続くエレクトロニック・サウンド。重く激しいデジタルビートに、アナログ・シンセ(Prophet)が舞い、エコーに包まれたな柔和な昇天ヴォイスが浮游する。ラストには12分半のリード・シングル〈America〉も収録されて全15曲・80分超えの大作になった。見開き紙ジャケ仕様、デジタルアート&歌詞ブックレット2冊(各16頁)付き 307



  • INNER SONG (Smalltown Supersound 2020) Kelly Lee Owens


  • コロナ禍で延期になっていた2ndアルバム。Radioheadのシンセ・アルペジオ・インスト〈Arpeggi〉。氷河が溶ける地球温暖化を憂いた〈Melt!〉。「愛が足りません」(Love Is Not Enough)と歌う〈L.I.N.E.〉。同郷のJohn Caleがヴォイス参加した〈Corner Of My Sky〉‥‥全10曲・50分。補助看護師(19歳)の時に末期の癌患者から自分の夢を追うように勧められたというテクノ〜エレクトロ・ポップ、ポリリズムに癒される。三面デジパック仕様、歌詞はインナーに記載 306



  • ANRMAL (Crammed Discs 2020) Juana Molina


  • 《Forfun》(2019)は既発曲をパンキッシュにアレンジした4曲入りEPだったが、メキシコで収録されたライヴ・アルバムもJuana(ギター、ヴォーカル)、Odin Schwartz(キーボ ード、ベース、ギター)、Pablo Gonzalez(ドラムス)というトリオ編成によるポスト・パンク路線である。デザインを手掛けたアルハンドロ・ロス(Alejandro Ros)の意向なのか、三面デジパックのインナーに一切の記載がなく、透明ステッカ ーを剥がして貼付するようになっている。全11曲・56分 305



  • MENTE (Gearbox 2020) Thiago Nassif


  • 「新世代ブラジル・ソングライターの先駆者」 チアゴ・ナシーフの4hアルバムは《Tres》(2016)と同じく、Arto Linsayと共同プロデュース。Ana Frango Eletricoがヴォーカルで参加した〈Voz Unica Foto Sem Calcinha〉、ノイジーなファンク〈Soar Estranho〉 、Artoのギターが不穏なノイズを撒き散らす〈Feral Fox〉、トロピカリアな〈Rijo Jorra Ja〉など、Pedro(ギター)& Jonas Sa(アナログ・シンセ)兄弟との共作を含む全10曲・38分。紙スリーヴ・ケース仕様 304



  • KICK I (XL 2020) Arca


  • Anhoniに続いて女性化したArca(Alejandra Ghersi)の4thアルバム。彼女の妖艶でグロテスクなヴィジュアルは兎も角、Bjork、Rosalia、Sophieとコラボした〈Afterwards〉〈La Chíqui〉〈KLK〉だけでも胸騒ぐ。全12曲・38分。透明スリ ーヴ・ケース入りのイジェクター(ejector)仕様。歌詞ブックレット(20頁)封入。黒いレバーを押すとCD盤が出て来る新スリムケースも購買欲を唆る。主流になりつつあるデジタルやストリーミング配信に対するフィジカルの戦略かしら?303



  • LO AZUL SOBRE MI (Club Del Disco 2020) Loli Molina


  • アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれの女性SSWロリ・モリーナ(Loli Molina)は数年前から活動の拠点をメキシコ・シティに移した。4thアルバムは天性のロリータ・ヴォイスに繊細なアルペジオ・ギターが奏でられ、Ramiro Floresが編曲した弦楽四重奏が霧深い森の中を浮游する精霊のように優雅に暗鬱に舞う。Juan Quintero(Aca Seca Trio)とデュエットした〈Frontera〉、水中遊泳するPVに魅入られる〈Si Algo Se Pierde En Ese Movimiento〉など、全11曲・37分 302



  • YA NO MIRES ATRAS (RCA / Sony Music 2020) Luis Alberto Spinetta


  • 2012年2月に急逝したスピネッタ(Spinetta)の未発表アルバム。USBドライヴに遺されていた音源(2008~2009)とのことだが、Mono FontanaやAlejandro Franovなども参加しているのだから、楽曲の存在は知られていたはずだ。平行四辺形アルバム《Un Manana》(2008)のアウト・テイクなのかもしれない。アンドロイドとして甦生したアルバム・カヴ ァはアレハンドロ・ロス(Alejandro Ros)による。全7曲・31分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(20頁)付き 301


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