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F A V O R I T E ー A L B U M S 6 [f a v o r i t e s]

  • PSYCHEDELIC PILL (Reprisa 2012) Neil Young with Crazy Horse

  • デジタル配信(バラ売り)批判なのか、Crazy Horseを率いた9年振りの新作は〈Ramada Inn〉〈Walk Like A Giant〉と16分の長尺曲が並ぶ。ハードでノイジーなロックと思いきや 、Neil Youngのギターも意外とメロウでサウンドも音響処理されている。メロディやリズムなど、曲自体は新鮮味に乏しい。2枚組CD(全8曲)仕様だが、〈Psychedelic Pill〉の異ミックスをカットして、27分にも及ぶ〈Driftin' Back〉を5 〜6分短くすればCD1枚に収まったのではないかしら? 120



  • THE SEER (Young God 2012) SWANS

  • ギラさま率いるSWANSの新作は2CD(120分)の大作。スペシャル・エディションにはライヴDVD(100分)が同梱されている。凝縮された緊張感は薄れたが、2枚組になった分だけ裾野が広がった。ドラマチックな長尺曲2曲だけでなく、Karen O(Yeah Yeah Yeahs)嬢が歌う〈Song For A Warrior〉やMichael Giraの弾き語りも暗黒ワールドに彩りを添える。元メンバーJarboeもバック・ヴォーカルなどで参加。しかも 「猫ジャケ」 ‥‥仲間がいなければ 「僕は幼い子猫ちゃん」? 119



  • CENTIPEDE HZ (Domino 2012) Animal Collective

  • Deakin(ギター)が復帰して4人揃ったアニコレの9thアルバム。《Merriweather Post Pavilion》(2009)のようなサウンドを期待するリスナーは肩すかしを食らう。ドリーミィな多幸感はPanda Bearの持ち味で、ノイジー、サイケでアヴァンポップなバンドがアニコレ本来の姿。溜飲を下げたインディ・ロック・ファンも少なくないはず。初回限定CDはジャケが異なる(銀箔仕様)だけだが、デラックス・アナログ盤(2LP)には「通販サイト」の予約特典だったDVDが付いている 118



  • PLAYS BIRD 'N' ROLL ! (Barclay 2012) Dionysos

  • 小説家や映画監督という顔を持つ才人Mathias Malzieu率いるDionysos。7thアルバムは2012年公開予定の映画『時計じかけの心臓』の製作中に書いたファンタジー『空の果てのメタモルフォーズ』(2011)を元にしたアルバムらしい。赤い鳥に仮装した黒服男と赤い羽根のドレスを着た女がロックンロールで踊るカヴァ。アナログ盤を模したCD。曲目をフットボールのフォーメーション(4・4・2)に見立てた裏カヴァ。ミシェル・プラティニを讃えた〈Platini(s)〉という曲もある 117



  • NOVAS LENDAS DA ETNIA TOSHI BABAA (Coqueiro Verde 2011) Mundo Livre s/a

  • Fred 04(Zeroquatro)率いる「有限会社・自由世界」の6thアルバム。《Babadogroove Vol.1》(2005)は7曲入りミニ ・アルバム、《Combat Samba》(2008)はベスト盤だったから、8年振りのフル・アルバムになる。エレクトロ・サンバ・ファンクに脱力ヴォイスという変態路線に濃くと深みが増した。「コーヒー・ルンバ」 を引用したり、Catarina DeeJahやSilvia Macheteがゲスト・ヴォーカル参加したり、過去のアルバムについては〈コンバット・サンバ〉を参照してね 116



  • KILL FOR LOVE (Italians Do It Better 2012) Chromatics

  • 2001年、米ポートランドで結成されたシンセ・ポップ・バンドの4thアルバムは全16曲77分を超える大作。オープニングがNeil YoungのHey Hey, My My (Into the Black)〉というところにもバンドの出自が窺われる。紅一点Ruth嬢のヴォイスはクールでスイート(ルックスも可愛い)。Johnny Jewelのファルセット・ヴォイスも催眠的で、リスナーを夢見るような銀幕世界へを誘う。シネマティックなNew Orderという感じ。オフィシャル・サイトでは「$5.00」で売られている 115



  • THE HOUSE THAT JACK BUILT (Bella Union 2012) Jesca Hoop

  • 噴煙(キノコ雲?)を背景にして頬杖をつく白いロングドレスの魔女。2人の女性、Aga Debiecの写真とBeth Hoeckelのコラージュによるアートワークが怖い。Jesca Hoopの3rdアルバムは彼女のアクースティック・ギター弾き語りを生かしながらも、ロックっぽいサウンドになっている。内省的なエレクトロニカを払拭したオルタナ・ロック。外に開かれたインディ・ポップ。より多くのリスナーを獲得する可能性は高いが、気味悪い白昼夢のように、もう少し捩じれていても良かった? 114



  • GET YOUR SOUL WASHED (L'Autre 2012) Ladylike Lily

  • 仏フィニステール出身の女性SSW、Ladylike Lily(Orianne Marsilli)のデビュー・アルバム。全12曲英語歌詞だが、その可愛いロリ声はEmilie SimonやEmily Loizeauに通じる広がりがある。生ギター弾き語りフォークながら、キーボードやグロッケンシュピール、ヴァイオリン、マンドリンなども弾く22歳。ライヴではループ・ペダルも使うという。水中や雲の白黒写真によるアートワークもシュールだし、Facebookにア ップされた写真にはCASIOやMacBook Proも写っている 113



  • EKSTASIS (Rvng International 2012) Julia Holter

  • Laurie Andersonの姪、それともJulianna Barwickの双子姉妹なのか?‥‥米ロサンゼルスのSSW、マルチ奏者の2ndアルバムは夢幻的なエレクトロニカでリスナーを魅惑する。可愛らしいヴォイスとキーボードに、ヴィオラ、クラリネット、アルト・サックスなどが響く異世界にトリップ。アルバム・タイトルの〈Ekstasis〉はギリシャ語で「outside of oneself」という意味。ヴァージニア・ウルフの 「波」(The Waves 1931)を引用するなど、ただ者ではないオーラを発散している 112



  • YALE YAD (Helico 2012) Oneira

  • イラン、ギリシャ、フランス、オクシタニアという多国籍6人組の2ndアルバム。Bijan Chemirani(パーカッション)を中心に妹のMaryam、Maria Simoglou(ヴォーカル)、Kevin Seddiki(ギター)、Pierre-Laurent Bertolino(ヴィエル・ア・ルー)、Harris Lambrakis(ネイ)。Andre Minvielle 、Gavino Murigia(ホーミー唱法)などのゲストを迎えた鮮烈なサウンドは11拍子や21拍子という曲があるようにプログレッシヴ。〈On Se Tend〉はCSN&Yの〈Deja Vu〉風 111



  • UN MANANA (Universal Import 2008) Spinetta

  • Luis Alberto Spinetta(1950-2012)が2月8日に亡くなった。プログレでもジャズでもAORでもない洗練された唯一無二の音楽は、まさに「スピネッタ」としか呼べないものだった。ラスト・アルバムは平行四変形ジャケよりも、DVD付き2枚組の方が入手し易い。PV4曲に〈Mi Elemento〉のメイキング映像、録音風景やインタヴューを収録したDVDはパソコンで視聴可能。40周年記念ライヴの模様を収録した豪華 BOXセット(3CD+3DVD+2BOOK)もリリースされている。合掌 110



  • IMPOSSIBLE SPACES (Constellation 2011) Sandro Perri

  • モントリオール出身のアーティストSandro Perriの2ndアルバム。フルート、クラリネット、ヴァイオリン、チェロ、サクソフォン、ユーフォニアムなどが優雅に響く牧歌的なサウンドにシンセやギター・ノイズが混じり合う。いわゆるポスト・ロック系の音響なのに奇を衒った感じは微塵もなく、あくまでも自然体の佇まい。気怠い午後の微睡みのような白日夢やトロピカル趣味もある。リラックスした甘いヴォーカルはDavid ByrneやCaetano Velosoなどに通じる浮游感や心地良さがある 109



  • TOO BEAUTIFUL TO WORK (Dead Oceans 2011) The Luyas

  • モントリオール出身4人組はカナダ版Stereolabという趣き。キーボード、ドラムスという編成に、Pietro Amatoのフレンチ・ホーンと紅一点ヴォーカリストJessie Lauren Steinの12弦エレクトリック・チター(Moodswinger)。Owen PallettやSarah Neufeld(Arcade Fire)がヴァイオリンでゲスト参加するなどカナダ・ミュージシャンが多数集結。The Luyasは可憐なヴォーカルにダークなサウンドの組み合わせる。Dirty Projectorsにも通じる実験精神を持ち合わせているのだ!108



  • BIOPHILIA (Polydor 2011) Bjork

  • iPadアプリもリリースすると喧伝されていた最新作はZeena Parkins、Mark Bell、Matthew Herbert‥‥という馴染みのミュージシャンに加えて、Leila Arab、16bitなどが新たに参加。アップデートされた2010年代の《Vespertine》という趣きもある。〈Dark Matter〉や〈Hollow〉など中盤の茫洋とした曲を退屈に感じるリスナーもいるかもしれない。デラックス・エディションに追加収録された〈Nattura〉はエレクトロ版Timbaladaみたい。「Pitchfork」の評点は辛いですね 107



  • CONATUS (Sacred Bones 2011) Zola Jesus

  • Nika Roza Danilovaのオルター・エゴ、Zola Jesus。黒い液体を頭から被って顔を隠したカヴァが度肝を抜いた6曲入り《Stridulum》のUK盤がNMEの年間ベスト・アルバム7位に選出されるなど、英米で注目されていた。初のフル・アルバムは対照的に半透明の白いヴェールが横顔を覆う。ゴスとかダークとかいうイメージが濃いけれど、チェロやヴァイオリンを配したエレクトロ・サウンドから立ち現われる彼女のヴォイスは力強い。〈Hikikomori〉に日本のオタクも萌えちゃう? 106



  • SONHANDO DEVAGAR (Coqueiro Verde 2011) Kassin

  • MPB新世代トリオの1人、Kassinのソロ・アルバム。本来はベーシストだが、リード・ギターを弾いている曲ではベースをAlberto Continentinoに任せている。ノイズ・ギターが炸裂する〈O Que Voce Quiser〉、Sean O'Haganとの共作曲、DomenicoとMorenoが参加した曲‥‥。Jorge Ben Jor風のサンバ・ファンク、Tom Tom Club風のダンス・ミュージック。オートチューンを使ったSufjan Stevensを想わせる曲さえある。3Dメガネ付き立体スリーヴ仕様は限定盤なのかしら 105



  • SI O NO (RCA 2011) Loli Molina

  • 同国のJuana Molinaが1962年生まれと知って、若いモリーナに乗り換えたわけじゃないけれど、2ndアルバム・カヴァもロリロリで可愛い。テレキャスターをバリバリ弾くSSW。ベース、ローズ、プログラミング、シンセなども担当するマルチ奏者。ローファイ・チープに始まる〈2+2〉、シューゲイザー風に展開する〈Reloj〉、レゲエ調の〈Chicos Raros〉、New Orderの娘みたいな〈Cortocircuito〉。スイートでポップなだけでなく、Natalia Lafourcadeに通じる新しさもある 104



  • SNOWGLOBE (Last Laugh 2011) Jesca Hoop

  • 6曲入りミニ・アルバム。彼女のヴォイスと生ギターを生かしたアクースティックな響き。3拍子の〈City Bird〉、6拍子の〈While You Were Away〉、サビ(コーラス)で5拍子になるタイトル曲の〈Snowglobe〉。シンプルなサウンドとリズムの変化が斬新で清冽。デビュー・アルバム《Kismet》に収録されていた〈Silverscreen〉のアクースティック・ギター版や〈Dreams In The Hollow〉の仏語ヴァージョンまで入っている。2nd《Hunting My Dress》と同じ紙ジャケ仕様 103



  • L'AUTRE BOUT DU MONDE (Fargo 2005) Emily Loizeau

  • 美人女優風の容姿なのにロリ声というエミリー嬢のデビュー・アルバム。アルバム・カヴァの胸が大きく開いたドレスもセクシーすぎる。基本はピアノ弾き語りのSSWだが、トイ・ポップ風からヴァイオリンやコントラバスが響くチェンバー・ポップまで、その音楽性は幅広い。〈Je Sus Jalouse〉は5+3拍子。〈Jasseron〉でFranck Monnet、〈London Town〉でAndrew Birdとデュエット。ジャケ違いの新装盤はカヴァ4曲を追加収録。「スペシャルBOX」 は8曲入りCDを同梱 102



  • HELPLESSNESS BLUES (Sub Pop 2011) Fleet Foxes

  • メンバー2人が入れ替わり、Morgan Hendersonが新たに加わって6人組となった機敏なキツネたちの2ndアルバム。CSN風ギター・ソロ、途中で変わるリズム、ヴァイオリンの響きとフリー・サックスの炸裂。トラディショナル・フォークとサイケデリック・ポップ、神秘性と実験性、Robin Pecknoldの内省的なヴォーカルと美麗コーラス・ハーモニーの邂逅。Toby Liebowitzのモノクロ・イラストに着色したアルバム・カヴァにはキツネではなく、ネコ(猫ジャケ!)が描かれている 101


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