ネコ・ログ #61 [c a t a l o g]
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高橋 三千綱 「猫はハンター」
#541│フワ│飼い猫? ── 谷中のネコたち 1
谷中防災コミュニティセンター3階に開館(2015年4月1日)した「谷中分室」は横長で狭いながらも魅力的な図書館である。イメージキャラクターは黒ネコ「やんにゃん」で、谷中の街歩きに役立つ情報を集めた「谷中さんぽ基地」も併設されている。土地柄ネコ本を数多く取り揃えているというわけではないが、図書館で不要となった本を無償で配布する「リサイクルブック」の中に『黒猫の三角』(講談社 2002)や『図書館ねこデューイ』(早川書房 2010)の文庫本を見つけた時は嬉しかった。子供たちが遊んでいる「防災広場 初音の森」から、行列の絶えない「かき氷専門店 ひみつ堂」前を通って「夕やけだんだん」を昇る。御殿坂を日暮里駅方面へ昇って行くと、本行寺の前に茶トラと白茶ネコがいた。門扉の下から往来を眺めているフワちゃんを撮った。柔らかそうな白い毛並みが真綿や綿飴を想わせるエレガントなネコだった。
#542│ポン│飼い猫? ── 谷中のネコたち 2
「夕やけだんだん」から御殿坂を日暮里駅方面へ昇って行くと、本行寺の前に茶トラ猫がいた。閉まっている門扉の下にいることが多くて、手招きすると門の外へ出て来る。暫し親交を暖めて写真を撮っていると、ネコ好きの通行人が興味を持って立ち寄ることがある(既にネコ好きの男女が茶トラと戯れていることも少なくない)。暫くすると撫でられるのに飽きたのか、門扉の下に戻って行く。2度目は再び呼びかけても出て来ない可能性が高い。お尻を向けた素っ気ない態度を見せる。駅に向かう若い男女たちが本行寺の前を通りかかった。スタイル抜群のモデル風の女性が英語で呼びかけると、何と茶トラが近寄って来たのだ。ネコも若い女性の甘いハイトーン・ヴォイスが好きなのか、それとも可愛い容姿に惹きつけられたのか?‥‥ネコ専門の素人カメラマンですが、この時ばかりはハーフ美女(?)のポートレイトを撮ってみたいと思いましたね。
#543│シュン│飼い猫 ── 太ったにゃん?
数年前に老齢の飼主が亡くなって、外ネコになってしまったシュンちゃん。世話をしている民家の外壁に 「里親さんを探しています!」(しゅんちゃん・推定4歳・牡猫)というポスターが貼ってあった。久しぶりに訪れると、残念ながら里親は見つからなかったようで、張り紙も消えていた。元飼いネコだったので人馴れしているし、性格も穏やかなので屋内でも飼いやすいと思うけれど、日本で特に人気の高いという子ネコに比べると、成ネコの引き取り手を見つけるのは難しいのだろうか。可愛い子ネコも1年後には立派な大人に成長してしまうのだが‥‥S島図書館裏の私道には三毛や白茶など数匹のネコたちが棲息しているけれど、今日はシュンちゃんの姿しか見えない。一回り大きくなって丸まると太り、今の外ネコ暮らしに何の不満もないように感じられるところが救いである。
#544│ロン│ノラ猫 ── 丑年(2021)もよろしくにゃん
飼い猫は安心だが、ノラ猫の姿を暫く見ていないと不安になってしまう。台風や暴風雨の夜は一体どこに避難して雨風を凌いでいるのかと気懸かりになって眠れない。中央図書館裏に棲息するロンちゃんにも最近会えていない。先日スーパーストアで出合った、カワセミなどの野鳥を撮っている男性から、ロンちゃんが元気でいることを訊いたので一安心したけれど ‥‥写真は枯葉舞い散る遊歩道で腹這いになっているところを撮った。向かって右から西日が射してしいるが、左側にある塀からの照り返しで、顔の左の方が明るく写っている‥‥。〈ネコ・ログ〉の中から、お気に入りのネコちゃんを20匹ずつ紹介している「FAVORITE ー CATS」のポラロイド風サムネイル(ネコ写真)をリニューアルした。小さなサムネイル画像ではなく、ブログトップ写真をトリミングしているので、拡大しても画像がボケない。写真を少し大きくしたことで、紹介文の文字数も増えた。300匹近いレイアウトの微調整は思っていた以上に時間がかかってしまった。
#545│アン│ノラ猫 ── お膝に乗ります
膝に乗った三毛と見つめ合う至福の一時‥‥ネコとアイ・コンタクトする時は瞬きをゆっくりすると友好な関係を築けるという。アンちゃんが膝に乗りたがっているのは、その気配や動作で分かる。徐に近寄って来て、逡巡しながら控えめに前肢を乗せるのだ。一度膝の上に乗ってしまったら、ネコが自らの意志で降りるまで辛抱強く待つしかない。無理矢理、力尽くで降ろそうとすると激しく抵抗されるからだ。サラ・ブラウンの『ネコの博物図鑑』(原書房 2020)は平易な本文とコラム、魅力的なカラー写真や図版でネコ好きの読者を魅了する大型本。ネコとのアイ・コンタクト(ゆっくり瞬きする)だけでなく、最新の研究成果が豊富に詰め込まれている。オッドアイの白ネコは青い目の側の耳が聴こえない。メスは右利き、オスは左利き。タマネギ、ニンニク、チョコレート、ブドウ、レーズンなどは危険な食べ物。ユリの花は猛毒。チェシャ猫のモデルはブリティッシュ・ショートヘア‥‥。
#546│ミレイ│飼い猫 ── ふてにゃんに似ている?
白戸家の喋る白い犬(父親)は面白くも何ともないが、ふてにゃんには世を拗ねたような、猫生を達観したようなアウトロー的な魅力がある。「なめ猫」みたいな学らんを着せるのは動物虐待との指摘もあったけれど、不貞腐れたような表情に存在感があったのだ。ふてにゃんに似ている白茶ネコは一緒に暮らしている茶トラと同じく、出合ってから直ぐ馴れたのに、近頃は用心深くなって、近寄ると民家と民家の狭い隙間に逃げ込んだり、駐車中のクルマの下に逃げ隠れるようになってしまった。無愛想な面構えなので、余計にヒトを嫌っているように見えてしまう。下校中の小学児童が脅かしていたことが影響しているのだろうか。奇声を挙げて駆け寄って来る子供たちは、たとえ好意や好奇心に駆られてのことだとしても、ネコにとっては迷惑千万なことである。まして虐め目的で近づいて来るのなら、大脅威となり得るのだ。1度失ってしまった信頼を取り戻すのはネコもヒトも難しい。
#547│ピント│飼い猫 ── 地上に降りた肉球天使
三毛母が産んだ3匹のネコたちも成長して大きな体躯になった。白茶、白黒、黒白‥‥いずれも尻尾の短いジャパニーズ・ボブテイルである。子ネコ時代は無邪気で好奇心旺盛だったが、大人になると警戒心が強くなり、自転車や通行人が近づくや否や素速く逃げ去るようになってしまった。ところが根気良く何度も声をかけ、手懐けているうちに漸く馴れて来た。今では手招きすると近寄って来て、屈んだ足に頭や体を擦り擦りする。差し伸べた手を舌で舐め、指先に前肢で戯れつくようになった。たとえマスクを着けていても、好意を持って接してくれる仲間と認知してくれたようだ。『二級天使』(1955)は石ノ森章太郎が高校時代に描いたデビュー作。羽の生えた一級天使になるためには下界に降りて、1年間に10以上の良いことするという試験に合格しなければならない‥‥「肉球天使」はダジャレである。
#548│キリ│ノラ猫 ── 新バナー・キャット
稲荷公園向かいの敷地内に三毛ネコがいた。遊歩道を挟んだ一段高い敷地との間には鉄柵があって、関係者以外は立入禁止になっている。一部開放されている右側から回り込んで撮ることにした。それでも被写体との間には1m以上の距離がある。三毛の方から近づいて来る気配はない。鉄柵から目一杯、右腕を伸ばしてシャッターを押した。望遠ならば兎も角、標準3倍ズーム・レンズでは残念ながら、ここまでしか寄れない。良く言えば「風景の中に融け込んだ三毛ネコ」‥‥ブログ写真としてはインパクトに欠けるけれど、もしかしたら横長のバナー用に使えるかもしれないと思ってトリミングしたら、予想以上に上手くレイアウト出来た。長毛種のロンちゃんに代わって2代目を襲名。「新バナー・キャット」 の誕生である。吊り目のキリちゃんが興味深そうにカメラ(読者)を見つめている。
#549│オリ│飼い猫 ── 首輪のチャームに連絡先
S井開運稲荷に立ち寄ると黒猫のマオちゃんがいた。その傍でネコおばさんが身を屈めている。座布団が置いてあり、今まで抱っこしていたと話す。情報通のネコ好き婦人から、周辺のネコたちやS水製麺所の看板ネコについて会話を交わす。ネコおばさんと別れた後、黒ネコの写真が上手く撮れなくて難儀をしていると、タイミング良く白黒ネコが塀の上に姿を現わした。ヒトの気配を感じて、様子を窺いに来たのだろうか。目元涼しげな眼差しで真摯に見つめる、賢そうなネコちゃんだ。オリもマオちゃんも飼い猫らしく、首輪の円いチャームには連絡先(Tel)が記されている。半年前の新聞の折り込み広告の中に「猫を探しています」というチラシが入っていた。失踪したアビシニアンは室内飼いだったので首輪をしていなかった。飼主は万が一、外へ逃げ出した時に備えて首輪のチャームに名前と連絡先を記しておくべきだった。
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各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第61集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。今までに540匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第61集の常連ネコはロンとアンちゃん。谷中のネコたちも新しく加わりました。『猫はあくびで未来を描く』(竹書房 2020)は『猫は魔術師』(2008)、『猫は音楽を奏でる』(2013)に続く、愛猫エッセイ集の第3弾。『ねこ新聞』167~238号(2014年1月~2019年12月)に寄稿した著名人100名の中から39名のネコ・エッセイを収録。表紙カヴァ・イラストと挿画は浅生ハルミン。「『ねこ新聞』監修」 となっていますが、金井美恵子が「あとがき」を書いています。
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- 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^
- オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました
- 「9分割ナンバー表」 の背景画像を白黒からカラー(写真の左上部分)に変更しました
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- 監修:「猫新聞」 編集部
- 出版社:竹書房
- 発売日:2020/08/25
- メディア:単行本
- 目次:ごはんの優先順位 / 猫と鰹節 / 猫との暮らしはダヤンから / 特別に忘れがたい猫 / 猫はハンター / 運命の猫 / あーぺっぺんの来歴 / ミシンかけ / 本当の名前 /「幸福」をかいた絵 / 猫に最敬礼していた父親 / ご長寿ソマリの星 / 我家の "かまとお婆ちゃん" / 半月・ひと月・安楽死 / 半日間の猫暮らし / 闇にまぎれぬ黒 / 招福の大トラ /『猫新聞』と私と...
黒猫の三角 ── Delta in the Darkness
- 著者:森 博嗣
- 出版社:講談社
- 発売日:2002/07/15
- メディア:文庫(講談社文庫)
- 目次:プロローグ 何かが終わった / 何も起こらない / 誰も気づいていない / 見れば信じる / 寝れば遠のく / 不思議再び / 退屈再び / 何が本当か / 本当が良いのか / エピローグ 何かが始まる / 解説・皇 名月
- 著者:ヴィッキー マイロン(Vicki Myron)/ 羽田 詩津子 (訳)
- 出版社:早川書房
- 発売日:2010/05/30
- メディア:文庫(ハヤカワ文庫NF)
- 目次:プロローグ アイオワにようこそ / とてつもなく寒い朝 / 完璧な新入り / デューイ・リードモア・ブックス / 図書館での一日 / キャットニップと輪ゴム / グランド・アヴェニュ ー / デューイの親友たち / デューイとジョディ / 家から遠く離れて / かくれんぼ / クリスマス / りっぱな図書館 / デューイの大脱走 / スペンサーでいちばん人気の猫 / アイオワの...
- 著者:石森 章太郎
- 出版社:角川書店
- 発売日:2006/02/22
- メディア:コミック
- 目次:二級天使 / 新2級天使 / 二級天使25年めのPARTⅡ / くちびるに歌を心にマンガを / 狐のシッポをつけた兎の話 / 河童はほんとにいるだろうか? / デカチビ日記 / 黒猫 / イラストコレクション
2021-04-01 00:07
コメント(2)
Smitten by cats !
花粉、あと少しですね。早く終わりますように。^^
by ぶーけ (2021-04-05 19:43)
「ネコがいる日常は奇跡です」岩合 光昭。
えりーな(新井恵理那)さんも花粉症で、趣味は陶芸だって^^;
(https://ameblo.jp/arai-elina/entry-12635519548.html)
by sknys (2021-04-05 22:58)