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ネコ・ログ #57 [c a t a l o g]

  
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  • 人には言わない思い、誰にも見せない涙。たぶん多くの人が、大なり小なり、そういう秘密を持っていると思えます。もし、そっと人の心に入り込める猫がいたら。人の、心に秘めた大切な思いを聞くことが出来るんじゃないか。そしてそれは、もしかしたら、いろんな人の水面下の頑張りをいたわり、誇ることが出来るんじゃないか。そしてもしかしたら、懸命になんとか生きている我々を、ほんの少しでも慰め、励ますことが出来るかもしれない ── 。そんな風に夢見て、私は『夜廻り猫』を描いています。落ち込むことがあったら、寂しい時があったら、そして、人は皆いずれ死ぬのだと愕然としたら、読んでみて下さい。解決はないけれど私は仲間です。
    深谷 かほる 『ニャンニャンにゃんそろじー』


  • #505│ピノ│飼い猫 ── 夕暮れの三毛にゃん
    自分で撮るまで分からなかったことだが、快晴の日よりも薄曇りの方が良い写真が撮れる。明るければ明るいほどシャッター・スピードが速く、動く被写体もブレ難くなる。しかし、それが必ずしも良い写真になるとは限らない。ネコは暗くなると瞳孔が開いて、少女マンガのヒロインのように黒目が大きくなる。写真としては暗くて解像度も落ちているのに可愛いく写る。もっと明るいレンズを使えば良いのだが、単焦点レンズは兎も角、ネコ撮りのズーム・レンズはデカくて重くて、値段が高い。安価なキット・レンズ(標準ズーム)では、この写真が限界かもしれない。漸く足許に擦り寄って来るまで馴れたピノちゃん。スコティッシュ・フォールドのミスちゃんを撮っていると、ピノが興味深そうに近寄って来た。すると何を思ったのかミスが前脚で牽制して追い払ってしまった。一緒に暮らしているのに、縄張りは譲れない。「私の所有物(sknys)に手を出さないで!」という警告なのでしょうか。

    #506│スニ│ノラ猫 ── 元気にしてた?
    「新型コロナウイルスの感染拡大防止」をするために、都内の区立図書館は軒並み「休館」してしまった。「サービス一部休止」と告知しているけれど、図書館内の書架への立ち入り禁止、新聞や雑誌などの閲覧も出来ないので事実上の休館である。ネットや電話で「予約した資料の受け取り」は出来る。ところが先夜の都知事による「外出自粛要請」を受けて、今週末(3/28~29)の来館は控えるようにという図書館からの通達があった(その間の予約資料の取置期限や返却期限は一定期間延長される)。最大の懸念は図書館の休館に限らず、このような異状事態が一体いつまで続くのかということである。中央図書館を訪れる人も少なくなると思われるが、周辺の広場や公園で暮らすネコたちへの影響は少ないだろう。朝夕にゴハンを運んで来るネコおばさん、ネコおじさんが「不要不急」の外出を控えない限り。

    #507│バシ│ノラ猫 ── 橋の上のトラネコ
    橋の上にネコがいた。映画「ねことじいちゃん」(2019)に出演した役者猫ベーコン似のデカ顔キジトラ。腰を落として近づいても逃げる気配が全然ない。人に馴れているのかと思って手招きしたら、ネコパンチの一撃を喰らってしまった。その直後、通りがかった女性から「この猫は手を出すと引っ掻くから気をつけて!」と注意されたけれど後の祭り‥‥指先から紅い血が出て来た。もう少し早く言ってくれれば良かったのに。ネコパンチの被害に遭った人たちも少なくないのかもしれない。橋の上で待ち構えていたのはゴハン目当てなのか、それとも鋭い爪の切れ味を試す辻斬り猫なのか。迂闊に手を出さなければ危害の及ぶことはないので、少し離れたところから写真を撮った。映画「橋の上の娘」(1999)の女主人公アデル(ヴァネッサ・パラディ)は欄干を飛び越えてセーヌ川に身を投げようとするが、「夜廻り猫」の遠藤平蔵は自ら川に飛び込んで、水に濡れた躰を片目の仔猫に吸わせるのだ。

    #508│ミス│飼い猫 ── 子年(2020)もよろしくにゃん
    三毛ネコのミスちゃんが毛繕いしているところを撮った。後肢を前方に投げ出して座るのは「スコ座り」と呼ばれるスコティッシュ・フォールド特有のポーズである。ネコ離れしていて可愛いと思っている人も少なくないけれど、「スコ座り」は遺伝性の軟骨異状(遺伝性骨軟骨異形成)と関係があるらしい。四肢で体重を支えようすると痛いので、この姿勢をとるという。日本では解剖学者・養老孟司先生の愛猫まるが有名だが、世界的には新種のネコとして認めないという動きもある。少なくともスコティッシュ同士の交配は禁止されている。高齢者ならば家族に脚や腰が痛いと訴えて、整形外科や整体クリニックに通うことも出来るが、ネコが飼主に病状を話すことはない。ミスちゃんの躰を撫でていた時、急に鳴いて逃げ出したことがあった。もしかしたら肢の関節に触れられて、痛かったのかもしれない。

    #509│ロン│ノラ猫 ── 落葉のメロディ 2
    四季の移ろいに乏しい殺風景な都会でも、桜の咲く春と紅葉の秋は心が華やぐ。拙ブログのバナーには桜の花弁を口に銜えているロンちゃんの写真を掲げているし、この写真も赤茶色に変色した落葉とロンの横顔のコントラスとが映える。春夏秋冬というけれど、日差しの強い猛暑の夏は薮蚊に悩まされ、指の悴む厳寒の冬に雪は降らない。先日、桜の咲く麗らかな花見日和にロンちゃんと遊んだ。鉄柵の前で名前を呼んで手招きすると、円くなっていた躰を起こして近づいて来る。柵を飛び降りて遊歩道に降りる。マズルを撫でると気持ち良さそうに顔を上げる。足元で根寝っ転がって素早く寝返りする。お腹を撫でて欲しいという意思表示なのだが、その度に長い毛並みに着いた塵や葉っぱを梳き取らなければならない。遊歩道から植込みの裏に入って、プラスチック容器の中の水を飲んだり、木の根元で爪を研いだり、一直線に走ったり‥‥一通りの散策が済むと広い敷地へ戻って暖かい日向で横たわる。

    #510│ケン│ノラ猫 ── 公園デビュー?
    I袋駅前公園に設置されていたプレハブ小屋が漸く撤去された。ただでさえ鰻の寝床のように細く長い公園を占拠したことで見晴しが悪くなって、遮蔽・圧迫感も増した。人々が憩う公園としての機能が失われてしまったのだ。ネコたちの遊び場も制限されて生き難くなったのかと思いきや、ちゃっかり囲いの中に入り込んでいた。ネコにとっては雨風を凌げる絶好の避難場所なのかもしれない。「天井の低さが致命的‥‥」という男性の話を聞いて、東口と西口を横断する地下通路「ウイロード」を見に行った。美術作家が仮設小屋で制作していたパネルは地下通路の天井に嵌め込まれ、左右の壁にも同じようなパステルカラーの抽象画が描かれていた。多少明るい印象になったけれど、天井の低くて狭い空間を足早に通り抜けたいという閉塞感は拭えない。埼京線に面した奥の植込みにネコがいた。耳先カットされていないので新入りなのかと思ったけれど、2017年に撮ったことのあるネコちゃんだった。

    #511│アン│飼い猫 ── 見上げてごらん‥‥
    プレハブ小屋やフェンスで囲われた資材置き場が撤去されて元の姿を取り戻したI袋駅前公園に行くと、顔馴染みの三毛ネコがいた。少なくともアンちゃんだけは健在だったことに安堵する。仮設小屋の設置が原因なのかどうかは不明だが、公園内のネコたちの個体数が減ったことは明らかだ。アンちゃんと仲良しで良く戯れ合っていた白黒ネコの姿が消えたから久しい。一段高い植込みの縁に腰かけると、少し逡巡してから膝の上に乗って来た。飼いネコだから膝の上に乗るとは限らないし、ノラだから乗らないとも言えない。そのネコの持つ遺伝子、先天的に備わっている習性ではないかと思う。三毛ネコの毛並みは羽毛のように柔らかい。互いに見つめ合うネコとヒトの姿は恋人同士に見えなくもない。中年男性が公園に来ると、急に膝から飛び降りて、一目散に男の許へ駆け寄る。キャットフードを持って来る人だと、アンちゃんは遠目からでも分かるらしい。

    #512│キル│飼い猫 ── ライキャット・ガルー
    ヒトに美醜があるように、美貌のネコやブサ顔のネコがいる。子ネコは総じて愛くるしいけれど、1年後には太々しい大人ネコになってしまう。美少女が必ずしも絶世の美女に成長しないように。ネットで有名になった永遠の子猫リル・バブ(Lil BUB)ちゃんや不機嫌顔のグランピー・キャット(Grumpy Cat)‥‥悲しいことにグランピーは2019年5月14日、リル・バブも12月1日に亡くなってしまった。8コマ・マンガ「夜廻り猫」の主人公・遠藤平蔵は強面顔である。笑ったら怖いと言われたので、自ら「にっこり」と言う(片目の子ネコ重郎は「にっこい」)。そもそもネコは笑わないし、人語を話したりはしないのだが、強面ネコが猫撫で声で甘えるように鳴いたら逆に怖いかもしれない。ビキニ・キル(Bikini Kill)のキャスリーン・ハンナ(Kathleen Hanna)は 「ライオット・ガルー」(Riot grrrl)らしくドスを利かせて凄んでも生来の可愛い声は隠せない。キルちゃんも可愛い声で鳴くかな?

    #513│マオ│飼い猫 ── ボス・ブラック
    S井開運稲荷に黒ネコがいた。耳先カットされているが、首輪をしているので飼い猫だと分かる(首輪のチャームには飼主の電話番号が記されている)。近づいても逃げないし、自ら近寄ってくることもない。微動だにしない堂々とした風体、真正面から睨みつける眼光の鋭さは「ボス・ブラック」と呼ぶに相応しい。首輪をした白黒ネコが出て来るや否や、素速い動きで追い駆ける。白黒ネコは民家の塀の上に逃れた。「この広場は俺の縄張りだ!」と言わんばかりの電光石火の行動だった。他にも数匹のネコたちが棲み着いているので、狭い広場のテリトリ意識が高くなるのかもしれない。上手く棲み分けて、みんな仲良く暮らして欲しいけれど。先日久し振りに「S井コミュニティ広場」を訪れたら、入口にロープが張られて「閉鎖」されていた。これも新型コロナウイルスの感染拡大と関係があるのでしょうか。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第57集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。500匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第57集の常連ネコはロン、ミス、ピノちゃん。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大(パンデミック)や東京五輪の1年延期など、愚かな人間たちの騒動とは関わりなく生きています。『ニャンニャンにゃんそろじー』(講談社 2020)は9人の作家とマンガ家によるネコ・アンソロジーで、猫小説5篇、猫マンガ4篇を収録。著者のコメントとプロフィール付き。文庫版には『夜廻り猫』から10話を追加収録。「猫の島の郵便屋さん」は「ねことじいちゃん」の番外編。「諧和会議」 は『猫のエルは』(2018)からの再録だが、原本のイラストを描いたヒグチユウコは元ネタと思われる夢野久作の掌編 「きのこ会議」(1922)を絵本にしています。永遠の子猫リル・バブの死はショックです。

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    ニャンニャンにゃんそろじー

    ニャンニャンにゃんそろじー

    • 著者:有川 ひろ / ねこまき(ミューズワーク)/ 蛭田 亜紗子 / 北道 正幸 / 小松 エメル / 深谷 かほる / 真梨 幸子 / ちっぴ / 町田 康
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2020/02/14
    • メディア:文庫(講談社文庫)
    • 目次:猫の島 / 猫の島の郵便屋さん / ファントム・ペインのしっぽ / ネコ・ラ・イフ / 黒猫 / 夜廻り猫 / まりも日記 / ヅカねこ / 諧和会議


    猫のエルは

    猫のエルは

    • 著者:町田 康 / ヒグチユウコ(イラスト)
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2018/09/28
    • メディア:単行本
    • 目次:諧和会議 / 猫とねずみのともぐらし / ココア / 猫のエルは / とりあえずこのままいこう

    夜廻り猫 1

    夜廻り猫 1

    • 著者:深谷 かほる
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2017/03/23
    • メディア:コミック(ワイドKC)
    • 目次:カレーと牛丼 / ぶり大根 / あたま / いい香り / 一人では死なせない / カレー / 一周年 / 自己責任 / 母じゃない / 覚えておきます/ みそ / ほんとに大丈夫?/ 許すな / 織田尚十七歳 / わがままモネ / 言葉 / 君のためにできること / はたらくおじさん /「にっこり」/ 誕生日おめでとう / おさななじみ / 笑えぬ日々に / 王子様 / 五年間 / おかね / 家族 / ...

    Lil BUB

    Lil BUB

    • Species: Felis catus
    • Sex: Female
    • Born: 2011/06/21
    • Died: 2019/12/01
    • Owner: Mike Bridavsky
    • Weight: 1.8 kg


    Science & Magic

    Science & Magic

    • Artist: Lil BUB
    • Label: Joyful Noise Records
    • Date: 2015/12/04
    • Media: Audio CD
    • Songs: Hello Earth / New Gravity / Assimilation / A Friend / Good Job / Another Voyage / Science And Magic / Space Sister / Earth Sister / Rebirth

    Julie Ruin

    Julie Ruin

    • Artist: Julie Ruin(aka Kathleen Hanna)
    • Label: Kill Rock Stars
    • Date: 1998/08/11
    • Media: Audio CD
    • Songs: Radical Or Pro-Parental / V.G.I. / A Place Called Won't Be There / Tania / Aerobicide / Apt. #5 / My Morning Is Summer / I Wanna Know What Love Is / The Punk Singer / On Language / Crochet / Interlude / Stay Monkey / Breakout A-Town / Love Letter

    LIL BUB’S LIL BOOK

    LIL BUB’S LIL BOOK

    • 著者:マイク・ブライデイヴスキー(Mike Bridavsky)/ 岩田 佳代子(訳)
    • 出版社:学研パブリッシング
    • 発売日:2014/06/26
    • メディア:単行本
    • 目次:永遠の子猫リルバブの不思議な冒険 / リルバブからのプレゼント / あとがき

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