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ネコ・ログ #60 [c a t a l o g]

  
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  • ほんとうに辛いとき、明日が面倒臭く見える時、じっと眺める一枚の写真がある。海の横顔肖像。海は動物写真家・岩合光昭氏の愛猫。海を愛したことでは寧ろ岩合氏の奥さんの方が全然上だと知って尚この写真が好きになった。海が主人公の写真集『海ちゃん ある猫の物語』(新潮社 1996)も買って舐めるように見入ったが、この一枚を上回る、いつまでも見飽きない瞬間の魅惑力を持つ作は他に見なかった。海は雌猫で、母猫としても見事な立居振舞いを見せる。その優しさも充分伝わってくるこの一枚、しかし飽かず見入るたびに僕の頭に浮かび、僕の口をついて出る言葉はいつもまず、必ず「ノーブル!」である。いくら考えてもそれ以外の言葉が浮かんでこない。実に凛たる風情ではあるまいか。/ イグノーブルというその反対語の方ばかりがもてはやされる現代日本の流行語大賞もそれはそれで面白くなくもないがハムレットが人間精神の高貴を言うにまず使ったこの「ノーブル」、凛然、貴族(的)という言葉を海の横顔肖像に掲げておきたい。
    高山 宏 「キャッツアイ」


  • #532│アン│ノラ猫 ── サークル・ゲーム
    ネコは狭いところが大好き。ダンボール箱や紙袋の中などにスッポリと収まって安住している。白い輪やマンホールなど、円形のサークル内に好んで入ることも良く知られている。ヒトだって広いリヴィング。ルームよりも狭い書斎やトイレの方が落ち着いたりする。駅前公園の三毛も車道沿いに並んでいる丸い鉢植えの上で寛いでいる。向かいの線路沿いの植込みの縁に腰かけてていると、徐に膝の上へ乗って来る。冷たい北風の吹く冬場、柔らかい毛皮で覆われた「天然湯たんぽ」は暖かくて抱き心地も良いけれど、重さに耐え、一定時間の辛抱をする覚悟が必要だ。無理矢理降ろそうとすると、ニャンと鳴いて膝に爪を立て、手に咬みついて嫌がる。ところが夜食を持参して来るネコおじさんを見つけるや否や、膝からスルリと跳び降りて足早に駆けて行く。何とも現金な三毛である。1時間余り、アンちゃんは安心して膝の上で微睡んでいたのにね。

    #533│ハンナ│ノラ猫 ── コロ夏のネコ 2
    コロナ禍はネコの目には一体どのように映っているだろうか。 I袋水天宮のハンナちゃんに訊いてみた。朝夕は余り変わらないけれど、夜の人通りは少なくなったような気がする。休業や時短営業で午後8時を過ぎると飲食店の看板(照明)やネオンも消えて暗くなった。この時季は寒いので、駅前公園のベンチで一服する人たちも疎らだ。新型コロナ・ウイルスはヒトからネコに感染すると謂われているけれど、ボクたちノラネコは病気になっても動物病院に連れて行かれることもないし、救急車で緊急搬送されて入院することもない。食事係のネコおばさんやオジさんが朝晩のゴハンを運んでくれる限りはコロナ禍でも生きて行ける。「えっ、ヒトもネコも同じようなものだって?」 ‥‥コロナ禍で仕事を失った生活困窮者が支援団体の炊き出しの列に並んだり、感染が疑われる症状を発しているのにPCR検査を受けられなかったり、逆に発症しているのに病院をたらい回しにされて入院出来なかったり‥‥。

    #534│ペタ│飼い猫 ── 目力ペタちゃん
    女優の波留さんはSTモデル時代と大きく印象が異なる。派手なギャル風メイクによるところも少なくないと思うが、前髪を上げるか下ろすかで、ここまで違うのかと驚かされた。そのイメージチェンジとなったのは 「相棒(season11)アリス」(テレ朝 2013)にゲスト出演した際の、清楚でミステリアスな二百郷茜(波留)ではなかったか。「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレ朝 2018)では「体力と柔術には自信がある」肉体派熱血刑事・矢代朋を演じているが、強面の草加警部補(遠藤憲一)からは「目ヂカラ」と呼ばれている。ネコの黒い瞳は明暗や感情の起伏で細くなったり丸く大きくなったりするけれど、ヒトと同じく目の大きさも顔の印象を左右する。少女マンガのヒロインのような「デカ目」ならば可愛いけれど、遠藤平蔵のような強面(細目)ならば怖いし、笑うとキモい(第660話 「ほほえみ」)。白茶ネコのペタちゃんの大きく見開いた「目ヂカラ」にも魅了される。

    #535│ルイ│ノラ猫 ── あらかわ遊園のネコ 1
    S田川沿いの「あらかわ遊園」は長期休園中(2022年リニューアル・オープン予定)だが、都電A川遊園前から遊園地へ続く「バラ花壇」に数匹のネコたちが棲息していた。入口近くで白黒ネコ(ベンチに座っていた初老の男性がサクラちゃんと呼んでいた)を撮った。少し奥へ向かって歩いて行く。ふと気配を感じて立ち止ると、足許に茶トラのネコが人待ちしていたかのように座っていた。まだ幼さの面影が残る小さなネコは人懐っこく、自らスリスリして来る。写真を撮っていると、植込みの中から淡いカフェオレ色のネコが姿を現わす。通りかかった夫婦連れに2匹のネコが近づく。幼い子を抱いた父親に母親が「綺麗な色ね」と話しかける。陽が落ちて暗くなって撮影を諦める。白黒ネコが植込みの向こうへ駆け抜けて行く。気になって裏側に回り込むと、ロープの張られた空地に数匹のネコたちが集まっていた。ネコおじさんがゴハンを運んで来たところだった。ネコたちの夕食時間らしい。

    #536│マミ│飼い猫 ── 小料理屋の看板ネコ
    I袋への道すがら、M治通りへ続く狭い車道を歩いていると、小料理屋Mの前に1匹のネコが招き猫のよう座っていた。店の横手の狭い通路や前の小さな駐車場で数匹のネコたちを見かけることもあったが、警戒心が強いのか近寄ると逃げてしまう。長らく写真を撮るチャンスを逸していたのだ。その昔コンデジ(Cyber-shot)で撮った「レイ」ちゃんと同じネコだろうか。何しろ10年以上前のことなので、確信が持てない(ソラリ・エフェクトで撮ったので比較し難い)。もしレイちゃんならば子ネコから成長した立派な看板ネコということになる。陽も落ちて暗くなっていたけれど、何とか1枚だけ撮れた。その直後、店内の奥へ入ってしまったので、女店主と苦笑するしかなかった。看板ネコならば、もう少し愛嬌を振り撒いても良さそうなものだが、マミ(レイ?)ちゃんは素っ気ないネコなのだ。

    #537│ルナ│ノラ猫 ── あらかわ遊園のネコ 2
    O久図書館が令和2年10月から休館している。老朽化した施設の改装工事のためではなく、宮前公園内に新図書館として開館(令和3年2月予定)するという。ここ暫くは足が遠のくことになる。都電A川遊園前から長期休園中の「あらかわ遊園」へ続く「バラ花壇」に棲息しているネコたちとも会えなくなりそうだから。足許に人待ちしているかのように座っていた茶トラのルイちゃんや植込みの中から姿を現わした淡いカフェオレ色のルナちゃんにも会えないのかと思うと少し寂しくなる。もちろんネコ写真を撮るために出かけても良いのだが、このコロナ禍(緊急事態発令中)では躊躇せざるを得ない。この時季は日暮れも早く寒い。ネコが棲息している場所が分かっていても、時間帯によっては1匹も出会わないことも少なくない。「バラ花壇」 のネコたちも日中は植込みの中で隠れて(寝て?)いるのか、殆ど見かけない。ルイとルナちゃんを撮った時は、たまたま夕食時だった。

    #538│ソニ│ノラ猫 ── 駅前公園のネコ
    ミラーレス(NEX-5N)でネコを撮り始めて、今年(2021)で10年目になる。このカメラは明るい日中よりも陽が陰って暗くなった方が良く撮れるような気がする。ネコの黒い瞳が丸く大きくなって、可愛く見えるという利点もあるけれど。最近は愛機(APS-C)の限界も感じるようになって来た。数年前、カメラに詳しそうなブロガー(complex_cat)さんに、買い替えるとしたらどのカメラが良いかを訊いてみたことがある。C氏の推薦機種はミラーレス(α6400)だった。その時点ではベスト・チョイスだと同感したものの、コンパクトなフルサイズ機種(α7C)が昨年(2020)発売された。次に買い替えるならばフルサイズという憧れもある。修理に出した愛機を受け取る際に、サービス・ステーションの男性からフルサイズを勧められたことも脳裡にある。α7Cは魅惑的なカメラだが、ネコ撮り用に20万円も出費するのかと思うと躊躇する。ファインダ(EVF)、手ぶれ補正機能なしのフルサイズ・エントリーモデル(10万?)を出して欲しいなぁ。

    #539│テレ│ノラ猫 ── 区役所裏のネコ
    橋の上でネコおばさんと出合った。ここのトラネコには要注意にゃん。近寄っても逃げないので安心して不用意に手を出すとネコパンチを喰らってしまうから。おばさんは知ってか知らずか手慣れた様子でゴハンを与える。橋の向こうから小さなネコも姿を現わす。これから他のネコたちのいるところも回るというので、ご同伴することにした。S神井川沿いの遊歩道を下って行くと、旧区役所と思しき裏庭に3匹のネコがいた。植木や人工池らしきものもあるが、明らかに手入れされていない状態で荒れている。人気がないので、逆にネコたちにとっては「楽園」なのかもしれない。茶トラは警戒心が強くて近づいて来ない。白茶の2匹は人馴れしている。老姉妹ネコらしく、動作も緩慢としている。食事中のテレちゃんを撮った。高齢ネコとは思えない見目麗しさに魅了される。禿頭、白髪、皺、円腰‥‥ヒトの高齢者と違って、ネコの年齢は容姿からは皆目分からにゃい。

    #540│ドル│飼い猫 ── お食事中にゃん
    狭い路地裏に入り込む。ヒト1人が辛うじて通り抜けられる横幅のキャットウォーク。ゆっくりと歩いて行くと、民家の裏塀の上に1匹のネコがいた。ゴハンの入った透明トレイから顔を上げて睨む。「食事の邪魔すんなよ!」 という感じでしょうか。鼻頭と右耳が赤剥けている。縄張り争いで宿敵ネコと喧嘩したのかと思ったが、注意深く観察すると、頭の上に薮蚊(写真では塵のように見える)が纏わりついていた。暑い夏季はヒトもネコも蚊の餌食になる。ネコは体毛の薄い鼻の頭や耳の裏が狙われる。痒いので鋭い爪でバリバリ掻くと、赤剥け状態になってしまうのだ。馬や牛は尻尾を器用に動かして蠅などの羽虫を追い払う。ネコは耳をレーダーのように回して蚊の動きを牽制する。中央図書館裏のパルちゃんも、夏場は鼻や耳を蚊に喰われて痛々しかった。赤剥けネコには同情を禁じ得ない。蚊に吸血されやすい体質なので、ネコ撮り時には猛暑でも長袖が欠かせない。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第60集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。今までに540匹ものネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第60集の常連ネコは膝乗り三毛のアンちゃん。駅前公園のハンナちゃんは準レギュラー。あらかわ遊園や小料理屋の看板ネコなど、ニューフェイスも登場します。学魔・高山宏の『アリスに驚け』(青土社 2020)は「アリス狩り VI」というサブタイトルですが、巻末に猫エッセイ「キャッツアイ」が収録されています。『海ちゃん ある猫の物語』(新潮社 1996)は岩合夫妻が初めて飼った雌猫・海(かい)ちゃんの文庫版写真集。「海を愛したことでは寧ろ岩合氏の奥さんの方が全然上だと知って尚この写真が好きになった」 のは岩合日出子の『ママになったネコの海ちゃん』(ポプラ社 2003)を読んだからでしょう。詳しくは拙記事〈ネコの海(kai)ちゃん〉を参照して下さい。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 「9分割ナンバー表」 の背景画像を白黒からカラー(写真の左上部分)に変更しました

    • ルイとルナちゃんは〈あらかわ遊園のネコ〉から転載しました(一部加筆・改稿)
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    アリスに驚け

    アリスに驚け アリス狩り VI

    • 著者:高山 宏
    • 出版社:青土社
    • 発売日:2020/09/26
    • メディア:単行本
    • 目次:アリスに驚け / メルヴィル・メルヴェイユ / 意外にして偉大な学恩 / ボルヘスと私、と野谷先生 / 1926年のトランク /「このわたしは人間の内部に」/ ExtraEditorial / 平賀張り、英訳すればSwiftly / 遊行する機械 / マニエリスム、または「揉め事の嵐」/「古くさいぞ私は」で始まると、マニエリスムになる / ひろしは あなを / キャッツアイ / エピロー...グ ヴンダーシュランクに書店の未来 / 跋・後藤 護


    海ちゃん ── ある猫の物語

    海ちゃん ── ある猫の物語

    • 著者:岩合 光昭 / 岩合 日出子
    • 出版社:新潮社
    • 発売日:1996/11/01
    • メディア:文庫
    • 目次:はじまりに prologue / いたずらざかり growth / 冒険で広がる世界 adolescence / プロポーズの群れ maturity / 真面目な子育て motherhood / 愛のある暮らし tranquillity / おしまいに epilogue // 猫の足音・田村 隆一


    ママになったネコの海ちゃん

    ママになったネコの海ちゃん

    • 著者:岩合 日出子 / 岩合 光昭
    • 出版社:ポプラ社
    • 発売日:2009/04/05
    • メディア:文庫
    • 目次:はじめに / おねえちゃんは、ネコなんです / イメージのネコ / 類と海 / 広がる海の世界 / 海のゆううつ / おあずかりの海ちゃん / きずな / あとがき // 解説・安野 モヨコ


    SONY α7C (ズームレンズキット)

    SONY α7C(ズームレンズキット)

    • ブランド:SONY
    • 製品型番:ILCE-7CL S
    • レンズ:FE 28-60mm F4-5.6
    • 発売日:2020/10/23
    • メディア:カメラ

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