ネコ・ログ #59 [c a t a l o g]
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アビゲイル・タッカー 「なぜインターネットで大人気なのか」
#523│リオ│ノラ猫 ── コロナ禍のネコ 1
日中にネコと出会えるチャンスは少ない。炎天下の夏は日陰でグッタリの伸びている。夜行性のネコは日が暮れてから活動するらしいが、夜間の撮影(フラッシュはネコの目に悪影響を与える)は自重すべきである。岩合さんのように早朝からネコ撮りに出かけることも難しい‥‥というわけで、夕暮れ時にネコ写真を撮ることが多い。陽が落ちて暗くなればネコの瞳が大きくなって可愛くなるし、夕食を求めて姿を現わすネコも少なくない。キジトラのリオちゃんも夕食時間なのか、人前に出て来た。ネコのいる敷地と遊歩道は鉄柵で隔たれている。ネコとの距離が縮まったのは良いけれど、西向きのロケーションなので、晴れている時は常に逆光になってしまう。リオの顔は暗く、背景の空は白飛びしている。もっと明るいレンズを使うか、露出補正して撮るべきでしょうか。
#524│ハン│飼い猫 ── コロナ禍のネコ 2
写真を撮ろうとして近づくと、足早に逃げて行く。尻尾を巻いて逃げて行ったのかと思ったら、急に踵を返して来て、ネコパンチを繰り出した。臆病者の小心ネコと舐められるのが癪に障ったのか「お礼参り」に戻って来たのだ。血気盛んで勇ましいヤンキーを想わせる好戦的な威嚇行動だった。鉤爪が手の甲に食い込んで抜けないので、困惑したような表情を浮かべていた「なめ猫」ハンちゃんだったが、いつの間にか茶トラのレイちゃんと縄張りを締めていた。白黒ハチ割れネコにはヤンチャな悪ネコというイメージがある。三毛ネコ(レナ)を苛めていたロブもハンに良く似たハチ割れだった。この地域には三毛(マープル)もいるので、彼女が虐められていないか心配になる。白黒ハチ割れのDNAには三毛ネコへの敵愾心が埋め込まれているのかもしれない。
#525│メグ│飼い猫 ── 谷中のメグちゃん
「谷中分室」 (谷中防災コミュニティセンター3F)からの帰り道‥‥「夕やけだんだん」を昇ってN暮里駅へ向かう途中、延命院の門柱の上でキジトラ猫が気持ち良さそうに睡っていた。ちょっとした撮影スポットになっていて、通りがかった人たちが立ち止ってスマホをネコに翳している。首輪のネコ型チャームに、名前(メグ)と連絡先(8桁の電話番号)が記されている。睡眠時は無防備になるので、出来るだけ人目を避けた場所に身を隠すはずなのに、メグちゃんは往来の多い門柱の上で動じることなく睡っている。人馴れしているのだろうか、それともヒトには無関心なのか?‥‥自分が人気モデルであることを意識しているかのような自由気儘な振る舞いである。試しに「谷中 / メグ」で画像検索すると、数多くのネコ写真がヒットする。どうやら「谷中のアイドル猫」ちゃんらしい。
#526│ベス│地域猫 ── サンシャイン・キティ 1
サンシャイン・シティ裏の「H**中央公園」には数匹のネコたちが棲息している。飼いネコではないのに首輪をして、固有の名前もついているようだ。近隣住民たちに愛情深く世話されているので、ノラではなく地域猫と呼ぶべきかもしれない。小さなキジトラが一段高い植込みの前で寛いでいるように見えるが、脅えたようなカン高い声で鳴いている。ネコ友たちと談笑していた女性が心配して、ベスの様子を見に来た。どうやら公園に遊びに来た子供のスケボーの音を怖がっているらしい。子供は下手糞なので、スケボーを上手く操れない。乗り損ねた時に立てる不快な雑音が嫌なのだろう。子供や大人に限らず、人間たちは自分で発した騒音は五月蠅くない。他人の立てるノイズに苛立ったり、不安に感じたりするのだ。聴覚に優れているネコはヒト以上に音声に対して敏感である。
#527│バラ│地域猫 ── サンシャイン・キティ 2
「サンシャイン・キティ」はトーヴ・ロー(Tove Lo)の4thアルバムのカヴァを飾ったネコちゃん。キッチン・シンクに凭れかかるセクシー女性の右横に、ピンクのリボンを頭に飾った黄色い小動物が鎮座している。ゆるキャラの兎ちゃんかと思ったら子ネコ(Kitty)、縫いぐるみではなくヴァーチャル・キャット(GIFアニメ)だった。「Giphy」 に5匹の可愛いサンシャイン・キティちゃん(Lady Wood Cool Girl Sticker)がいた。躰を左右にユラユラ揺らすネコ、ガラスを舌で舐めてウィンクするネコ、後ろ向きでお尻を振るネコ、ハート型のステッカーを剥がすネコ、左指の爪を出して確認するネコ‥‥ブラジル、アメリカ、ドイツ、フランスなどの国旗を掲げているキティもいる。サンシャイン・シティ裏の東池袋中央公園に暮らしているリアル・キャットも可愛い。バラちゃんは右眼を怪我している。正常に見えているのかどうかは分からないが、幸い痛みは感じていないようだ。
#528│ポス│地域猫 ── サンシャイン・キティ 3
ブログに貼った黄色い子ネコ(Sunshine Kitty)を眺めていると、30年前に一世風靡したSoul II Soulの〈Keep On Movin'〉(1989)の一節が脳裡に浮ぶ。「Yellow is the color of sun rays」 という印象的な歌詞である。太陽の光と同じ色のネコなので、サンシャイン・キティというネーミングなのかと腑に落ちる。サンシャイン・シティ裏手のH**中央公園は高い樹木が林立し、奥にあるカスケード風の池の水は抜かれている。東京拘置所跡地という場所柄が心理的にも影響しているのか、鬱蒼とした公園は「サンシャイン」という明るいイメージからは隔絶されている。公園というよりも「杜」に近いかもしれない。ヒトが寛げるかどうかは兎も角、身を隠せる繁みの多いので、ネコにとっては暮しやすいロケーションではないか。夕暮れ時のネコたちは気儘に寛ぎ、ネコ好き仲間が遠巻きに見守っている。ポス君の陳ねこびたような目つきはS総理大臣を想わせなくもないけれど。
#529│ピノ│飼い猫 ── 好奇心はあるけれど
ピノとミス(スコティッシュ・フォールド)ちゃんは同じ家で飼われている三毛ネコ。姉妹なのか母子なのか、それとも血縁関係のない他人ネコなのかは不明だが、人懐っこいミスとは対照的にピノは警戒心が強い。小心者の臆病ネコである。ミスと仲睦まじく親交を深めているところを遠巻きに、興味深そうに見つめている。少し離れた場所でゴロニャン(お腹を見せて寝転がる)するが、近寄ると身を翻して足早に逃げちゃう。それでも何度も会っているうちに、次第に気を許すようになった。時々足許に擦り寄って来るようになったけれど、まだ完全に馴れているわけではない。この写真は飼主家の前庭にいるところを撮った。カメラとピノの間には開閉式のフェンス(門扉)があるので、安心しているのかもしれない。近づいても逃げ去る気配はない。やっとピノちゃんのベスト・ショットが撮れました。
#530│オリ│ノラ猫? ── ル=グウィンは黒猫がお好き
路地裏を歩いていたら、民家の前に黒猫がいた。横たわって寝ていたようだが、近づいてカメラを向けると目を開いた。小さなネコで、左右の耳が切れている。右は耳先カット(不妊手術済み)、左はネコ同士の喧嘩で負傷したのだろうか。両耳カットのネコは珍しい。午後の微睡みを妨げられたネコにとっては招かれざる訪問者かもしれないが、千載一遇のチャンスを逃す手はない。ネコの機嫌を損ねないように、少し離れたところから撮った。黒猫には特別な思いがある。アーシュラ・K・ル=グウィンは《理由はないが、私がこれまででとりわけ深く愛したのは皆、雄猫だった。希望は黒猫。私は黒猫が好きだし、一番貰い手が見つかりにくいという話を以前、読んだことがあったから》とブログに書いている。動物愛護協会に次女と一緒に行ったル=グウィンは最初に対面したネコを選んだ。パード(Pard)は顔(ハチ割れ部分)、お腹と胸と脚の白い、ハンちゃんに似た黒ネコ(♂)だった。
#531│アズ│ノラ猫 ── コロ夏のネコ 1
I袋駅前公園に設置されていたプレハブ小屋が撤去されて元の景観に戻ったが、棲息するネコたちの顔触れは一変してしまった。三毛アンちゃんと仲良く戯れ合っていた白黒ダイちゃんや少し離れた水天宮神社にいた白黒シコちゃんの姿が消えて久しい。相棒や仲間がいなくなって、ネコたちは寂しくないのかと、つい感傷的になってしまう(公園のシンボル的な存在として、アンちゃんが変わりなく暮しているのは嬉しいけれど)。その喪失感を埋めるように、新参ネコたちを見かけるようになった。先日、初めて子ネコを見た。この公園で産まれたのかのか、棄てられたのかは分からない。アズちゃんはケンと良く似たキジトラ(額の模様が異なる)なので、2匹は兄弟姉妹なのかもしれない。夕暮れ時に、公園の植込みの中にいたアズを撮った。暗くなっていたので解像度は低いけれど、黄色い目の中の黒い瞳が楕円形になって可愛らしく写っている(1/30・F4.5・ISO3200)。
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各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第59集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。530匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第59集の常連ネコはピノちゃん。谷中や東池袋中央公園などで、出会った新顔ネコを撮りました。先日、都電荒川遊園前の「バラ花壇」を歩いていた時に、ふと気配を感じて立ち止ると、足許に茶トラのネコが待っていたかのように座っていた。写真を撮っていると、植込みの中から淡いカフェオレ色のネコが出て来た。ネコのいそうな場所だと知っていても、時間帯によっては1匹も見つからないことがある。日中は繁みの中で眠っていたり、身を潜めているのかもしれない。ちょうど夕食時だったのか、植込みの裏に数匹が集まって、ネコおじさんの運んで来た夕飯を待っていた。
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- 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^
- オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました
- 「9分割ナンバー表」 の背景画像を白黒からカラー(写真の左上部分)に変更しました
- 拙ブログ記事〈谷中のメグちゃん〉〈サンシャイン・キティ〉から一部再録しました
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- Artist: Tove Lo
- Label: Universal
- Date: 2019/09/20
- Media: Audio CD
- Songs: Gritty Pretty / Glad He's Gone / Bad As The Boys / Sweettalk My Heart / Stay Over / Are U Gonna Tell Her? / Jacques / Mateo / Come Undone / Equally Lost / Really Don't Like U / Shifted / Mistaken / Anywhere U Go
- Artist: Soul II Soul
- Label: Virgin
- Date: 2005/05/17
- Media: Audio CD
- Songs: Keep on Movin' / Fairplay / Holdin' On / Feeling Free / African Dance / Dance / Feel Free / Happiness / Back To Life / Jazzie's Groove
猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで
- 著者:アビゲイル・タッカー(Abigail Tucker)/ 西田 美緒子(訳)
- 出版社:インターシフト
- 発売日:2017/12/27
- メディア:単行本
- 目次:はじめに 地球の小さな征服者 / 滅亡と繁栄 / なついていても野生を残す / ネコに魔法をかけられて / エイリアンになったネコたち / ネコから人間の脳へ感染する / 人間はネコに手なずけられている / 次世代のネコたち / なぜインターネットで大人気なのか / 謝辞
- 著者:アーシュラ・K・ル=グウィン(Ursula K. Le Guin)/ 谷垣 暁美(訳)
- 目次:河出書房新社
- 発売日:2020/01/25
- メディア:単行本
- 目次:カレン・ジョイ・ファウラーに寄る序文 / はじめに / 八十歳を過ぎること / パード日記 / 文学の問題 / パード日記 / 世の中を理解しようとすること / パード日記 / 報酬 / 訳者あとがき
2020-10-01 00:40
コメント(2)
全世界ではいったい何枚の猫写真(猫動画)がアップロードされているのでしょうか?人間より多かったりして?
by ぶーけ (2020-10-04 21:34)
総数は分かりませんが、明らかにネコの写真や動画の方が多いはず。
カメラを向けても、笑顔になったり、可愛いく写ろうとしないところが
ネコの偉大さです^^
by sknys (2020-10-04 22:11)