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ミラーレスマンの夜 [a p p l e]



  • そうだ。だから今やぼくは憧れていたスーパーマンになることができたのだ。もしかすると空を飛べるかもしれないぞ。いや。きっと飛べるに違いない。それまでの不安はたちまち自信となった。確信とともに、昌夫は強くうなずいた。そうだ。ぼくはスーパーマンなのだ。それははっきりしている。だが、いったいどういう種類のスーパーマンなのだろう。これが幻想の世界であれ、現実の世界であれ、こういうからだで誕生したスーパーマンには、やはり特殊な使命がなくてはならない筈だ。自分の使命を知らぬスーパーマンなどお話しにならないから、子供だって見向きもしてくれないぞ。至急、自分の使命を見つけ出さなくてはならない。他のスーパーマン連中はどんな内的、外的使命を持っていただろうか。バットマンは。月光仮面は。ウルトラマンは。仮面ライダーは。キカイダーは。スペクトルマンは。ミラーマンは。/ ミラーマン。そうだ。鏡の中から生まれたぼくは、まさしく鏡マンだ。発狂しそうになるほど速くなった思考の回転の中で、笑いが爆発しそうになった。
    筒井 康隆 「ミラーマンの時間」


  • 8年前に購入したコンパクト・デジカメ(Sony Cyber-shot)のバッテリが消耗して、すぐに撮れなくなっちゃう。バッテリを買い替えようかとも思ったが、その値段で1〜2年前のデジカメが買えてしまう。型落ちの旧モデルでも、本機(2003)とは比較にならないほど高性能になっている(ちなみにネコを撮っているデジカメは光学3倍ズーム、3.2Mである)。それならばコンデジではなくデジタル一眼にしようかなという気になった。カメラおたくが持ち歩いている黒くてデカくて重くて長い一眼レフではなく、今どきの女子が携行しているコンパクトで洒落たミラーレス。コンデジとの違いは「背景ぼかし」と暗くてもフラッシュなしで撮れる「高感度センサー」‥‥。被写体(ネコ)の背景を暈せるのは魅力的だし、夜の方が黒い瞳が大きく丸くなって可愛く写せる。近寄ると逃げてしまう用心深いネコを遠くから望遠レンズで盗撮するよりも、出来るだけ近づいて親密になってから撮りたいという点からも、無骨な一眼よりも軽くて小さなミラーレスの方がネコ撮りの目的に適っている。

    宮崎あおい、綾瀬はるか、北川景子‥‥女子カメラにも色々あるように、ミラーレス一眼にもイメージセンサーの大きさによって、マイクロフォーサーズやAPS-Cなどの違いがある。後者はデジタル一眼と同じセンサーを採用したミラーレスで、サイズが大きな分だけ高画質、ぼけ味も美しいという。小型ボディに対してレンズが大きいというアンバランスなところもあるが、ボディからハミ出したレンズが少女マンガ風の「デカ目」みたいで逆に可愛かったりもする。北川景子が尾道まで行ってネコを撮ったSony NEX-C3の丸みを帯びた曲線は明らかに女性ユーザを狙ったものだった。東日本大震災の影響で発売が延期されたともいわれるNEX-5N(9月発売)は角張ったフォルムの男性向け(浅野忠信を起用)で、NEX-5と殆ど同じデザインの後継機だが、機能面では格段に進化を遂げている。10月末に本機を購入したのはネットで指摘されていた動画を撮る際にカメラをパンさせると生じるクリック音(異音が録音されてしまう!)問題が個別の修理対応になったこと、11月に発売される予定だった上級機NEX-7がタイの洪水被害で延期になったこともある。

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    Sony NEX-5Nは16.1M(約1610万画素)のミラーレス一眼。「高感度番長」と称されているように、最高ISO感度25600という高性能を誇る(オート時にはISO100〜3200に自動設定)。陽が陰って暗くなっても付属のフラッシュなしで鮮明に撮れる。液晶モニタに映る画像は不自然なほど明るく、暗い夜道を歩いていても肉眼より良く見える。さらにシーンセレクション(SCN)には三脚なしでブレない夜景が撮れる「手持ち夜景モード」(連射して画像を合成する)、自動で人の顔を認識する「顔検出」、特定の人物の顔を優先する」個人顔検出」、笑顔を捉えて自動的にシャッターを切る「スマイルシャッター」、肌を綺麗に写す「美肌効果」なんていう余計な機能もあるけれど、ネコ顔が認識されないのは残念‥‥人間の(笑)顔だけがカメラの被写体とは限らない。パンダやコアラなどの動物やペットを撮る人も少なくないはずなのにね。暗闇に隠れているネコを自動検出して追尾する(「被写体追尾」はNEX-5Nにもある)機能があったら面白いのに‥‥と必殺ネコ撮人は想うのである。

    一眼レフカメラの初心者にはマニュアル露出(M)やシャッタースピード優先(S)、絞り優先(A)、プログラムオート(P)で撮るのは面倒臭そうだし、設定に手間取っている間に被写体に逃げられてシャッターチャンスを逸してしまうこともあるかもしれない。「おまかせオート(iAUTO)でも撮れるが、液晶モニタ右のコントロールホイール(C)を押して「マイフォトスタイル」を選ぶと左から順に「背景ぼかし」「明るさ」「色あい」「鮮やかさ」「ピクチャーエフェクト」という項目がモニタ下部に表示される。コントロールホイールを回して各設定(「ぼかす→くっきり」「明るく→くらく」「暖かく→クール」「鮮やかに→淡く」)を調節することが簡単に出来る。最後の「ピクチャーエフェクト」は「トイカメラ」「ポスタリゼーション(カラー・白黒)」「ポップカラー」「レトロフォト」「パートカラー(赤・緑・青・黄色)」「ソフトハイキー」「ハイコントラストモノクロ」の11種から選べる(「明るさ・色あい」からは「ソフトフォーカス」「絵画調HDR」「リッチトーンモノクロ」「ミニチュア」を加えた全15種から選択可能となる)。そしてコントロールホイールやソフトキー(A・B・C)の操作の殆どをタッチパネルで直感的に行えるのだ。

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    NEX-5Nの画像サイズはL、M、Sの3種類で、縦横比3:2の場合は16M、8.4M、4.0Mとなる(ハイヴィジョンディスプレイ用の16:9は14M、7.1M、3.4M)。今まで使って来たコンデジは3.1Mなので、Lサイズを選ぶと約5倍の容量になってしまう。それに合わせて、記録用のSDカードは4GBの超高速タイプ(SDHC CLASS10)にしてみた。4GBだと16Mのファインで撮っても約600枚の画像が記録出来る。16MBのメモリースティックで撮っていた時とは比較にならないほどの大容量!‥‥画像を取り込むパソコンのストレージ(HDDやSSD)との兼ね合いもあるけれど、10年前と比べると約20倍以上の大容量(iBookのHDDは20GB)になっているので、16Mファインで撮っても充分に余裕がある。SDカードのメーカは10年以上酷使しても壊れなかったiBook(Late 2001)のHDDと同じT社(日本製)にした。コンデジからミラーレスへの移行はノートブック(iBookからMacBook Pro、それともAir?)の買い替えを前提にしているわけである。


    主に風景を撮る単焦点レンズ(E16mm F2.8)はネコ撮りには不必要と判断して、ズームレンズキット(ボディ+E18-55mm F3.5-5.6 OSS)を購入したものの、SDカードの他に幾つかのアクセサリー類を買わなければならなかった。大切なレンズをネコに引っ掻かれて傷つかないためにもレンズ保護フィルターは必携‥‥NEX-5N(Silver)とコーディネートしようと思っていたら、「マイ・カラー・フィルター」というパステル色のフィルターにパールシルバーとチタンカラーがあった。シルバーとチタンの色差が微妙だったが、「For SONY α NEX Color」というステッカーの貼ってある後者を選ぶ。液晶保護シートは必要ないかとも思ったが、指で触るタッチパネルは指紋の跡が目立つので、純正のセミハードシートを貼ってみた(旧NEX用の保護シートはタッチパネルに対応していないので要注意)。4辺だけが粘着するシートは貼り直しも可能で、初心者にも簡単に貼れる。付属のショルダーストラップ(黒)が安っぽかったので、お洒落な肩掛けストラップ(白)も買っちゃいました。

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    早速、夜のネコちゃんをNEX-5Nで撮ってみた(オリジナル:F3.5・ISO3200・1/13秒、オンマウス:iPhoto 9.2でクイック補正)。コンデジとの大きな違いは雲って暗くなっても夜になってもフラッシュなしで鮮明な写真が撮れること。サイバーショットほど被写体に近寄れないけれど、ズームすればアップやマクロで撮れる。残念だったのはプリント(Lサイズ)した仕上がり写真の発色が液晶モニタで見たよりも暗く沈んだ感じだったこと。300万画素のコンデジで撮った写真(F2.8・ISO100・1/30秒)方が逆に綺麗だったのはショックだった。これはズームレンズの明るさ(F3.5-5.6)に起因するものなのかもしれない。もう少し明るい設定(露出補正)で撮ってみようかしら?‥‥それとも明るいレンズを使ってみようかな。ミラーレスの重さは兎も角、ズームレンズの出っ張りは外出時に気になる。レンズの大きさ(直径)は変えられないけれど、P社製LumixのXレンズのように長さを短く改良する余地はあると思う。個人的には夜間でもフラッシュなしで、人やネコも撮れるのが嬉しいけれど。

    トリセツ(取扱説明書)には基本的なことしか記載されていないので、付属のCD-ROMに収録されている「αハンドブック」やNEX用の解説書を参照すると良いかもしれない。『NEXで撮るかんたんかわいい写真〜ふんわりもしっとりも思いのままに撮れるレシピ集』(技術評論社 2011)は女性写真家・山本まりこによる解説本で、「女子カメラ」らしい可愛くエアリー(airy)な写真が多数収録されている。カメラ操作も写真入りで懇切丁寧に解説。淡くパステル調の写真に反して、その中身は濃い。被写体も犬やネコなどの動物や花、スイーツ、風景、人々、海、空、雲、夜景、室内など‥‥旅好きの著者がハワイや沖縄へ旅行した時の写真もある。姉妹機のNEX-C3を中心に解説しているので、NEX-5Nのユーザには見難い構成になっているところが惜しい。「スイングパノラマ」や「タッチパネル」などについても一切触れられていない。パンケーキ(単焦点レンズ)で撮った写真が1枚もないのは、そもそもダブルレンズキットに付属している広角レンズは不必要ということなのでしょう。

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    • トップのネコ写真は旧コンデジ(Cyber-shot)で撮りました^^
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    SONY NEX-5N(ズームレンズキット SONY NEX-5NK)

    SONY NEX-5N(ズームレンズキット SONY NEX-5NK)

    • 形式:レンズ交換式デジタルカメラ
    • 撮像素子:APS-Cサイズ
    • 有効画素数:約1610万画素
    • メーカー:ソニー
    • 発売日:2011/09/09
    • メディア:デジタル一眼カメラ(ミラーレス)


    NEXで撮る かんたんかわいい写真~ふんわりもしっとりも思いのままに撮れるレシピ集

    NEXで撮る かんたんかわいい写真~ふんわりもしっとりも思いのままに撮れるレシピ集

    • 著者:山本 まりこ
    • 出版社:技術評論社
    • 発売日:2011/10/06
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:マイフォトスタイルでかんたん撮影 / ピクチャーエフェクトでアートな写真 / 手軽にトラベルフォト / 撮影あとの楽しみ / NEXの基本



    ミラーマンの時間 ── 筒井康隆SFジュブナイルセレクション

    ミラーマンの時間 ── 筒井康隆SFジュブナイルセレクション

    • 著者:筒井 康隆
    • 出版社:金の星社
    • 発売日:2010/02
    • メディア:単行本
    • 目次:白いペン・赤いボタン / ミラーマンの時間

    コメント(4)  トラックバック(0) 

    コメント 4

    ツムジ

    お嬢さん、いいやつ買いましたね。
    レンズの突撃具合だけ見ると
    一眼に優るとも劣らない感じですね。

    ぼくは去年、Canonのデジタル一眼を買いましたが
    そろそろレンズもCanon製の赤い線の入った
    オートフォーカスが欲しくなってきました。
    by ツムジ (2011-11-23 21:05) 

    sknys

    ツムジさん、コメントありがとう。
    デジタル一眼の世界は素人娘には分からないことだらけですが、
    せっかく買ったミラーレスなので、これから使い倒して行きたいと思います。

    NEX-5Nで撮った夜のネコ写真を追加しました。
    黒目が大きくて可愛いと思うのはミラーレス女の欲目かしら?
    MacBook Pro(USキーボード+SSD)も買っちゃったよ^^;
    by sknys (2011-11-24 21:02) 

    ツムジ

    ホントだ。
    まんまるクリクリおめめ!

    キーボードは、実際ひらがなって
    日本語しかわからないぼくにも無用です〜。
    by ツムジ (2011-11-27 10:31) 

    sknys

    オート撮影です。
    感度を上げれば、もう少し速くシャッターが切れるはず。

    中古市場では日本語(JIS)キーボードの方が人気なんだって?
    Macユーザは昔からUSキーボードと決まっています^^
    by sknys (2011-11-27 12:10) 

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