Decisive Pink (1932) Wassily Kandinsky
b ぴんくのぞう (art)歌人・作家の川野芽生は初エッセイで、人間よりも人形や妖精や 「かわいいピンクの竜」 になりたいと綴る。「歯の妖精」(Tooth Fairy)という渾名の連続殺人犯レッド・ドラゴンは怖いけれど、ピンク・ドラゴンには「可愛い」というクール・ジャパンの枕詞がピッタリ嵌まる。ジョージ・ハリスンの
〈Simply Shady〉 の中の歌詞 「The elephant turned pink」 はアルコール飲料による酩酊やドラッグ摂取による幻覚症状の婉曲的表現である。子象のダンボちゃんも酔っ払って 「ピンクのゾウ」
(Pink Elephants on Parade 1941) たちの幻覚を見た。英SSWピンクパンサレス(PinkPantheress)は大好きな映画 「ピンク・パンサー」 と牝豹(Pantheress?)の造語をステージ・ネームとした。ケイト・エヌヴィ(Kate NV)とエンジェル・デラドゥーリアン(Angel Deradoorian)のプロジェクト名、ディサイシヴ ・ピンク
(Decisive Pink) はカンディンスキーの絵画
(Decisive Pink 1932) から採られたという。まさに大濱普美子の小説
「たけこのぞう」 を想わせる「ぴんくのぞう」である。
b にゃんこ天国 (books)『猫と ねこのエッセイアンソロジー』 (河出書房新社 2024)は
『にゃんこ天国 猫のエッセイアンソロジー』 (2018)を改題した文庫版。 夏目漱石 「猫の墓」(1909)から、角田光代 「猫、想像力を鍛える」(2015)まで、33人の日本人作家による猫エッセイ・アンソロジー。塀の上で一点を見つめて身じろぎしない愛猫ネネの姿に閃いて、執筆に行き詰まったスランプから脱した池波正太郎。猫の 「ツンデレ」(という言葉は当時なかったが)ぶりを見抜いた谷崎潤一郎。元祖ペットロス(ノラ)に陥って、猫愛ダダ漏れ(クル)状態の内田百閒。飼い猫たちの下男に成り下がった低姿勢のパンク作家・町田康などのエピソードも興味深いけれど、新旧作家の横並び猫エッセイを読んでいると、流石に大佛次郎や佐藤春夫の文章の上手さが際立つ。村上春樹は「僕はときどき今でも、静かに森の中に消えてしまった野生の雄猫ピーターのことを考える」と綴る。飼い猫の死を描いた漱石と佐野洋子では、この1世紀で変化したペットに対する思いが滲み出る。解説「百年の猫を編む」は猫本専門店書肆吾輩堂店主・大久保京。
b アロー・モード (music)Halo Maud(Maud Nadal)の2nd
《Celebrate》 (Heavenly 2024)を
「El Sur」 でオーダーしようとしたら、店主に4千円以上になってしまうと言われたので、仕方なくタワレコで購入することにした。更にショッキングなこともあったのだが、残念ながら今はブログに書けない。MM誌にはハロー・モード、タワレコではヘイロー・モードと表記されていたけれど、フランス人なのでアロー・モードが正しい。彼女の魅力は可愛らしいソプラノ・ヴォイスと60年代のヴィンテージ・ギター(Silvertone)によるサイケデリック色の濃いドリーム ・ポップ。「彼のバンド、ディアフーフとの出会いは私の人生で最も大きな音楽的衝撃の1つだった」 と語っているように、Greg Saunier(ドラムス)と4曲を共作・共同プロデュ ース。〈You Float〉ではデュエットしている。タルコフスキーの映画 「ストーカー」(Stalker 1979)からインスピレーションを得た
〈Terres Infinies〉 、仏SSWフラヴィアン・ベルジ ェ(Flavien Berger)とカヴァしたFred Frith(Genevieve Letarte & Rene Lussier)の〈Iceberg〉など、全12曲・40分。見開き紙ジャケ仕様、4つ折りの歌詞カード付き。
b ネコ撮り日和 (cats)真冬と初夏が日替わりで訪れる乱高下、極端な寒暖差不調に花粉症も重症化して、花見どころではない。快晴なのに北風が冷たい午後、ネコ撮り散策に出かけた。先日、撮り損なった(誤って削除してしまった)サバトラに再チャレンジする。幸い同じ場所で向かい合って撮れた。室外機の上で日向ぼっこをしているハチ割れトラは今回も民家の隙間の奥へ逃げられてしまった。踏切を渡り再度線路を横断して都電沿線を歩く。民家の前のマンホールの上で微睡んでいる茶トラに遭遇した。眠っているのか身動きしない。直ぐ傍を通過する都電の騒音も気にならないらしい。暫く静観していると、徐ろに姿勢を変えて毛繕いを始めた。そして自ら近寄って来て、毛並みを撫でさせてくれた。寝たふりをして、危害を及ぼす相手なのかどうか慎重に窺っていたのだろうか。振り返ると良く似たチャトラが日光浴をしていた。色違いの首輪をしていることから兄弟姉妹だと思われる。このネコも眠たそうにしていて動きは緩慢だが、仲が良く自然に挨拶を交わして戯れる。久々に2ショット写真が撮れた。
b ディスペル (books)小堂間小学校6年生の木島悠介(おれ)、一学期の学級委員長だった波多野沙月、転校生の畑美奈の3人は夏休み明けの二学期、壁新聞を作成する掲示係となる。昨年11月末、奥神祭りの前日に運動公園のグラウンドで刺殺された従姉・波多野真理子(マリ姉)のパソコンに遺された「奥郷町の七不思議」というテキスト・ファイル(Sトンネルの同乗者、永遠の命研究所、三笹峠の首あり地蔵、自殺ダムの子ども、山姥村、井戸の家)を手懸かりに、「魔女の家」 に棲む老婆・豊木ツネや警官のヒロ兄などの助けを借りて、オカルト好き少年ユースケ、優等生のサツキ、ミステリ・マニアのミナが「なずての会」の謎を解き、暗躍する黒い 「影坊主」 の正体に迫る
『でぃすぺる』 (文藝春秋 2023)はジュヴナイル ・ホラー・ミステリだが、3人の思考・言動は小学6年生とは思えない。中学生に設定した方が違和感がなかったのではないか。小学生の時に壁新聞を手書きしたことがあるけれど、それは数十年も前のこと。中学生では学級新聞のガリ版を切った。令和の生徒はスマホ(iPhone)やタブレット(iPad)で読めるし、壁新聞ならはPDFで保存して拡大プリントするだけで良い。
*
*
sknys-labex / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / sknynx 1204
Ticket To Fame
Artist: Decisive Pink Label: Fire Date: 2023/06/09 Media: Audio CD Songs: Haffmilch Holiday / What Where / Ode To Boy / Destiny / Potato Tomato / Voice Message / Cosmic Dancer / Rodeo / Interludé / Dopamine / Dusk
Decisive Pink
Artist: Wassily Kandinsky Date: 1932; Alten / Dessau-alten, Germany Style: Abstract Art Genre: abstract Media: oil, canvas
にゃんこ天国 猫のエッセイアンソロジー
著者:内田 百閒 / 佐藤 春夫 / 佐野 洋子 / 保坂 和志 / 村山 由佳 / 吉本 隆明 / 阿部 昭 ... 出版社:河出書房新社 発売日:2018/09/19 メディア:単行本(ごきげん文藝) 目次:猫に名前をつけすぎると / 猫 / 猫 / 風の中の子猫 / ビーチの到来(抄)/ 猫、想像力を鍛える / 猫の耳の秋風 / 優しい雌猫 / 一畑薬師 / 猫缶と夏の涼 / 魔性の女 / 「四匹のエイリアン」の巻 / 猫の親子 / 仔猫の「トラ」/ 猫の引越し ほか二編 / それでもネコは出かけてく / うずまき猫の行方 / 失猫記 / 猫と妻 / 愛撫 / ねこ / 猫先生の弁(抄)/ 猫の...
猫と ねこのエッセイアンソロジー
著者:養老 孟司 / 村山 由佳 / 阿部 昭 / 伊丹 十三 / 池波 正太郎 / 稲葉 真弓 / 町田 康 / 角田 光代 / 谷村 志穂 / 徳大寺 有恒 / 野坂 昭如 / 森下 典子 / 村山 由佳 / 中 勘助 / ... 出版社:河出書房新社 発売日:2024/02/06 メディア:文庫(河出文庫 ん 7-1) 内容:「猫愛」 があふれて止まらないエッセイ33篇を精選収録。猫の魅力を余すことなく伝えるこの本は、読んでほっこり、猫がもっと好きになる、きっと猫が飼いたくなる猫アンソロジーの決定版!
Celebrate
Artist: Halo Maud Label: Heavenly Date: 2024/03/22 Madia: LP / Audio CD Songs: Celebrate / Terres Infinies / My Desire Is Pure / Last Day Song / Slowly Surely / Catch The Wave / Le Ciel Est grand / You Float / À Te Voir / Iceberg / Pesnopoïka / Entends-Tu Ma Voix
でぃすぺる
著者:今村 昌弘 出版社:文藝春秋 発売日:2023/09/21 メディア:ハードカヴァ 目次:彼女が遺した七不思議 / 遭遇 / 胡散臭い推理 / なずての会 / でぃすぺる
コメント 0