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逃げた花畑に [p a l i n d r o m e]



⃞ 眠る中谷美紀。夢醒め、雪見に高鳴る胸
見渡す限りの真白き世界、夢のホワイト・フィールド。真っ黒い暗転ではなく、ホワイトアウト。自分が一体どこにいるのか全く分からない。独り取り残されたミキは白い世界で茫然自失する。風もなく雪も降っていないのに青空が見えない。マグリットの白い雲に覆われてしまったかのような、白とびした写真を見ているような不思議な気分。遭難時には無闇矢鱈に歩き回らず留まって救援隊を待つ方が得策なのかもしれない。体力を消耗し、氷点下で凍死する前に雪洞を作るべきではないかしら。鎌倉の中で冬枯れの木々を燃やす。夢の中なので、小枝もライターも寝袋も想っただけで出現する。両手は分厚い手袋をしているが、何故か裸足だった。夢の中のミキは裸足で古い校舎内や路面電車が通る街を彷徨っていることが多い。靴を脱いだ場所を思い出そうとするけれど、いつも記憶は曖昧模糊としている。冬の厚い毛皮とクルッと巻いた尻尾に包まれて、自分の体臭と体温の中で眠る。夜行列車に乗っていたミキは夢から目醒める。旧家の庭園に積った雪景色を想うと、胸がドキドキして眠れそうもなかった。

□ 何とラベルは「毒薬」と貼るベラドンナ
ベラドンナはマドンナのオルター・エゴである。奇抜なコスチュームと毒々しいパフォーマンスでマドンナの存在を希薄化した憎きレディZの抹殺を企んでいた。何としても、あの妖怪変化じみたコスプレだけは派手な割に中身の方は凡庸という空疎な音楽が赦せない(平凡な躰をケバい衣装でカムフラージュした?)。ベラドンナの計略は周到を極めていた。セレブ御用達のハロウィン仮装パーティでレディZに「毒薬」を飲ませることだった。お互いに仮面で顔を隠していることが面の割れているVIPには好都合。黒い魔女に扮したベラドンナが「毒薬」というラベルを記した酒瓶から緑色の液体をレディZのグラスに注ぐ。敢えて「毒薬」とラベルを貼ってあるところが悪趣味な彼女に相応しい。このブラック・ジョークを解さぬレディZではあるまい。まさか本物の「毒薬」が入っているとは夢にも思わないだろう。往年の女優たちが「デカ目」に見せるために点眼していたというベラドンナ。悶え苦しむ様子が魔女にも喩えられた毒薬ベラドンナ。悶絶死したレディZの瞳孔も大きく見開かれているはずであろう。

□ 悔しい買い占め、女々しい解釈
東日本大震災後に起こった「買い占め」は70年代の石油ショックでトイレットペーパー買いに走った主婦たちを思わせる。まるで色褪せたヴィデオを再生しているかのような既視感に陥った。人間は過去の愚行に学ばないのだろうか。地震による津波の記憶も百年以上経つと体験者も殆ど物故して、人々の記憶から薄れ消え去ってしまうのかもしれない。いや、そんなことはない。21世紀の電子技術や情報総量は百年前とは比較出来ないほど進歩し増大している。写真やヴィデオなどの映像資料によって、2011年の地震や津波の大惨事は後世の人々にも伝承されるはずだと力説する人もいるだろう。しかし、40年近く前に起こったトイレットペーパー買い占めは教訓として生かされず、3・11後にスーパーやコンビニの棚から飲料水(ペットボトル)や食パンが跡形もなく消え去った。この異常事態を正確な情報を与えられなかった消費者(ネット界では「情弱」という)の自己防衛本能と看做す向きもあった。自分だけは地震や津波や放射線被曝で死にたくないという自己中心的で露骨な行動は、自分たちだけが株式や投資ファンドで金儲け出来れば良いという利己的な強欲資本主義にも似て、女々しく浅ましい。

□ オリンパス、ネコ飛ばし。都市はどこ?‥‥寝ず番リオ
巨額の損失を海外ファンドに「飛ばし」、不当な企業買収によって穴埋めしていたオリンパス。内視鏡などの精密医療機器メーカーではトップシェアを誇るらしいが、高すぎる企業買収に疑問を抱いて独自に調査した英国人社長を即クビにするなど、オリンパスの隠蔽工作には本当に気分が悪くなる。ところが「飛ばし」ていたのは損失金だけではなかったことが第三者委員会の報告で明らかになった。何と可愛いネコちゃんまでも海外へ「飛ばし」ていたとは!‥‥尾道までネコを連れて行ったS社や谷中のネコを撮ったP社のCMに対抗したのか、ネコを海外ロケに連れ出したというのだ。カリブ海のケイマン諸島や地中海の島々なども候補に挙がっていたが、ロケ地は最終的に南米のリオデジャネイロに決まった。しかし、宮崎あおいがリオへ旅立つ前日にオリンパスの「飛ばし」疑惑が発覚。本人の意向もあり、海外撮影はドタキャンされてしまった。哀れ不憫なのは一足早く飛ばされたネコちゃんである。リオのホテルでは初めての長旅と見知らぬ土地へ連れて来られてパニックに陥っているネコを現地スタッフが寝ずの番で世話しているという。

□ 痴漢囃し、腰で投げ、なでしこジャパン勝ち
W杯女子サッカーをTV観戦していたけれど、準々決勝でも決勝でも日本が勝つとは!‥‥優勝してしまうとは正直思っていなかった。それくらい僅差の、どちらに転んでも可笑しくない際どいゲームだった。2011年ドイツ大会の「なでしこジャパン」は体格や身長差で勝るドイツやアメリカの代表選手たちと背負っているものが明らかに違っていた。もちろん彼女たちは意気消沈する日本国民や東日本の被災者たちのために闘ったわけではない。しかし、欧州リーグやカップ戦で選手たちが腕に黒い喪章を巻いて闘うような(死者を弔うような)空気感に包まれていた。凱旋帰国後、彼女たちは各メディアに出演するなど人気タレント並みの強行スケジュールに謀殺された。川澄と鮫島の2人は東京都と警視庁が共同主催した痴漢撲滅キャンペーンにゲスト参加。酔っぱらいの痴漢に扮した警官が囃し立てながら2人の躰に触ろうとする。川澄が股間に蹴りを入れ、鮫島が腰で投げ倒す。サッカー以外でも、場外でも「なでしこジャパン」が負けることはなかった。

□ 超能力、科学より右脳予知
テレパシー(精神感応)やサイコキネシス(観念動力)、テレポーテイション(精神移動)などの超能力を持つミュータント・サブにも予知能力だけは備わっていなかった。これから起こる未来の出来事が予知出来れば、「白いペン・赤いボタン」の主人公のように高校生にして大金持ちになってしまう。しかし、地震や津波など大天災の予知が可能ならば、より多くの人命を救うことが可能になる。長年、地震予知を研究して来た地質学者たちの「科学」よりも、超能力者の予知の方が現実的かもしれない。もちろん、本物のエスパー(ESP)が実在すればの話だが‥‥。たとえばネコにも地震を予知する能力があるらしい。地震の前に突然飼い猫が家の中で駆け回ったり、外へ逃げ出すなどの異常行動を起こしたり、母猫が仔猫を口に咥えて避難させたりする事例も報告されている。その能力が右脳の一部に隠されていることが最新の実験研究で明らかになったという。公園のネコに「君は地震を予知出来るの?」と猫語で話しかけてみる。徐に近寄って来たネコは膝の上に乗って丸くなり、目を細めて気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす。

□ 三列爆破で爆発連鎖
作戦指令本部では数人の幹部たちが無人ステルス機の送って来た3D映像‥‥テーブルの上のモニタ画面に立体的に映し出された画像を見つめていた。いいか、X地点のA、B、Cの三列を爆撃機で爆破すれば周囲は自動的に誘爆して、この地域一帯は壊滅状態に陥る。最大の難関は敵のレーダーに発見されずに無傷でX地点まで到達出来るかどうかだ。作戦司令官は参謀官に助言を求める。ロミュランの「遮蔽装置」が我が地球連邦軍にもあったらなぁ‥‥とトレッキーな参謀官は痛切に思う。クリンゴンから遮蔽装置に関する機密事項を聞き出せないだろうか。無理だろうなぁ。仮に技術供与があったとしても今からでは遅い。それに敵の防御シールドの強度も考慮しなければならない。エンタープライズ号のフェイザー砲さえあれば楽勝なのだが。しかし、数百光年先のエンタープライズがワープ航法(ワープ9)で戻って来たとしても間に合わない。そもそもピカード艦長の了承を得られないだろう‥‥。突然発せられた奇声が苦悩する幹部たちの沈黙を破った。携帯端末に見入っていた軍事アナリストの「落ちゲー」が三列爆破を発端に10万分の1の確率で発生するという無限連鎖モードに突入したのだった。

□ ツイッター、アップル、ゴルフ・ツアー発つ‥‥何時?
「ACアダプタのコードが断線して火花がバチバチ出た時はマジ焦ったよ」「10年間の酷使に耐えたiBookのHDDが壊れる前に電源アダプタがイカれるとは!」「スティーヴ・ジョブズの逝った年に買い替えるのも何かしら意味があるような気がして」「サイレントアップデート(2011.10.24)した新MacBook ProはCPUのクロックアップと価格ダウン」「アップルストアでUSキーボートとSSDにカスタマイズ(BTO)したMBPが到着なう」「美しいアルミ削り出しユニボディ、ガラス張り液晶パネル、環境センサーで光るキーボード」‥‥などとツイッターで呟いていたら、同じように新MBPに買い替えたマック・ユーザたちの書き込みで盛り上がり、ジョブズの追悼も兼ねた海外ゴルフ・ツアーに行く計画まで立ててしまった。カリフォルニア州クパチーノのアップル本社やパロアルトにあるジョブズの自宅など、見るべきものも少なくない。もちろん、MacBook Proも一緒に持って行くつもりだ。もしスティーヴ・ジョブズが存在しなかったら、アップル・コンピュータもiBookもiPodもiPhoneもiPadだけでなく、ブログやツイッターやフェイスブックなども生まれなかったかもしれない。ありがとう、スティーヴ。

□ 服毒死9時、扼殺昨夜、しくしく毒婦
市川森嗣脚本・演出の『悲しみのベラドンナ』が最終公演を終えた。都内某所で開かれた打ち上げパーティの席上で事件は起こった。ベラドンナの恋人役で共演していた男優がグラスを片手に持ったまま仰向けに倒れて悶絶死したのだ。突然の予期せぬ異常事態に騒然となるパーティ会場。砕け散ったガラス片がシャンデリアの光に乱反射している。苦しみに歪んだ表情や変色した顔から薬物摂取による変死であることが容易に推察された。駆けつけた救急隊員が死亡を確認し、遺体が病院に搬送された後で警察官や鑑識官が慌ただしく動き回る。会場内には舞台に出演した役者やスタッフ、友人知人や招待客など総勢百人以上の人間‥‥つまり殺害可能な容疑者がいたことになる。迷宮探偵・綾取猫人と黒猫コロネも招待客の中の1人(と1匹)だった。迷探偵は「殺人」に使われた毒薬がベラドンナであることを即座に見抜いていた。黒猫を抱いている探偵の姿を見つけた顔馴染みの警部が「また、キミとネコか‥‥」と顔を顰める。こと殺人現場に居合わせることに賭けて、猫人とコロネは天才的と言わねばならないだろう。

探偵との会話中に後輩らしき刑事が警部に耳打ちすると、彼の表情が険しくなった。変死した男性の家族に連絡を取る過程で判明したことだが、都内のマンションに1人住まいしている娘も自室で絞殺されていたというのだ。電話に全く応答のないことを不審に思った母親と刑事が明かりのついたマンションの部屋に入るなり、変わり果てた死体を発見・確認した。遺体の状態から娘が殺害されたのは恐らく昨夜0時前後‥‥パーティ会場で「毒殺」された父親の死亡時刻は午後9時だったから、父娘2人の死の間には約21時間の開きがある。2つの殺人事件の関連性に苦悩する警部の苦渋に満ちた顔は、まるでベラドンナの毒を飲まされたようだった。探偵は警部に助言する。「まだ、殺人事件と決まったわけじゃない。たとえば娘を殺した父親が自殺した可能性も否定出来ない」と。愛猫の同意を求めようとしてコロネが見つめている視線の先へ目を向けると、怪しいオーラを発したように光り輝く輪の中心に一際目を惹く女性が佇んでいた。大粒の涙を零して泣いている女優‥‥彼女こそ、本舞台の女主人公ベラドンナだった。

□ 碇シンジと都市伝説。決戦で使徒とシンジ理解?
最終使徒Ω(オメガ)が新東京市の上空に現われた。いつものように碇シンジがエヴァ初号機に乗って出撃する。人を食ったような奇妙でグロテスクな形態で首都を襲撃する使徒たちだったが、最後のΩは特に毛色が変わっていた。透明人間のように人間の目には見えない存在だったのだ。人には見えなくてもエヴァと同乗者には朧げながら見えているらしい。実のところ、Ωがどのような姿をしているかはシンジにも良く分からない。エクトプラズムのような不定形の気体というか、半透明の蜃気楼というべきか‥‥実体ものものが希薄で存在感に乏しい。被害者の通う小学校の校門前に斬り落とした生首を置いたという猟奇殺人少年の「透明な存在」に近い不気味さを秘めていると言ったら良いか。つまり限りなく透明に近い存在なのに何か得体の知れない禍々しさに覆われている。Ωが歪んだ鏡に映った、もう1人の自分の姿であるかもしれないことにシンジが気づくのは時間の問題だった。使徒Ωはシンジの分身だったのか、それとも使徒がシンジに分身だと思わせているだけなのか?‥‥「新劇場版ヱヴァンゲリヲンQ」の謎は深まる。

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  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • エヴァ回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #25」の解答です

 スニンクスなぞなぞ回文 #26

 たつぞ◯△▢くノ一◎☆▽お▽☆◎ちいのく▢△◯そった

 回文作成:sknys

 ヒント:上戸彩 vs 栗山千明?


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食物連鎖

食物連鎖

  • Artist: 中谷美紀
  • Label: FOR LIFE
  • Date: 2007/04/04
  • Media: Audio CD
  • Songs: MIND CIRCUS / STRANGE PARADISE (Paradise Mix) / 逢いびきの森で / 汚れた脚 The Silence of Innocence / my best of love / WHERE THE RIVER FLOWS / TATTOO / 彩の中へ / LUNAR FEVER / sorriso escuro

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