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スニーズ・シンクス 2 0 0 8 [b l o g]



ピーマン
野菜を切っていて、ふと気がついたのだけど、あのピーマンというのは、
どうして中がガランドウなのかしらね。
ほかの野菜に、こんな形をしたものって、ちょっと思い出せない。
たいていは、豊かに熟れた果肉がタネを抱えているのですが。
ピーマンは、その果肉の部屋から、
中身が突然蒸発してしまったように、空部屋になっていて。
いったい、あそこにはどんな空気が詰まっているのだろうか。
包丁で二ツに割ったときには、もう、ピーマンの強い匂いしか印象にのこらない。
あの緑の皮を傷つけずに、そっと中の匂いをかぐことは、できないものかしらん。
土屋 耕一 「かおりのストーリーその16」

                    *

〈タイヤキ焼いた〉〈ムカデが手噛む〉‥‥「回文シリーズ」(palindrome)のタイトルは「回文かるた」と同じく、10文字前後の短回文になっている。しかし、オリジナル回文を作るのは結構難しい。〈ゴキブリ武器庫〉〈血眼な街〉は検索してもスニーズ回文の他に何もヒットしないので、もしかしたらオリジナルかもしれませんが、既に誰かがネット以外のメディアに発表している可能性も否定出来ない。〈奇抜な花椿〉〈リモコン子守り〉には多数の前例があるので、オリジナルとは言えない。前者は〈リモコン籠り〉や〈リモコンてんこ盛り〉というヴァリアントも考えたけれど。後者については、「花椿」の読書投稿欄に「私好き奇抜な花椿キスしたわ」という回文が載っていたと記憶する。資生堂のPR誌にはコピーライターの土屋耕一氏が表紙裏の見返しページに洒落た文章を寄せていたので、「回文」とは親和性が高い。年末恒例の〈回文かるた 2009〉をお愉しみに。

個人的な「年間ベスト・アルバム10」を遡って行くリワインド・シリーズは〈コミック・オペラ(2007)〉〈ミルキー・ナイト(1999)〉〈メレットの夢魔(1998)〉〈X線の眼を持つ女(1997)〉の4記事をUPした。〔rewind〕という名称は英WIRE誌の「年間アルバム50選」から借用している。ちなみにWIREの「2007 Rewind」ベスト10は── 1. Comicopera(Domino)Robert Wyatt、2. Untrue(Hyperdub)Burial、3. Person Pitch(Paw Tracks)Panda Bear、4. Pilgrimage(Southern Lord)OM、5. Sound Of Silver(DFA / EMI)LCD Soundsystem、6. Tromatic Reflexxions(Domino)Von Südenfed、7. The Moving Frontier(Domino)Pram、8. Kala(XL)MIA、9. Mirrored(Warp)Battles、10. Fabric(36 Fabric) Ricardo Villalobos。毎年、この時期は音楽各メディアで2008年のベスト・アルバムが選出される(Amazon Best 100)。聴き逃した上位のアルバムを求めて師走の街を駆け回ることも少なくないのだが、今年は某WAVEの閉店セール通いに忙しい。

大リニューアル後遺症の1つは「SKIN SWITCHER」が使えなくなったこと(kovaioさんの裏技で復活!)。その他の不具合と合わせて〈猫にも出来るリニューアル・リペア〉に纏めた。「子猫にも貼れる‥‥」シリーズは単発カスタマイズ記事で、「Google検索」「Tag Cloud」「Drop-Down List」の3本をUP。高性能の「Google検索」に貼り替えているソネ風呂ガーが少ないのは残念だなぁ。スニンクスは「My Categories」→「Tag Cloud」→「Google Search」の順で、より詳細な検索が出来るようになっているのですが。猫の目のようにクルクル変わるYouTubeにも手を焼いている。〈子猫にも貼れるYouTube mini〉で紹介した以外の新機能も増えたものの、いつの間にかPLAYボタンが大きくなって(画面サイズを縮小してもボタンの大きさは変わらないので相対的に大きく表示される)、上部に「検索ボックス」が表示されるようになってしまった。YouTubeはブロガーのサイドバーに貼る場合のデザインにも気を使って欲しいですね(ソネ風呂のヘッダにもヘンなものが‥‥)。

ネコ写真を撮っているデジカメ(Cyber-shot)には「ピクチャーエフェクト」という4種類の特殊効果(ソラリ / モノトーン / セピア / ネガアート)を写真に反映出来る機能が付いている。今まで1度も使ったことがなかったけれど、〈X線の眼を持つ女〉で紹介したアルバム《Raio X》(EMI 1997)のスリーヴがソラリゼーションだったのに触発されて「ソラリ」でネコを撮ってみたら思わぬ効果が!‥‥一番の長所は失敗がないことでしょうか(イチゴトミーもソラリ写真です)。画像編集ソフトを使えばソラリ風に加工出来るらしいが、iPhoto 2には「白黒」への変換機能しかない。褪色した古い写真のような色合いの「セピア」や、ポジ・ネガを反転させたネガフィルム風の「ネガアート」も試してみようかな。〈101匹ニャンちゃん大行進!〉はネコ写真が100枚を越えたらやってみたかったネコ・カタログ一覧。「キャット・カット101」?‥‥Haircut 100という名前のロック・グループがありました。

アート・シリーズは展覧会に行った後で関連書籍を何冊か読まなくてはならないので、記事になるまでに時間がかかる。〈ムンクの娘〉の中で引用したスー・プリドーの『ムンク伝』(みすず書房 2007)は読みごたえがあった。〈ターナーの彼方へ〉は英ターナー賞受賞者23組による現代アート回顧展。絵画、彫刻、オブジェ、陶芸、写真、インスタレーション、ヴィデオ、パフォーマンス‥‥とジャンルも形態も様々で、全作品を観て回るだけでヘトヘトに疲れる(マーク・ウォリンジャーの着ぐるみクマ・パフォーマンスは154分もあるのだ)。UNIQLO×ZTTのコラボTシャツ発売に合わせて開催された「The Art Of ZTT展」(UT STORE HARAJUKU)にはガッカリ!‥‥「Peter Saville展」(Parco Gallary 1990)のように、ギャラリーで展示して欲しかったなぁ。久しぶりにユニクロへ行ったら、2度も店員に間違われちゃったよ。

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  • つぎのドアには、なめられる壁紙 ── 子ども部屋用、と書いてあります。/「こいつはたのしいものですぞ!」ワンカさんは、そのドアの前を、サッと、通りすぎながら、叫びます。「この壁紙には、果物の絵が、描いてある ── バナナ、オレンジ、ブドウ、パイナップル、イチゴ、それにスノッズベリー‥‥」/「スノッズベリーだって?」と、マイク・テービーが、ききかえしました。/「だまって!」と、ワンカさんはいうと、「壁紙には、そういった果物の絵が、ひとつ、ひとつ、印刷してあってね、バナナの絵をなめると、バナナの味がする! イチゴをなめると、イチゴの味。スノッズベリーをなめると、スノッズベリーそっくりの‥‥」/「だけどさ、スノッズベリーって、どんな味?」/「また、モグモグ、口をはさむ! このつぎは、もっと大声で、はっきりと、いってくれたまえ! さあ、大急ぎ! 大急ぎ!」
    ロアルド・ダール 『チョコレート工場の秘密』


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    2008年はロアルド・ダール関連で2つの発見があった。1つ目は処女作「お茶の子さいさい」の中に「オレンジとレモン」の唄が引用されていたこと。『ヘンリー・シュガーのわくわくする話』(評論社 1979)を読んだ時には気づかなかったが、戦闘機グラディエーター(剣闘士)とメッサーシュミットの空中戦を「オレンジとレモン」の唄に準えた描写は迫真力に満ちていて、ジョージ・オーウェルの『1984年』に流れている不穏な通低音にも劣らない(R・ダール全集版の柳瀬新訳が「通りゃんせ」になっているのは、訳者のセンスを疑いますね)。2つ目は英テクノ・グループ、808 Stateの曲〈Nephatiti〉に、映画『夢のチョコレート工場』の中でウィリー・ワンカ氏がヴェルーカ・サルトに言う台詞──「We are the music makers, and We are the dreamers of dreams.」の音声がサンプリングされていたこと。原作にはない台詞は19世紀の英国詩人アーサー・オショーネシー(Arthur O'Shaughnessy)の詩〈Ode〉からの引用だというが、ワンカ氏とヴェルーカ・サルトの会話が微妙に噛み合ない。なぜ脚本家は、この詩の冒頭2行を引用したのだろうか。

    HTMLのテーブル(table)とリスト(list)表示‥‥サイドバーの「CALENDER」はテーブル、「LASTEST ARTICLES」や「CATEGORIES」はリスト形式で書かれています。プロフィール画像(黒ネコ)の右にある3つのリンク、「article」「palindrome」「cats-log」の一覧表はテーブルで作ってありますが、昇降順を逆にしてリスト形式で作り直してみました。「LASTEST ARTICLES」「CATS-LIST」はサイドバーのタイトルが一覧リストへのリンクになっている。「COMMENTED ARTICLES」はコメントした記事一覧リスト(デフォルトは流れちゃう!)、「PALINDLIST」は回文を50音順に並び替えたものです。テーブル(表)とリストのどちらが見やすいかは兎も角、記述することを考えるとリストの方が簡単。毎月カレンダーを手動で更新していますが、貼り替え作業に慣れないと結構面倒です。リスト形式はCSSで横並びに一括変更出来るので、テーブルよりも汎用性が高いと思います。

    CSSの優先順位はブラウザに後から読み込まれる方が高い。「スタイルシート編集」の中にCSSを入れてもヘッダのカスタマイズが反映されないのは、その後に読み込まれるヘッダ(header.css)で上書きされてしまうから。この法則を逆用して、記事内に直接CSSを書き込めば記事限定のオリジナル・スキンが作れる。最初のスペシャル・スキンは〈ハロー・ウィーン〉‥‥ハロウィンに因んでパンプキン・カラーにしてみたものの、カボチャ色の指定が難しくて1歩間違うと、黄土色やオレンジ色に化けちゃう(ちょっと寝惚けた色になっちゃった)。〈月の時計のAlice〉はヴァレンタイン・デイに合わせたチョコレート・スキン。〈メレットの夢魔〉はブラック・スキン‥‥。黒地に白ヌキ文字の黒スキンは「SKIN SWITCHER」に加えたかったカラーですが、記事によっては色付けしたリンク文字が見え難くなってしまうので、記事限定で試してみました。

    「猫のゆりかご」(cat's cradle)は1本しか記事にならなかった。ネコ本シリーズの第4集をアップするつもりだったけれど、第3集〈猫とおさんぽ〉の閲覧数が〈猫のゆりかご〉〈猫にふたたび〉に較べて極端に少ないので、余り乗り気がしなかった。その代わりにネコ・ジャケ第2集〈猫のノリータ〉をアップしました。タイミング良く出版された『猫ジャケ ── 素晴らしきネコードの世界』(ミュージック・マガジン 2008)が、不思議なことに〈猫のスリスリ〉と1匹もネコ被りしていないことも動機になっている。それならば第2集も1匹も被らないように‥‥という意欲がムラムラと湧いて来たのだ。紹介した10枚のネコ・ジャケの中で、1枚だけ『猫ジャケ』と被っているアルバムがある。Pierre Barouhの《Daltonien》(Saravah 2006)──この子猫の寝顔の可愛さには抗し切れません。

    〈アーカイヴス 1980-1987〉で纏めたように、アーカイヴス・シリーズ(archives)は全10回で終了して、次回から「COMを読む」を連載しようと思っています。月刊マンガ誌「COM」を1年ずつ回顧して行く5回シリーズ。第1回目の〈COMを読む(1967)〉は既に発表済みですが、1年分の「COM」を久しぶりに読み返すのは愉しい体験だった。〈マージナル・ノート 1987〉は自由気ままな「読書ノート」で、1987年のベスト本を紹介したわけではない。最後に2008年に読んだ本のフェイヴァリット5を挙げておきましょう。1.『ムンク伝』(みすず書房 2007)スー・プリドー、2.『対極』(法政大学出版局 1985)アルフレート・クービン、3.『バートルビーと仲間たち』(新潮社 2008)エンリーケ・ビラ=マタス、4.『犬身』(朝日新聞社 2007)、5.『昔のミセス』(幻戯書房 2008)‥‥1. はムンク評伝の決定版。2. は発掘もの(某図書館の閉架書庫から借り出した)。3. の「バートルビー」とはメルヴィルの「代書人バートルビー」から。4. は犬好き作家による変身ファンタジー。5. のエッセイ集は辺見じゅんが起こした出版社から上梓された。

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    2008年12月1日に〈s k n y s - s y n k s〉はブログ開設3周年を迎えました。この1年間に公開した記事は61本(2007/12/1〜2008/11/26)。1ヵ月平均5本と少ないけれど、1つの記事が長い(約4000字前後)ので分量的には少なくないと思う。更新日は毎月1日・11日・21日の旬日を軸として、その間に6日・16日・26日を臨発的に配する月6回(中4日)を目指している。〆切日を設けないと記事を書かないので、自主的に更新日を決めています。2月末の大リニューアルに伴う激重〜障害・不具合の嵐は本当に酷かった。今でも記事作成ページやサイドバー編集ページのレスポンスは重い。リニューアル後、ソネ風呂から引っ越して行ったブロガーたちも多かったのではないでしょうか。隔靴掻痒のブログ3年目も、過ぎ去る時間のスピードだけは異常に速かったなぁ。

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    s k n y s - s y n k s

    s k n y s - s y n k s

    • Author: sknys
    • Provider: So-net blog
    • Date: 2008/12/11
    • Media: Internet
    • Page View: 256,520


    花 椿 APR.1977(No.322)

    花 椿 APR.1977(No.322)

    • 特集:現代男性の条件とはなにか
    • 出版社:資生堂
    • 発売日:1977/03/05
    • メディア:雑誌

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    コメント 4

    テレマーカー

    お久しぶりです。
    記事中にスタイル入れちゃうのは私も写真記事でやっています。
    その他だとスキー記事ではバナー画像を変えるとか。
    サイドバーでハーボットをランダムに出すのが成功しているので、試すかどうかは検討中。ちょっと重いしね。
    さて、ヘッダーをどう料理しようかな・・・。
    帯を残すか、SKNYS さんみたいにすっきりさせちゃうか・・・。
    by テレマーカー (2008-12-12 17:44) 

    sknys

    テレマーカーさん、コメントありがとう。
    「記事限定スキン」は少々面倒ですが、
    記念として残るし、記事に愛着も湧きます。
    黒地に白ヌキ文字のブラック・スキンには、ちょっと手こずったけれど^^

    ソネ風呂の絶滅種、ハーボット君が今も元気に生きているのが驚きです。
    バナー画像のランダム表示ではなく、
    スキン全体を読者が変えられる「SKIN SWITCHER』も試してね。
    ヘッダに現われた邪魔ものたちは魔法(CSS)で消しました^^;
    by sknys (2008-12-13 02:56) 

    モバサム41

    sknysさん、こんばんは。
    一月遅れですが、ブログ開設3周年おめでとうございます。
    自分が書く動機を与えてくれる場として、sknys-synksを応援しています。
    これからもどうかよろしくお願いします。
    by モバサム41 (2009-01-01 22:43) 

    sknys

    モバサムさん、コメントありがとう。
    他ブログに付けたコメントから新たな記事が生まれることがありますね。
    乗りかかった舟、怪我の功名、転んでもタダでは起きない?
    ‥‥意外に面白い記事になったりします。
    2009年は手抜き記事を書かないように自戒しなくっちゃ^^;
    by sknys (2009-01-03 20:26) 

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