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板橋虫歯隊 [p a l i n d r o m e]



□ 意地悪、歌が好き。炭入り髪光るカヒミ・カリィ、水着姿麗しい
カヒミ・カリィの『クロコダイルの涙』(Crue-l 1997)は洒落たアルバム。プロデューサに小西康陽、Coba、Momus、Katerine、日暮愛葉の5人を迎えたデビュー・アルバムはインディ制作とは思えない豪華さ。日・英・仏の3ヵ国語で歌われるウィスパー・ヴォイスに殺られちゃう。Momusがプロデュースした3曲にはLittle Rabbitsのメンバーが参加している。ネコ・ソングが2曲‥‥〈アルコール〉は恋人が溺愛している黒ネコの名前が最後に明かされる(猫=酒というメタファ)。〈Cat From The Future〉はSF仕立てのラヴ・ソング。未来からタイムマシンに乗って来たネコ。死んだ薄倖少女がネコに生まれ変わって、愛のない未来の世界から過去の恋人の許へ戻って来た。ネコとタイムマシンという道具立ては『夏への扉』を想わせなくもない。銀地にモノクロの横顔写真、光る黒髪の3面紙ジャケット仕様。炭入りシャンプーで黒髪が光るカヒミ・カリィの水着姿を見たくありませんか?

□ タイ〜箱根、「麻薬」嗅ぐ山猫はいた!
ボイオティアの大山猫(リンクス)のような透視能力を持っているわけではないけれど、タイの奥地に伝説の山猫が棲息していた。絶滅危惧種とも、20世紀末に全滅したとも伝えられる幻の山猫マファリナ。彼らには、ある特殊能力が備わっていた。麻薬犬のように「麻薬」に反応する鋭い嗅覚が!‥‥その山猫らしき種族が箱根の山奥で発見されたという。警察犬を麻薬犬に育成するには多大な時間とコストを要する。もし先天的に麻薬を嗅ぎ分ける能力を有する動物が存在するならば、アライグマのラスカルでも、黒猫キティでも良いじゃないか。動物愛護協会や自然環境保護団体などの抗議にも拘らず、警察官や機動隊による箱根山の捜索が国会で検討されている。箱根山中で捕獲された山猫「ハコにゃん」は日本国内の人気No.1ネコに躍り出た。もっとも、その特殊能力は実験の結果、コカインやアヘン(阿片)などの「白い粉」には激しく反応するものの、全国の大学生が室内やベランダで密かに育てている「観葉植物」には全く無反応だった。ゴロニャン。

□ まさか離縁、転身、進展?‥‥エリカ様
誰もが羨むほどの美人なのに無愛想なエリカ様。その太々しい態度や言動に批判が集中していますが、ここに来て熱愛中の恋人と破局!‥‥女優から映像作家へ転身という噂が囁かれている。日本人の父とフランス人の母を持つ日仏ハーフのエリカ様に双子の妹がいることは余り知られていない。フランス国内で活動している歌手のREICAさんは、Mylene FarmerやRoBERTの耽美路線を継ぐ新人として期待されている。日本のアニメ・キャラのコスプレみたいな衣裳やゴスロリ・ファッションに身を包んで歌うテクノ / ハウス風の音楽にパリジャンも狂喜乱舞。1stシングルは20万枚を売り上げてヒットチャートの10位以内に入ったとか‥‥。2ndシングルのPVを姉のエリカが撮ることになったことから、映像作家(映画監督?)へ転身かという憶測を呼んだらしい。その一方で、エリカ&REICAの双子姉妹が実は1人2役の「同一人物」だという説もネット上に流布しているのだが。

□ 寝たね、子作りに理屈捏ねたね
一昔前は恥ずかしかったことが、恥ずかしいどころか逆に祝福される傾向にある事柄の1つに「出来ちゃった婚」がある。そこには避妊しないセックスという無計画性や衝動的な行為に対する批判が、中絶や少子化という社会問題に相殺されて本質を見え難くしている。「出来ちゃった婚」したのは良いけれど、数年後に離婚 → 母子家庭 → 幼児虐待という最悪のケースも見えて来る。両親に望まれて産まれて来た子ではないので、離婚後の子供の立場は微妙だし、注がれる愛情も少ないのではないだろうか。タルコフスキーの『ノスタルジア』(1983)の中で、いつまでもグズグズと煮え切らない暗鬱な主人公に恋人が逆ギレする場面があった。アンジェイ・ワイダの『大理石の男』(1977)の中で、長い脚を組んでタバコを喫う映画科の女子学生ヒロインはセックスに理屈を捏ねるタイプかもしれない。God Is My Co-Pilotに《Sex Is For Making Babies》(Semantic 1994)というタイトルのアルバムが、Joni Mitchellには〈Sex Kills〉という曲もありました。

□ 胃が痛いか、腹、歯が痛いかい?
ヴァレンタイン・デイは好きな男の子にチョコレートをプレゼントする特別な日。でも、あたしはチョコを貰いたい人。大好きなチョコを食べたい女の子。カカオ豆の中に含有するポリフェノールが健康に良いとTVで紹介された途端に、近所のスーパーの棚からココアの缶や袋が消えたことがあったわ。納豆のパックもバターの箱もバナナの房も一夜にして全部無くなっちゃった。地球上から米や小麦やトウモロコシ‥‥他の食物が全部消えてもチョコレートだけは無くならないようにって、毎晩寝る前に神様にお願しているの。そして、あたしの見る最高の夢はチョコレートの家に住んで、チョコレートの温水プールで泳ぐこと。昨夜も食後にチョコレート・ケーキとエンゼル・パイとマーブル・チョコとコアラのマーチとキットカット(和栗)を食べちゃった。

朝起きたら、お腹がシクシク痛い。ベッドの上で横になっていたら、奥歯がジンジン痛み出した。あたしが泣いていると、窓の外から奇妙な歌が聴こえて来たの。「♪胃が痛いか、歯が痛いかい。そこの男の子、甘いものばっかり食べていると虫歯だらけになっちゃうぞ。そこの女の子、チョコばっかり食べているとチョコボールみたいな顔になっちゃうぞ!」‥‥ちょっと待ってよ。「チョコボールみたいな顔」って、どんな顔かしら。あのウンパルンパ族みたいな?‥‥。野球のホームベースみたいなゴツい顔をした男の人が出て来て、「シールやワッペンばっかり集めていると、オジサンみたいな顔になっちゃうぞ!」って言って、カツオやワカメをビビらせる4コマ・マンガがあったなぁ。行きつけの美容院で読んだ「よりぬきサザエさん」だったかしら。その時、「ワッペンって何よ、頭の禿げているサッカー選手のこと?」って、ママに訊いたんだっけ。あれっ、いつの間にか、お腹も奥歯も痛くなくなってるわ。学校に遅刻しちゃう‥‥今日も「板橋虫歯隊」が行く。

□ 来て苦悶、裁判員殺しはシロ?‥‥婚姻は遺産目的
ある豪邸で主人が殺害された。被害者の両親と双子の兄妹は高齢の老人と幼い子供ということで容疑者リストから外された。残る屋敷内の住人は執事や料理人、メイドなどの使用人7名だが、差し当たり彼らには動機が身当たらない。真っ先に疑われたのは後妻のX夫人だった。容疑者Xが結婚したのは数十億という莫大な資産目当てだという噂が絶えなかったし、夫との年の差や美しすぎる容姿を考慮すると、その風評を俄かに否定するのは難しい。しかし、警察官が事件現場に着いた時に一番驚いたのは、そこに私立探偵の綾取猫人と黒猫のコロネが居合わせていたことだった。綾取探偵は殺された夫に妻の素行調査を依頼されて、たまたまY邸を訪れていた。ところが、いつまで待っても依頼主Yは姿を現わさない。不審に思った執事が2階にある書斎の扉を合鍵で開けて室内に入ると、主人は左胸にナイフが刺さったままの状態で椅子に坐っていたのだ。

実は探偵と顧問弁護士にしか知らされていない秘密事項が1つある。殺害された主人は「裁判員」に選ばれた1人だった。被害者が裁判員を務めている裁判、法廷で現在公判中の「殺人事件」が、今回の「殺人事件」と関係があるのかどうかは今のところ不明。整理するために裁判中の事件を「殺人事件A」、裁判員が殺された事件を「殺人事件B」としよう。「殺人事件A」は凶悪犯罪で、もし有罪となれば容疑者は無期懲役か死刑は間逃れないという。公判中に裁判員が死亡した場合、新たな裁判員を補充するのか、定員割れのまま裁判を続けるのかは兎も角、殺害された被害者が「裁判員」だったことをマスコミに公表するか否かで検察と司法で意見が真っ2つに割れている。「殺人事件B」の第1容疑者の妻Xには鉄壁のアリバイがあった(裁判員殺しはシロ?)。密室殺人のトリックと容疑者Xのアリバイ‥‥あるいは別の真犯人Zが存在するのだろうか。苦悶する迷宮探偵・綾取猫人と黒猫コロネの名推理。コロネちゃんが真犯人を鳴き当てる。にゃあ。

□ 大群、ミレーヌが漕ぐ川、覚悟カヌー、レミングいた!
ミレーヌ・ホフマン(009ノ1)はボスからの指令を受けて南米アマゾンへ向かった。第3国への亡命を望んでいる老博士シンクスの身柄を保護して国外に逃がすのが今回の彼女のミッションである。某国の研究所はアマゾン川奥地のジャングルの中に隠れるように建っていた。まるで要塞のように窓1つない立方体の研究施設へミレーヌは新任研究員という名目で潜入する。シンクス博士は遺伝子工学の分野では世界的に有名な研究者の1人だった。ある夜、博士と研究所を脱出してアマゾン川を下る。予め河岸のブッシュに隠してあったカヌーに博士を乗せてオールを漕ぐミレーヌ。幸い追っ手は迫って来ないようだが、川の行く手一帯には濃い霧が立ち籠めている。一瞬霧が晴れて、前方に不気味に蠢く大群の影が見えた。獰猛な人喰いワニの大群かもしれないと思って、ミレーヌは覚悟を決める。しかし、目の前に現われたのは、集団移住のために川を渡っている齧歯類のタビネズミ‥‥可愛いレミングたちの群れだった。

□〈ダリ展〉行く僕、インテリだ
シュルレアリスム絵画が好きで、マグリットやデルヴォー、エルンスト、レオノール・フィニレオノーラ・キャリントン、レメディオス・ヴァロなど‥‥都内で開催される展覧会には出来るだけ足を運ぶようにしているが、〈ダリ展〉だけは何故か異常に混雑している。どうしてダリだけが、こんなに大人気なのか。もしかしたら、ダリは既にシュルレアリスム絵画の範疇を超えているのかもしれない。生誕100年記念の〈ダリ回顧展〉(上野の森美術館 2006-07)も入場制限するほどの大混雑で、美術館の前に長蛇の列がジグザグの蛇腹模様を描いていた。トレードマークの口髭とビックリ眼、常軌を逸した奇行や言動など、スキャンダラスなイメージはダリ自身が演出した巧妙なパブリック・イメージで、本人は真面目なインテリだった。〈ダリ展〉を観に行く鑑賞者たちの多くは「僕」も含めて、非インテリ集団だろう。こんなにも数多くのインテリ層が行列を作るはずがない。ダリを見る人たちの多くがインテリでないのは、上野公園の花見客の多くがインテリでないのと同じことである。

□ 寂しい現役クリスマス、休まず六義園、刑事ピザ
「クリスマスに六義園で逢いましょう。ハサミ男」──ネット上の掲示板に書き込まれたコメント。2年前に世間を騒がせた連続髪切り魔が2008年末に帰って来るのだろうか。同じ文京区内にある後楽園ならば兎も角、選りに選って六義園とは地味な庭園を出没場所に指定したものである。こんなマイナーなところに犯行対象のロングヘア(黒髪)の若い女性が来るのかどうか大いに疑問だ。単なる模倣犯や愉快犯を気取った面白半分のジョークとしか看做されず、事実上捜査が打ち切られたも同然の特捜班も全然本気にしていなかった。それでも念のためということで、窓際族のオレ1人だけが庭園内の警備に当たっている。Xmasのイルミネーションで煌めく後楽園とは対照的に閑静な六義園。意外だったのは結構アベック客が多いこと‥‥それが独身刑事には却って堪えたりする。肌身が寒いのは北風のせいばかりではない。Xmasケーキの代わりに宅配ピザを携帯で注文することにした。せめてアルコール飲料でも飲めれば、冷えきった躰も暖まるのだが‥‥その時、若い女性の悲鳴が六義園内に響き渡った。ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ〜ッ!

□ 留守番、産気妻が「マツケン・サンバ」する
マタニティ・ミュージック(胎教音楽)を聴く(聴かせる?)ことが妊婦の間で流行っているらしい。その定番はモーツアルトだという。ディズニーのマタニティ・アルバムは妊娠前期と後期に分かれた2種類で、オルゴールがアニメのメロディを優しく奏でる。日本中の妊婦たちが全員モーツアルトの音楽を聴いている姿を想像すると、学校給食の「カレーの日」みたいな気味悪さに襲われちゃう。ハードロックでもヘヴィメタでも、レゲエでもアフロでも、テクノでもヒップホップでも、フリーフォークでもエレクトロニカでも、母親が心地良いと思える音楽を自由に聴けば良いのにと思いますが、産後も「絵本」とか「英語」とかいう没個性の幼児英才教育が延々と続くのでしょうね。夫の留守にヨガ体操する妻。突然産気づいちゃって、「マツケン・サンバ」を踊り出す。ちょっと大丈夫なの?‥‥「マツケン産婆」がいるから安心という、ダジャレ回文にもなっています。

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  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • サンバ(産婆)回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #13」の解答です^^

 スニンクスなぞなぞ回文 #14

 火田七瀬見た◯◇△▢☆◇△◎は◎△◇☆▢△◇◯た見せ七度

 回文作成:sknys

 ヒント:サイコメトラー七瀬ななたび?



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Larme De Crocodile

Larme De Crocodile

  • Artist: Kahimi Karie
  • Label: CRUE-L
  • Date: 1997/03/25
  • Media: Audio CD
  • Songs: alcohol / superfreak / david hamilton / electrophone / paris, texas / lolitapop dollhouse / tiny king kong / cat from the future / watashi no jinsei, jinsei no natsu / les lecons de francais

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