SSブログ

P.S. I LOVE 2 [g a m e]



2000年3月4日に発売されたPS2(Play Station 2)は大方の予想を裏切る斬新なデザインだった。2昔前のオーディオ・アンプみたいな黒い艶消しボディに紺から青にグラデートするPS2のロゴ、同色の縦置きスタンドに収まった勇姿はゲーム機というより外付けHDDや本立てを連想させる。しかし、機能面ではPS1ソフトとの下位互換性を維持しつつ、PS2用のCD&DVD-ROMに対応したゲーム機+DVDプレーヤだった。新しいゲーム機器を発表する度に、旧ソフトと互換性のない高価なハード&ソフトをユーザに買わせる悪辣な商法に比べるまでもなく、今までPS1で遊んでいた「ゲームおたく」から、今はゲームに余り興味ないけれど、取り敢えずゲームも遊べるDVDプレーヤとして1台購入してみようかという一般人にも幅広くアピールして、初回出荷「100万台」を達成!‥‥今日のDVDソフトの普及、市場拡大の起爆剤としても機能したのだ。

その一方で別売アクセサリ(縦置きスタンド)の品不足、メモリーカード(8M)の初期不良、DVDプレーヤの「地域コード」が、ある操作でリージョン・フリーになってしまう不具合(好都合?)──ファミ通のH元編集長は「初回特典」などと言っていたが──など、問題も少なくなかった。それよりも多くのユーザは電源をONにした途端、回転し続ける冷却ファンの騒音に驚いたのではなかったか!‥‥。PS1はトレイ方式ではなくCDラジカセ風に上ブタを開く原始的なタイプだったので、ソフトによってはCD盤の回転を止めても(CD-ROMを取り出しても)内臓メモリだけで動いたけれど、PS2はトレイを開けても冷却ファンだけは無神経に回り続ける。TVモニタの横に縦置きした場合、モニタ画面から余程離れるか、大音量でプレイするか、ヘッドフォンを装着しないと、特に深夜帯は耳障り?‥‥TVラックのガラス戸の奥に横置きした方が無難かもしれない。

                    *

『Ridge Racer V』(namco 2000)はPS1本体と同時発売(1994.12.3)された3Dレーシング・ゲームのシリーズ5作目で、同じくPS2ハードと同発された。初代『RR』の2コース、全13車種というシンプルな内容に比べれば、7コース、隠しカーをも含めて全21車種とヴォリューム・アップ‥‥当然画質も挙動も向上しているが、後発のリアル・ドライヴィング・シュミレータ『Gran Turismo 3』(SCE 2001)に比較するとインパクトに欠ける。もっとも、現存する車種(どうしてポルシェが入ってないの?)に乗って実在のサーキット場を走ることに興味のないドライヴァーにとっては、常軌を逸したドリフト走行や超高速のデヴィル・カーなど、非現実感の漲る『RR』シリーズの方が愉しめる。特に『RV』に登場するピンク色のアメ車スペクトラ(プルート)の破天荒な暴走ぶりには笑ってしまう。ただし、このクルマも含めた9台のシークレット・カーを乗り熟してグランプリに参戦出来ないのは残念!‥‥新レースクイーンの深水藍も素っ気ないクール・キャラで取り付く島もない。『R4』(1998)の永瀬麗子ちゃんはコッソリ応援メールを送って来たのにね。

                    *

『鉄拳 4』(namco 2002)の新機軸は「壁」の概念と壊せるオブジェクト(障害物)とアンジュレーション(段差)。対戦相手を「壁」に追い詰めることで大打撃を与えられるようになったし、彫像や柱や電話ボックスなどを破壊することで派手な演出効果を生む。三島一八、スティーヴ・フォックス、クレイグ・マードック、クリスティ・モンテイロ、ポール・フェニックス、凌暁雨(リン・シャオユウ)、キング、花郎(ファラン)、吉光の10人のデフォルト・キャラで「ストーリーバトル」をクリアする毎に新たな裏キャラ、風間仁 → バイオレット → ニーナ・ウィリアムズ → 雷武龍(レイ・ウーロン)→ ブライアン・フューリー → ジュリア・チャン → クマ → 三島平八 → コンボットが出現する。新キャラはミドル級世界チャンピオンのスティーヴとバリトューダー王者のクライグが参戦。隠しキャラの李超狼(リー・チャオラン)、エディ・ゴルド、パンダ、美晴を加えると総勢22名。アーケード(タイムアタック)・モードや2P対戦は勿論のこと、各キャラの固有技を練習出来るプラクティス・モードも充実している。

戦いの場所はエアポート、ビルディング(屋上)、ショッピング・モール、ジャングル、シンジュク(新宿)、ビーチ、ラボラトリー(研究所)、パーキングエリア、アンダーグラウンド、アリーナ(金網リング)の10ステージ。脚技を封印されたスティーヴでクリアすると「Statue」ステージが選べるようになり、次々と襲い掛かって来る鉄拳衆を倒して本丸に突入する「TEKKEN FORCE」をクリアすると隠しステージ「Hon-Maru」が現われる。現役女子高生リン・シャオユウの中国拳法は、ポールの崩拳のような一撃必殺技はないけれど、低い姿勢の鳳凰の構えと相手に背を向けたポーズから多彩な技を繰り出す。彼女のピンクのミニドレスや赤いチビジャケ+黒いタンクトップ+灰色パンツの色合いなど、他キャラのコスチューム・デザインも洒落ている。ミニスカ制服の中に青いブルマーを穿いているのは兎も角、親友の美晴も白いルーズソックスというのは芸がない。どちらか一方は紺ソ(紺色ハイソックス)にして欲しかったなぁ。

                    *

『鬼武者』(Capcom 2001)は本邦初の本格的なチャンバラ活劇。基本的にはドアを開けると、ゾンビがガブリッ!‥‥という〈バイオ〉シリーズの「銃」を「刀」に持ち替えたアクション・ゲームで、謎解き、暗号、パズル要素に加えて、戦術殻(雷・炎・風)を使った特殊攻撃など派手な技も繰り出せるが、構え、防御、弾き返し、鍔迫り合い、必殺(一閃)など、単なる斬り合いに終わらない奥深さがある。主人公に実在した歴史上の人物・明智左馬介秀満(キャラ&ヴォイスは金城武)、伊賀の女忍者かえで(上戸彩?)が花を添える。時は戦国時代(1560)‥‥明智光秀(叔父)の血を引く左馬介は何者かに誘拐された従妹の雪姫を救いに稲葉城ヘ向かう。その道中、鬼之一族から「鬼の篭手」を授かった左馬介は魔界(地底世界)に棲み、地上に現われては人間を殺戮する幻魔たちと闘うことになる。

幻魔に魂を売り渡した影の裏ボスに織田信長、ザコ敵は足軽兵(ゾンビ)だが、中ボスキャラは〈バイオ〉シリーズに負けない異形のバケモノ揃い。本編中の地下20階にも及ぶ〈魔空空間〉(B1〜20を踏破することでマル秘アイテムを入手出来る)や「蛍石」を20個集めると出現する隠しミニ・ゲーム〈鬼魂〉、兇悪パンダの着ぐるみ(左馬介)や小悪魔風の超ミニ・チャイナドレス(かえで)など‥‥クリア後の「隠しコスチューム」もクレイジーで愉しい。面白いのは、小谷真理が『SFが読みたい!』(早川書房 2002)の「マイ・ベスト5[国内篇]」で、《『鬼武者』にのめりこんだ。オープニングCGはヒロイック・ファンタジイとして完璧。設定はもろ伝奇+スプラッターパンクSFで、エンジョイした》と絶賛しているように、純日本風に始まった物語が進行するに連れて中世ヨーロッパ風の世界観〜様式美へと変化して行くところ。ラストの大ボスとの死闘は西洋騎士ファンタジーと化している。

本編とミニ・ゲーム〈鬼魂〉をクリアして「鬼武者」の称号や「最強モード」を折角得たのに、突然のメモリーカードのクラッシュ(初期不良)で、貴重なセーヴ・データを一瞬にして失ってしまった(メモリーカードはメーカが無償で新品と交換されたものの、失ったデータは救い出せなかった)。その時の喪失感はゲーム中に操作キャラが死んだ以上のもの‥‥想うに本当に大事なものはゲームで遊んでいた時の記憶=記録にある。たとえソフトは無くしても金さえあれば同じ製品を買い直せるし(人気タイトルは発売後半年〜1年で廉価版が出る)、新品に拘泥らなければ低価格で中古市場に溢れている。パソコンのHDDが万一クラッシュしてデータを失ってもOSや付属アプリケーションは再インストール可能だが、ユーザ自身がコツコツ書き溜めた「文書」や苦労して撮った「写真」や「映像」は事前にバックアップしておかないと取り返しが着かない。

つまり「文書」や「写真」などの個人データに当たるものがメモリーカード内のセーヴデータなのだろう。今はセーヴ・ポイントやクリア・データくらいしか保存出来ないが、近い将来大容量化すればプレイしたゲームを丸ごと──クリアに何10時間もかかるRPGは無理かもしれないが──あたかも1編の映画のように記録可能になるかもしれない。世には「やり込みプレイ」と称して人気ゲームの「最速クリア」や「制限クリア」に挑戦する強者が後を絶たない。実際そのプレイをヴィデオ・テープに録画してゲーム誌に投稿するコーナもあったりするのだが、たとえば〈バイオ〉シリーズ定番の「ナイフ・クリア」や「最短クリア」などの映像を観てみたいものだと予々思っていた。会心プレイの入ったPSPやiPodを持ち歩いて、ゲーム仲間同士で見せ合うのも愉しい。100人がプレイすれば100通りのストーリが存在する。今まではリアルタイムで遊んだ時の「記憶」としてしか残らなかったものが、個人的な「記録」として万人に公開可能になるのだ。

                    *

『Rumble Roses』(Konami 2005)はPS待望のCREO18(18才以上対象)指定の女子プロレス対戦格闘ゲーム。総勢20名の美女レスラーたちが四角いリング上〜場外で、際どいコスチューム、あられもない姿で組んず解れず闘う(レズ&SMチック?)エロゲーなのだ。今までにも美少女の胸が異常にユラユラ揺れる『DEAD OR ALIVE』シリーズや、お色気ギャルゲーはあったけれど、ここまでエロ(バカ?)に徹したPSタイトルは珍しい。『RR』の特徴は10名の女子レスラーをベビーフェイス(善玉)とヒール(悪役)の2人(1人2役)に属性チェンジする一種のザッピング・システムと、試合中に屈辱的な技を決められるとHゲージが上昇し‥‥満タンになると屈辱状態に陥って、より以上に恥ずかしい(←いやらしい)必殺技が発動されてしまうH(Humiliation)ムーヴ。善・悪各キャラにHムーヴの他に2種類の固有必殺技、4種類のコスチューム(水着2種)、泥レスと隠しステージを含めて全5種類のリングが用意されている。

正統派美女レスラーの日ノ本零子、アイドル系柔道少女の藍原誠、忍者部隊「乙組」のくの一・紅影、檻の中で飼われている謎のキャット・ウーマン(行方不明の零子の姉?)、テキサス出身のカウガール保安官デキシー・クレメッツ、女パンク・バンドで活動する不良女子高生キャンディー・ケイン、彼女を更生させようとする女教師のミス・スペンサー先生、危ない看護婦コスプレのアナスタシア、どこから見てもビヨンセそっくりのソウル歌姫アイーシャ(Aaliyah?)、裏キャラで愛と正義の戦士○ューティ・ハニー(?)も登場する。固有技が少ない(コマンド入力が単純で、共有技は同一モーションになる)、2人タッグが組めない、泥レス場の泥に粘着力が乏しくカフェオレ風呂(エロくない!)にしか見えない、CREO18指定の割りにはストーリが幼稚、北米市場に向けて開発されたソフトのせいか国籍・人種が米・加に片寄りすぎ、コスチューム(特に水着)が下品!‥‥など不満な点は多々あるものの、「苦戦のルーキー・タイトル」の中では愉しめる1本です。

                    *

PS2ソフトは厚手のCDケースに入っていた旧PS1と区別する意味合いもあってか、トール・サイズの黒いケースに収まって店頭で売られている。しかし、元々CDと同じジェル・ケースで販売されていたDVDソフトが、いつの間にかトール・ケースに淘汰されてしまった現在、今度は逆にDVDとPS2の見分けが着き難くなって来た。この黒いトール・ケースは旧VHSソフトと背丈を揃えただけという不粋なパッケージで、省スペースにも反するし、解説書も縦長でCD用ソフトケースの中に収まらない。安っぽく粗悪な外観が厭で新作DVDやPS2ソフト自体にも嫌気が差してしまうほどなのだが、2006年11月11日、最新ハードと共に発売されたPS3用のソフトは新パッケージに改善されていた。次世代光学記録メディアのブルーレイ(Blue-ray Disc)を一早く搭載した初代PS3は高価格が災いして、PS2ほど普及しなかった。だからと言って、PS2ソフトと互換性のない新機種を低価格で発売するのは本末転倒ではないでしょうか。

                   *
                   *




リッジレーサー V(RIDGE RACER V)

リッジレーサー V(RIDGE RACER V)

  • キャスト:深水 藍 / デヴィル / プルート / スピリット / エンジェル / パックマン
  • メーカー:namco
  • 発売日:2000/03/04
  • メディア:Video Game


鉄拳 4(TEKKEN 4)

鉄拳 4(TEKKEN 4)

  • キャスト:三島 一八 / スティーヴ・フォックス / クレイグ・マードック / クリスティ・モンテイロ / ポール・フェニックス / マーシャル・ロウ / 凌 暁雨(リン・シャオユウ)/ キング / 花郎(ファラン)/ 吉光
  • メーカー:namco
  • 発売日:2002/03/28
  • メディア:Video Game


鬼武者

鬼武者

  • キャスト:明智左馬介秀満 / かえで / 雪姫 / 夢丸 / 織田 信長 / 木下 藤吉郎
  • メーカー:CAPCOM
  • 発売日:2001/01/25
  • メディア:Video Game


ランブルローズ(Rumble Roses)

ランブルローズ(Rumble Roses)

  • キャスト:日ノ本 零子 / 藍原 誠 / イーブル・ローズ / アイグル / 紅影 / デキシー・クレメッツ / キャンディー・ケイン / ミス・スペンサー / アナスタシア / アイーシャ
  • メーカー:KONAMI
  • 発売日:2005/02/17
  • メディア:Video Game

コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0