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ネコ・ログ #11 [c a t a l o g]

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  • 猫を神として崇めていた古代エジプトでは、飼っていた猫が死ぬと、飼い主は眉を剃り落として、喪に服していたそうである。わたしと男がともに眉を剃り落とす日は、遅かれ、早かれ、やってくる。わたしにはそれまでに、よく考えておかなくてはならないことがある。それは自分自身の身の処し方だ。うちの猫がわたしよりも先に死んでしまったと仮定して、果たしてわたしは殉死を思いとどまることができるのかどうか。まったく自信がないのである。/ アメリカを代表する詩人のひとり、エミリィ・ディキンスン(1830~1886)の詩に「I died for beauty」という作品がある。/ わたしは美のために死んだ / 墓に葬られるとまもなく / 隣の部屋に / 真理のために死んだ人が運ばれてきた〔‥‥〕美しい。/ 心がシン、とするような詩だ。わたしの場合にはやはり、I died for my cat. 「私は猫のために死んだ」 これしかないだろうと思うのだ。
    小手毬 るい 「人はなぜ、猫に癒されるのか」


  • ♯91│サビ│ノラ猫? ── ダイエットしなくちゃだよ
    もしかしてバケラッタにゃん太郎?‥‥暫く見ない間に随分大きくなったなぁ。ちょっと肥りすぎ良太郎かもと思って良く見ると、首輪に付いている丸いメダルに「サビくん」と書かれている。別ネコ28号なのだろうか。でもスリ寄って来て仰向けにゴロニャンする仕草は、にゃん太郎そのもの。そのメダルには連絡先(Tel.)も記されているので、飼い猫だと信じていたら、トミーの女飼主が「ノラちゃんなのよ」と言って、サビくんにもゴハンを与えていた。この連絡先は一体どこなのかという新たな疑問も浮かんだが、きっと他の家々でも同じようにゴハンを貰って食べている間に、デブ猫サビ太郎になってしまったのではないか。飼い猫のトムがチビ痩せタイプなのも可笑しい。サビとトムは2倍くらいの体重差があるかもしれない。2匹の仲は余り良くなさそうなのですが。

    ♯92│キム│飼い猫 ── M家の猛ネコに御用心!
    M家の門の中にいる2匹のネコたちは始終怒っている。目が合うや否やシャーシャーと威嚇する。飼い犬ならば「猛犬注意!」というステッカーを門柱に貼っていることだろう。「毎日ゴハンをあげているのに全く馴れる気配がない。家のネコたちは一体どうしちゃったのかしら?」と、女主人は困惑げに首を傾げる。凶暴キムの悪影響か、黒ネコの方も同じように人間を威嚇するようになってしまった。強がっている割には玄関の隅の方へ逃げて行くのだが‥‥。玄関の扉の前で睨んでいるキムをフラッシュ撮影!‥‥2〜3m離れていただろうか。肥っているわけではなく全身の毛を逆立てているために、顔に比較して胴体が大きく見える。意外と美猫だったのね。美人なのに、髪の毛を逆立てて絶えず周囲に悪態を吐いている攻撃的な性格の女パンクスみたいな感じでしょうか?

    ♯93│ドミノ│飼い猫 ── びっくり猫屋敷の殺人 4
    ネコ科の動物は高いところが大好き。瓦屋根の上に寝転んで日向ぼっこをしたり、樹に昇って周囲を睥睨したものの降りられずにミャーミャー鳴いて救けを求めたり‥‥昇ったは良いけれど、お尻を下にして降りることが出来ない。頭を下にした状態で垂直に降りようとするのだから、ネコと雖も怖いに違いない。思い余って手を貸そうとすると上へ逃げたり、樹に爪を立てて必死にしがみつき、ギャーギャー鳴いて梃子でも動かない。高い塀の上には軽やかにジャンプして乗り降りしているのに‥‥不思議ですね。塀の上のドミノは目の前で起きた殺人事件を目撃しているにしては、ユーモラスでトボケた顔をしている。土曜ワイド劇場「びっくり猫屋敷の殺人 4 ──塀の上のネコは見ていた! 猫好き老婆の惨殺死体、美人ヘルパー金井未寝子とトラ猫ドミノの名推理 !?」。

    ♯94│ホルム│ノラ猫? ── 不機嫌顔のペルシャちゃん
    ホルムちゃんは長毛種の黒茶ネコで、サビくんと同じく首輪に付いている丸いメダルに名前と連絡先が記されている。彼(彼女)も特定の飼主がいない地域猫なのかもしれない。通りがかりに挨拶すると、羊みたいにメーメー鳴きながら足許に纏わり着く。その不機嫌顔に反して人懐っこい性格で、甘えて来ます。ある日、どこからともなく2回りも大きな図体の良く似た長毛種のネコが近づいて来た(クマのプーさんかと思ったよ)。その瞬間、ホルムは前脚を振り上げて威嚇!‥‥私のもの(テリトリー)なんだから、ちょっかいを出さないでよ!‥‥と言わんばかりの豹変ぶりにビックリしちゃった。その場を離れて身繕いをする大ホルム。何事もなかったようにメーメー鳴く小ホルム。躰は小さいけれど猫一倍、気は強いのね。躰の大きなネコの方が実は気弱で大人しいという現場に何度も立ち会っています。

    ♯95│レン│飼い猫 ── 青い睛が美しかった
    T武東上線トキワ台駅近くの沿線沿いに美ネコがいた。青空のように澄んだスカイ・ブルーの睛を持ったネコだった。隣が犬猫病院という、これ以上ない恵まれた環境‥‥たまたま隣で遊んでいただけなのかもしれませんが。警戒しているのか、人見知りするタイプなのか、家屋と家屋の隙間に入ったまま出て来ない。それでも興味はあるらしく、青い睛でジッと見つめている。お互いに痺れる展開の持久戦に突入したものの、陽も傾いて翳って来た。美しい青い睛を撮りたかったけれど、陽も落ちてフラッシュ撮影を余儀なくされた結果、碧眼ではなく赤目になってしまった(iPhotoで右目だけは補正しました)。動物病院で飼っているネコも可愛かったのですが、落ち着きなく動き回る性格なので、女飼主が抱いてくれたのにも拘らず思うように上手く撮れませんでした。

    ♯96│クロラ│飼い猫 ── 撃墜王クロネコ
    『スカイ・クロラ』(中央公論新社 2001) に登場する伝説の撃墜王ティーチャが乗る戦闘機のボンネットには「黒ネコ」のマークが描かれている。ティーチャ(teacher)というニックネームが俊足チータ(cheetah)のモジリならば、「黒ネコ」ではなく「黒ヒョウ」と呼んだ方が正しいのだが。クロラはソランと良く似た黒ネコで、同じ飼主に飼われているらしい。2匹の見分け方は目の色──ソランは黄色で、クロラは緑色系。青い首輪のソランに対してクロラの首輪は飛行士が巻いているネッカチーフのように見えなくもない。仲良くなって、後を尾いて来るようになったソランとは対照的に、クロラは独りでいることを好むクールな性格。少し離れた場所で、毛づくろいに余念がない。敵機を見定める戦闘パイロットの眼?‥‥「撃墜王クロネコ」が警戒する相手は人が乗った自転車や散歩させている犬たち。彼が狙う獲物は地上に舞い降りて来たハトやカラスである。

    ♯97│トミー│飼い猫 ── ツリ目がチャーム・ポイント?
    ウルトラマンのようなツリ目に「眼ヂカラ」のあるチビ猫トミーさんは、遠くからでも目が合うと近寄って来てハスキー声で甘えます。お尻を高く突き出してスニーカーに頭を乗せる。ゴム底や革の匂いに惹きつけられるのだろうか。一見寛いでいるように見えても、そんな時は要注意!‥‥気を許していると前脚で爪を研がれて、一瞬で革靴をボロボロにされてしまいます。首筋を撫でてあげると、お腹を見せてゴロニャン状態になる。頭をコックリさせて微睡む気持ち良さそうなコーコツ顔を眺めているとAV男優になったような気分。ピンクの首輪(この写真では見えないけれど)が「女性」であることの証しでしょうか。そんな至福の時でも外界の変化には常に敏感で、自転車に乗った人や犬を散歩させている人が通りがかると躰に緊張感が走る。サビくんが近寄って来るとホルムと同じように威嚇します。テリトリーにしている駐車場のクルマには気をつけてね。

    ♯98│タナ│地域猫 ── 真夏の悪夢 午睡の夢
    N山道に出る横道のマンションの非常階段にプラスチックのネコ・ケース(Neko Caseではありません)が置かれている。路肩の角にスリスリしていた痩せっぽちの白茶ブチ猫は、このマンションで飼われるようになったらしい。タナの写真を撮っていると、通りがかりの男性が「マンションの住人が世話するようになった。土手(S川緑地)のノラたちよりは幸せだろう」と言うのだ。ゴハンの心配はしなくて良いし、雨風も凌げる。酷暑の夏は日陰で午睡、厳寒の冬はネコ・ケースの中で暖まる。でも土手のノラ猫たちと較べて、独り猫なのが寂しそうに映る。ネコは過酷な環境下でも仲間と一緒のノラの方が幸せなのか、それとも人間に庇護されたペットの方が幸福なのか?(健康面から言えば、室内で飼われているネコの方が長生きする)‥‥ネコの気持ちは「猫語」で訊いてみないと分からないけれど。

    ♯99│マージ│飼い猫 ── びっくり猫屋敷の殺人 5
    「びっくり猫屋敷」のネコたちも人に馴れているネコAと警戒しているネコB、近寄って来るタイプAと逃げちゃうタイプBがいる。チャコール・グレーのヴィー(A)と遊んでいると、興味津々という感じで遠巻きにして様子を窺っていたネコたちも怖ず怖ずと近寄って来る。その中の1匹をローアングルで接写。ネコと仲良くなる最良の方法は屈んでネコと同じ目線になること。人が直立した状態はネコに威圧感を与える。急に立ち上がったり、手足を動かしたりする素速い動きも厳禁。ネコと接する時はスローモーションを心懸けましょう。デジカメに興味を持ったらしく大きな目で見つめているマージくんは、タイプAとBの中間で、手懐ければタイプAになる余地もある。白と黒のコントラスト。中央手前にマージ、上部奥に車道の白線(パースペクティヴ)が消失している。

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    各記事のトップを飾ってくれた猫ちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第11集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下にあるナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、#ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ100匹以上のネコたちを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされる。『猫ジャケ ── 素晴らしき “ネコード” の世界』(ミュージック・マガジン 2008)には「古今東西の猫のレコード・ジャケット約200枚が大集合」しています。拙記事の〈猫のスリスリ〉(Sknynx 2006)と1枚も被っていないところが凄いですね。和洋混淆の「猫ジャケ 200」ではなく、邦楽編(和猫)、洋楽編(洋猫)の2分冊で出して欲しかった。〈101匹ネコちゃん大行進!〉をUPしました。あなたの街のネコたちに愛とゴハンを‥‥。

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    猫ジャケ ── 素晴らしきネコードの世界

    猫ジャケ ── 素晴らしきネコードの世界

    • 著者:湯浅 学 / 原田 和典 / 片岡 知子 / 黒住 隆子 / 小島 麻由美 / 前田 敬子 / 松本 幸恵 / 宮本 裕二 / 高岡 洋詞
    • 出版社:ミュージックマガジン
    • 発売日:2008/08/19
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:猫ジャケの森を歩く / ひとり猫 / なかよし猫 / 美女と猫 / 紳士と猫 / 絵になる猫 / 遠藤賢司と猫たちの40年〜猫と純音楽の素敵な関係 / 猫ジャケ名作ウラ話 / 私が好きな3枚 / 索引 / ジャケット提供者一覧

    タグ:cats catalog
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