PALERMO HOLLYWOOD (Riviera 2016) Benjamin Biolay
AMOR GERAL (Sony Music 2016) Fernanda Abreu
BRINQUEI DE INVENTAR O MUNDO (Maravilha 2015) Jozi Lucka
COSECHA (Independente 2016) Ana Larrubia
COLECAO (Phonomotor 2016) Marisa Monte
HOPELESSNESS (Rough Trade 2016) Anohni
COMPLETE MUSIC (Mute 2016) New Order
ADENTRO FLORESTA AFORA (Independente 2016) Leonora Weissmann
SPACE & TIME (Les Disques Du Crepuscule 2016) Deux Filles
PAINTING WITH (Domino 2016) Animal Collective
ADORE LIFE (Matador 2016) Savages
MAEANA (Joia Moderna 2015) Ana Claudia Lomelino
LAY LOW (Barclay 2015) Lou Doillon
MY LOVE IS COOL (RCA 2015) Wolf Alice
GOO (Geffen 2012) Sonic Youth
CAPTAIN OF NONE (Thrill Jockey 2015) Colleen
HAVE YOU IN MY WILDERNESS (Domino 2015) Julia Holter
クリオは東フランス・ブザンソン出身のSSW。オースマン通りを自転車で逆走する〈Haussmann à l'envers〉、2010年1月に亡くなった映画監督エリック・ロメールを偲ぶ〈Éric Rohmer est mort〉、恋人(マシュマロ)との別れを描いた〈Chamallow's Song〉、自転車を自在に乗りこなす子供たちを歌った〈Des équilibristes〉。仏盤のアルバム・カヴァは肖像写真をイラスト風に加工。歌詞ブックレット(15頁)はデジパックの見返しに貼付されているので取り外せない 200
ブエノス・アイレス北東部のパレルモ地区。ボルヘスが幼少期を過したことでも知られるパレルモ・ビエホは1990年代半ばにTVプロデューサなどが住み着いたため「パレル ・ハリウ ッド」と呼ばれるようになったという。バンジャマン・ビオレーの10thアルバムは「南米の歓楽街」の過去と現在を交錯させて夢や幻のように描き出す。フットボールの実況中継やボルヘス自身の朗読詩を引用する。青い透明スリップ・ケースに入った三面見開き紙ジャケ仕様。12折り歌詞・ポスター付き 199
リオのファンク女番長フェルナンダ姐さん。12年振りの6thアルバムはLiminhaの鉄板プロデュース。Africa Bambaataがゲスト参加した〈Tambor〉。Liminhaがプログラミング、ベース、ギター、キーボードを担当した〈Deliciosamente〉。ヴ ォコーダ、トークボックス、ループ、サンプリングなどが耳を擽り、心地良いビートが躰を痺れさせるエレクトロ・ファンク。ブラジル人写真家ギ・パガニーニ(Gui Paganini) が撮 った挑発的なポートレイト・カヴァほど過激ではないが 198
鹿蹄の13thアルバムはMatsuzaki Satomiの「The Magic」というタイトル・コールから始まる。1曲目の〈The Devil And His Anarchic Surrealist Retinue〉からして、日本語が飛び出す破天荒ぶり。Satomi(ベース)とGreg Saunier(ドラムス)に加えて、Ed RodriguezとJohn Dieterich(ギター)のヴォーカル曲も収録された全15曲、40分。パンク、ポップ、メタル、グラム、ノイズなど、鹿蹄らしいアヴァン・ポップが詰まっている。彼女が描いたアートワークもシュール 197
ジョジ・ルッカ(Jozileide de Oliveira Fernandes)はリオデジャネイロ州ノーヴァ・フリブルゴ生まれの女性SSW。3rdアルバムはMoreno Velosoのプロデュースで、彼女と共作しているNenung(ヴォーカル)とPedro Sa(ギター)が2曲でゲスト参加している以外、すべて2人でレコーディング。Joziはギターとグロッケンシュピール、Morenoはギター、ドラムス、ベース、チェロなど、全ての楽器を演奏。ブラジル・ポスト・ロックのサウンドになっているころが最大の魅力 196
アナ・ラルビアはアルゼンチン・ブエノス・アイレス在住の女性SSW。デビュー・アルバムはインスト3曲を含む全10曲を収録。〈Epitafio〉にギター、〈Extranjera〉にベース、ピアノ、メロディカが加わる以外は、彼女のアクースティック・ギター弾き語りというミニマムな編成。ナチュラルなヴォーカルと生ギターの奏でる音色が心地良い。デジパックのインナーには釣りをする白ネコ、歌詞ブックレット(8頁)の表紙にもギターを弾く白ネコが描かれている「隠れ猫ジャケ」にゃん 195
ベスト・アルバムではなく、Marisa Monteがブラジル内外のアーティストとコラボしたオリジナル・アルバム未収録曲集。Devendra Banhart、Rodrigo Amarante、Cesaria Evora、Arnaldo Antunes、Gustavo Santaolalla、David Byrne、Julieta Venegas、Carminho‥‥アメリカ、ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、カーボ・ヴェルデ、ポルトガルなど多彩なアーティストと共演している。フランチェスコ・クレメンテ(Francesco Clemente)の描いたアルバム・カヴァも◎ 194
「性転換」したアントニー・ヘガティ(Antony Hegarty)改めアノーニ(Anohni)のソロ・アルバム。男なのか女なのかという穿鑿は意味がない。彼女はフロルベリチェリ・フロルのようなトランスジェンダーだった。重要なのは女性化して、どのような音楽に変化したかである。Hudson Mohawke(Ross Birchard)、Oneohtrix Point Never(Daniel Lopatin)とコラボしたデビュー・アルバムはエレクトロ色が濃い。Bjorkとデュエットした〈Atom Dance〉の延長線上にある 193
脱退したPeter Hookに代わりPhil Cunningham(ギター)、Tom Chapman(ベース)を新メンバーに加えて5人組となったNew Order。10thアルバム《Music Complete》(2015)のエクステンデッド・ミックス・アルバム(2CD)にはオリジナルと同じ曲目・曲順で11曲を収録。音楽史上最も売れた12インチ・シングル〈Blue Monday〉(1983)を例に挙げるまでもなく、New Orderと長尺ミックスは元々相性が良い。オリジナル・アルバム全曲のダウンロード・コード付きです 192
タコキャットの3rdアルバムは20体以上の猫時計(馬時計も紛れ込んでいる)に彩られた「猫ジャケ」。アルバム・タイトルや地球を背景にしたメンバー4人のサイケデリックな衣裳(裏カヴァ)、UFOのイラストなどから、米SFドラマ「宇宙家族ロビンソン」(Lost In Space)を模していることが分かる。〈Dana Katherine Scully〉は「X-ファイル」に登場するFBI特別捜査官の名前。全12曲・30分に満たないアルバムだが、〈Leisure Bees〉の後に何故か3分半の無音部分がある 191
《Motivo》(Nucleo 2012)で華麗なスキャットを披露していた女性歌手のソロ・デビュー・アルバム。Rafael Martini、Alexandre Andrés、Rafael Macedoなど‥‥新ミナス派のバックアップによって、ロックでもジャズでもフォルクローレでもない21世紀の新しい音楽を創出。浮游感のある優雅なサウンドに変幻自在のスキャット・ヴォイスが宙を舞う。全12曲・60分。画家としても知られる彼女のアートワークに彩られた三面紙ジャケ仕様。歌詞ブックレット(20頁)付き 190
Colin Lloyd TuckerとSimon Fisher Turnerによる女装デュオ「2人の女の子」が33年振りに帰って来た。年齢や性別は兎も角、2人共に面長な顔立ちなので、年齢不詳のフレンチ女性、Gemini ForqueとClaudine Coleに巧く化けている(コスプレ、オネエ・ブームの日本で話題にならないのが不思議にゃん)。ソラリゼーション化した白黒のアルバム・カヴァが妖しく危険なオーラを放つ。変身願望や女装趣味はないけれど、インナー・ブックレットのポートレイトに蠱惑されそうです 189
アニコレの10thアルバムはAvey Tare、Geologist、Panda Bearの3人でレコーディング。インディ・ロックに踏み留ま った《Centipede Hz》(2012)から転じて、ヴォーカル・パートの多いポップ・アルバムとなった。Brian DeGraw (Gang Gang Dance)が描いたアルバム・カヴァは全3種(カヴァに使われなかったイラストはインナーに掲載)。パンダ・ベアのコラージュにはLinton Kwesi Johnsonが階段を降りる《Bass Culture》(1980)のカヴァを引用している 188
ロンドンを拠点にする女4人組ポスト・パンク・バンドの2ndアルバム。クールで艶やかなJehnny Bethのヴォーカル、ノイジーで硬質なGemma Thompsonのギター‥‥アルバム・タイトルの咆哮バラード〈Adore〉、フィードバック・ギターがノイズを撒き散らしながら音像空間を浮游するスロー・ファンクの〈Slowing Down The World〉など、猪突猛進するパンクの範疇に収まらない。この魅惑的な深化はポスト・ロック・バンドと呼ぶべき。全10曲・39分、9つ折りの歌詞付き 187
Bem Gil(Gilberto Gilの子息)率いるTonoの女性ヴォーカリスト、アナのソロ・アルバム。ネイルチップのスリップ・ケースを引き抜くと、デジパック仕様のアルバムが現われる。彼女は母親になったらしく、八つ折り歌詞カードの裏は気味悪いマタニティ・フォト。夫ベンのプロデュースで、Domenico(ドラムス)、Pedro Sa(ギター)、Mestrinho(アコーディオン)などが客演。Caetano VelosoとAdriana Calcanhottoのカヴァも収録。気怠い午後のような幸福感に包まれている 186
Jane Birkinの末娘Lou Doillonの2ndアルバム。同じ母親から産まれた異父姉妹でもウィスパー系のCharlotte Gainsbourgとは大違い。ルーの情念の籠ったヴォーカルには凄みさえ感じられる。義姉Kate Barryの死(2013年12月、自宅アパルトマン4階の窓から転落死!)が契機になって制作されたという。Taylor Kirk(Timber Timbre)のプロデュース。全曲英語詞(11曲・32分)。見開き3面紙ジャケ仕様。歌詞ブックレット(20頁)付き。「カストール爺の生活と意見」を参照 185
2010年、ロンドンで結成された男女混成4人組。紅一点Ellie Rowsellのヴォーカルが特徴的だが、サウンドはネオ・アコ、グランジ、シューゲイザー‥‥と猫の目のように変化する。キティ・エンパイア女史は「狂ったインディ・ロックの魅力的な変種」(an engaging strain of off-kilter indie rock)と評していた。オリジナルUK盤(Dirty Hit)は全12曲(国内盤は4曲多い)。US盤には先行シングル〈Moaning Lisa Smile〉が追加収録されているので、安い輸入盤を買う人は要注意 184
《Goo》(DGC 1990)にアウト・テイクやシングルB面、カヴァ、デモ・ヴァージョン(8トラック)などの音源20曲を追加した2CD「Deluxe Edition」は分厚いデジパック(2005) だったが、再発盤(2012)は通常のプラケースの中にCD2枚とブックレット(28頁)が収まっている。デモ・ヴァージョンを聴くと、8割がた完成されていることが良く分かる。オリジナル・アルバムはリマスターされて音質が向上しているのに「Deluxe Edition」しかリリースされていないのが残念 183
パリ生まれスペイン在住のマルチ・インストゥルメンタリストColeen(Cécile Schott)の5thアルバム。《The Weighing Of The Heart》(2013)から自ら歌うようになって、Julia HolterやJulianna Barwickなどの妖精系エレクトロニカへ進化した。彼女のサウンドを特徴づけるのはヴィオラ・ダ・ガンバ(viola da gamba)というチェロに似た古い擦弦楽器。澄んで軽やかな音色に儚げな多重ヴォイス&コーラス、不穏なダブの要素が加わる。全8曲(インスト4曲)、歌詞は英語 182
ジュリア・ホルターの4thアルバムは驚くほどポップで親しみやすい。《Loud City Song》(2013)に引き続き、Cole M. Greif-Neill(Ariel Pink、Nite Jewelの夫)との共同プロデュ ース。キーボード、ベース、パーカッションにサックス、クラリネット、ヴァイオリン、チェロという編成は一見オーソドックスだが、ロックでもジャズでもクラシックでもない新しい音楽(アヴァンポップ)を切り拓く。浮世離れしたヴォイスは妖精のように可愛くドリーミーで、リスナーを桃源郷へ誘う 181
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