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仮面ライダーズ [c o m i c]



  • 「仮面ライダー」は、昆虫(バッタ)の機能を、改造によって人間に付与したサイボーグである。しかもこのヒーローを創り出したのは作者、じゃなかった、「ショッカー」なる世界の破滅、人類の支配を画策する "悪" の集団である。主人公「仮面ライダー」は、この組織から逃亡し、逆にこの「ショッカー」集団を殲滅すべく戦闘を開始する。風力を利用して変身し、戦闘マシンになる。ザッと簡単に言えば、TV映画「仮面ライダー」のコンセプトはこんなところである。が、これを深読みしていただくと、というよりは原作者の意図を汲んでいただくとすればこうなる。「ショッカー」とは、歪んだ技術文明の象徴である。その技術の付加によって甦生するのが「仮面ライダー」だ。後には自然の守護神(平和の戦士)になるが、言うなれば "技術文明の申し子" あるいは鬼っ子のモンスターである。したがって、こうなる。自然(バッタによる象徴)が直接人類(文明の象徴)に反旗を翻すのではなく「仮面ライダー」(バッタと人間のハーフ)、即ち自然と人間が協力して "悪" に立ち向かう‥‥。
    石ノ森章太郎 「愛蔵版 仮面ライダー」


  • 「仮面ライダー」(ぼくらマガジン / 週刊少年マガジン 1971)は実写版特撮TVドラマとして企画されたメディアミックス作品で、いわゆる「原作マンガ」ではない。世界支配を企む謎の組織に拉致〜改造された主人公が逃亡して逆に闘いを挑むというモチーフは「サイボーグ009」と同じだが、黒ベタを多用したダークなトーンや大きなコマ割り・1枚絵など、前半はストーリ性よりも迫力あるアクション主体の構成になっている。スリムな肢体の仮面ライダーはスタイリッシュでカッコ良いし、「ショッカー」の怪人(改造人間)たちもグロテスクに作り込まれている。「ライダージャンプ」「ライダーキック」‥‥光線銃などの武器を使用しない闘い。実写版で超有名になった「変身ポーズ」も一切描かれない。サイクロン号の車体に収納されている「仮面」がヘルメットであることにも改めて驚かされる。実写版撮影中に起こったアクシデント(藤岡弘のオートバイ事故)に準じて、「原作」も主人公が射殺されて主役が交代するという前代未聞の展開になっている。

  • 「怪奇くも男」
  • 城北大学生物学研究室に在籍する本郷猛はモトクロスのタイム・トライアル中、前後から車に激突されて意識を失う。手術台の上で目覚めた猛は選民思想とサイボーグで世界を支配しようと目論む「ショッカー」に改造手術を施されていた。5万ボルトの電流を躰に流された猛は脳改造される前に、発電室に細工をして一時的に停電させた恩師の緑川博士と共にサイクロン号に乗って「ショッカー」のアジトから脱出する。地雷の爆発で崖から海へ転落した猛‥‥怪人クモ男が博士を絞殺しようとするが、仮面ライダー(変身した本郷猛)に救出される。城北大学から下校する緑川ルリ子を立花藤兵衛(本郷家の執事)が車で迎えに来た。ルリ子に網を張っていたクモ男は先回りして埠頭50号倉庫に緑川博士を襲って殺す。倉庫の窓を破って侵入したクモ男がルリ子を拉致して逃亡する。仮面ライダーに変身した本郷猛がサイクロン号で追う。必殺技「ライダージャンプ」「ライダーキック」「ライダーチョップ」が炸裂する。4本の腕を捥ぎ取られたクモ男は崖から海へ墜ちる。

  • 「空とぶ吸血魔人」
  • ウツボ男が岩礁で倒れていたクモ男を発見する。復讐を誓うクモ男は「ショッカー」の秘密基地で再生手術を受ける。本郷家に保護された緑川ルリ子は猛が父親を殺したと思い込んでいた。友人のヒロミを電話で呼び出すが、彼女は本郷家へ行く途中で、吸血コウモリ男に襲われてしまう。本郷邸を訪れたヒロミがルリコに牙を剥き、屋根の上からクモ男が糸を放って猛の自由を奪う。藤兵衛が竹刀で助太刀すると、ヒロミは2階の窓ガラスを破って外のクモ男に激突する。隙を突いて変身した仮面ライダーはクモ男との闘いに勝利するが、コウモリ男に左腕を掴まれて宙吊りにされてしまう。しかし、空から落下することで風力エネルギーを得た仮面ライダーは軽々と地上に着地する。「ライダーキック」を食らって逃げ去るコウモリ男。自ら命を絶ったクモ男。変わり果てたヒロミの遺体からサンプルを採取した本郷猛は彼女の血液中に新種のウイルスが注入されていたことを知る。

    ヒロミの住んでいたマンションを訪ねた緑川ルリ子と立花藤兵衛は不審な住人たちに襲われてしまう。2人は本郷邸内に棺を運び込む。猛の右手に噛みつくルリ子。椅子で攻撃する藤兵衛‥‥2人を倒した猛はテスト中の「血清」を打つ。その夜、エネルギーを使い果たしてベッドで眠っている猛に、棺から出て来たコウモリ男が牙を剥く。不意を襲われた猛はコウモリ男に首を絞められて2階の窓から落下する。毒牙に倒れた猛に勝ち誇ったコウモリ男は「血清」(バット=ウイルスの解毒剤)が翼の爪の中に入っていることを明かす。しかし、猛はウイルスの感染を抑える「試薬」を自ら投与していた。折れた窓枠を翼に突き刺してコウモリ男の飛行能力を奪った猛は仮面ライダーに変身。サイクロン号に乗って逃走したコウモリ男を追走する。墓地に着いた仮面ライダーはウイルスに感染して操られた人間たちに襲撃される。追い詰められたコウモリ男の一対の翼を捥ぎ取り、墓碑の十字架で止めを刺す。

                        *

  • 「よみがえるコブラ男」
  • 川崎公害闘争の中心人物3名がコブラ男に殺害された。謎の女に突然吠え出した正夫少年の飼い犬ダリ。ダリと正夫は土管の中に隠れていた友人の透を発見する。父親がヘビ人間に殺される現場を目撃していた透少年は東京の正夫(父親は刑事)の家に預けられていた。再び現われた女にダリが吠えかかるが、逆に操られて狂犬と化す。路上で遊んでいた幼い少女2人に襲いかかるダリを本郷猛が蹴り倒して少女たちを救う。死んで石化したダリ。「ショッカー」が目撃者の口を封じようとしていることに気づいた猛は透少年を本郷家で匿う。運び込んでおいたダリの死体が消え、透もコブラ男に拉致されてしまう。仮面ライダーに変身してコブラ男の後を追う猛。待ち伏せしていた手下に襲撃されるが「ライダーキック」や「ライダージャンプ」で反撃する。ライダーに左腕(手がコブラ・ヘッドになっている)を引き千切られたコブラ男は「ライダー大風車3段キック」を食らって、クモ男と同じように断崖から海中へ転落する。

    「TAKADA爬虫類研究所」に逃げ帰ったコブラ男は総統「ショッカー」から処刑を命じられるが、ヘビ姫メドウサの進言で改修改造手術を受けることになる。本郷家に差出人不明の小包が届く。ビックリ箱のコブラの背中に「コブラハキンノノベボウガダイコウブツ / オオサカ──ソシテトウキョウ──」という挑戦状が書かれていた。猛が広げた新聞の三面記事には「大阪第2金保管所襲撃さる!守衛2名 謎の蒸発」という見出しが踊る。東京第1金保管所の金庫から金塊を盗み出したコブラ男とヘビ姫メドウサ一味。屋上で見張っていた仮面ライダーが「ショッカー」のトラックを尾行する。東京湾の埋立て地での決戦!‥‥「ライダーキック」で窮地に陥ったコブラ男(晴彦)に元恋人のメドウサ(美代子)が加勢する。頭部から生えた無数のヘビの口からダリを発狂〜石化した毒針や光線銃を仮面ライダーに放つ。誤ってコブラ男を射殺してしまったメドウサ!‥‥ヘビ姫は絶望の余り自決する。

  • 「13人の仮面ライダー」
  • 「ショッカー」との戦いに備えて本郷邸の地下に建設された研究所。モニタ画面に緑川ルリ子の姿が映し出される。ルリ子と散歩に出た本郷猛は改造人間ゆえに彼女の愛を受け入れられない。雨の降る中、サイクロン号と仮面ライダーの新機能をテストするために外へ出た猛は12人の仮面ライダーズと対峙する。1対12の対決から逃げ切った本郷猛は1人で「ショ ッカー」と戦うことを決意する。ルリ子が一文字隼人と名乗る新聞記者を伴って再訪問する。緑川博士の行方不明事件を調査していると語る男の右手の甲に手術の傷痕があった。不審に思った猛は男の後を尾けるが、逆に誘き出されていた。一文字隼人は「ショッカー」の戦闘員だった。狙撃手に左腕を打たれて負傷した猛に仮面ライダーズが逼る。腕時計型リモコンでサイクロン号を呼び寄せるが、風力不足で変身出来ない猛は仮面ライダーズに取り囲まれて射殺されてしまう。頭部に止めを撃とうとすると、もう1人の仮面ライダーが現われてライダー軍団を倒す。新ライダーの正体は猛との争いで頭を撃たれて正気に戻った一文字隼人だった。隼人は地下研究所で生き続ける猛の脳髄(心)と躰を共有して遺志を継ぐ。

                        *

  • 「海魔の里」
  • 故郷の水底村にサイクロン号で帰った一文字隼人は崖から海へ飛び込む人影を目撃する。海神さまの怒りを鎮めるための風習、この里に古くから伝わる儀式の1つだった。生贄になるのは生身の人間ではなく、身代わりの「人形」である。5年振りに帰郷した村はゴースト・タウンのように様変わりしていた。お六ばあさんは頭がおかしくなり、父親の松五郎は頭痛に苦しみ、幼馴染みのお美代も無言で無表情だった。空飛ぶエイの大群が隼人を襲う。村の上空を飛行パトロールしていた痺れエイは海へ戻る。断崖の上で海神祭りの仮面を着けた2人の男たちが祭り太鼓を叩いていた。何者かに脅えて、隼人に村から出て行くように懇願するお美代。村明かりが消え、野良犬の首が引き千切られる。波消しブロックのある浜辺からカニ男が出現して隼人を攻撃する。海中に落ち、落人穴に流れ込んで救かった隼人は夢の中で聞いたお美代の悲鳴で我に返った。

    4人の仮面男たちが、お美代を崖の上から突き落とそうとしていた。隼人に襲いかかる男たちの中の1人は松五郎だった。海に落ちた父親を見つめる隼人の背後からお美代が短刀で刺殺しようとする。首から下げている貝のペンダントか発生する電波によって「ショッカー」に操られていた村人たち。水底村は人類の意志を奪って世界を支配する「ショッカー」の最終目的のための集団実験に選ばれていた。再び海からカニ男と空飛ぶエイが現われて、変身した仮面ライダーと対決する。ライダーとの戦いで両腕を失ったカニ男は逃走し、隼人は海中でサメ爆弾に襲撃される。海中から退却した仮面ライダーは岩場で秘密基地の通気口を発見する。「ショッカー」の海底基地に潜入して、イソギンチャク男や雑兵を倒す。司令室に侵入してエビ男を感電死させると、カニ男はゴッド・ショッカーの自爆命令を受けて天窓に突っ込み、自爆装置のスイッチを押す。海中爆発した「ショッカー」の秘密基地。仮面ライダーは「生物兵器実験室」から脱出して、死んだクジラの腹の中から生還する。

  • 「仮面の世界(マスカーワールド)」
  • 仮面ライダーごっこをして遊んでいた子供たちが首なし死体を発見する。被害者は「日の下電子」の技術部長・山中太一だった。弟・浩二少年の見舞いに来ていた一文字隼人は姉の順子から、帰宅途中で見知らぬ男から預った手紙を渡される。「ショッカー」に関する重大な話があるという文面だった。指定場所の東栄モトクロス練習場に着いた隼人はモトクロ族に囲まれる。女性(差出人X)が駆け寄り、ヒットマンが隼人の背中を撃つ。女性Xも射殺しようとすると、仮面ライダーが現われて殺し屋を殴り倒す。予め「第2の皮膚」を身に纏っていたのだ。隼人は暴走族に絡まれていた不良少女・女番長を救う。「ショッカー」の一味だと告白する女性Xは人間をロボット化する「10月計画」が日本でスタンバイ(準備完了)していると告げる。その夜、寝入った隼人をナイフで刺殺しようとするX‥‥女の正体は毒蛾男だった。羽から大量の "ねむり粉" を撒き散らして隼人を眠らせる。

    毒蛾男はマンションの4階から宙吊りにしてアジトへ運ぼうとするが、モト狂いのライダーたちに奪われてしまう。「日の下電子」の社長・日下甲之介の家で目覚めた一文字隼人。彼を救出したのは1人娘の礼奈だった。彼女は父親と社長秘書・千草(女性X)の異変に2カ月前から気づいていた。隼人の許に届いた順子からの誕生日プレゼント。リボンを外して箱を開けると大爆発するが、仮面ライダーに変身していた隼人は難を逃れる。順子は「日の下電子」の受付嬢だった。彼女の家を訪れた隼人は白血病の弟を介護する姉の姿を目の当たりにして、一瞬でも彼女を疑った自分を責める。「日の下電子」に潜入した仮面ライダーは一足早く侵入していたFBI捜査官の滝二郎と協力してヒョウ男(ジャガーマン)を倒す。滝は5年前、日本政府から極秘に受注生産していた巨大コンピュータを調査していた。その電子頭脳は富士山の牧場にあるという。

    隼人の宿泊しているホテルの部屋を訪れた順子が発砲する。日下家の金庫を開けようとしていた礼奈を父親が絞め殺そうとする。見張っていた滝二郎が日下甲之介を倒す。気絶した父親と礼奈を伴って本郷家の地下研究所へ行く。容態が悪化した浩二少年と順子も来ていた。姉を操っていたTVと腕時計には特殊な電波を出す装置が組み込まれていた。その誘導電波の発信と管理を巨大コンピュータが処理していた。富士山麓の牧場へ向かった一文字隼人と滝は「ショッカー」の地下基地へ侵入する。誘き入れられたことに気づいた隼人は生身の滝を引き返させる。仮面ライダーと怪人プラノドン、ハエ男、ナメクジラとの対決。牧場では滝が狼男や馬男(ケンタウロス)と戦っていた。親玉ビッグマシンとライダーの最終決戦。機械に特殊超音波を放射して機能を狂わせるビッグマシンの攻撃に苦戦するが、もう1人の仮面ライダー(本郷猛)が現われる。ビッグマシン自らが巨大コンピュータを狂わせて、自爆装置が起動する。地下基地の爆発、富士山の噴火‥‥コンピュータを使って日本人をロボット化する「10月計画」が国民を番号で管理しようとする日本政府のアイディアだったとは!

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    • 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2006)をテクストに使いました

    • 「ショッカー」怪人の名前を平仮名(くも男、こうもり男)から、カタカナ表記(クモ男、コウモリ男)に変えています

    • 「10月計画」が「マイナンバー」という名称で45年後(2016)に実施されるとは!
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    仮面ライダー 1 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 1-12

    仮面ライダー 1 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 1-12

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2006/02/22
    • メディア:コミック
    • 目次:怪奇くも男 / 空とぶ吸血魔人 / よみがえるコブラ男


    仮面ライダー 2 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 1-13

    仮面ライダー 2 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 1-13

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2006/02/22
    • メディア:コミック
    • 目次:よみがえるコブラ男 / 13人の仮面ライダー / 海魔の里


    仮面ライダー 3 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 2-9

    仮面ライダー 3 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 2-9

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2006/05/22
    • メディア:コミック
    • 目次:海魔の里 / 仮面の世界(マスカー・ワールド)/ ラストコレクション

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