HALO (Crammed Disc 2017) Juana Molina
CUIDADO MADAME (Ponderosa 2017) Arto Lindsay
DIRTY PROJECTORS (Domino 2017) Dirty Projectors
PHILOSOPHY OF THE WORLD (Light In The Attic 2016) The Shaggs
MEMORIES ARE NOW (Sub Pop 2017) Jesca Hoop
BOA NOITE PRA FALAR COM O MAR (Independente 2016) Joana Queiroz Sexteto
EL JUEGO VERDADERO (Independiente 2016) Flor Otero
BLOOD BITCH (Sacred Bones 2016) Jenny Hval
HONEYMOON ON MARS (Freak R Us 2016) The Pop Group
L'ÉTOILE THORACIQUE (Coyote 2016) Klo Pelgag
VARMINTS (Moshi Moshi 2016) Anna Meredith
SCIENCE & MAGIC (Joyful Noise Recordings 2015) Lil BUB
THOSE WHO THROW OBJECTS AT THE CROCODILES WILL BE ASKED TO RETRIEVE THEM (Pataca Discos 2016) Bruno Pernadas
I, GEMINI (Transgreesive 2016) Let's Eat Grandma
MUDAR (Independiente 2016) Melina Moguilevsky
MY WOMAN (Jagjaguwar 2016) Angel Olsen
HU HU HU Edicion Especial (Sony Music 2010) Natalia Lafourcade
HIT RESET (Hardly Art 2016) The Julie Ruin
1人で録音した《Wed 21》(2013)から3年半。ファナ・モリーナの7thアルバムは宅録からスタジオ・レコーディングへ踏み出す。ライヴ・サポート・メンバーのOdin Schwartz (ベース、シンセ、ギター)とDiego Lopez de Arcaute(ドラムス)、John Dieterich(Deerhoof)がギターとシンセで参加。6拍子の〈Paraguaya〉〈Estalacticas〉、7拍子の〈Cosoco〉など。カヴァとインナー(3つ折り歌詞カード4枚)の自らを下肢骨に擬人化した骨女キャラもキモ可愛い 220
Arca(Alejandro Ghersi)は南米ヴェネズエラ・カラカス生まれのエレクトロ・ミュージック・プロデューサー。3rdアルバムで自らスペイン語で歌うことになったのは、Bjorkの助言があったという。アブストラクトなサウンドと内省的なヴォイスは彼女と親和性が高い。繊細で強靭なヴォーカルはAnohniとの共時性も感じられる。全13曲中8曲でヴォーカルを披露。〈Piel〉〈Anoche〉など切々と歌いかけるスロー・バラード中心で、〈Whip〉のように攻撃的なインストも挿まれる 219
《Salt》(2004)以来、実に13年振りのソロ・アルバム。ノン・チューニング・ギター(チューニング出来ないくらい耳が良い?)とブラジル・ミュージックの融合。アヴァンポップを体現・体感する音楽で、Simon Fisher Turnerにも相通じる甘美なヴォーカルに魅惑される。ドラムンベース風の〈Grain By Grain〉、9拍子の〈Ilha Dos Prazeres〉、ノイズ・ギタ ーが炸裂する〈Unpair〉、Marisa Monteと共作した〈Pele de Perto〉など全11曲・38分。待っていた甲斐があった 218
David Longstrethの1人プロジェクトになってしまった7thアルバム。Tyondai Braxton(シンセ、プロダクション)やブラジル出身のMauro Refosco(パーカッション)など多彩なゲストが参加する。意表を衝く変態ゴスペル調の〈Keep Your Name〉、R&B女性シンガーのDawn Richardとデュエットした〈Cool Your Heart〉はSolangeとの共作。複雑怪奇なリズム、金管や弦楽とエレクトロニクスが融合したサウンド、変幻自在のヴォーカル‥‥AnohniやBon Iverと共鳴する音楽 217
1968年、米ニューハンプシャー・フリーモントで結成された姉妹バンド。The Shaggsという名前は母親譲りのブロンド・ヘアに由来する。祖母の予言を信じた父親オースティン・ウィギンが娘たちに楽器を買え与えてアルバムを自主制作。当時は殆ど注目されなかったが、Frank ZappaやKurt Cobainなどによって再発見され、アウトサイダー・ミュージックとして評価が高まった。最新リイシュー盤はPitchforkで「Best New Reissues」を獲得。18年振りに再々結成されるそうです 216
4thアルバムはJesca HoopとBlake Millsの2人だけで殆どのトラックをレコーディング。音数の少ない演奏が彼女のヴォーカルを際立たせる。音響的な面白さも加わった。ベースとハイハットとヴォーカルによる〈Memories Are Now〉、呪文のようなリフレインが耳から離れない〈The Lost Sky〉、Greg Leiszがペダル・スティールを弾く〈Pegasi〉、Fiona Appleがハーモニカでゲスト参加した〈Cut Connection〉‥‥全9曲・39分。見開き紙ジャケ仕様。9折り歌詞カード付き 215
ブラジル・リオ生まれの女性クラリネット奏者Joana Queirozの新作は6人編成(クラリネット、ヴォーカル、ギター、ピアノ、コントラバス、ドラムス)。全8曲中歌入りは2曲だけだが、彼女とBeth Dauのスキャットが飛び交うのでインスト・アルバムという感じはない。クラリネットが狂おしく泣き咽ぶ詩人セシリア・メイレレスの〈Canticos XII〉、疾走感溢れるHermeto Pascoalの〈Na Guaribada da Noite〉、子供たちと愉しげに歌う〈Estrada〉‥‥怪奇と幻想の新世紀音楽 214
Joni Mitchellのカヴァ集《Nocturno Mundo》(Bau 2013)でデビューしたブエノス・アイレス生まれのSSW、Florencia Otero。Flor Otero名義の2ndは2012年に急逝したSpinettaに捧げたオマージュ・アルバム。カヴァかと聴き紛うほどスピネッタに似ている〈El Tigre〉、チェロが美しい旋律を奏でる〈Enero〉、突如として激情が迸る〈Caleidoscopicas〉‥‥全12曲・42分。嬉しいことにMelina Moguilevskyがコーラスでゲスト参加。デジパック仕様、歌詞カード(6枚)付き 213
ジェニー・ヴァル(Jenny Hval)はノルウェーの女性SSW。時空を翔る女吸血鬼オーランドが登場する6thアルバムは萩尾望都とヴァージニア・ウルフが混じり合ったような趣き。ジェニーと女友達がB級ホラー映画をスローモーションで再現する〈Female Vampire〉、女優のマルテ・ジェルマン・クリステンセン(Marte Germaine Christensen)が全裸で行動する〈The Great Undressing〉、墓地で女たちが血を吐き「ヌード」になる〈Conceptual Romance〉など‥‥PVも強烈 212
2010年に再結成されて、《Citizen Zombie》(2015)を35年振りにリリースしたThe Pop Groupの4thアルバム。全10曲中7曲をDennis Bovell、3曲をHank Shockleeがプロデ ュース。Mark Stewartの挑発的な咆哮や刺戟的なノイズ〜ダブは今でも健在だが、サウンドは黒い歯磨きチューブ(アルバム・カヴァ)のように洗練されている(大人になったのかしら)。「Limited Editon Box」 には5曲入りメガミックスEP、ブックレット(32頁)、バッヂ3種&ステッカーを同梱 211
幻獣のような貌を後部に持つ女性のイラスト・カヴァが人目を惹くクロ・ペルガグ(Chloé Pelletier-Gagnon)の2ndアルバム。クロちゃんのピアノ、ギター、フルートなどにヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、トランペット、トロンボーン、コントラバス、チューバを配したクラシカルなサウンドだが、一瞬で彼女の奇妙奇天烈な世界に惹き込まれる。三面デジパック仕様。歌詞ブックレット(16頁)、特大ポスター(12折り)付きで、裏面に不条理コミック(20コマ)が描かれている 210
某レコード店の中古棚で、白くハレーションしたネコを捕獲した。アメルはアルゼンチン・ブエノスアイレスで結成された5人組。スピネッタ(Spinetta)の弟グスタヴォ(Gustavo)が在籍するロック・バンドだった。風貌もAOR〜プログレっぽいところも、兄に良く似ている。不思議なのは大手の輸入CDショップに2ndアルバムの情報が一切なかったこと。ロス・アプソン(Los Apson)で購入した人が売っ払ったのかしらん。全19曲・62分。オープニング曲は7拍子のインストです 209
BBCスコティッシュ交響楽団のコンポーザーだったという経歴を持つアンナ・メレディスのデビュー・アルバム。次に何が出てくるか分からない女マジシャンの手捌き。音を重ねて次々に変化して行くリズムとサウンド展開はスリリングで愉しい。全12曲・51分(12曲目はタイトル表示のないシークレット・トラック)。動物の種類を特定し難いカヴァ・イラストですが、2枚のEPをコンパイルした《Black Prince Fury / Jet Black Raider》のカヴァを見れば「猫ジャケ」だと合点します 208
マイク・ブリダヴスキー(Mike Bridavsky)の飼っている雌猫リル・バブ(Lil BUB)。彼女の舌が常に出ているのは遺伝的な疾患(骨障害・骨粗鬆症)のためだという。世界は障害を持って生まれて来た永遠の子猫への愛で溢れている(ウェブ番組「Lil BUB's Big SHOW」(2013)ではスティーヴ・アルビニ(Steve Albini)と共演)。彼女のデビュー・アルバムは「猫ジャケ」で、正真正銘のネコードなのだ。もちろんヴォーカルもマジカル・スペース・キャットのリル・バブちゃん 207
「ポルトガルのスフィアン・スティーヴンス」という触れ込みのSSWが2種類のアルバムを同時にリリースした。《Worst Summer Ever》はインスト・ジャズ風だったので、長いアルバム・タイトルの方を購入。女性が朗読する短い〈Poem〉、Stereolabみたいな浮游感が溢れる5〜6拍子の〈Spaceway 70〉‥‥女性ヴォーカルやコーラスを伴って優しく歌うところはSufjan Stevensに似ていなくもない。気怠いリゾート感というか、ヨーロッパの哀愁が、そこはかとなく漂っている 206
英イーストアングリア・ノリッジ出身の2人の女の子、Rosa WaltonとJenny Hollingworthは4歳の時に小学校(レセプション・クラス)で知り合い、13歳から一緒に音楽を作り始めたという。まだ十代(16と17歳)なので子供っぽいヴォーカルですが、マルチ奏者として最先端のエクスペリメンタル・サイケ・ポップを奏でる。美しくブキミ可愛い少女たち。「お婆ちゃんを食べよう」 という食人鬼風のバンド名はカンマの位置の重要性を教える英文法のジョークから採られています 205
メリーナ・モギレフスキーの2ndアルバム。ピアノ、ギター、コントラバス、リード(サックス、クラリン、クラリネット、口笛)、ドラムス&パーカッションの5人編成にトランペットとトロンボーン、フルート、チェロとグロッケンシュピールが加わり、彼女の可愛らしいソプラノ・ヴォイスをサポート。全14曲・58分。デビュー・アルバム《Arbola》(Epsa 2012)は年間ベストに選出しましたが、本作も最有力候補です。妖艶なカヴァ・ポートレイトからしてケイト・ブッシュみたい 204
Angel Olsenは米ミズーリ・セントルイス出身のSSW。3rdアルバムは意表を衝くシンセポップの〈Intern〉で幕を開ける。嗚咽系シャウトが炸裂する〈Shut Up Kiss Me〉、グランジ風のギター・リフの〈Give It Up 〉。Stevie Nicksのように小悪魔的な〈Sister〉、Angel Olsen & Crazy Horseみたいな〈Woman〉の2曲は7分超え。ピアノ・バラード〈Pops〉で幕を下ろす全10曲・47分。ぱっつん前髪の「ブス顔」を敢えてアルバム・カヴァにするところに彼女の気概を感じます 203
《Hu Hu Hu》(2009)の「Edicion Especial」はCDにDVDを同梱した2枚組。オリジナル・アルバム(全13曲)にボーナス・トラック3曲を追加収録したものと思い込んでいたが、前半の5曲はライヴで、そもそも曲順が違う。アルバム収録曲7曲に、〈No Viniste〉のリミックスや〈Cursis Melodías〉のポルトガル語ヴァージョンなど、未収録4曲を加えた全16曲。DVDにはライヴやプロモ・ヴィデオ、リミックス、来日時のドキュメント〈14 Días en Japón〉など、12本を収録 202
Kathleen Hannaが率いるポスト・パンク・バンドの2ndアルバム。男女混成(女3+男2)の5人組だが、Bikini KillやLe Tigreで継承されて来たライオット・ガルーの魂は四半世紀を経ても健在。アルバム・タイトル曲の〈Hit Reset〉は「Deer hooves hanginng on the wall」という歌詞で始まる。〈I Decide〉のPVではKatie Crutchfield(Waxhatchee)が「オノ・ヨーコ」のTシャツを着て主演するなど、フェミニスト・ミュージシャンたちの横の繋がりも感じられて嬉しくなる 201
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