アリス殺人事件(河出書房新社 2016)
過ぎさりし王国の城(KADOKAWA 2015)宮部 みゆき
WILD CATS(白泉社 2006)清水 玲子
Χ(カイ)の悲劇(講談社 2016)森 博嗣
悲嘆の門 下(毎日新聞社 2015)宮部 みゆき
悲嘆の門 上(毎日新聞社 2015)宮部 みゆき
新・目白雑録(平凡社 2016)金井 美恵子
月刊flowers 7月号(小学館 2016)
ニュー・オーダーとジョイ・ディヴィジョン、そしてぼく(Pヴァイン 2015)バーナード・サムナー
Higuchi Yuko Artworks(グラフィック社 2013)ヒグチユウコ
日本のねこみち(朝日新聞出版 2015)岩合 光昭
ペテロの葬列(集英社 2013)宮部 みゆき
「いい猫だね」(山と渓谷社 2015)岩合 光昭
この素晴らしき世界!?(毎日新聞出版 2015)中野 翠
猫は迷探偵(竹書房 2015)月刊『猫新聞』監修
中島らもエッセイ・コレクション(筑摩書房 2015)小堀 純(編)
GIRL IN A BAND(DU BOOKS 2015)キム・ゴードン
災厄の町(早川書房 2014)エラリイ・クイーン
ニャーヴル美術館 ねこあーと in ルーヴル(講談社 2015)シュー・ヤマモト
ルイス・キャロルの「アリス」をテーマにした文庫版ミステリ・アンソロジー。有栖川有栖「ジャバウォッキー」、宮部みゆき「白い騎士は歌う」、篠田真由美「DYING MESSAGE《Y》」(クイーン『Yの悲劇』へのオマージとして書かれた一篇)、柄刀一「言語と密室のコンポジション」、山口雅也「不在のお茶会」、北原尚彦「鏡迷宮」の全6篇は書き下ろしの新作ではなく、すべて雑誌や単行本、文庫に収録されている。 「アリス」 の中のキャラクターを借りたり、異世界へ紛れ込んだり‥‥必ずしも少女アリスが殺害されるわけではない 200
高校への推薦入学が決まった尾垣真は銀行のロビーに展示されていた1枚の絵に釘付けになる。地元の子供たちが描いた絵とは異質な「古城のデッサン」。パネルから床に剥がれ落ちてしまった鉛筆画を持ち帰った真が指で触れると、絵がリアルな風景に変わる。自分の分身を描き込むことで絵の中へ入り込めた。真とアバターを描いて貰った美術部の城田珠美、先入者のパクさんの「探索仲間」は塔の中に幽閉されている少女を発見する。彼女は10年前に失踪した秋吉伊音だった。3人は不幸な現状を改変すべく「塔の中の姫君」の救出に向かう 199
捨てネコを拾った龍一少年は大きな「ネコ」をシーザーと名付ける。シーザーはネコになりたかったライオン。小心者で猜疑心の塊のダメ犬ソロモンを髣髴させるダメなライオン。愛人だった母親に捨てられた筧龍一は本妻の家で6人兄弟の末っ子として暮らしている。ハーフ美少年ゆえに、中学生たちに苛められている龍一を救うべくシーザーが牙を剥く「I」。盲導犬トングとの出合いと別れを描く「II」。龍一のお嫁さんになりたいと夢想するシーザーに恋のライヴァル・菊池舞が現われる「III」。完全版にはカラー頁と「FLOWERS」を収録 198
Gシリーズ後期三部作の時間軸は『四季 冬』と同じように近未来に設定されている。舞台は香港。主人公は真賀田研究所で働いていたプログラマの島田文子である。誰もがエラリー・クイーンの名作『Xの悲劇』(1932)を連想するタイトルだが、ギリシャ文字なので「エックス」ではなく「カイ」と読む。本家「X」へのオマージュなのか、本作にエピグラフ(冒頭・各章)として引用されるだけでなく、「X」(エックス)と同じく、路面電車(リニア・トラム)の中で殺人事件が起こる(犯人も同じ?)。本書の核心は西之園萌絵の両親が犠牲となった飛行機事故で、最後にΧ(カイ)の正体が明かされるのだ 197
女戦士ガラと取引した三島孝太郎は「左目」を得て、クマー社長・山科鮎子を殺した犯人を捜し出す。脊柱管狭窄症の手術から復帰した都築茂典も連続猟奇殺人事件の調査を進める。「連続切断魔」は存在しなかった。一対の大鎌から生じた〈場所という名の髑髏〉の放つ光に導かれて、怪物と化した孝太郎はガラが息子オーゾを救い出す旅に随行する。〈狼〉アッシュが呼びかける。「三島孝太郎、この先へ進むな」「お前の見ているものが、お前の感じていることが、すべて真実とは限らない」。孝太郎は現実世界に戻って来られるのだろうか 196
サイバー・パトロール会社クマーでアルバイトする大学生・三島孝太郎(コウダッシュ)と脊柱管狭窄症の元刑事・都築茂典の2人を軸に物語は始まる。妹・一美が通う中学校の1年後輩・園井美香へのネット苛め。新宿ホームレスや独居老人・猪野幸三郎、バイト仲間・森永健司の失踪。母親を亡くして失語症になった幼女・真菜が描いた「鳥人間」。バッファロー・ビルのように遺体の一部を切断して蒐集する連続猟奇殺人事件!‥‥ミステリの地平からファンタジーへ飛翔する「悲嘆の門」は宮部みゆきの切り拓いた新境地なのかもしれない 195
「一冊の本」に長期連載されていた辛口エッセイの最終巻。サブ・タイトルに「もっと、小さいこと」とあるように、微に入り細に入る考察は目に見えない大きな構造を想起させる。DJポリス、「さん」付けで呼ばれる人たち、中曽根康弘、東京オリンピック、「裸の王様」、開高健、佐村河内守、「砂の器」、高橋源一郎、スカイマークのミニスカ、「100人の村」、反アマゾン法、校閲、「ローマの休日」‥‥著者もウィキペディアで検索するようになったのだ。「目白雑録」は終わってしまったが、「新スクラップ・ギャラリー」を連載中! 194
月刊フラワーズが創刊15周年を迎えた。6月号から記念企画がスタートしている。7月号には「ポーの一族」の最新作「春の夢」(前編)が掲載されるだけでなく、オスカー・ライザーを主人公にした「トーマの心臓」の番外編「訪問者」(プチフラワー創刊号 1980)と後日譚「湖畔にて」(ストロベリーフィールズ 1976)を収録した別冊ふろく付き。前者は雑誌掲載時に読んでいたが、オールカラー(28頁)の後者は「萩尾望都原画展」(2009)で初めて目にしたレア作品。「萩尾望都SF原画展」「ポーの一族」で胸高まる望都の春です 193
New Orderのフロントマン、Bernard Sumnerの自伝。マンチェスター・サルフォード生まれ。労働者階級の過酷な少年時代。Warsaw ~ Joy Division結成(1976)、 Ian Curtisの死(1980)、〈Blue Monday〉(1983)のメガヒット、ファクトリーとハシエンダの盛衰、New Order、Electronic(&Johnny Marr)、イングランド代表公式応援歌〈World In Motion〉(1990)、Peter Hookの離脱(2007)、新生New Order(2011~)。巻末に「イアン・カーティスとバーナード・サムナー催眠術」「アラン・ワイズとの会話」192
キモ可愛い子猫のイラストで知られるヒグチユウコの作品集。子猫(Kittens)、キノコ(Mushroom)、少女(Girls)、兎やタコ、金魚などの動物(Animals)、ファンタジー(Fantasy)のギャラリー。合田佐和子x金澤正人「ユリカナ展」やユニクロ(UT)などとのコラボレーション。子猫や兎などの多くは擬人化されているので、動物にコスプレした(猫を被った?)少女に見えなくもない。巻末に「作品ができるまで」「ヒグチユウコのアトリエ」「作品解説」を併録。表紙カヴァは猫と蛸が合体したタコキャットです 191
北海道から沖縄まで、1都2府43県のネコたちが総登場。写真集や写真展で見たことのある顔馴染みのネコも少なくないけれど、決して二番煎じではないネコの魅力に満ちている。巻末コラムとして「猫旅のすゝめ」「猫島の歩き方」「佐久島のいい猫」を収録。1. 猫に声をかけましょう。2. ゆっくり距離を縮めましょう。3. リラックスしましょう。4. 望遠レンズを使いましょう。5. 背景の風景も取り込むべし。6. カメラのアングルを猫目線に。7. 自分なりのポイントを定めましょう。と岩合さんが伝授する「猫撮影7つの極意!!」は必読 190
バスジャック事件の人質となった乗客たち。杉村三郎と編集長・園田瑛子、坂本啓、前野メイ、田中雄一郎、迫田とよ子、運転手の柴野和子。蜿蜒とバスジャック事件が続くのかと危惧していたら、鉈でブッタ斬ったような突然の終焉!‥‥〈音響閃光手榴弾〉、特殊部隊の突入、バスジャック犯の自死。解放された7人の人質たちに、犯人の約束通り「慰謝料」が届く。豊田商事事件紛いの「悪徳マルチ商法」と「強欲」が人生を狂わせる。宮部みゆきは後半、力業で1つ1つ捩じ伏せて行く。身勝手な妻・菜穂子さんだけは好きになれませんが 189
国内外で何万匹ものネコに出会って来た著者が忘れ難い50匹のネコたちを回想する新書判の写文集。見開き2頁にネコ・エッセイ、次の2頁にネコ写真という構成。海ちゃん(東京都)、にゃんきっちゃん、柿右衛門(山梨県)、ハートのしっぽ(宮城県)、ガッチャン(広島県)、たび(山口県)、オニャン(青森県)、ミー(静岡県)、チビ(長崎県五島列島)、ドメニコ(シチリア)、ガジェット(パリ)、モンスン(ノルウェー)、ミスター・ウー(ニューオリンズ)、サフラン、グリ(イスタンブール)‥‥写真集の表紙や写真展のポスターを飾った顔馴染みのネコちゃんが総登場。表題は「いい猫(こ)だね」と読む 188
週刊誌「サンデー毎日」の連載コラム「満月雑記帳」1年分(2014. 11~2015. 11)を纏めたエッセイ集。TV、映画、本、落語、音楽、時事ネタなど、著者が興味を持った事柄について意見を述べる。赤瀬川原平、桂小金治、高倉健、久世光彦、深沢七郎、後藤健二、中村勘三郎、中村小山三、沢村貞子、川喜多和子、大宮デン助、丹波哲郎、山口小夜子‥‥故人へ言及も少なくない。2015年は「日記俳句」という1日1句のノルマを課し、各月の扉に自作句を掲示。「さる奇人逝って淋しき町の秋」(2015年9月)。逆説的な表題はルイ・アームストロングの〈What A Wonderful World〉から採られている 187
喫茶店、宝くじ売場、工具店、クリーニング店、青果店、ディスプレイ用品店、洋品店、煎餅屋、唐辛子店、相撲小物店、布団屋、焼き鳥屋、飴屋、神佛仏具店、民芸品店、おもちゃ屋。電気店、蕎麦屋、文具店、化粧品店、理髪店、眼鏡店、駄菓子店、民族衣装店、銭湯、タバコ店、中華料理店、薬局、中古レコード店、酒屋、仏壇店、休憩茶屋‥‥都内(千代田区、中央区、台東区、墨田区、江東区、葛飾区、荒川区、足立区、豊島区、北区、練馬区、杉並区)、東京近郊(神奈川県川崎市)の看板猫たち49匹を紹介したフォト・ブックです 186
『猫は魔術師』(2008)、『猫は音楽を奏でる』(2013)を再編集し、「猫新聞」に寄稿された11篇を新たに加えた文庫本。恩田陸、長田弘、内田春菊、金井美恵子、斉藤由貴、赤瀬川原平、池田理代子、森村誠一、横尾忠則、小松左京、車谷長吉、浅田次郎、髙村薫、山田洋次、養老孟司、福原義春(資生堂名誉会長)など、著名人51人の猫エッセイを収録。寄稿者がネコ好きなのはもちろんだが、生まれた仔ネコを貰ったとか、捨てネコを拾ったとか、野良ネコを飼いネコにしたというエピソードが圧倒的に多い。装画・挿画は浅生ハルミン 185
2004年7月に急逝した中島らものエッセイ・コレクション。「生い立ち・生と死」「酒・煙草・ドラッグ」「文学・映画・笑い」「不条理と不可思議」「性・そして恋」の5つのテーマに分けて、全81篇を収録。編者も解説で書いているように、膨大なエッセイ群の中から選び出すのは至難の業。「コレクション」ではなく、「セレクション」と言うべきかもしれない。軽妙洒脱なエッセイの中にあって、「死」「ドラッグ」「恐怖」‥‥などヘヴィなテーマも散在される。衒いや迷いを脱ぎ去り、真っ裸になって核心を衝く筆致は小気味好い 184
Kim Gordonの自伝はSonic Youthのラスト・ライヴから始まり、クロノロジカルに彼女の少女時代から回想して行く。ミドルクラスの家庭で育ったキム。父ウェインは大学教授を退官後にパーキンソン病を発症。兄ケラーは統合失調症でカリフォルニアの施設で暮らす。母は晩年交通事故に遭う。Thurston Mooreとの出会い。Sonic Youth結成。アルバムやミュージシャン(Neil YoungやKurt Cobain)に纏わるエピソード。結婚、愛娘ココの誕生、X-girl、Free Kitten、亭主の浮気〜離婚〜解散、アート、絵画展などがエッセイ風に綴られる 183
アメリカの架空都市ライツヴィルを訪れた作家エラリイ・クイーン。小説執筆のために借りた家は地元の名士(銀行頭取)ジョン・F・ライトの次女ノーラと婚約者ジム・ヘイトの新居だった。3年前の結婚式前日に失踪していたジムがライツヴィルに戻って来る。2人の結婚式。新婚旅行。ノーラが落としたジムの本(毒物学)に挿まれていた3通の手紙。ノーラの砒素中毒。大晦日のパーティ中にジムの姉ローズマリーが毒入りカクテルを飲んで死ぬ‥‥一件落着したかに思われた殺人事件の驚くべき真相をエラリイ・クイーンが最後に明かす 182
名画に描かれた人物をネコに変えたパロディ画集『CAT ART』(求龍堂 2012)の第2弾。ルーヴル美術館所蔵の彫刻(6点)と絵画(69点)のネコ・パロディで、もちろんニャーヴル美術館の来館者もネコたち。序文は仏日猫交流協会日本支部長のキャトリーヌ・ニャランソワ。作品解説はモニャ・リザのモナちゃんが担当している。15世紀から19世紀の絵画が中心なので肖像画や宗教画が多い。巻末に「ニャーヴルの歴史」「こうして描かれたニャーヴル絵画」「参照画作品リスト」を併録。「制作アシスタント」のMollyとNekoちゃんも健在 181
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