• 昔々、ある船長が外洋を航行中、船員の1人が水平線上に一隻の海賊船を発見した。戦闘が始まる直前、船長は叫んだ。「おれに赤いシャツを持って来い!」 長い戦いだったが、船長と船員たちは勝利を収めることが出来た。翌日、今度は3隻の海賊船が現れた。またしても船長は叫んだ。「おれに赤いシャツを持って来い!」 このときも船長たちは海賊を打ち負かした。その夜、全員が集まって休息し、傷の手当てをしているとき、航海士の1人が船長に、どうして戦いになると赤いシャツを着るのかと尋ねた。船長は静かに答えた。「おれが赤いシャツを着るのは、負傷しても出血が分からないようにするためだ。そうすれば全員が恐れずに戦い続けられる」 この素晴しい勇気の発露には誰もが感動を覚えた。さてその翌日、10隻の海賊船が出現した。船員たちは船長を仰ぎ見て、いつもの命令が出されるのを待った。船長は落ち着き払ってこう命令した。「おれに茶色いズボンを持って来い!」
    マーク・Z・ダニエレブスキー「トムの寝物語」


  • ■ 紙葉の(ソニー・マガジンズ 2002)マーク・Z・ダニエレブスキー
  • クレタ島風の迷宮、白いのポラロイド写真、鏡に映る暗闇の中の人物、ジョセフ・コーネルを想わせる箱コラージュ。「紙葉の」 は奇妙な成り立ち方をした、とても風変わりな本である。ハードカヴァー仕様(22.6×17cm)の本書は「付録」や「索引」を含む第2版(初版は自費出版)で、何故か「」の文字だけが青色で表示される2色刷り(この他にフルカラー、白黒、簡易版の3タイプがあるという)。盲目の老人ザンパノが遺した本文「ネイヴ ィッドソン記録」と「原注」、それを発見〜編集した男ジョニー・トルーアントの「序文」と「脚注」、両人による「付属書 I&II」、雑多な「図版」、巻末の「索引」から成っている全800ページ以上に及ぶ大書──つまりネイヴィッドソン<ザンパノ<トルーアント<編者(作者)という4重構造の「本」自体が『紙葉の』(ダニエレブスキーのフィクション)という体裁で、当然「初版」も「フルカラー版」等も一切存在しない。ただ『紙葉の』だけが、あの忌わしい屋敷の白い扉のように、果しなく続く長い廊下のように、虚構と現実の中空に浮かぶ暗黒広間のように、奈落へ降りる無限螺旋階段のように存在する。

ネイヴィッドソン<ザンパノ<トルーアント<編者(作者)の4重構造が入れ子式に行儀良く収まっている訳ではない。ザンパノ(著者)と編者は言わば黒子としてテクストの奥と外に隠れていて進んで自らを語ることはない。もっぱら「ザンパノの物語」は「トルーアント日誌」の中で、彼の朗読者や書記であった女たちによって語られる。中心となるのは「ネイヴィッドソン記録」と「トルーアント日誌」──著名な写真が撮った映像作品をザンパノが再構成〜文章化した「ドキュメント」と、その「脚注」の中でトルーアントが赤裸々に告白する「日記」が平行して語られて行く。ノンフィクションという建前のザンパノの「記録」に疑念の眼差しを向ける(ツッコミ?)トルーアント。「記録」にしては博引傍証エッセイ 〜論文調のコメントを付け加える老人Zと、「日記」にしては(元々は「脚注」なのだが)妙に文学的(露悪趣味?)なジョニー‥‥彼はネイヴィッドソンという有名人も、世間を騒がした一連の事件についても何1つ知らないのだ。

ネイヴィッドソン一──著名な写真ウィル・ネイヴィッドソンと妻カレン・グリーン(元モデル)、息子チャド(8歳)とデイジー(5歳)が1990年4月、ヴァージニア州アッシ ュ・ツリー・レーンの古い屋敷に引っ越して来る。結婚という形式を採らない2人の関係修復、和解を題材にしたドキュメント作品を撮る目的をも含めて、田舎での新たな生活の拠点になるはずだった。6月、シアトルで行なわれた(知人の)結婚式から4日振りに帰って来ると屋敷内は一変していた。2階の主寝室の「ガラスのノブの付いた平凡なドア」の奥、子供たちの寝室との間にウォークイン・クローゼットのような空間が出現している。建物の青写真を入手し、不動産代理人と保安官を呼ぶ。設計図を元に実測してみると屋敷の内部が外部より長くて大きいという驚天動地の結果が出る。この有機体めいた「捩れ屋敷」の恐怖に駆られたネイヴィッドソンは、8年ほど疎遠だったニ卵生双生児の弟トムに救けを請う。監視カメラと化した各部屋に設置されたハイ8、手持ち16mmカメラの映像。それらを嘲笑うかのように 「伸長する壁」、カレンの困惑、孤立する子供たち。『5分半の廊下』。

族の手に余る事態だと判断したネイヴィッドソンは友人のビリー・レストン(車椅子の大学教授)、そして探検のホロウェイ・ロバーツと2人の助手(ジェド・リーダー&カービ ー・ワックス・フック)に調査を依頼する。この一行が「捩れ屋敷」を訪れ、探検する下りは、まるでゲーム版「バイオハザード」のようだ(ゾンビは出て来ないけれど)。長い廊下と広間、大ホール、その中央に穿たれた虚無の穴(直径200フィート!)へ降りて行く螺旋階段。「探険 #1」 ではハイ8、ハロゲンライト、無線機、釣糸が、「探険 #2」 では35mmカメラ、発煙筒、ネオンマーカ等が携行される。約20時間を無駄に費やした「探険 #3」の反省を踏まえ、「探険 #4」 はテント、寝袋、保温毛布、使い捨てカイロ等を加えた重装備で挑む。壁の向こうから聞えて来る謎の咆哮に備えて、ホロウェイはライフル銃を所持した。しかし、音信不通から8日目の朝、SOS信号をキャッチしたネイヴィッドソン双子は先行隊の救出へ向かうことを決意する。探検隊は無限暗黒迷宮からは無事に帰還出来るのか、迷宮の中心には怪物(ミノタウロス)が潜んでいるのだろうか?

脚注(小ゴシック体)という形式で「ネイヴィッドソン記録」の中に断続的に挟み込まれた「トルーアント日誌」は3人称分析的なザンパノの記述とは対照的に、トルーアントの日常が1人称独白体(おれ)で赤裸々に綴られて行く。「おれ」 はタトゥー・ショップ見習い刺青師(ジャンキー)。店の顧客、ストリッパーのサンパー(ディズニー・アニメキャラの牝兎)に片想いしている。友人のルードは、同じアパートの住人だったザンパノの死体の第1発見者で、そもそも「おれ」が「ネイヴィッドソン記録」を発見する契機となった重要人物。タトゥー・ショップのボス、女友達、編集の過程で出逢ったザンパノの女たち、そしてジョニーの過去──両親に見捨てられた少年期、養父レイモンドの暴力、実父ドニーの逝去、母リエーヴルの病状などが明かされ、ネイヴィッドソンを襲った「悲劇」とシンクロするように「おれ」の精神状態も激ヤバ(ヤク中)になって行く。

『探険 #4』の緊急事態と共に次第に錯綜して行くテクスト──異なる複数のテクストの混在、駆使されるタイポグラフィによる本文、脚注(の脚注の脚注)、日記、各種引用文(エピグラム、著作、論文、発言)、夥しい固有名詞の羅列(777人の写真、506人の建築、670件以上の歴史的建造物、255人の映画監督と、278本のドキュメンタリー作品)、鏡文字(要手鏡!)、モールス信号、数式、譜面、点字、誤字、消し文字、伏字、欠落、余白、ジョーク集、用語集、インタヴュー(聞き書き)、指示、断・片、詩(ペリカン詩)、54通の手紙、暗号文、マンガ、スケッチ、コラージュ、図版、ポラロイド写真、死亡記事、死亡通知書、受領書、索引、クレジット、イグドラシル‥‥さらに原文の英語(日本語)に加えてドイツ語、フランス語、イタリア語、ギリシャ語、ロシア語、ラテン語、ヘブライ語、ヒンディー語までが登場する。

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3人の犠牲者、行方知れずのネイヴィッドソン。一方、子供たちと一緒にNYへ避難したカレンは探検隊一行が残したヴィデオ映像を自ら編集した『探険 #4』を友人や著名人に視て貰い、そのインタヴューを公開する。レスリー・スターン(医学博士)、ジ ェニファー・アンティパラ(建築・構造工学者)、ダグラス・R・ホフスタッター(インディアナ大学コンピュータ認知科学教授)、バイロン・ベイルワース(英劇作<)、アンドルー・ロス(プリンストン大文学教授)、カミール・パーリア(批評)、アン・ライス(作)、ハロルド・ブルーム(批評)、女流詩人、スティーヴン・キング(作)、スティーヴ・ウォズニャック(発明)、ジャック・デリダ(仏哲学者)、ウォルター・モズリー(作)、キキ・スミス(造型作)、ハンター・S・トンプソン(ジャーナリスト) 、スタンリー・キューブリック(映画監督)、デイヴィッド・カッパーフィールド(マジシャン)‥‥。

『探険 #5』でネイヴィッドソンは最後の冒険に挑む。この単独行を記録するために用意した機材は1962年製ボレックスH16ハンド・クランク16mmカメラ、ケルン・パイラード・レンズ(16、25、75mm)、ボーゲン三脚、ソニーのマイクロカセット・レコーダ、パナソニック・ハイ8、大量の電池、メタル蒸着テープ(120分)を1ダース、ニコンの35mmカメラ、フラッシュ、USAボビー・リー製ストラップ、7298の16mmコダック・フィルム3千フィート(100フィートのリール)、35mmフィルム20巻(36枚撮りコニカ3200スピ ードと各種モノクロ・フィルム10巻)。サバイバル装備として、寝袋、1人用テント、食料2週間分、5ガロンの水の入った容器2つ、使い捨てカイロ、発煙筒、ライトスティック2種(強力&通常)、ネオンマーカ、釣糸、懐中電灯3個、小型の手動ライト、予備の電池、カーバイド・ランプ、マッチ、歯ブラシ、コンロ、着替え、厚手のセーターとソックス、トイレット・ペーパー、小型の医療キット、1冊の本‥‥すべてを積み込んだ2輪トレーラーをアルミ・フレームのマウンテン・バイクの後部に固定。自転車のハンドルには充電池で発光するライトと走行距離計が取りつけてある。

ザンパノのテクストの錯綜と、ネイヴィッドソンとトルーアントの精神混乱状態が相互干渉関係にあることは既に述べたが、2つの物語のクライマックス、ギリギリの瀬戸際で、2人の主人公がテクスト内テクストとも言うべき『紙葉の』を焼くという異常な行為に及ぶ。虚無の深淵、暗黒空間の中で1冊だけ持って来た「本」のページを読みながら1枚ずつ燃やして行くネイヴィッドソン。片や少年時代の母との別離の記憶を取り戻し、完成した「本」に火を点けるトルーアント。彼は「ネイヴィッドソン記録」の証拠捜しの旅に出たものの、何1つ見い出せぬまま混乱〜消耗し、アリゾナ州フラッグスタッフの場末のバーに辿り着く。バーテンダーと話し込んでいると「おれは5分半の廊下の奥に棲んでいる」という怖しく不気味な歌詞が聴こえて来た。そして、ライヴ演奏していたバンド「リバティ・ベル」のギタリストから1冊の本──『紙葉の』(初版本!)を手渡されるのだった。一方、再び屋敷を訪れたカレンによって奇蹟的に救出されたネイヴィッドソン。しかし、その肉体的代償は決して少なくなかった。

「ネイヴィッドソン記録」全23章の各冒頭を飾るエピグラムに引用された著者&出典名を挙げておこう。ビートルズ、メアリー・シェリー、ドロシア・ラング / 出エジプト記3章11節、ディードリク・ニッカーボッカー、R・K・ナーラーヤン、アーネスト・ベッカー / クリスチャン・ノルベルグ=シュルツ、ジャック・ロンドン「火を熾すには」、「オクスフォード英語辞典」、ヴェルギリウス / ニコラス・トレヴェット / アスケンシウス、ダゴベルト・フライ『比較芸術学』、シャルル・ボードレール、ウィリアム・R・ハリディ医学博士『アメリカの洞窟と洞窟探検』、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、エンキドゥ、ハイネ、アルバート ・アインシュタイン、リルケ、『ヴァージニアの新発見地の簡潔にふぃて真実なる日記』トマス・ハリオット、ウォルター・ローリー卿の召使いにふぃて 「入植地の一員であり、ふぉの発見に一役買った男」、スーザン・ソンタグ『写真論』、エドガー・アラン・ポー、トマス・F・ホーンビーン『エベレスト 西稜』、ブライアン・イーノ、ダイアン・クック。

  • 「付属書 III」F.各種引用文──ブレーズ・パスカル『パンセ』、C・G・ユング「心と太陽」 、シャルル・ボードレール『悪の華』、アントン・チェーホフ「手帳」『悲嘆』、マルセル ・プルースト、ゲーテ、ウォレス・スティーヴンズ「アメリカ合婦国」、小プリニウス『書簡と頌徳文』第VI巻、ナポリのことわざ、ホメーロス『イリアッド』、ヴァージニア大学記念銘板、和泉式部、プリニウス『博物誌』36・19・84、ガリレロ『黄金計量者』、ジョン ・ミルトン『失楽園』、エルーシ・ド・ウルフ『味わいのある』、マルグリット・デ ュラス『実用性』、『ギルガメシュ叙事詩』、ウォルター・サヴェジ・ランドー『メモリー』、シルヴィア・プラス「夜のダンス」、ヨゼフ・テオドール・コジェニオフスキー『ロード・ジム』、『モールドンの戦い』‥‥。

  • アルバート・アインシュタイン『相対性 その特殊理論と一般理論』15版ヘの序、ジャック ・デリダ「弔鐘」、O・W・ド・L・ミロシュ、ロバート・フロスト「最大のもの」、ウィリアム・バトラー・イェイツ「人と谺」、ウィリアム・ワーズワース「そう、それはエコー山だ った」、エリザベス・ビショップ Cheminde Fer[鉄の道]、デリック・トムソン『死よりの帰還』、ジョージ・ハーバート『天国』、シモーヌ・ヴェーユ Cahier VI (K6)[ノ ートVI (K6)]、ウォレス・スティーヴンス「ニューヘーヴンのいつもの夕刻」、エドウィン・アーリントン・ロビンソン「エロス・トゥラノス」、ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデン』、ライナー・マリア・リルケ「秋日」、エズラ・パウンド「第CXVI篇」、ドン・ピアース&フランク・R・ピアソン『暴力脱獄』。

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『紙葉の』の原題House Of Leaves』(2000)のリーヴス(leaves)は「木の葉」(leaf)の複数形と同時に、様々な「別離」(leave)をも意味しているが、NYブルックリンのポスト・ロック・グループ、Animal Collectiveのアルバム《Sung Tongs》(2004)の1曲目のタイトルが〈Leaf Houseというのも何だか謎めいている。3拍子の不穏な歌で、ドアの開閉音やシャッター音‥‥そして最後にネコの声色でミャオ〜ンと鳴く。ザンパノもトルーアントも指摘していたように、ネイヴィッドソンの2匹のペット、シベリアン・ハスキーのヒラリーとトラ猫のマロリーは一体どこへ消えてしまったのか?‥‥ちなみに著者マーク・Z・ダニエレブスキーの実妹アニー・ダニエレブスキーは「POE」という奇妙な名前のSSWで、デビュー・アルバム《Hello》(1995)の謝辞欄に《最もブリリアントな作、パフォーマー、私の幼友達で完全なる共犯者‥‥》と、兄を紹介していた(兄とは一言も書いていないけれど)。マークが『紙葉の』で鮮烈デビューする5年前のことである。

なぜダニエレブスキーは『紙葉の』を複雑な入れ子構造として書かなければならなかったのか?‥‥単にパズル・ゲーム的な面白さを狙っただけではない。1つは作品自体のリアリティ獲得にある。「ザンパノの物語」 を「トルーアント日誌」が相対・客体化することで、「人が物語っていると物語る」(ロラン・バルト)ことで「ネイヴィッドソン記録」がボケ老人のホラ話ではないかという「事実」を担保し、同時に全くアテにならない1人称(小説)で綴られた「トルーアント日誌」がジャンキーの戯言(妄想)ではないかと仄めかす(盲目の老人Zがボルヘスを想わせるのも心憎い演出だ)。「ネイヴィッドソン記録」 と「トルーアント日誌」が真っ赤なウソかもしれないというリアリティが、逆に2人の主人公──著名な写真ネイヴィッドソンと刺青師見習いのトルーアントを血肉の伴ったリアルな人物像として際立たせる。夥しい固有名詞の羅列や膨大な引用文献がバカバカしい法螺(ホラー?)話に真実味を与える。ヴァージニア州の古い屋敷の中に直径200フィートの虚無の穴が出現するという荒唐無稽な入れ子式の物語の中心に「魔物」が棲む。クレタ島の迷宮のように、脱出不可能な洋館の密室迷路のように、その重層構造自体が恐怖を演出するのだ。

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  • 内容が難しいという意見があったので「解説文」を追加しました(2006・03・13)

  • 記事の一部を修整しました。内容に変わりはありません(2023・2・9)
  • 『紙葉の』を読む際のサブ・テキストとして御利用下さい。これを読破した貴方に、もう怖いものはありません。「お化け屋敷」は苦手(?)という方は「トムの寝物語」だけ読んで、眠ってね!(下ネタですが)

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紙葉の

  • 著者:マーク・Z・ダニエレブスキー (Mark Z. Danielewski) / 嶋田 洋一(訳)
  • 出版社:ソニー・マガジンズ
  • 発売日:2002/12/20
  • メディア:単行本
  • 目次:はしがき / 序文 / ネイヴィッドソン記録 / 証拠1〜6 / 付属書 ザンパノ A 概要と章題、B 断、C 片、D 編集者の手紙、E「ケサダとモリノの唄」、F 詩 / 付属書II ジョニー・トルーアント A スケッチとポラロイド写真、B ペリカン詩、C コラージュ、D 死亡記事、E スリー・アティック・ホエールズトゥからの手紙、F 各種引用 / 付属書III / 反証/ 索引 / クレジット / イグドラシル


Hello

  • Artist: Poe
  • Label: Sheridan Square
  • Date : 1995/10/17
  • Media: Audio CD
  • Songs: Hello / Trigger Happy Jack (Drive by a Go-Go) / Choking the Cherry / That Day / Angry Johnny / Dolphin / Another World / Fingertips / Beautiful Girl / Junkie / Fly Away

Sung Tongs

  • Artist: Animal Collective
  • Label: Fat Cat
  • Date: 2006/02/01
  • Media: Audio CD
  • Songs: Leaf House / Who Could Win A Rabbit / The Softest Voice / Winters Love / Kids On Holiday / Sweet Road / Visiting Friends / College / We Tigers / Mouth Wooed Her / Good Lovin Outside / Whaddit Done