『弘兼憲史の回文塾』(小学館 2003)は週刊Pに連載されている「読者投稿欄」を1冊に纏めた回文集。流石に篠山紀信の「アカルイハダカ」や袋とじ「お宝ヌード」を売り物にしているオヤジ系雑誌だけあって下ネタ〜セクハラ回文満載で、呆れるほど品性に欠ける。例えば〈国会で論議 辻元も失禁 露呈覚悟〉とか〈色仕掛け 玉緒のお股 毛が白い〉とか〈何て躾けいい娘 いい尻してんな〉とか‥‥とてもソネ風呂では書くのも憚れる(もう書いてしまったが!)エロ回文だらけ。品がないのはH塾長の「マンガ」と同じ?──この選者にして、この回文(投稿者)有りといったところでしょうか。唯一参考になったのは見返しに掲げてある「ヒロカネ式回文ルール」──〔1〕濁点、半濁点(パピプペポ)、はつけてもつけなくてもよし。〔2〕同音語「ず」と「づ」、「じ」と「ぢ」、「を」と「お」、または「は」と「わ」もよし。〔3〕音引き(「ワー」の「ー」など)は、読んでも読まなくてもよし。〔4〕拗音(「キョ」の「ョ」など)は、大きく読んでもよし ──この難易度はTVゲームで言うところのEASY。〔1〕〔2〕〔3〕を認めないリリおばさんの「回文同好会」はHARD仕様(星茂佳菜の〈ポッカの缶で、天下の闊歩〉は減点!)。〔1〕〔4〕だけOKの「s k n y s - s y n k s」はNORMALモードです。

□ 面皰も治り、キッパリ葉月里緒菜もビキニ
毎度お騒がせ女優の葉月里緒菜さん。有名男優やスポーツ選手など‥‥数々の男性遍歴を経た後、写真集『RIONA』でヘア・ヌード公開。不倫→結婚→引退→離婚→復帰‥‥と、「魔性の女」系女優の王道を邁進中ですが、13年前のデビュー時(1993)は清楚で可愛かったよね。当時はグラビア(水着)アイドル〜女優へというルートが今ほどシステマティックになっていなかった──雛形あきこが、このパターンを名実共に確立した──ためか、所属プロの方針だったのか、リオナちゃんの「水着」は記憶にありません。「'94美少女 BOOK」(Men's non-no No.93)に載っていた15人の「美少女」の中で、現在も活躍している「女優」は、瀬戸朝香、ともさかりえ、佐伯日菜子、奥菜恵、櫻井淳子、葉月里緒菜、石川亜沙美、りょう、大塚寧々‥‥の9名ぐらいでしょうか。当時14歳だった(弘兼センセイ御贔屓の)ともさかチャンも結婚→出産、ネネ嬢も電撃結婚→出産→離婚、清純派の奥菜恵サマも「ニャン2写真」が流出してイメージ・ダウン(結婚→離婚)、櫻井さんも『特命係長・只野仁』(テレ朝)で好演!‥‥と、13年間に色々ありました。少女アイドルと同じく「新人女優」もナマもの。デビュー当時の初々しさを保ちながら、いつまでも清く美しくあり続けるのは難しいようですね。

□ 雨と稲妻が増すナイトメア
何かしら曰く因縁浅からぬ洋館に閉じ込められた宿泊者(住人)たちが次々に殺害されていく。外からの侵入者も考え難い。この館の中に「殺人鬼」が潜んでいる、それとも滞在者の中の誰かが犯人なのか?‥‥まるで綾辻行人の〈館シリーズ〉のようなシチュエーション。彼の代表作の1つ、『霧越邸殺人事件』(新潮社 1990)の劇団員たちも猛吹雪に遭って湖畔の豪邸に閉じ込められる──『七人の侍』の土砂降りの雨や『サイコ』のシャワー・シーンの例を挙げるまでもなく、激しく降り注ぐ雨や水飛沫、美女の裸・死体‥‥は映画のクライマックス場面に欠かせない道具立て、臨場感や恐怖を何倍にも増幅させる舞台装置。B級ホラー映画でも殺人鬼が美女ヒロインに襲い掛かる夜は必ず大雨で強風、稲妻が光り雷鳴が轟く大荒れの天気模様──往々にして停電や(故意の)断線で室内も暗く、頼みの電話も繋がらない!──と決まっています。非現実的な「殺人鬼」など現われっこないと分かっている現実の世界でも、台風一過の夜は得体の知れない不安と興奮が募って、子供の頃はなかなか寝つけなかったものです。何か怖い夢を見そうで寝るに眠れない。そんな真夜中はB級ホラー・ヴィデオや新本格ミステリィでも‥‥って悪趣味ですよね。ピカッ、ゴロゴロ、ドッカ〜ン──あっ、電気が切れた!(暗転)‥‥ギャャャャーッ!

□ ここの兄と「蹴鞠」蹴り、マケドニアの午後
ウルグアイ代表のレコバの兄はギリシャで個人タクシーの運転手をしている。もう10年近く会っていないけれど、お互いに気に懸けていて、相手のことを一瞬足りとも忘れたことはない。W杯日韓共催の際、弟は立ち寄った京都で兄ヘのプレゼントとして「蹴鞠」を購入したし、兄はギリシャの街の案内をしながらラジオから流れて来るW杯のサッカー中継に聴き入っていた。車内には弟の写真も飾ってあるのだが、レコバの兄であると自ら進んで内訳たことは1度もない。W杯後、そんな兄から弟へ久しぶりに連絡があった。「一度ギリシャに遊びに来ないか?」‥‥少年時代、共に2人はプロ・サッカー選手を目指していた。最初は兄の方が巧かった。でも直ぐ弟に才能があることが判ったし、苦しい家計を支えなければならない長男として、練習中に右足を骨折したのを機にサッカーへの夢はキッパリ捨てた‥‥というより弟に託すことにした。それから15年近く弟の活躍を陰ながら応援していたが、そのことを面と向かって弟に言ったこともないし別に言いたくもないので、口数も減り2人の仲は次第に疎遠となった。弟がアテネに降り立つと、空港前の広場に兄のタクシーが待っていた。兄は一言も口をきかずに2時間近く掛かって郊外の小高い丘へ案内する。そこは古代マケドニア時代の城跡でギリシャの街並が一望に見渡せる。弟はデイパッグに忍ばせていた「蹴鞠」を取り出すと軽くリフティングを始めた。ボールを兄の方に蹴ると兄も蹴り返す。ギリシャの街は夕焼けで赤々と染まり、遠くエーゲ海の照り返しが2人の眼に眩しい。

□ 下着穿かずにミニスカ穿きたし
ついにエロ回文を作ってしまいました。それでも身も蓋もない「エロカネ式」に比べればエレガントで気品すら漂う出来(どこが!)。世の女性の嗜好というより、一般男性の願望(妄想?)のような気もします。女性の中には「私、寝る時はパジャマは疎か下着1枚も着けないの、シャネルの5番だけ」という人もいるし、既婚・独身に拘らず1人で炊事、洗濯、掃除等をする際はスッポンポン──その理由は、とっても気持ちが良いからだとか──という俄かには信じ難い「趣味」の方もおられます。ミニスカ・コギャルは見えても構わない「下着」を予め履いているそうですが、まさか「ノーパン娘」はいないでしょうね。でも「女子小学生失踪・監禁事件」で発覚したように、東京郊外の小学生が渋谷にパンティを売りに行っちゃう時代(高→中→小と年齢が下がるほど単価が高くなるっていうんだから嫌になっちゃうよ)。親はケータイを持たせることで子供の首に鈴を付けたつもりになって安心(放任)しているけれど現実は全く逆。娘のケータイへ怪しげなテレや誘惑メールが着信して、却って危険極まりない事態を招く。小学生にケータイ持たせるのはどうかと思います。

□ 違反はブルセラ・セルフ販売 !?
仮令バレても少女たちのキツイ逆襲が待っている。「自分の下着を私が売って、何が悪いのよ!」‥‥う〜ん、困ったなぁ、これと同じようなセリフ、「援助交際」ブームの際にも散散聞きましたよね。こんな時、両親や担任教師は一体何と答えれば良いんでしょうか。例えば中学時代にパンティ売ってたのがバレちゃった「美少女アイドル」のN村愛美クンは、それなりに社会的制裁も受けて(仕事を干されて)自粛せざるを得ませんでしたが、一般女子生徒の場合は通っている学校の規則・方針によって停学〜退学等の罰則があるのか、どうか?‥‥所謂ブルセラ・ショップでの制服や下着類の売り買いは、如何がわしくも嘆かわしいことだけれど、新風俗商法としてギリギリ合法でしょう。それでは一個人(未成年女子)が売る場合──警察官が女子高生をラヴホテルに呼んで、目の前でパンティを脱げば2万で買うとかいう「淫らな行為」がありましたね──果して「犯罪」なのかどうか、微妙なところです‥‥こういう下ネタ回文って、幾らでも出来ちゃうのよね(微苦笑)。

□ やっぱり犯人は理髪屋?
警視庁広域特捜班のキャップ・合田雄一郎は苦り切っていた。後もう一歩のところで、今世間を騒がせている「髪切り魔」を捕り逃がしてしまったからだ。囮の森下婦警に襲いかかった「断髪魔」をパンダの着ぐるみの中に潜んでいた捜査員が追いかけたまでは良かったのだが、何と相手も「リス」に仮装していたのだ。運悪く折しも、この日はネズミーランド開園10周年記念を祝うスペシャルデー。予め仮装して来た人は入場料金がタダになるという趣向で、広大な園内は本場のハロウィン宛らの、動物&アニメ・キャラ、お化け、妖怪、妖精、怪獣、異星人、サイボーグ、吸血鬼、ゾンビたちの百鬼昼行?‥‥そこいら中が異形のコスプレ・パレードと化していた。犯人が紛れ込んだ一団を調べてみたら、リス男(女?)だけで3匹もいた。現場から約500m離れた野外トイレ脇に設置されていたゴミ箱からリスの着ぐるみが発見されたのは「兇行」から2時間も後のこと。追っ手を撒いた「リス男」はトイレ内で着替えた後、一般の入場者に混じって、まんまと逃げ遂せたのだろう。しかし手懸かりが全くなかった訳でもない。逃走犯が投げ捨てたと思しき「ハサミ」がトイレ周辺の植え込みから発見されたのだから‥‥。ビニール袋の中の「遺留品」を眺めながら雄一郎は独り思案に沈む。彼の脳裡に赤と青と白のネジリん棒状の発光体が暗闇の中でクルクルと回転する。このハサミは業務用‥‥ひょっとして、プロの仕業?(以下次回へ続く)

□ ミス囲碁の打つ黒、苦痛の小泉
トリノ五輪女子フィギュア金メダリストヘの祝福テレやら、WBCチャンピオン王ジャパンへの紫綬褒章やら、お得意の(人気取りという名の)パフォーマンスに余念の無いコリズニ総理。この日の演目は美人と評判の女流名人との囲碁対局。開始早々窮地に陥ったコリズニ氏は呻吟し、目を白黒‥‥これが五目並べかオセロなら勝ち目もあったのに‥‥と思っても後の祭り。ミス囲碁の一手にライオン丸の顔も苦痛に歪む。10分足らずで遂に白旗‥‥一昨年ブッシュ親分と会った際に同伴させた宇多田ヒカルちゃんの歌にもあったじゃないか、白い色は恋人の♪‥‥じゃなくて、降参した時に掲げる旗の色だっけ、旗色が悪いナンチャッテ(←親父ギャグ?)。今度は「黒」で再挑戦、もう1局お手合せ願いたい‥‥でも、さっき食べた茶請けの「純ちゃんまんじゅう」のせいか、治療中の奥歯が痛くなって来たぞ!──〈ミス囲碁の打つ白、歯痛の小泉〉‥‥って元の木阿弥じゃん。クソ、今度はオセロの白と勝負だ、松嶋尚美を出せ!‥‥と、どこまでも往生際の悪いコリズニ総理だった。

□ 議決採り突撃!
「イラク支援法案」が可決されたことで、事実上自衛隊の海外派兵が可能になりました。元々、侵略者から自国を守るために発足した先守防衛の「自衛隊」が他国へ派遣すること自体明らかに憲法違反だし、それ以前に立派な「軍隊」だった訳です。そもそも米ブッシュの独善的な「イラク攻撃」を批判するどころか、その尻馬に乗って真っ先に支持表明した時点で、こうなることは自明の理。口先では「イラクの戦後復興」と謳いながら(先制攻撃の大義名分だった)「大量破壊兵器」は発見出来ず終い(その後フセイン大統領は捕まったものの、ビンラディンはピンピンしている?)。日増しに反米感情の高まるイラク国内では、連日ゲリラ戦や自爆テロが絶えない。糾弾すべきはブッシュ米政権の「単独行動主義」と「武力攻撃」を支持してしまった小泉政権でしょう。そして、親米タカ派首相は混迷ドロ沼状態のイラクヘ自衛隊を「派兵」してしまいました。いずれ海外駐屯の自衛隊から「戦死者」が出るのは時間の問題‥‥既成事実という歪んだ積み木を積み上げ、なし崩し的に「平和憲法」を骨抜きにする姑息な策略の見返りが、若き自衛隊員の「殉死」という代償です(それどころか日本が新たな国際テロの標的にされ兼ねない)。海外派兵で死屍累々‥‥〈暗いの自衛隊、兵隊壊死のイラク〉。

□ シャブとテポドンとポテト増やし‥‥
「日朝平壌宣言」、そして北朝鮮に拉致された5人の日本人が還って来てから3年余りも経つのに、一向に進展しない「日本人拉致問題」。日本国内では万景峰号の入港拒否や経済制裁を望む声、安倍晋三人気に象徴されるような強行派待望論が燻り始めています。一方、当事国の北朝鮮は度重なる食糧難で餓死者約300万人、禁断の核開発(実験)を臭わせつつ、大陸間道弾ミサイル「テポドン」で威嚇し、国家を揚げて麻薬や覚醒剤(半ば公の事業なので純度も高く最高品質とか‥‥)を栽培〜精製〜密輸出、不作の米の代わりにジャガイモを大量栽培しているというのだから驚きです。果して北朝鮮の食料事情は好転するのか、「北の脅威」は弱まるのか、一説に依ると拉致被害者150人以上とも言われる「拉致問題」は解決の方向に向かうのか、アメリカに倣って「対話と圧力」と唱えてみたところで虚しさばかりが募る日々。あの金正日体制が崩壊しない限り、全面解決はムリだと思うけれど‥‥。

□ 元カレ、あれが友
『元*カレ』(TBS 2003)は元カノと今カノの間で優柔不断に揺れまくるモテ過ぎ男の恋の顛末。どっちにしたってモテモテなんだから、1人を「恋人」もう1人を「愛人」にして巧く立ち回れば、両手に花の3角愛も成就するのに‥‥なんて不謹慎な声も聞えて来るけれど、ここは良識ある日曜夜9時のコンサバ恋愛ドラマ。「二兎追う者は一兎も得ず」なんて結末にならないように老婆心ながら心配しつつ、仁義を欠いた女の闘いに身の毛もヨダッたりして?‥‥主人公の柏葉東次(堂本剛)はデパ地下食品売り場担当の新人で、エレヴェータ・ガールの早川菜央(内山理名)が「今カノ」。そこへ広告代理店勤務のキャリアウーマンに変身した「元カノ」の佐伯真琴(広末涼子)が赴任して来たから、さあ大変‥‥。1人の男を奪い合う「元カノ」対「今カノ」の女の対決はマジ怖いっすね。「美少女H」時代から大人びた顔立ちだった内山理名はミステリアスな役が多くて、ごく普通のOLを演じていても「心の闇」が深そうな感じ。一方『愛なんていらねえよ夏』(TBS 2002)で盲目の少女に挑戦するなど演技の幅を拡げているヒロスエは「ヤフー ! BB(でやんす)」のCMでも分るように、舌っ足らずな甘え声で男たちをメロメロ(ダメ男?)にしてしまう小悪魔キャラ。どっちも近寄り難いなぁ。

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  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • 「エロカネ式回文」に感化されたのか、エロ回文モード全開になってしまいました。 女性読者ドン引きの音が聞こえて来るようです(見捨てないでぇ〜)

  • 記事の一部に記憶違いがあったので自己修正しました。 S姐さんに見つからなくって良かったなぁ(ムフフフ‥‥喜色満面の笑み?)

  • 9時、釧路ロケで、けろろシクシク ──「けろろ軍曹サン、釧路で辛いことがあったんですか?」「堤監督のダメ出しが厳しくて‥‥」「実写版?」

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弘兼憲史の回文塾

  • 著者:弘兼 憲史
  • 出版社:小学館
  • 発売日:2003/07/20
  • メディア:新書
  • 目次:時事回文 / 有名人回文 / ノンセクション回文 / お色気回文 / おバカ回文