□ 濃い毛・目の記憶・荻野目慶子
2枚目イケメン俳優が1度悪役に転じると2度と主役(善人)に戻れないのと同じように、清純派アイドル女優も下半身スキャンダルに巻き込まれると一転してダーティな翳りを帯びてしまう。荻野目慶子さんも清純派アイドル、演技派女優として将来を嘱望視されていたけれど、恋人と噂されていた映画監督の「自殺」によって、愛する男を死へ追いやる「魔性の女」というイメージに染まってしまった。2冊のヘア・ヌード写真集(1冊は「恋人」が撮影!)や告白本『女優の夜』(幻冬舎 2002)が出版されてからは、映画やTVドラマでもデンジャラスでエキセントリックな役どころが多くなる。彼女の演技力を以ってすれば清純無垢な女性も演じられるはずなのだが、ヴァーチャル時代の増幅コピーするマス・イメージは怖しいもので、「魔性の女」という黒タイツを脱ぎ去るのは「電光人間」の下半身に塗られたコールタールを払拭するような困難さが付き纏う。清純派女優のイメージは、八千草薫、吉永小百合‥‥で、その後が続かない。

□ 黄パンプキン・パイ、半期分破棄!
擬装牛肉、賞味期限の改竄、殺虫剤混入の輸入冷凍食品(毒入り餃子)など‥‥次々に発覚する加工食品の不当表示。食に対する安全性が問われている。紀伊特産品の黄色いカボチャを使用した「紀伊パンプキン・パイ」も原材料の産地擬装に加えて、賞味期限を少なくとも丸1ヵ月以上延長していたことが従業員の内部告発で発覚し、無期限の営業・販売中止に追い込まれた。製造元の老舗洋菓子会社「紀伊屋」では、過去半年分に遡って店頭及び在庫品を廃棄処分にするという。「紀伊パンプキン・パイ」の「黄色」も合成着色によるものではないかという噂もネット上で流れたけれど、メーカー側は事実無根だと完全否定している。「紀伊パンプキン・パイ、半期分廃棄!」──毎朝新聞(2008年3月1日付)の第1面に踊った見出しが回文であることに殆どの読者は気づいていない。

□ バレぬ昼間の「マル秘」濡れ場
最近、妻の服装が華やかになり化粧も派手になった。ヘア・スタイルも最新ファッション誌から抜け出て来たみたいだ。口許には笑みが浮かび、マスカラやアイラインで化けたデカ目も爛々と輝いている。これは絶対「不倫」に違いない!‥‥と睨んだY夫は浮気現場に乗り込んで締め上げてやろうと目論んだ。状況証拠だけでは、頭の回転も速く口も達者な妻には歯が立たない。下手に相手を刺戟して逆に殺意でも抱かれたら大変だ。寝ている間に撲殺されてバラバラに切断される最悪の事態だけは避けたい。月に1回、職場を休んで、外出する妻の後を密かに尾行する。いつもは体よく撒かれてしまうが、今日こそは女ギツネの尻尾を捕まえてギャフンという目に遭わせてやるぞ、今に見ていろ、媚狐妖怪め!‥‥と鼻息も荒い。てっきりホテルへ直行するのかとばかり思っていたけれど、浮気妻が入って行った先は駅前の「銭湯」だった。

□ 意見が耐え切れず、薄れ消えた関係
広々とした空間、高い天井、タイル張りの床、大きな浴槽‥‥白い湯けむりが午後の陽光を和らげる。思いっきり手脚を伸ばせないマンションのユニット・バスでは決して味わえない解放感に陶然となる。営業を始めたばかりの風呂場には女客も数人しかいない。キラキラと木漏れ日のように搖れる湯舟に浸かり、恥骨が白骨化して行くのを感じながら1人もの思いに耽る。別れちゃった彼、ちょっと惜しいことしちゃったかな?‥‥最大の原因は酒に酔うと始まる彼の「お説教」。私の欠点ばかりを挙げ面って非難中傷することだけは耐え切れなかった。あれは言葉によるDVじゃないかしら。お互いに気不味くなって、どちらからともなくフェイド・アウトしちゃった愛人関係だったけれど、決して後悔はしないわ。今度は若いツバメをペットに飼おうかなと夢想する午後だった。

□ 睫だけ‥‥髪の毛の見かけだけ妻
2週間の海外出張から帰って来てからというもの、「妻」の態度が妙にヨソヨソしい。ついに浮気がバレたのかと勘繰ったものの、そのことでツムジを曲げて怒っているわけではないようだ。妻に良く似た別人28号というか、瓜2つのクローン妻というか‥‥学生時代に映画館で観た『惑星ソラリス』『ブレード・ランナー』を想い出して、もしかしてエイリアンやレプリカントなのではないかとSF的な妄想に囚われてしまう。何よりも不審に思ったのは「妻」のショートヘアが数カ月経っても全く変わらないことだった(ヘア・ウィグを被っているのだろうか?)。結婚前の妻のチャーム・ポイントだった眼‥‥その大きな黒い睛を飾る長い睫は今でも変わらずに美しい曲線を描いている。それだけに、どこか造りものっぽい人工的な美を感じてしまうのだが。見かけは完璧な「妻」なのに心のどこかで、この女は妻ではない!‥‥という危険を告げる赤いアラームが点滅している。

□ 実は脱線、隣接多発死!
JR西日本、福地山線脱線事故(2005/4/25)は衝撃的だった。死者107名(運転手1名、乗客106名)の大惨事を引き起こした原因は一体何だったのか?‥‥7輌編成の上り快速電車の前5輌が右カーヴを曲がり切れずに脱線、隣接するマンションに激突した先頭2車輌は跡形もなかった。スピードの出し過ぎが脱線事故を招いたという指摘もあったが、線路沿いにマンションが建っていなければ、これほどの大惨事は起こらなかっただろう。立地条件の悪さとスピード超過が事故を倍増させる。河岸ギリギリに建っている高層マンション、埋め立て地の上に建つ集合団地、山肌を整地した新興住宅‥‥。民家の間を通り抜ける路面電車はノロノロ運転だから危険度は低い。最近、自転車事故による死者(老人)が激増しているという。自転車も猛スピード(時速30km以上!)で暴走すれば「凶器」と化すのだ。

□ キスは嘘よ、女装は好き!
公平君(高1)の初恋の相手は同じ高校に通う同学年の男子生徒だった。バカ息子がゲイ・薔薇族・オカマ・男色になってしまう前に女性の魅力に目覚めさせようと画策する父親は、親友の娘・朝丘結を東京から呼び寄せて自宅に2〜3日滞在させることにする。しかし、結は逆にアイドル的存在の千住まといを追い回す女の子たちの中に混ざりたいという公平の気持ちを聞き入れ、彼の「女装」を手助けする。ところが、ストレート人間の千住は女装した男子だとは気づかずに公平に恋をする。一生女装したままでは暮らせないと悟った公平は別れの言葉を告げる──「河童なんだ / わたしは」。公平と結の関係がプラトニック・ラヴならば、公平と千住はパスカリック・ラヴ!(パスカル的恋愛)‥‥実は最後に、もう1つのプラトニック・ラヴの存在が明かされるのだが‥‥「パスカルの群れ」(大島弓子)。

□ 単4漏れ、チビ猫駄々捏ね「ピチ☆レモン」読んだ
Apple社が、iCatという自律型のペットを発表した。Sony製のAIBOより一回り小さなネコ型のロボットで、Macコンピュータで簡単なプログラミングやデータ管理などが行なえる。左右の眼に組み込まれた高感度カメラで立体的に画像認識、両耳の全方位マイクで音声認識(飼主の顔と声を記憶)、動くモノや音に反応して機嫌が良けれはリズムに合わせて踊ったり‥‥。iCatの特徴は付属のリモコンで基本行動を操作可能なことだが、そこは自由気ままなネコそのものなので、完全なコントロールは難しい。A子さんは発売日の前夜からアップル・ストアに徹夜で並んでiCatを入手した筋金入りのMacおたく。iCatを自室に迎えてからはチビ猫を溺愛する日々が続いた。でも最近、チビ猫の様子が変!‥‥反抗期なのか猫撫で声で呼んでも知らんぷりだし、リモコンにも全く反応しなくなってしまった。今日も妹が忘れて行った読みかけの「ピチ☆レモン」4月号の前に坐ったまま朝から微動だにしない。昨夜、充電したばかりなのでバッテリー切れということはない。もしかしてリモコンの電池切れかなと思ってケースを開けると、単4乾電池から液体が漏れ出ていた。

□ 6回転恥じた。脚出せミニスカ、脱がずに見せ出し。あたしパンティが黒
痛〜〜い!‥‥校舎の階段から転げ落ちてカモシカのような美脚を打撲しちゃった。その顛末を傍で目撃していた木乃香によると明日菜の大好きなK楽坂のデカ肉まんみたいに6回転も転がったという。そりゃ急いでいたとはいえ、3Fの下り階段から脚を踏み外して5〜6段下の踊り場に転落。改築予定の旧木造校舎(階段の角が擦り減っていて滑り易い)だったのが不幸中の幸いだった。木乃香に付き添われて新校舎の保健室へ。麻帆良(まほら)学園高等部の制服は真紅のブレザーにタータンチェックのミニスカだが、生徒たちはスカートのウエスト部分を何重にも折り返して膝上20cm以上にマイクロ・ミニ化している。打撲した両脚だけではなく腰の具合も診たいから、上着やハイソだけではなくスカートも脱いでねと言う女保健体育教師の命令に、あたしは必死に抵抗した。だって、今日の下着は超エロカワの黒レース・ブラ&パンティ(スヌーピー!)なんですもの。

□ 死んだクライド・トンボー「本当?」問い、落胆し‥‥
2006年8月、国際天文学連合総会で冥王星(Pluto)が太陽系惑星から消えた夜、冥界で1人の男がガックリと肩を落としていた。1930年に冥王星(太陽系第9惑星)を発見した天文学者クライド・トンボー(Clyde Tombaugh 1906ー1997)である‥‥。Wingsの《Venus & Mars》(EMI 1975)のアナログ盤にはジャケットと同じデザイン──黄色(Venus)と赤(Mars)の球体──の丸いシールと太陽系惑星の比較表がオマケに付いていた。この表でサイズを較べると、縦長ステッカー(307×40mm)の一番上に位置するPluto(2500?)は一番下のMercury(3000)よりも小さい。今回の発表は最新の天文学調査や宇宙物理学的見地からの判断だろうが、水・金・地・火・木・土・天・海‥‥では据わりが悪いし、未来の宇宙飛行士ダン・マイルド君だって、「出張先」の惑星が消滅していたら困るかもしれません。冥王星は「準惑星?」という太陽系惑星外通告に戸惑っているのは、クライド・トンボー氏だけではないでしょう。

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  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • クライド・トンボー回文は「スニンクスなぞなぞ回文 #11」の解答です^^

  • リニューアル明け(2/27)のトラブル&大激重!‥‥スキン・スウィッチャーが使えません。あと48時間止まっても良いから、元の環境に戻して欲しいよ

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女優の夜

  • 著者:荻野目 慶子
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日:2002/10/15
  • メディア:単行本
  • 目次:転落と「最高の感情」/ 闇の記憶 / 秘めた恋の歌 / 死の誘惑 / 豊潤な旅の終わり


Venus And Mars

  • Artist: Wings
  • Label: EMI
  • Date: 1994/08/29
  • Media: Audio CD
  • Songs: Venus and Mars / Rock Show / Love In Song / You Gave Me The Answer / Magneto And Titanium Man / Letting Go / Venus And Mars (Reprise) / Spirits of Ancient Egypt / Medicine Jar / Call Me Back Again / Listen To What The Man Said / Treat Her Gently/Lonely Old People ...