□ 黒川芽以、色恋沙汰?‥‥サイコロ良い目、和が6
〈泪の海〉で歌手デビューした黒川芽以ちゃんに初の熱愛スキャンダル発覚?‥‥所属プロは揉み消しに躍起になっているけれど、某写真週刊誌に「カレ氏」との路上キス現場を盗撮されて言い逃れは出来ない。ここは清純派女優・奥菜恵さんのようなニャンニャン流出写真でなかったことを逆に喜ぶべきだろう。周囲の狼狽ぶりに反して、芽以本人が至って屈託ないのは唯一の救いだ。ファンも度重なる「アイドル醜聞事件」で学習して来たのか、無闇矢鱈にアイドル / タレントを追い詰めるような言動は慎んでいる。しかし事態を気に病んだマネージャ氏が画策して、実に良く当たるという評判の「赤坂のオババ」太木骰子に占って貰うことに‥‥。さっそく有名な「サイコロ占い」で芽以の未来を占って貰う。振ったダイスは3のゾロ目(和が6)。骰子2個の場合、18通りの組み合わせ、和は2〜12、ゾロ目の出る確率は6分の1になるが、そもそも3という数字が「良い目」なのだという。今回の初スキャンダルは逆に彼女の知名度を上げ、人気の幅を広げる好機と捉えるべきとのこと。とりあえず、ホッと胸を撫で下ろすマネージャ氏だった。

□ 死んでハンデ負う、お転婆天使
ここは何処?‥‥現世と冥界の境界を流れる三途の川の前で途方に暮れる少女Aは、自分が交通事故で死んでしまったことに未だ気づいていない。灰黒色のカーテンに覆われた暗く沈んだ不気味な空、ドス黒く澱んだ河、荒涼とした人気のない河原、時折吹く風が饐えた臭いを運んで来る‥‥。兎角あの世とこの世はネガとポジ、現実世界とは全く逆の人生が待っている。聖人君子は極悪非道に、金持ちはビンボー人に‥‥人口に膾炙している因果応報、勧善懲悪──悪人は地獄に堕ち、善人は天国に昇り‥‥という教訓は現世の不幸な人間たちが勝手に造り上げた「妄想」である。幼い頃から、お嬢様と持て囃され、我がまま放題に育てられて来た彼女。お転婆、ジャジャ馬、跳ねっ返り娘の名を欲しいままにして来た少女A。17年の短い命だったが、これからは正反対の人格、ネクラ少女A’として生きなければならない。こんな悲惨な運命が待っているとはツユ知らぬ彼女‥‥でも、このゲロキモい河は渡らずに、今来た道を引き返してやろうかと密かに機会を窺っている(←オイ、オイ!)。

□ サイパン救けた海亀の女神、宴(うたげ)、スタンバイさ!
島育ちの玉浦史朗は高校時代に写真部に在籍していたこともあって、大学を卒業してからフリーカメラマンの道に進んだ。写真家といっても、そこいらの浅ましい人物や有り触れた風景を撮ったりはしない。専ら海中の魚や水棲物だけを撮る水中カメラマンとして‥‥。10年以上、この気ままな「仕事」というより「趣味」を続けて来て最近思うことがある。オレが本当に好きなのは「素潜り」で、水中写真は旅行者の撮るスーヴェニール以上のものではない、水中カメラマンになったのは常に海中に潜れるからではなかったのかと‥‥。エメラルドグリーンの海、美しいサンゴ礁、カラフルな熱帯魚‥‥今、休暇を取ってサイパンへ遊びに来ているけれど、結局やっていることは「海中散歩」である。流石に素潜りではなくアクアラングを背負ったスキューバ・ダイヴィングで、水中カメラは携行していない。昨日の午後、思いがけない光景に遭遇した。海底で巨大タコの足に搦め捕られて身動き出来ずに喘いでいる海亀に出逢ったのだ。咄嗟の判断でナイフを手に近寄り、タコの足を切り裂く。ノロノロと逃げ去る海亀、穴蔵に後退する切断されたタコの足‥‥エキサイティングな体験だったが、その夜、救けた「海亀の女神」が夢の中に現われたのだ!

□ レズは弥勒も目論見外れ
56億7千万年後の地球。惑星自体は辛うじて正常に太陽の回りを周回しているものの、その生態系は大きく変貌してしまった。人口は激減、雄種も絶えて久しい。元々男子の出生率は女子に比べて高めだったが、22世紀を境に同率になり、男女比は逆転して行く。それ以降微減し続け、30世紀の男女比は1:2まで落ち込む。もっとも20世紀後半から「精子バンク」が設立され、「人工授精」が一般化してからは事実上、男子の存在意義は殆ど消滅していたのだが‥‥。21世紀に入っても相変わらず「戦争」ばかりしている好戦的な男種は地球環境上から見ても不必要と「創造主」が思ったかどうか知らないが、地球上から男たちが減って行くにつれて戦争や紛争も少なくなり、世界が平和になったのは皮肉な結末だった。現在、母体から男児は99%産まれない(残りの1%は奇形児だ)。弥勒菩薩は困惑していた。人類誕生以来、これ以上理想的な時代はなかったと言うべき平和な社会を築いているのに、その基盤となる地球自体の寿命が今尽きようとしているとは!‥‥。この未曾有の危機から彼女たちを救うべきか(他の惑星に移住させる)、それとも「安楽死」させるべきか?

□ 伊豆、ヒンシュク沸く湯‥‥神秘水?
椎名真子の趣味は日本全国温泉めぐり。既に50カ所以上の湯治場に宿泊している無類の温泉好き娘である。温泉の魅力は両手両脚を思いっきり伸ばして、広くて温かい湯舟に好きなだけ浸かっていられる開放〜安堵感、少々食事が不味くっても温泉さえ充実していれば大満足だった。ところが最近、彼女は考えを変えてしまった。ある温泉に入っていて疑問がブクブク湧いて来たからだ。ゴボゴボと蛇口から熱い湯が勢い良く迸り出ているのに一向に湯舟から溢れ出る気配がない。これが例の「循環風呂」なのだと気づくのに、そう時間はかからなかった。温泉客の中には蛇口から手酌で湯を飲んで、ご利益ご利益などと喜んでいるバアさんもいるではないか!‥‥一応フィルタで濾過しているとしても、まともな人間がゴクゴク飲めるような「神秘水」のわけないだろう(バカヤロー!)。

幾ら省エネ、コスト削減時代とはいえ、余りにもセコくないか。それに加えて一昨年、新聞やTVで報道された寝耳に湯水の、温泉=水道水+入浴剤疑惑。これは悪質なサギ商法ではないか、都会から金(交通費と宿泊費)と時間をかけて辿り着いた旅館の温泉が真水を沸かしたものだったなんて酷すぎる‥‥と、どうにも怒りが収まらない真子さん。今までに訪れた「秘湯」は本当の温泉だったのか。「水増し温水」ではないのか。それどころか水道水で何が悪いと開き直る旅館主や旅行作家もシャシャリ出て来て腹立たしい。マッハ早速、月末の伊豆旅行をキャンセル(夏季休暇の旅行プランも一から考え直さなければならない)。これなら自宅のユニットバスに、お気に入りの入浴剤を入れた「疑似温泉」の方が未だしも心が安らぐ‥‥と乳白色の湯舟に浸かりながら、ちょうど風呂場に跳び込んで来た愛猫ショコラ相手にグチるのだった。

□ アニマル柄、虎狩るマニア
18年振りに阪神タイガーズが優勝した余波なのか、関西方面でトラやヒョウ柄のアニマル・ブームが続いている。その主たる中心はオバさん族で、駅前商店街や繁華街はシマやブチ柄の服を着た2本脚の動物たちで犇めき合っているという。この意味不明の謎ブームが首都圏へ飛び火して、巣鴨地蔵通りが老いたネコ科動物で溢れ返らないことを願うだけだ。一方、目を世界へ転じてみると、タイガーやジャガーなどMac OS Xのコードネームにもなっている俊足動物たちは長年の乱獲が祟って今や限りなく「絶滅種」に近づいている。そうでなくても欧米では毛皮を着て外を歩くだけで動物愛護団体や環境保護グループから大非難されるし、ある種の動物はワシントン条約で輸出入を禁止されているので、その昔3千万で買ったレパードの毛皮を着て出歩くことも叶わないと嘆くセレブもいる(それでも密猟はなくならない。アフリカではゾウを1頭殺せば丸1年遊んで暮せるというのだから)。もちろん関西のオバさんたちが着ているのはフェイクファーやプリント模様ですが‥‥猫好きとしましては、この変なブームが市井の猫ちゃんにまで及ばないことを切に願って止みません。

□ 飛騨の屋敷より、夜汽車の旅
君は夜汽車に乗っている。祖父の逝去に伴う「遺産相続」に立ち合うために。飛騨の山奥に蹲る大屋敷は父方の実家というよりは子供の頃、夏休みに遊びに行く納涼「お化け屋敷」という感じで──2階で自転車を乗り回せるくらい広く、2つ違いの従妹と一緒に良く遊んだことを君は思い出す──、明治時代に建てられた総檜造りの木造家屋は、その当時(少年時代)からして既に古色蒼然とした時代遅れの「遺物」に近かった。最寄りの駅からクルマで小1時間(昔は私営バスが回遊していた)、鬱蒼たる森の中に死んだように眠っている大屋敷‥‥。亡祖父とは格別親しかった訳でもないし、先日執り行なわれた葬式ヘの参列も気が進まなかったのだが、両親を2人共早くに亡くしている君は出席せざるを得ない。ただ帰省する際は何時も夜汽車だった。幼い頃から君は鉄道、それも夜の汽車に乗るのが大好きだった。「夜汽車」といっても石炭で走る蒸気機関車のことではない。ブルートレイン(夜行列車)のことだ。明る過ぎる都会を走るJRやスピードを売り物にする新幹線は「夜汽車」のイメージからは遠すぎる。君は車窓から月を眺めながら夢想する──このまま目的地へ永遠に着かなければ良いのに、出来ることなら逆の方角へ走る列車に乗換えたいと‥‥。

□ 罪、昼時効よ! 来たか父母?‥‥深田恭子、知る秘密
「南青山コンビニ強盗殺人事件」の時効まで残すところ、あと12時間。焼畑署の刑事たちは焦っていた。既に犯人(容疑者)は特定され、全国に指名手配中。しかし一体どこに隠れ潜んでいるのか、今日に至るまで尻尾を現わしていない。名前や顔を変えて別人28号に成り済ましているのではないかとか、とっくの昔に海外逃亡して国際テロリストになったとか、あの北朝鮮に拉致してもらった(?)とか‥‥鎌倉熊成警部(山下真司)を中心に侃々諤々議論している(実はそんな暇はないのだが)。そこへ「ちょっと、宜しいでしょうか?」という、お決まりの科白と共に富豪刑事・神部美和子(深田恭子)が割り込んで来る。「もしかしたら、もう既にお亡くなりになったのではないでしょうか」‥‥一同、座が白け切ったところでタイミング良く新事件発生を告げる緊急アラームが鳴った。

この焼畑署から数10m先の「コンビニ」で強盗犯が女子アルバイト店員を人質に籠城、しかも犯人は今話していた指名手配中の容疑者と同一人物の可能性が高いという、飛んで焼畑に入る夏の虫ケラ的展開。疑心暗鬼に駆られた犯人は、もう逃げられないと自首を選んだが、警察署前のコンビニ店を見て気が変わった。ここは昔取った杵柄(?)──コンビニ籠城を決め込んで狡賢く時間稼ぎ‥‥時効成立を目論んだのだ、よりによって焼畑署の真ん前で。もはや血迷った犯人に「コンビニ籠城」の罪の意識→刑務所行きを考える余裕はない。明日の正午まで籠城出来れば時効成立ということしか頭の中になかった。欣喜雀躍した神山郁三署長(西岡徳馬)‥‥しかし、事件はそう簡単ではなかった。必死の呼び掛けにも一切応じる気配もなく夜が明ける。午前中には容疑者の父母を呼び、泣き落とし戦術を試みるも無駄に終わった。時効まで、あと数時間という時に、またしても神部刑事が手を挙げる。「あのう‥‥コンビニの建物ごと巨大な鉄の檻に入れて、とりあえず逮捕したことにしたらどうでしょうか?」

□ 5時半か‥‥帰れないな、零下、寒波、事故
3月も末だというのに異常気象なのか突然の豪雪、吹雪で釧路のホテル内に閉じ込められてしまった。フライトも欠航、幹線も不通、道路も雪崩で通行止め‥‥こんなことなら滞在日程を1日早めておくべきだった。よりによって帰京する朝(実は前日の昼から雪が降っていた)に限って、こんな荒模様になるとは‥‥。でも、これがQ女史の「山小屋」でなくて良かったなぁ。片や辛口コラムで売っている著名な女コラムニストの避暑休暇、こっちは無名のフリーライターの取材旅行と比較にはならないけれど、独りではない(従業員や観光客がいる)。ヒグマも襲って来ない。食料や燃料の心配もない。取材費は1週間分しか出ていないが、不慮の事故・事態の場合の超過分は追って支払われる契約になっている。「山小屋」とは大違いだ。今朝5時半に目覚めた時に思ったことは、この天候が出来れば永遠に続いて欲しいってこと。映画評論家のヨドチョーさんみたいに一生ホテル住まいっていうのも悪くないかなって、外の景色を眺めながら思ったよ。

□ 貴方と揉めるキス。擦りボカす2mm塗り、ミニスカポリス濃すぎる目許だなぁ
ミニスカポリス森下千里はTVの本番収録直前、些細なことでカレ氏とケンカ。控室で揉み合いながら、嫌がる彼女はカレ氏に無理矢理キスされたのだ。さっき丹念にメイクしたばかりなのに、チキショウ!‥‥剥げ落ちたルージュ、滲んで流れ溶けたアイシャドー。咄嗟に女子トイレに駆け込んで応急処置を施す。鏡を見詰めながら手早く口紅とアイシャドーを塗り直す。手が震えて上手く塗れない。視界が霞んで鏡の中の私の顔が良く見えない。まるで千里じゃないみたい。若い婦警というより、場末のサーカス団の玉乗り女ピエロのようだわ。私の名前を呼ぶ、聞き馴れた声が響く。心配したマネージャ氏が私を捜しに来たのだ‥‥モニタに映り出された森下千里の上半身アップ‥‥それを見ていた副調整室の某ディレクタが呟く‥‥「今日のチーちゃん、濃すぎる目許だなぁ」。

                    *

  • 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい

  • なぞなぞ回文第7弾を出題します‥‥前回はSさまの独演会となってしまいましたが

    〈他人△▢◇◯れた妻、あの甘ったれ◯◇▢△ん似だ!〉

    ヒント:ちょっとサイコな回文。他人の空似でしょうか?

  • 正解回文はコメント欄にあります^^(2007/06/09)

  • 過去回文の一覧リスト〈PALINDROME 2005 - 2007〉を更新しました^^

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富豪刑事(DVD-BOX)

  • メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日:2005/08/05
  • メディア:DVD
  • キャスト:深田恭子 / 山下真司 / 夏八木勲 / 市毛良枝 / 西岡徳馬 / 升毅 / 筒井康隆 他
  • 収録作品:富豪刑事の囮 / 美術館の富豪刑事 / 密室の富豪刑事 / 富豪刑事のキッドナップ / ホテルの富豪刑事 / 富豪刑事の遺体捜索 / 富豪刑事の古美術品騒動 / 富豪刑事の要人警護 / 学園の富豪刑事 / 絶体絶命の富豪刑事