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F A V O R I T E ー B O O K S 2 3 [f a v o r i t e s]

  • 飛ぶ男(新潮社 2024)安部 公房447




  • 猫屋台日乗(幻冬舎 2024)ハルノ 宵子446


  • 「居酒屋ワカル」 を想わせる表題だが、深谷かほるのような猫マンガではないし、猫のための料理本でもない。「猫屋台」 は2012年に相次いで両親を亡くし、介護生活から解放された吉本家の長女が自宅を改装して、2014年12月に開店した完全予約制の居酒屋である。『猫だましい』(2020)では女将の乳がん、大腿骨骨折(人工股関節)、大腸がんなどの闘病生活も綴られた。本書は脱腸入院、コロナ騒動で政府が発令した自粛要請や 「緊急事態宣言」 を厳しく批判する。ネコの出番は少ないけれど、ネコがレシピを図解するイラスト(36葉)が愉しい



  • でぃすぺる(文藝春秋 2023)今村 昌弘445


  • 小堂間小学校6年生の木島悠介(おれ)、一学期の学級委員長だった波多野沙月、転校生の畑美奈の3人は夏休み明けの二学期、壁新聞を作成する掲示係になった。昨年11月末、奥神祭りの前日に運動公園のグラウンドで刺殺された従姉・波多野真理子(マリ姉)のパソコンに遺された「奥郷町の七不思議」というテキスト・ファイルを手懸かりに、「魔女の家」 に棲む老婆や警官のヒロ兄などの助けを借りて、オカルト好き少年、優等生、ミステリ・マニアが「なずての会」の謎を解き、暗躍する黒い 「影坊主」 の正体に迫るジュヴナイル・ホラー・ミステリ



  • 猫と ねこのエッセイアンソロジー(河出書房新社 2024)444


  • 『にゃんこ天国』(2018)を改題した文庫版。 夏目漱石 「猫の墓」(1909)から、角田光代 「猫、想像力を鍛える」(2015)まで、33人の日本人作家による猫エッセイ集。塀の上で一点を見つめて身じろぎしない愛猫ネネの姿に閃いて、スランプから脱した池波正太郎。猫の 「ツンデレ」(という言葉はなかった)を見抜いた谷崎潤一郎。元祖ペットロス(ノラ)に陥って、猫愛ダダ漏れ(クル)の内田百閒などのエピソードも面白いが、大佛次郎や佐藤春夫の文章の上手さが際立つ。解説「百年の猫を編む」は猫本専門店 書肆吾輩堂店主・大久保京



  • ぼくはあと何回、満月を見るだろう(新潮社 2023)坂本 龍一443


  • 初の自伝『音楽は自由にする』(2023)の続編で、冒頭の 「ガンと生きる」 はベルトリッチとボウルズ、外科手術前後(2021・1)や両親の死のことなど、「母へのレクイエム」 以降は時系列(2009~)で語られる。死後出版のため、「著者に代ってのあとがき」 は聞き手の鈴木正文が代筆している。教授と最期に会ったのは死の20日前、『坂本図書』(バリューブックス・パブリッシング 2023)に収録するための対談だったという。巻末 「フューネラル・プレイリスト」 の最後(死の3日前!)に追加された葬儀曲はローレル・ヘイローの〈Breath〉だった



  • ねこがお(クレヴィス 2023)岩合 光昭442


  • ユニークな視点で編集した写真集 「IWAGO’S BOOK 8」 はネコの顔だけをクローズアップ。生後1日目の仔猫から20歳を越えた長寿ネコまで、年齢順に総勢70匹(80頁)が登場。ドアップなので迫力満点。ブルー、グリーン、ヘーゼル、アンバー、カッパ ー、オッドアイなど、どうしても美しく大きな目色に惹かれる。「目の色が神秘という言葉を連想させる顔」 。時に愛らしく、優しく、怖く、誰何する、達観したような表情に魅惑される。《ネコの顔は心底、美しい。太古から変わらない輝きを秘めています》



  • 夜廻り猫 10(講談社 2023)深谷 かほる441


  • 「泣く子はいねが〜、ひとり泣く子はいねが〜」 と遠藤平蔵と懐の重郎が夜廻りして、心で泣く人の涙の匂いを嗅ぎつける8コマ猫マンガの第10巻だが、キーワードは「20年」かもしれない。小学生の時の担任先生を思い出す明日31歳の誕生日を迎える青年(巻頭カラー)、小劇団時代の仲間から20年ぶりの連絡があった億ションに住む売れっ子脚本家(二十年)、20年ぶりに夜の公園に来た女性(あとがき)など、僅か4頁に詰まっている20年分の思いが重い。開店した 「居酒屋ワカル」(スピンオフ作品)が忙しいのか、夜廻り見習いの出番は5回に減った


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