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スニーズ・ラブ 98 [s k n y s - l a b]

  • b 本の中の猫たち(2023-03-04)books
  • 『名作には猫がいる』(原書房 2022)は2018年に大英図書館で開催された 「本の中の猫展」 に付随するイヴェントのテーマ(英米圏以外の文学)から生まれたという猫文学ガイド ・ブック(原題 Literary Cats)。シャルル・ペロー 「長靴をはいた猫」、トルーマン・カポ ーティ 「ティファニーで朝食を」の名無し猫、ドリス・レッシング 「老女と猫」 のティビー、ポー 「黒猫」 のプルートー、チャールズ・ディケンズ 「荒涼館」 のレディ・ジェーン、ミハイル・ブルガーコフ 「巨匠とマルガリータ」 のベヘモート、スティーヴン・キングの 「ペット ・セマタリー」、フリッツ・ライバー 「跳躍者の時空」 のガミッチ、シャーリー・ジャクスン 「ずっとお城で暮らしてる」 のジョナス、テリー・プラチェット 「三人の魔女」 のグリーボ 、タッド・ウィリアムズの 「テイルチェイサーの歌」 のフリッティなどの 「有名な猫」 を始め 「古典の猫」 「詩の猫」 「児童文学の猫」 「しゃべる猫」 「作家とその猫」 「SFの猫」 「ノンフィクションの猫」 「英米文学以外の猫」 たちが総登場。「脚注・参考文献・索引」 も充実。

  • b 青い壺と炎の剣(2023-03-11)comic
  • 2016年、エドガーとバリーが英レスター郊外のアーサー邸に帰って来た。灰になったアランを「復活」出来るのは大老ポーだとバリーは言う。パリのファルカの許に現われたポーがベニスのサン・ミケーレ島にエドガーを連れて来いと言伝する。アランを甦生するにはパンドラと呼ばれる青い壺と大老の持っている炎の剣が必要だった。ポーの村の地下に囚われている兄フォンティーンを解放させたいバリーは兄を拘束している薔薇の根を焼き切る炎の剣が欲しい。剣と交換するためにアランの入っているトランクを奪って姿を消す。エドガーとファルカがベニスに着く。待っていた大老がベラの隠れ家に案内する。青い壺(血の神)を手に入れた一行は英ヨークにあるポーの仕事場へ向かうと、ギリシャのポーの島で血の神を祀 っていた司祭アルゴスが現われて不吉な予言をする。大老が炎の剣でアランを「復元」したけれど、アルゴスが血の神を取り戻しに来る‥‥『青のパンドラ 1』(小学館 2023)のオカルトっぽい展開の行き先は粉々に砕けた壺の中から浮游した青い霧のように見通せない。

  • b シーナ・コロナ・3人の兄(2023-03-18)books
  • 目黒考二は鬼籍に入ったが、椎名誠は生還した。『失踪願望。』(集英社 2023)は出版元のウェブサイトに連載している 「日記」(2021・7・7~2022・10・12)に、書き下ろし2篇を加えたエッセイ集。多くの読者の関心は2021年6月、自宅で意識を失って緊急搬送された「新型コロナ感染記」にあると思われるが、この本の肝は「三人の兄たち」にあると思う。著者の六歳上の兄、会社の先輩・山森さんの兄(歯科医)、カヌーイスト・作家の野田知佑の兄も登場するけれど、「三人の兄」 とは実兄、山森さん、野田知佑を指しているのだろう。高校生の時に失恋して自殺未遂をした兄。高田馬場駅前のタクシー乗り場で起きたヤクザとの乱闘。四国で開催されたシンポジウム会場から前後不覚の野田知佑を抱えて逃亡するエピソードは鬼気迫るものがある。このエッセイは亡くなった 「三人の兄」 への鎮魂歌である。「新型コロナ感染記」では著者の妻・渡辺一枝の存在もクローズアップされている。池袋・芳林堂で薄くてペラペラの「本の雑誌」バックナンバーに魅入った日々を懐かしく思い出す。

  • b 3月の三毛ネコ(2023-03-25)cats
  • 民家の窓辺でレースのカーテンの狭間から「三毛ネコ」(スコティッシュ・フォールド)が外を眺めている。ネコと目が合って、暫し見つめ合う。呼びかけて手招きするも微動だにしない。相手を容貌で視認しているのかもしれないと気づいてマスクを外す。少し逡巡していた後、横を向いて窓から姿を消す。飼い主が玄関ドアを開けるとネコが出て来た。スコちゃんの跡を追うように「チビ三毛」も飛び出て来る。30分ほど三毛ネコたちと戯れて写真を撮った。まだ馴れていないチビ三毛を隣家の鉄扉越しに撮っているうちに、スコちゃんの姿が消えた。向いの民家(数年前ノラネコを撮っている時に、家の写真を撮るなと言われた)の裏に入り込み、コの字型に右へ回り込んで鉄扉の前で立ち往生していた。細い隙間を塞いでいる鉢植えを横にずらすと、スルリと通り抜けて帰途に着く。最近は滅多に外に出なくなったのに珍しいと、玄関前で女飼主が近所の住人に話していた。数日後、駅前公園で数カ月ぶりに三毛ネコの健気な姿を見つけて安堵する。植え込みの陰に隠れていたけれど、手招きすると近寄って来て、いつものように膝の上に乗ってくれた。

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    名作には猫がいる

    名作には猫がいる

    • 著者:ジュディス・ロビンソン(Judith Robinson)/ スコット・パック(Scott Pack)
    • 出版社:原書房
    • 発売日:2022/12/20
    • メディア:単行本(ソフトカヴァ)
    • 目次:はじめに / 有名な猫 / 古典の猫 / 詩の猫 / 児童文学の猫 / しゃべる猫 / 作家とその猫 / SFの猫 / ノンフィクションの猫 / 英米文学以外の猫 / おわりに / 訳者あとがき / 注 / 参考文献 / 索引


    ポーの一族 青のパンドラ 1

    ポーの一族 青のパンドラ 1

    • 著者:萩尾 望都
    • 出版社:小学館
    • 発売日:2023/02/09
    • メディア:コミック(FLOWER COMICS SPECIAL)
    • 目次:冷蔵庫で眠る / アランがぬすまれる / ベニスのベラの家 / 影の道 / 炎の剣 / ポーの一族番外編 火曜日はダイエット

    猫のダヤン 1 ダヤン、わちふぃーるどへ

    猫のダヤン 1 ダヤン、わちふぃーるどへ

    • 著者:池田 あきこ
    • 出版社:静山社
    • 発売日:2018/04/11
    • メディア:新書(静山社ペガサス文庫)
    • 目次:猫のダヤン / タシルの仲間たち / ダヤン、はじめての冒険 / あとがき──物語の新たな船出

    失踪願望。 コロナふらふら格闘編

    失踪願望。コロナふらふら格闘編

    • 著者:椎名 誠
    • 出版社:集英社
    • 発売日: 2023/01/31
    • メディア:単行本
    • 目次:カニカマ、骨折、コルセット / 海苔弁、コロナ、Xデー / 禁酒、漂流、金メダル / 相棒、オアシス、後遺症 / 返納、お帰り、おとなり座 / 衆愚、減薬、初投票 / 講演、ブンガク、紅葉狩り / 族長、満月、ガイコツテレビ / 夫婦、胃カメラ、あすなろ忌 / 冬ウツ、貧困、ウクライナ / SF、寅さん、失踪名人 / 通院、タケノコ、春の海 / 東北、賢治、...


    知りたい! ネコごころ

    知りたい! ネコごころ

    • 著者:高木 佐保
    • 出版社:岩波書店
    • 発売日:2020/02/09
    • メディア:単行本(岩波科学ライブラリー)
    • 目次:ネコ研究ことはじめ / ネコだって、想い出にふける / コラム 賢いウマ、ハンス / ネコだって、推理できる / ネコだって、人を思う / ネコだって、進化する / あとがき / 参考文献

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