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CM野郎とコマちゃん [c o m i c]

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  • まずスポンサーから仕事をもらう〔あるいは依頼される‥‥だが、わが社では、メッタにそんなことはない〕営業部の仕事である。次は企画書づくりで社長流にいえば‥‥「クリエチブチこそイトオカシ。」 ボクのようなカッチョイイCM野郎としてはもっと楽しく、かつ苦しいときである。アイデアがまとまったらいよいよ制作開始だ。デザイナー、タレント、モデル、カメラマン‥‥いろんな人間が動く〔はずなのだが、やはりワガ社はボクひとりでナニからナニまでやらなければナラヌ。〕こうしてできあがったポスターやCFは、校正、およびラッシ ュ時に、スポンサーに見せOKがでれば完成、ということになる。つまり初号フィルムを納入した段階で、ボクラの仕事は、事実上のおわりとなるのだ。‥‥であるからにして売りだされた製品が悪くとも、当局はいっさい関知しないからそのつもりで‥‥。なお、このフィルムは使用後、爆発し、消滅する。自分のつくったCMがチマタで爆発的にヒットをしているのをみるのは、なによりもウレシイ。だが、ゆっくり喜んでいるヒマもなく、そのころは次の仕事がまっているのだ‥‥!
    石森 章太郎 『CM野郎』


  • ■ CM野郎(週刊少年サンデー 1970)
  • 「ジュン広告センター」(JADC)の入社試験を受けに、九州から上京した飛田松五郎。ところが「カッコイイCM野郎」に憧れて、意気揚々と駆け込んだ巨大ビルは業界最大手の広告代理店「大伝報院」。JADCはビルの軒下に間借りするように取り残された木造のボロ社屋だ った。超変人の社長・星ジュン(マロ)、東北弁訛りの秘書・須毛駒子、先輩社員のコマーサル(コピー)だけの弱小会社に就職したCM野郎のドタバタ劇がスタートする(JADC入社の巻)。出社した松五郎はコミックスに自社広告を載せ、三大新聞(朝目、毎目、読買)に全面広告を打つ。化粧品メーカーからの広告を依頼された松五郎は速攻で絵コンテを描き、外人タレントクラブから雇ったアフリカ系黒人女性たちを起用してコマーシャル・フィルム(C・F)を撮る。松五郎はC・Fと企画書を持参して「ベベロン宣伝部」に乗り込むが、「大伝報院」 の宮本太輪四、「第100企画」 の木左一徹、「万練社」 の陰金武礼というライヴァルたちが待っていた(アタックNo.1の巻)。

    自動車メーカーのC・F絵コンテを作った飛田松五郎が歯出知宣伝部長に売り込みに行くが、「大伝報院」 の宮本太輪四に出鼻を挫かれる(売り込み作戦の巻)。見開き横長4コマ・ギャグで駆け抜ける(ヒマで困ってるの巻)。1カ月ほど前、JADCはバッタリ社の八犬伝吉社長から売れ残ったドッグフードの宣伝を請け負った。松五郎の制作したCMが大ヒットして 、犬だけでなく人間も食べるようになったが、「バッタリ社のドッグフード」 には中毒性の副作用があった(ドッグフードの巻)。売れ残った去年のトップレス水着をニューモードとして売りたいというスポンサーからの依頼を請けた松五郎が水着をリニューアルして秘書・須毛駒子に試着させる。文明評論家の富士原コタツ、ノーベル賞作家の皮馬狩痩成、売れっ子女優の夜丘涙子、女学生に人気のあるピーターパン、球界の星・大蛸痔、師弟でハレンチまんがを描いている章太郎・石森と永井GO、人気D・Jのカメあんどアンコウなどを買収し、良妻賢母学園の女教師や女学生たちに吹聴して水着を売り込む(トップレス水着の巻)。

    飛田松五郎はヒマラヤ山中で1週間も雪男の出現を待っていた。コーラを飲みながらコカ・コーラのTVCMを見ていた松五郎が「マズイ!!」と言い放つ。同席していたコカ・コーラ日本支部宣伝部員の冴照代が噛みつく。味ではなく、CMのことだと釈明すると、CMを制作した宮本太輪四が怒る。「雪男も飲んでます コカ・コーラ」 というアイデアを冴照代に提案した松五郎がパイロット・フィルムを撮りに行ったのだ。凍ったコーラを飲んで用足していたCM野郎の背後に雪男(雪女?)が現われる(コカ・コーラの巻)。広告代理店の仕事を化粧品会社から口紅の新製品CMを例に、コラージュを交えて解説する(CMがあなたのお目もとにとどくまで、あるいはCM野郎をはだかにするの巻)。セッセッセリーグ会長・米須角乃進とクルクルパー・リーグ会長・丸井玉造が「八百長野球」問題以来、人気低迷するプロ野球のイメージアップを依頼する。第一球(第一案)「野球選手によるチャリティー・プロレス大会」(よめいりジャイアント対半身タイガーマスク)。第二球「こうした野球選手の美談を週刊誌などにかきたてさせる」。

    第三球「人気マンガ家、作家により少年雑誌、テレビなどで "野球もの" をジャカスカかかせる」。第四球「野球選手によるレコードの吹きこみ、および一流歌手による “野球モノ” 流行歌」。第五球 「野球用語を流行語にし、ユニホームをトップモードにする」(八百長の星の巻)。動物タレント協会から 「ジュン広告センター」 に派遣されたベビータレント(赤ち ゃん)とステージママが生ビールCMの撮影中に大騒動を起こす(ベビータレントの巻)。新入社員2人、アメリカ人デザイナーのピーター・マッスグと所得日本一の土地成金の一人息子 ・兄丸ゴン太(+おじいや)がJADCに来る。R製薬会社のスタミナ剤「ドッピンシャン」と日本専売公社の新タバコ「ガン・スモーク」の仕事が舞い込むが、いずれも最近の不評を揉み消すキャンペーン広告の依頼だった(野郎日記よりの巻)。ボディペインティングした女性モデルの撮影中に、社長・星ジュンが 「パンチラ、モーレツはだかCM反省しよう」 というTV局とCM業界の自粛パンフレットを手にして闖入する(ぬがせるべからずの巻)。

    雨の夜、地下のバーで一人泣く飛田松五郎はランランプロダクション代表取締役・岡林二郎と出会う。CM野郎(オレ)が岡林と同席してウイスキー酌み交わすことになったのは連れの女性が気になったからだった。彼らが「スター計画」と呼んだ “神話” の幕が開けられた。岡林のアパートで、女性が白包帯と黒メガネを取って整形した美しい顔を露わにする。芸名は星空ヒカル。松五郎は 「CM」 で知り合ったダッシュ・オイル会社の灰屋丹社長に “商品 星空ヒカル” を売り込んで活動資金を得る。社長の紹介状を持って作曲家(流行歌)の弟子となり、新人歌手となってレコード・デビュー。芸能記者、音楽評論家、TV歌謡番組担当ディレクター、ラジオの深夜D・Jなどを買収する。「20年に一人!! 美空ひばり以来の大型新人歌手‥‥誕生!!」 。CMポスター、女性週刊誌にリークした「哀しい過去のものがたり」、男性週刊誌に載せたグラヴィア写真。デビュー曲「くやしいけれど未経験」は50万枚を超す大ヒ ットとなったが、星空ヒカルは芸能プロの入ったビルの屋上から身投げしようとする(スタ ー誕生の巻。最終話はナンセンス・ギャグからシリアスなストーリ・マンガに転じている。

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  • ■ CMコマちゃん(週刊漫画サンデー 1971)
  • 「CM野郎」 の続編は少年誌から青年誌へ掲載誌を変えて連載された。主人公はCM FOXこと飛田松五郎に代わって登場した巨乳ヒロイン・CMコマちゃん。業界最大手の広告代理店「大伝報院」の巨大ビルの軒下にあるボロ社屋という設定は同じだが、社名は 「ジュン広告センター」(JADC)から「MAROアドセンター」に変更されている。奇妙奇天烈な社長・花星月麻呂、腕の良くない営業マン・宇留寅平凡、スカートめくりのコマーサル。CM野郎の宿命のライヴァルだった大伝報院の多輪氏に加えて、上司の豚野千三も参戦する。松の内電トウKKのカラーテレビ広告、公害キャンペーンの 「有害広告」、立候補したミノムシ現村長の選挙応援、中年からの精力強壮剤トーチャンビン、動物ペット株式会社、精力飲料水 「コブラ・コ ーラ」、第一回CM研究会、4chステレオ、大スター起用ブーム、レインボーパンティ、タコに襲われたコマちゃん、波撮りCM野郎、1コマ・マンガ 「ああ!CM時代」、自衛隊広報(キネコミックス 1〜14)。

    枕営業(コマちゃん)、味の友(うま味調味料)、自己CM(ビデ夫人)、ポルノ歌手誕生、CMマシン(ドクター・CM)、キンチョーン(カトリ線香花火)、人生相談(宇留寅平凡の友人)、ポルノ解禁推進同盟?(色情露出狂)、かつらCM、変身学(飛田松五郎の変身願望)、ミルク(牛乳)、ヨコドリーウィスキー、「想い出のCMアルバム」、「有名人はCMする」、エコノミック科モーレツ社員のノイローゼ(CM野郎)、スポンサー争奪戦(キネコミックス 15~30)。コマちゃん、松五郎、宇留寅、コマーサルが一致団結してマロ社長にボーナス支給を要求する「最終回」で「MAROアドセンター」と「大伝報院」の社長が同一人物(一人二役)だったことが明かされて、コマちゃんと婚約する(『ワイルドキャット』 (1968-69)の「最後の闘争」と同じオチ)。『CM野郎』と過激さは変わらずギャグ度・下ネタ度が助長されているけれど、約半世紀前の作品なので、今となってはスベっているというか、意味不明で笑えないギャグ・ネタも少なくない。

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    • 「石ノ森章太郎萬画大全集 9-12~14」(角川書店 2008)をテクストに使いました

    • 「CM野郎」(トップレス水着の巻)の下段コマ(p85)に登場するDJたちは右から、野沢那智と白石冬美、高嶋ひでたけ、今仁哲夫、亀渕昭信と斉藤安弘です^^;

    • 自衛隊広報担当官・四次坊也は《自衛隊は軍隊なのだ。なんとしても敵をつくって戦争をやるのだ!! 軍国主義を復活してもうけるのだ!!》と息巻いて本音を吐いています

    • マロ社長はタイムパトロールX105号として 「タイム虎ベル」(1974)に登場します
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    CM野郎 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-12

    CM野郎 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-12

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:CM野郎 / 鞄を担いだ男 / シュール・シュル・シュール / イラストコレクション


    CMコマちゃん 1 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-13

    CMコマちゃん 1 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-13

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:キネコミックス 1~14


    CMコマちゃん 2 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-14

    CMコマちゃん 2 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-14

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:キネコミックス 15~30 / キネコミックス最終回

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