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スニーズ・ラブ 75 [s k n y s - l a b]

  • ♭ ロック・イン・トーキョー(2021-04-03)
  • 久しぶりの渋谷。緊急事態宣言解除前の祝日(春分の日)だったが、人出はコロナ前の8割くらいだろうか。メディアはスマホの位置情報(GPS)を基にした「人流データ」を連日伝えているけれど、実態を反映しているとは思えない。スマホの電源を切っていたり、携帯していない人たちはカウントされないのだから。タワレコからディスクユニオン(DU)へ行くと、驚いたことに営業終了(3/16)していた。中古センターはパンク・ヘヴィメタル館と統合されて移転していたのだ。「HULIC & New UDAGAWA」 の地下に新オープン(3/17)した「Rock In Tokyo」はロック大型専門店。中古品主体で、新譜(新品CD)は少ない。店舗スペースはタワレコに較べるまでもなく狭いけれど、皮肉なことに客密度は高かった。店内を物色して、Shameの2ndアルバム《Drunk Tank Pink》(Dead Oceans 2021)の未開封品を入手した。新店舗の場所を訊いた旧店舗4Fの 「クラブミュージックショップ」 で貰ったチラシのクーポン(¥100 OFF)を使ったので、タワレコよりも約千円安かった。

  • ♭ もう1人の死者(2021-04-10)
  • 『Another』(2009)は綾辻行人の学園ホラー・ミステリ。26年前に夜見山北中学3年3組で行なわれた、あることが禍いして「死」を呼び寄せてしまう。座敷童子や「11人いる」など、いつの間にか仲間が「もう一人」増えているのに誰だか分からない(1998年5月に転校して来た榊原恒一の1人称視点で描かれていた)。その3年後、夜見北中3年3組で再び〈災厄〉が起こる。4月新学期のクラスに〈死者〉が紛れ込むことで、多くの関係者(クラスの成員とその二親等以内の血縁者)が死ぬことになる。記憶の改変と記録の改竄。その対策として、増えた〈もう一人〉を中和する〈いないもの〉になった比良塚想(ぼく)と左目の義眼で〈死者〉を見分けることが出来る見崎鳴が「超自然的な自然災害」に挑む(巻頭の 「1998年度の〈災厄〉による(と思われる)死亡者一覧」 を見ておけば、誰が〈死者〉なのかは一目瞭然なのだ)。「〈死者〉を "死" に還す」 ことで、3年前と同じように止まったかと思われた2学期、再び〈災厄〉が始まる‥‥『Another 2001』(KADOKAWA 2020)はコロナ禍のクラスターを預言したかのようなホラー大長編(800頁)である。

  • ♭ 山尾悠子と虚ろの王(2021-04-17)
  • 「われわれの驚くべき新婚旅行の話」‥‥初秋、「私」と若い妻(トマジ)は〈山の人魚〉と呼ばれた伯母の葬儀に出席するため、高原列車で機械の山の屋敷へ向かう。「旅牛の通過」 で長時間の停車、妻が気に入って購入した模造毛皮の襟巻、駅舎ホテルで目撃した深夜の決闘、〈夜の宮殿〉の降霊会(妻が空中浮揚する最中、バーの天井から吊り下げられたシャンデリアから舞踏靴を履いた女の片脚が垂れ下がり、旅行用スーツに手袋を嵌めた片腕が側面に見えるという描写は岡上淑子のシュールなコラージュを想わせる)、伯母の主宰する舞踏集団〈山の人魚団〉の追悼記念公演〈山の人魚と虚ろの王〉、妻の女代理人、生家の老管理人、伝令の小太り男、剣呑なナイフ遣いの少年、新婚カップル(P夫妻)、シャンデリアの猿、ストラップつきの舞踏靴、旅装姿の若い母(亡者)、舞踏家の片足のデスマスク、機械仕掛けの虚ろの王、大火‥‥「私」の長い夢のような回想がアトランダムに綴られるが、ラスト近くで「列車の事故がありましたの。あなたは重傷を負い、意識不明なのですわ」と妻に明かされる幻想譚『山の人魚と虚ろの王』(国書刊行会 2021)。函入り(A5判 ・150頁)。

  • ♭ モグワイと白キツネ(2021-04-24)
  • 1995年スコットランド・グラスゴーで結成されたポスト・ロック・バンドMogwai。彼らの音楽活動は四半世紀に及ぶ。バンド名は映画 「グレムリン」(Gremlins 1984)に登場する謎の生物に由来する。「モグワイ」(mogwai)は広東語で「悪霊・悪魔」の意味である。主人公の女友達ケイトを演じたフィービー・ケイツ(Phoebe Cates)の娘グレタ・クライン(Greta Kline)がSSWフランキー・コスモス(Frankie Cosmos)としてデビューするに至る月日の流れに思いを馳せたりして‥‥10thアルバム《As The Love Continues》(Rock Action 2021)は全11曲・61分。見開き紙ジャケ仕様。「猫ジャケにゃん!」 ではないかと喜び勇んで購入したけれど、気になって調べてみたら、1910年ロシアで撮影された「白狐の剥製」(a stuffed white fox)のガラス・ネガ画像だった。どう見てもネコでしょう、キツネには見えないにゃあ。アルバム・カヴァは太い尻尾がトリミングされているので、ネコに見えたのかもしれない。

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    • 別館ミニ・ブログ「スニーズ・ラブ」シリーズの1カ月分(2021-04)です^^;

    • リンク画像が左に重なって見難いので、サイドバーを右側にレイアウトしました。「SKIN SWITCHER」でデフォルトに戻せるにゃん
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    diskunion ROCK in TOKYO

    diskunion ROCK in TOKYO

    • 所在地:渋谷区宇田川町32-7 HULIC & New UDAGAWA B1F
    • 営業時間:12:00~20:00
    • 開店日:2021/03/17
    • メディア:レコード・ショップ
    • 概要:1950年代から2020年代まで、海外のメイン・ストリームのロックを中心にハード・ロック/ヘヴィ・メタル、パンク・ロック/ハードコア、ジャパニーズ・ロックまで広義のロックを網羅


    Drunk Tank Pink

    Drunk Tank Pink

    • Artist: Shame
    • Label: Dead Oceans
    • Date: 2021/01/15
    • Media: Audio CD
    • Songs: Alphabet / Nigel Hitter / Born In Luton / March Day / Water In The Well / Snow Day / Human, For A Minute / Great Dog / 6/1 / Harsh Degrees / Station Wagon


    Another 2001

    Another 2001

    • 著者:綾辻 行人
    • 出版社:KADOKAWA
    • 発売日:2020/09/30
    • メディア:単行本
    • 目次:Tuning / Part 1 Yuika Hazumi / Part 2 Izumi Akazawa / Part 3 Misaki Makise / あとがき


    山の人魚と虚ろの王

    山の人魚と虚ろの王

    • 著者:山尾 悠子
    • 出版社:国書刊行会
    • 発売日:2021/02/27
    • メディア:単行本(函入りハードカヴァ・A5判)
    • 内容紹介:風変わりな若い妻を迎えた男。秋の新婚の旅は 〈夜の宮殿〉その他の街を経て、機械の山へ。舞踏と浮遊 / 夜の芝地を埋め尽くす不眠の観衆たち / 幾つかの寝室と寝台の謎。圧倒的なるイメジャリーに満ちみちた驚異と蠱惑の〈旅〉のものがたり


    As The Love Continues

    As The Love Continues

    • Artist: Mogwai
    • Label: Rock Action
    • Date: 2021/02/19
    • Media: Audio CD
    • Songs: To The Bin My Friend, Tonight We Vacate Earth / Here We, Here We, Here We Go Forever / Dry Fantasy / Ritchie Sacramento / Drive The Nail / Fuck Off Money / Ceiling Granny / Midnight Flit / Pat Stains / Supposedly, We Were Nightmares / It’s What I Want to Do, Mum

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