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F A V O R I T E ー A L B U M S 1 5 [f a v o r i t e s]

  • FETCH THE BOLT CUTTERS (Epic 2020) Fiona Apple


  • 「Pitchfork」 で、Kanye Westの《MBDTF》以来、10年振りに10点満点を獲得して騒然となった林檎さんの5thアルバム。愛犬ジャネットの遺骨をパーカッションに使用。Kate Bushの〈Running Up That Hill〉を引用したタイトル曲〈FTBC〉 、Sebastian Steinberg(Soul Coughing)の〈My Kettle, My Cats〉をサンプリングした〈Relay〉、「あなたは自分の娘が産まれたベッドで私をレイプした」 と歌う〈For Her〉など、全13曲・52分。歌詞ブックレット(20頁)付き 300



  • HOMEGROWN (Reprise 2020) Neil Young


  • お蔵入りになっていたアルバムが45年を経て日の目を見た。トム・ウィルクス(Tom Wilkes)によるカヴァ・アートも完成していたが、友人たちを招いた視聴会で、同じリールに入っていた《Tonight's The Night》の方が高評価だったため、後者に差し替えたという。〈Love Is A Rose〉〈White Line〉〈Homegrown〉〈Little Wing〉〈Star Of Bethlehem〉は後のアルバムに収録されたので、未発表曲は〈Florida〉(朗読)を含めた7曲。全12曲・35分。見開き紙ジャケ仕様 299



  • PUNISHER (Dead Oceans 2020) Phoebe Bridgers


  • 骸骨娘に変身した「オバケのP子」の2ndアルバム。休日に古都を観光する〈Kyoto〉、Elliott Smithへのオマージュ・ソング〈Punisher〉、病室で瞑想する〈Halloween〉など、浮游感のあるサウンドがファンタジー・ワールドへ誘う。Julien BakerとLucy Dacusがヴォーカルで参加した〈Graceland Too〉〈I Know The End〉はBoygeniusの再演。全11曲・41分。見開き三面紙ジャケ仕様、クリス・リデルの(Chris Riddell)のイラスト入り歌詞ブックレット(24頁)付き 298



  • FUTURE TEENAGE CAVE ARTISTS (Joyful Noise 2020) Deerhoof


  • アヴァンポップを体現する鹿蹄の15thアルバム。マツザキ・サトミ(ヴォーカル、ベース)が描いたアルバム・カヴァ‥‥王蟲みたいなバケモノの目(スマホのカメラ)から平伏す男に忌まわしい光線(コロナ・ビーム?)を浴びせ、貧民と富者が上下に分断された地下層に暮らすイラストは明らかにコロナ・ウイルス後の社会を憂慮・警告している。〈未来の10代洞窟画家〉からバッハのピアノ曲〈I Call On Thee〉まで、全11曲・36分。見開き紙ジャケ仕様、歌詞はインナーに記載 297



  • EVERY BAD (Secretly Canadian 2020) Porridge Radio


  • 2015年、英ブライトンで結成されたポスト・パンク・バンドPorridge Radioの2ndアルバム。Dana Margolin率いる4人組(女3・男1)で、「Thank you for making me happy」 と繰り返す〈Born Confused〉、Sonic Youth風のノイズ・ロック〈Sweet〉、シューゲイズっぽい〈Lilac〉、回転木馬ワルツの〈Circling〉‥‥ダナ・マゴリンのエモーショナルなヴォーカルは聴き手の胸を鷲掴みにして離さない。全11曲・42分。三面見開き紙ジャケ仕様。歌詞はインナーに記載 296



  • TRAVESSEIRO FELIZ (Far Out 2020) Ricardo Richaid


  • ヒカルド・ヒシャイヂ(Ricardo Richaid)は女優・歌手オーロラ・ミランダ(カルメン・ミランダの妹)の孫である。ディズニー・スターの祖母と共に17歳まで暮らしていたという。騒がしいポリリズムから穏やかな曲調に豹変する〈Maracas Enterprise / Frio da manha〉。Marco Suzano(パーカッション)やAna Frango Eletrico (ヴォーカル)がゲスト参加し、Nina(7歳の娘)とデュエットする。サイケ、ジャズ、ロック、フォークを融合した「不思議の国のヒカルド」295



  • PASSAROS (Mills 2018) Gisbranco


  • ビアンカ・ジスモンチ(Bianca Gismonti)とクラウヂア・ブランコ(Claudia Castelo Branco)のピアノ・デュオ・プロジェクトGisbrancoの3rdアルバムは全曲ヴォーカル入り。2人のヴォーカルとピアノ、Chico Cesarの歌詞とヴォーカルに、Sergio Santos、Maria Joao、Eugenio Dale、Monica Salmaso(ヴォーカル)、Jaques Morelenbaum(チェロ) 、Andre Mehmari(ピアノ)などがゲスト参加。全15曲・60分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(12頁)付き 294



  • KELLY LEE OWENS (Smalltown Supersound 2017) Kelly Lee Owens


  • ウェールズ生まれのケリー・リー・オーウェンス(Kelly Lee Owens)は19歳の時に英マンチェスターへ移住。癌治療病院で補助看護師として働いていたが、看護師になるための実習中に末期の患者から、自分の夢を追い求めるように促されたという。Arthur Russellへのオマージュ〈Arthur〉、Jenny Hvalとコラボした〈Anxi〉など‥‥ドリーム・ポップとアンビエント・テクノが融合した白昼夢のような全10曲・46分。エクステンディッド盤は3曲多い。国内盤はボーナスCD付き 293



  • PRIMEIRO CEU (Fina Flor 2015) Bianca Gismonti Trio


  • ビアンカ・ジスモンチ(Bianca Gismonti)のトリオ名義アルバム。Bianca Gismonti(ピアノ)、Julio Falavign (ドラムス)、Antonio Porto(ベース)によるインスト・ジャズだが、ネルソン・マンデラに捧げた〈Danca, Mandela〉や5/6拍子の〈Glaucia do Samba〉など4曲は彼女が歌い、Jane DubocとPaula Santoroの2人がゲスト・ヴォーカル参加。ピアノ弾き語りのカヴァ〈おいしい水〉を含む全11曲・70分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き 292



  • SAINT CLOUD (Merge 2020) Waxahatchee


  • ワクサハッチーはラウドでノイジーなインディ・ロックから、アメリカーナへ転身した。「カントリー・ミュージックで育って、それは私のDNAの中にあるけれど、怒れる十代になってバンドを始めてパンク・ロックやTVUを発見した時に、南部のアイデンティティを拒絶した」 と語る。「あなたが私を見る時、私はスプーンの蜂蜜です」 と歌う〈Can’t Do Much〉、鬱病の体験を大好きな花に託した〈Lilacs〉など、全11曲・40分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)付き 291



  • ATLANTA MILLIONAIRES CLUB (Secretly Canadian 2019) Faye Webster


  • 金貨(チョコ?)を頬張るカヴァが成金趣味っぽいけれど、タイトルは父親が院生の友人グループ(5km走とドーナツ食い競走を主催するチャリティー・クラブ)につけた名前に由来する。軽やかな曲線を描くペダルスチールの音色と午睡の夢のように気怠そうなヴォイスの取り合わせは弱冠21歳の女性SSWの3rdアルバムとは思えない魅力に溢れている。「もっと外に出て楽しまなくちゃ」と歌う〈Room Temperature〉はコロナ対策の「Stay at Home」とは真逆のメッセージですが 290



  • TITANIC RISING (Sub Pop 2019) Weyes Blood


  • 米カリフォルニア・サンタモニカ生まれの女性SSW、Natalie Meringの4thアルバム。ワイズ・ブラッド(Weyes Blood)という名前はフラナリー・オコナー(Flannery O'Connor)の小説 「Wise Blood」(1952)から採られている。豪華客船で奏でられるようなオーケストラル・ポップは夢幻性も高い。水没した寝室をイメージしたカヴァはコロナウイルスが蔓延したクルーズ船やパンデミックを予見したかのようにも思える。沈没寸前の地球丸はコロナ惨禍から無事浮上出来るのか?289



  • BEFORE THE DAWN (Fish People 2016) Kate Bush


  • ケイト・ブッシュの35年振りのライヴ・アルバムは〈Lily〉で始まり〈Cloudbusting〉で終わる全29曲・155分(3CD)。オバさん化した体型と関係あるのか、経年によって声質も変化している。Disc 1 は無観客で録音した〈Never Me Mine〉を含む全7曲、Disc 2 は《Hounds Of Love》(1985)のB面「Ninth Wave」、Disc 3 は《Aerial》(2005)のC・D面「A Sky Of Honey」を再現。見開き四面紙ジャケ仕様、ブックレット(24頁)付き。映像版はリリースされていない 288



  • THE OTHER SIDES (Fish People 2019) Kate Bush


  • オリジナル・アルバム全11タイトルに続いて、アルバム未収録曲34曲をコンパイルしたリマスター盤もバラ売りされた。LPに準じたCD4枚組(132分)、ハードカヴァ仕様。歌詞ブ ックレットは付いていない。《12" Mixes》は「1人アビーロード」と化した《Hounds Of Love》(1985)のA面4曲とシングル〈Experiment IV〉のエクステンデッド・ミックスを収録。〈The Big Sky〉(Meteorological Mix)のベースはKilling JokeのMartin Glover(Youth)が弾いている 287



  • REMASTERED PART II (Fish People 2018) Kate Bush


  • 《Aerial》《50 Words For Snow》《Before The Dawn》《Director's Cut》の4タイトルとアルバム未収録曲(シングルB面、リミックス、カヴァ)を4枚にコンパイルしたボックス(11CD)。購入の決め手は値段が《Part I》よりも安価になったことと、未入手だった《Before The Dawn》と《The Other Sides》‥‥前者は35年振りのライヴ(155分)で、《Hounds Of Love》のB面を丸ごと再現。後者は同アルバムのA面4曲と〈Experiment IV〉の 「12" Mixes」 を収録 286



  • CLOSER TO GREY (Italians Do It Better 2019) Chromatics


  • お蔵入りとなった《Dear Tommy》をスキップして、2019年末に突然リリースされた7thアルバムはSimon & Garfunkelの〈The Sound Of Silence〉で幕を開ける。グラウンド・ビ ート風の〈Light As A Feather〉、Ruth Radelet嬢の魅力溢れるPVも必見のバラード〈Move A Mountain〉、アナログ・シンセがダークな色彩で描く〈Touch Red〉、ギター・ノイズを撒き散らす8分超えの〈On The Wall〉(The Jesus And Mary Chain)‥‥全12曲・46分。見開き紙ジャケ仕様 285



  • the comforts of madness 30th anniversary remasters (4AD 2020) Pale Saints


  • デビュー・アルバム《狂気のやすらぎ》(1990)の30周年記念リマスター盤。CD1にオリジナル・アルバムの11曲。CD2に〈Sight Of You〉のウッドハウス・スタジオ・ヴァージョンとアルバムのデモ音源10曲、ジョン・ピール・セッション4曲を収録。全26曲・88分。紙ケースに2CD(スリップケース入り)とブックレット(12頁)を封入した紙ジャケ仕様。「猫ジャケ」としても名高い名盤。美しいカヴァ・アートを損なう分厚い2CDデジパック仕様でなくて良かったにゃん!284



  • EMPEROR TOMATO KETCHUP (Duophonic 2019) Stereolab


  • 2009年に活動休止したStereolabが10年振りに再始動。入手困難のレア・シングルなど全48曲をコンパイルした4CDBOX《Switched On Volumes 1-3》(2018)を皮切りに、オリジナル・アルバム7枚がリマスター&リイシューされた。デモや別ヴァージョンを収録した2CD(Expanded Edition)デジパック仕様。紙ジャケ国内盤やスタンダード盤の発売はない。4thアルバム《トマトケチャップ皇帝》(1996)のボーナス ・ディスクは全15曲・41分。4連綴りブックレット付き 283



  • COLORADO (Reprise 2019) Neil Young with Crazy Horse


  • 《Psychedelic Pill》(2012)以来7年振りのCrazy Horseとの共演盤。Frank Sampedroの代わりにNils Lofgrenが加入したせいか、「&」 ではなく 「with Crazy Horse」 名義。13分越えの長尺曲〈She Showed Me Love〉、ピアノ・バラードの〈Green Is Blue〉、3拍子の〈Rainbow Of Colors〉など‥‥全10曲、50分。見開き紙ジャケ仕様。アナログ2枚組は三面録音で、〈Rainbow Of Colors〉のソロ・ライヴとアウトテイク〈Truth Kills〉のシングル盤(EP)を封入 282



  • THE AGE OF IMMUNOLOGY (Fire 2019) Vanishing Twin


  • Vanishing TwinはCathy Lucasがロンドンで2015年に結成した白・伊・日・仏・の多国籍5人組。「消える双子」というバンド名は母親の妊娠中に消えた双子姉妹に由来する。12歳の時に知らされたCathyの悲しみは「半身」と共に生きているという概念への魅力で相殺されたという。Mukai Susumuが日本語で朗読する2ndアルバム・タイトル曲はA・デイヴィ ッド ・ネイピアの『免疫学の時代』(2002)から採られている。全10曲・45分。紙ジャケ仕様、6折りポスター付き 281


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