SSブログ

F A V O R I T E ー A L B U M S 2 4 [f a v o r i t e s]

  • SONGS OF A LOST WORLD (Fiction 2024) The Cure480


  • 16年ぶりの14thアルバム。時流に逆行した長いイントロ曲。〈Alone〉はRobert Smithが歌い出すまでに3分20秒も費やす。青臭いヴォーカルは65歳になっても不変。《長くブルー ・ゾーンに留まって、バンドの終焉を拒否しているのは赤ワインを多く摂取する食生活と現代性への頑固な嫌悪感のせいかもしれない。スミスはスマホを持っていない》とキティ・エンパイアは評している。全16曲・99分。見開き四面紙ジャケ仕様の3枚組(2CD+Blu-ray)、歌詞ブックレット(16頁)付き



  • CHARM (Clairo / Good Buddy 2024) Clairo479


  • SSWクレイロ(Claire Cottrill)の3rdアルバム。共同プロデ ュースしたLeon Michels(El Michels Affair)と彼女のギタ ー、ウーリッツァー、ピアノ、メロトロン、シンセ、クラリネ ット、フルートなどが優しく包み込むベッドルーム・ポップ。囁くようなヴォーカルは柔らかい陽射しの午睡のように夢心地で暖かい。スライド・ギターとフルートが浮游する〈Sexy To Someone〉、マウス・トランペットを吹く〈Juna〉 、サイケっぽい〈Echo〉など全11曲・38分。歌詞ブックレット付き



  • I GOT HEAVEN (Epitaph 2024) Mannequin Pussy478


  • マネキン・プッシーは2010年、米フィラデルフィアで結成された男女混成パンク・バンド。Marisa Dabice(ヴォーカル、ギター)、Kaleen Reading(ドラムス)、Colins Regisford(ベース、ヴォーカル)、新加入したMaxine Steen(ギタ ー)の4人組。大声で吠えて深く咬む〈Loud Bark〉、Colinsの激情パンク〈OK? OK! OK? OK!〉、Marisaが母親に捧げた〈Of Her〉など全10曲・30分。20年代にタイムスリップした 「ふてほど」 なHoleみたいだ。見開き三面デジパック仕様



  • NOBODY LOVES YOU MORE (4AD 2024) Kim Deal 477


  • 「Lil BUB's Big SHOW Episode 3」 で、リル・バブちゃんがゲストのSteve Albiniに 「キム・ディールが次のシングルのプロデュースを依頼している噂があるにゃん」 と振ってから早11年、1stソロ・アルバムがリリースされた。The SavagesのFay MiltonとAyse Hassanが参加した〈Big Ben Beat〉。The BreedersのKelley Deal、Jim Macphersonがサポートした〈Disobedience〉と〈A Good Time Pushed〉など、8曲がアルビニ録音。全11曲・36分。4つ折り歌詞カード付き



  • BEATS AND BREAKS FROM THE FLOWER PATCH (Takotsubo 2023) Kitty Craft476


  • 米ミネアポリスのDJキティ・クラフト(Pamela Valfer)の1stアルバム(Kindercore 1999)がリイシューされた。デラ ックス・エディション(2LP)はEP《It's Stupid》(1995)と《I Got Rulez》(1997)など、ボーナス・トラック15曲を収録した全26曲・71分なのに、CDには5曲しか追加されていない。旧国内盤のピンクの帯をカヴァに刷り込んだデザインも 「猫ジャケ」 としては賛否が分かれるかもしれない。全16曲 ・56分(16秒の無音トラックが34もある)。デジパック仕様



  • ALL HELL (Heart Swells 2024) Los Campesinos!475


  • ロス・キャンペシーノス!(LC!)は2006年、英ウェールズのカーディフ大学で結成された7人組のインディ・ロック・バンド。7年ぶりの7thアルバムは絶望的なタイトルと薄気味悪いカヴァ・アートとは裏腹に、「子供もなく無職、37歳で歩く死体」 となったGareth Davidのヴォーカルは辛辣で力強く、精気が漲っている。紅一点のKim Paiseyが歌う〈kms〉(「kill myself」 という意味のスラング)も深刻ぶっていない。全15曲・50分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(12頁)付き



  • SONGS FROM A THOUSAND FRAMES OF MIND (Ghostly International 2024) Kate Bollinger474


  • 米ヴァージニア・シャーロッツビル生まれのSSWケイト・ボリンジャーのデビュー・アルバムは同郷のMatthew E. Whiteと6曲を共作。Hannah Cohenがヴォーカル・ハーモニーで2曲参加。夢見る少女のようにロマンチックなウィスパー系ベッドルーム・ポップ。カヴァ・アートは日本の古い雑誌 「女性」(プラトン社 1927)の表紙に描かれたアールデコ風のイラスト(女性が大きな金魚鉢を掻き混ぜている)にインスパイアされたという。全11曲・37分。デジパック仕様、歌詞は無記載



  • LIVES OUTGROWN (Domino 2024) Beth Gibbons473


  • ベス・ギボンズ(Portishead)の1stアルバムはJames Fordとの共同プロデュース。失ったもの、後戻り出来ない死へ至る時間の流れに対峙する決意は重い。Lee Harris(Talk Talk)のドラムスとパーカッション、Raven Bushのヴィオラとヴァイオリンなど、アクースティック・ギターと弦楽器によるフォ ーク・ミュージックは 「森の奥深くにある廃品集積場に偶然出食わしたような、より密生で騒々しく、探索的な感じがする」 と評される。全10曲・46分。歌詞ブックレット(16頁)付き



  • SOPHIE (Transgressive 2024) Sophie472


  • 2021年1月30日、滞在先のアテネで満月の写真を撮ろうとして、ビルの屋上から転落死したトランスジェンダー、ソフィー ・ジオン(Sophie Xeon)の2rdアルバム。実弟ベニー・ロング(Benny Long)との共同プロデュース。完成間近だったというが、どの程度彼女以外の手によるものかは推し量り難い。〈Intro (The Full Horror)〉を除き、「全てコラボレーションで、Sophie自身が歌った曲は1曲もない」 という。全16曲・67分。見開き紙ジャケ仕様、4つ折りポスター入り。黒いCD



  • PIQUE (Mr Bongo 2024) Dora Morelenbaum471


  • チェロ奏者Jaques Morelenbaumと歌手Paulaの娘ドラの1stアルバムはAna Frango Elétricoとの共同プロデュース。彼女が在籍するBala DesejoのJulia Mestre、Zé Ibarra、Lucas NunesにGuilherme Lirio(ギター)、Marcelo Costa(パーカッション)、Alberto Continentino(ベース)など多数参加。スキャット・ジャズ・ファンクの〈VW Blue〉、エレクトロ・ファンクの〈Venha Comigo〉〈Sim, Não.〉など全11曲・35分。デジパック仕様、6つ折り歌詞・ポスター付き



  • BRAT AND IT'S COMPLETELY DIFFERENT BUT ALSO STILL BRAT (Atlantic 2024) Charli XCX470


  • 6thアルバム《Brat》はA. G. Cookがプロデュースしていることもあってか、Hydの1st《Clearing》(PC Music 2023)のメジャー・アップデート版のように聴こえなくもない。4カ月後にリリースされたリミックス・アルバムはBillie Eilishとコラボした〈Guess〉など3曲を追加した《Brat》を同梱した2CD仕様、全34曲・98分。タイトル、アーティスト、歌詞、レーベルなど、バーコード以外の全てが反転した鏡文字になっている。鏡の国に入り込んだアリスみたいな 「悪ガキの秋」?



  • BRAT (Atlantic 2024) Charli XCX469


  • 《ちょっとハチャメチャで、パーティ好きで、時々バカなことを言う女の子。気分は良いし落ち込むこともあるけど、パーティで吹っ切る。マジで、ぶっきらぼうで、少し気まぐれで、バカなこともやらかす‥‥それがブラット》(Charli XCX)。異常気象の夏は暑く長かったが、「ブラット・サマー」(Brat Summer)は短命だった。彼女がカマラ・ハリスを 「brat」 と呼んだことで終焉したのだから。それでもアルバムのカヴァを彩るライムグリーンのミームは拡散された。全15曲・41分



  • TRAGO (Sesc 2024) Tulipa Ruiz, Rica Amabis, Alexandre Orion, Gustavo Ruiz468


  • Tulipa Ruiz(ヴォーカル)が街中で録画、SNSで共有した映像ループをRica Amabisがプログラミングとサンプルに変換して、Alexandre Orionがパーカッション(MPC)を加え、Gustavo Ruizがギター、ベースを録音。Antonio Loureiro(ヴィブラフォン)、Sérgio Machado(ドラムス)、Yaniel Matos(チェロ)が参加した〈Porvir〉、2023年に亡くなったJoão Donatoがエレピを弾く〈Fumante padrão〉など全8曲・26分。歌詞・イラスト入りハードカヴァ(52頁)仕様



  • MUSICA DE BRINQUEDO 2 (Deck 2017) Pato Fu467


  • おもちゃの楽器で名曲を再現した《Musica De Brinquedo》 (2010)の続編。トイ・ミュージックと侮るなかれ。子供サイズのギター、ピアニカ、喇叭、ドラムスなどを大人が演奏するのは逆に難しい。Fernanda Takaiの子猫の声色から始まるGilberto Gilの〈Palco〉、Ricky Martinの〈Livin' La Vida Loca〉、The Policeの〈Every Breath You Take〉、パンク 〜NW魂が炸裂したThe B-52’sの〈Private Idaho〉など全11曲・41分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(16頁)



  • AS PALAVRAS Vol. 1 & 2 (Mr Bongo 2024) Rubel466


  • 2023年3月リリースの3rdアルバムがCD化。LPは2枚組。前半は2nd《Casas》(2018)から引き継いだヒップホップやエレクトロニクス色が濃く、後半は内省的なバラードが多い。Ana Frango Elétricoプロデュースの〈Não Vou Reclamar de Deus〉、Rosalíaにオマージュした〈Rebelía〉 、Tim Bernardesがヴォーカル参加した〈As Palavras〉、Milton Nascimentoと共演した〈Lua De Garrafa〉など全20曲・56分。見開き三面紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(28頁)



  • AMAMA (Crumb 2024) Crumb465


  • NYブルックリンを拠点に活動するクラム(Crumb)の3rdアルバム。タフツ大学で知り合ったLila Ramani(ヴォーカル、ギター)、Bri Aronow(シンセ、キーボード、アルトサックス)、Jesse Brotter(ベース)、Jonathan Gilad(ドラムス)によるサイケ・ドリーム・ポップ。「捕らえられた虫と捕らえられた感情への催眠的な賛歌」〈The Bug〉、祖母のマラヤーラム語で始まる回文タイトルの〈Amama〉、ツアーバンに轢かれた亀サムへの鎮魂歌〈Crushxd〉など全12曲・35分



  • LIVRE (YB Music 2018) Antonio Loureiro★★★★★464


  • 国内盤のライセンス契約が切れたのか、3rdアルバム(ブラジル盤)が入荷した。SSWト・ブランヂレオとの共同プロデュ ース。アントニオ・ロウレイロのピアノ、ドラムス、ベース、シンセ、ヴォーカルに、Kurt Rosenwinkelがギター、Andre Mehmariがシンセ、Genevieve Artadi(Knower)がヴォーカルで1曲ずつゲスト参加。変拍ポリリズムとエレクトロニクスの融合が凄すぎる。Gilberto Gilの〈Oriente〉を含む全9曲・42分。デジパック仕様、歌詞ブックレット(12頁)付き


  • BEATS AND BREAKS FROM THE FLOWER PATCH (Takotsubo 2022) Kitty Craft464


  • 米ミネアポリスのDJキティ・クラフト(Pamela Valfer)の1stアルバム(Kindercore 1999)がリイシューされた。デラックス・エディション(2LP)は2枚のEP《It's Stupid》(1995) と《I Got Rulez》(1997)など、ボートラ15曲を収録した全26曲・71分なのに、CDは5曲しか追加されていない。国内盤のピンクの帯をカヴァに刷り込んだデザインも 「猫ジャケ」 としては賛否が分かれるかもしれない。全16曲・57分(18秒の無音トラックが34もある!)、デジパック仕様


  • LES SOURCES (Barclay 2018) Vanessa Paradis463


  • Franck LangolffとSerge Gainsbourg、Lenny Kravitz、M(Matthieu Chedid)、Benjamin Biolayと、アルバムごとにパートナーを変えて来たヴァネッサ・パラディ。7thアルバムはPaul Butler(The Bees)のプロデュースで、映画監督の現夫Samuel Benchetritが歌詞(6曲)と楽曲(4曲)を提供している。シャネルのCFを髣髴させるブランコのMV〈Ces mots simples〉、ロシアのウクライナ侵攻を予言したような〈Kiev〉など全12曲・42分。歌詞ブックレット(24頁)付き



  • NONANTE-CINQ (Angele VL 2021) Angele462


  • パリ五輪閉会式に降臨したアンジェルの2ndアルバム。甘く切なげなヴォーカルも魅惑的で、ベルギー・ブリュッセル出身ながらフランスで人気が高いのも頷ける。デュア・リパ(Dua Lipa)と共演した〈Fever〉も記憶に新しい。ダフトパンク風のディスコポップの〈Bruxelles je t’aime〉、ワイヤ ーワークを駆使したVFXで魅せるMVの〈Libre〉、ベルギー系コンゴ人ラッパーDamsoとコラボした〈Démons〉など、全12曲・43分。見開き紙ジャケ仕様、歌詞ブックレット(12頁)付き



  • DARNING WOMAN (Jagjaguwar 2024) Anastasia Coope461


  • NYコールド・スプリング出身、ブルックリンを拠点に活動するSSWアナスタシア・クーペの1stアルバム。NY州ビーコンにある親戚の空き家に泊まりながら、誰もいないリヴィングル ームで録音したという。幾層にも重ねられた多重唱はまるで1人精霊合唱団のようだ。どこか懐かしげなピアノと不穏なクワイアに耳障りなギターが闖入するオープニングの〈He Is On His Way Home, We Don’t Live Together〉は幽霊修道院に迷い込んだような身震い。全9曲・22分。見開き紙ジャケ仕様


                        *



    タグ:favorites Music
    コメント(0) 

    コメント 0

    コメントを書く

    お名前:
    URL:
    コメント:
    画像認証:
    下の画像に表示されている文字を入力してください。