SSブログ

スニーズ・コメンツ #69 [c o m m e n t s]



  • シャーリー・ジャクスンの独特な閉塞感がただよう小説『ずっとお城で暮らしてる』のなかで、純粋に無垢な存在は猫のジョナスしかいない。メリキャットのかたわらに寄り添うジョナスは、困った時の慰め手であり、しばしば彼女の気分を映しだす──幸せな日は庭を走りまわり、ストレスがあるときは隅に身をひそめ──物語そのものの牽引役となる。メリキャットを修行中の魔女と位置づけるなら、もちろんジョナスは使い魔の役どころだ。コンスタンスとジュリアン叔父のいる屋敷から脱けだし、広い庭の一隅に作った秘密の隠れ家でメリキャ ットがくつろぐ場面は、どこかかわいらしい(その形容がそぐわない小説であるにしろ)。

      わたしはそこに寝そべって、ジョナスの話に耳を傾けた。それはいつも「最初のかあさ
      んから聞いた話だけれど」という台詞ではじまる。

    ジュディス・ロビンソン / スコット・パック 「有名な猫」


  • b 2023年 明けましておめでとうございます。
  • トミー。さん、明けましておめでとうございます。中野サンプラザ裏の某レコード店へは時々行きますが、ホールには足が遠退いています。前列の席は見やすいけれど、縦に長いので後部席は見難かったなぁ。NHKホールのように、横幅広く建て替えして欲しいけれど。
    by sknys (2023-01-02 20:50:10)

  • b 咳と痰の苦しみ続き年明けて自宅隔離は解除の頃な
  • 年末にコロナ感染するとは大変な年始でしたね。全快したら、いつものように怪気炎を上げてください。早々に4回目のワクチン接種を終えた解剖学者の養老孟司先生もヤマザキマリとの対談の中で、20〜30年後にどのような副反応が生じるかは誰にも分からないと述べています。

  • 日本の首相をはじめとする男の政治家の顔は、シワ取りのプチ整形さえしていないのに、黒黒と染めてテカテカと油びかりした頭部というか頭髪をテレビの画面で見ていると、それだけで喋っている言葉の嘘がわかるというものだ。口にすることが欺瞞だらけなので、白髪のみならず、何かを糊塗しているかように見えるのである。
    金井 美恵子 「白髪(グレイ)交りの思い出」


  • by sknys (2023-01-06 12:01)

  • b 前作よりも分厚いサウンドでドリーミーに*
  • 「不安定で取り返しのつかない時代の意味を暗闇の中で探している」 というナタリー・メリング(Natalie Mering)の宗教的な苦悩は多くのリスナーにも共有されると思います。カレン ・カーペンターの霊魂が憑依したようなヴォイスは時々ゾッとするほど荘厳で美しい。「カレン・カーペンターの失われた曲を(レイ・マンザレクの伴奏で)歌うエンヤ」 というジル・メイプス(Jill Mapes)のレヴューには笑っちゃいましたが。

    Weyes Bloodの5thアルバム《And In The Darkness, Hearts Aglow》のレヴュー記事
    by sknys (2023-01-10 22:31)

  • b 天沢退二郎
  • ジェフ・ベック、デヴィッド・クロスビー、トム・ヴァーレインという「ドミノ倒し」のような訃報はショックです。
    天沢退二郎(享年86)の死は残念ですが、『オレンジ党 最後の歌』(復刊ドットコム 20 11)を書いて完結させたのだから、作家として本懐を遂げたのではないでしょうか。『オレンジ党と黒い釜』(1978)から33年を経ても、六方小学校6年1組の5人と千早台小学校の森コージたちは年を取らないことに感慨を覚えます。小・中学校の図書室で読んだことがある元少年少女たちも〈オレンジ党〉の復活と最後の物語に否応なく巻き込まれるのだから。合掌。
    by sknys (2023-01-28 15:03)

  • b レベルアップの方法
  • 幸いコロナには感染していないけれど、数年前に帯状疱疹を発症しました。皮膚科を受診しても、花粉症の薬しか出してくれない。まぁ、命にかかわるような症状ではない(軽症?)のかもしれませんが、未だに完治せず。トム・ヴァーレイン(享年73歳)が亡くなって、落ち込んでいます。ヴァーライン(Verlaine)というステージ・ネームはフランスの象徴派詩人ポール・ヴェルレーヌ(Paul Verlaine)から採ったそうです。
    by sknys (2023-02-04 20:28)

  • b 2022年年間ベストアルバム(洋楽編)その2
  • Alvvaysのアルバム《Blue Rev》(Transgressive 2022)は「年間ベスト・アルバム 20 22」に選びました。アルバム・カヴァに3人のメンバーしか写っていない? と不審に思 っていたら、Molly Rankin(ヴォーカル)の家族写真(彼女は13歳の時に交通事故で父親を失った)だった。〈After The Earthquake〉は村上春樹の短篇 「神の子どもたちはみな踊る」(2000)に触発されたという。〈Belinda Says〉はBelinda Carlisle(The Go-Go's)のヒット曲〈Heaven Is A Place On Earth〉へのオマージュ。コード進行も同じ曲で、アルバム・タイトルになった「Blue Rev」という歌詞も出て来る。ちなみに「Rev」はMolly RankinとKerri MacLellan(キーボード)が十代の頃に飲んでいたカナダ国内で販売されているウォッカ入りコーラ飲料(アルコール度数7%)のこと。〈Tom Verlaine〉はTVの死の前と後では全く別の曲のように聴こえてしまう。米ワシントン・シアトルのFMラジオ局KE XPのスタジオ・ライヴで、Alec O'Hanley (ギター)が弾いているのはフェンダー・ジャズ・マスターではなく、ジャガーです。
    by sknys |(2023-02-07 22:42)

  • b 日本国憲法は同性婚をすでに認めている
  • 憲法第二十四条第一項は「婚姻は、男女の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」とは書かれていません。「両性の‥‥」 と表記したところに、思慮深い想いが込められているのではないかしら ? A**元総理秘書官はエルトン・ジョンが「隣に住んでたら嫌」なのか? ティム・クック(Apple Inc. CEO)の顔を「見るのも嫌」なのでしょうか?
    by sknys (2023-02-10 20:53)

  • b 徳川美術館のお雛様
  • 今ならばスマホでバシャバシャ(構図も枚数を気にしないで)、牡丹を撮っちゃいますよね。『青のパンドラ 1』(小学館 2023)を購入しましたが、まだ読んでません。灰になってしまったアランは、どうやって甦生するのかな?‥‥『猫のダヤン 1』(静山社 2018)が意外と面白かったので、続けて読もうと思います。
    by sknys (2023-02-14 22:06)
  • b 周遅れの趣味
  • ネコ撮りのミラーレス(NEX-5N)を12年も使い続けています。つむじさんと同じく、フルサイズ(α7C)に買い替えたいところですが、SONYのデジカメも円安値上げで、更に手が届かなくなってしまいました。ファインダ、手ブレ補正なしの小型フルサイズで、10万円ならば何とか買えるかもしれませんが。 天井知らずの値上げラッシュに閉口しています。怒り心尻しちゃったのはK**のトイレットペーパー(8ロール)が90mから66mに短くなってしまったこと。何と3割近くも減少した上に、百円も値上がりしちゃった。ポテチなどのスナック菓子(1袋)が27%も減量したら苦情が殺到するはずなのに、トイレットペーパーは見た目が変わらないので気づけない。この巧妙なカムフラージュは姑息ではないかと? by sknys (2023-02-18 00:07)

  • b 大地球大四畳半大物語
  • 「四次元世界シリーズ」(COM 1969)、「黄色い兎」(少年マガジン1970)、「模型の時代」(原作・小松左京)と 「ヤマビコ13号」(1971)などを愛読していましたが、一番衝撃的だったのはサキの短篇「スレドニ・ヴァシュタール」を換骨奪胎した 「妄想鬼」(1970)かな?‥‥新進気鋭のマンガ家5人(永井豪、川本コオ、石森章太郎、山上たつひこ、松本零士)の競作短篇シリーズ 「未来がまつ落し穴」*で、石森章太郎の力作2篇を退けて「愛読者賞」を獲得したことが 「男おいどん」(1971-73)の少マ連載に繋がったのだと思います。

    松本零士の短編を含む〈ORIGINAL SHORT STORIES〉〈未来がまつ落し穴〉〈サキ短篇傑作集〉の見出し(作品名)やレイアウト、リンク画像などを一部修整しました。「YouTube Music」で、Kate BushやTelevision(Tom Verlaine)などのメジャー・アルバムもストレスなく全曲試聴出来るようになりました。
    by sknys (2023-02-21 21:47)

  • b 高橋幸宏■SARAVAH!
  • ミュージック・マガジン 3月号(2月20日発売)の特集は「追悼・高橋幸宏」。書店よりも2 〜3日早く入荷する某レコード店で完売していました。寺山修司の 「上海異人娼館」(1981)やエリック・ロメールの 「海辺のポーリーヌ」(1983)に出演していた米仏女優アリエル・ドンバール(Arielle Dombasle)さんのカヴァ・アルバム《C'EST SI BON》 (Sony BMG 2006) を思い出しました(探せば自室のどこかにCDがあるはず)。ちなみに旦那は仏哲学者のベルナール=アンリ・レヴィ(BHL)。初めて視るMV〈C'est si bon〉ですが、こんなにエロい女優と哲学者が結婚して良いものかと?‥‥羨ましい。
    P.S. 最新シングル〈Barbiconic〉(2022)のMVで、バービー人形に変身しちゃった!‥‥69歳には見えませんが。
    by sknys (2023-02-26 21:01) 

                        *

    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第69集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載。事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註*)をして、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2022/12/01~2023/2/28)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。年明け早々からジェフ・ベ ック、デヴィッド・クロスビーなど、ロック・レジェンドが立て続けに亡くなった。その中でもトム・ヴァーレイン(Tom Verlaine)の早すぎる死(享年73歳)はショックだった。彼のイニシャル(TV)でもあるテレヴィジョンや解散後のソロ・アルバムも愛聴して来た。《Merquee Moon》《Adventure》(Elektra/Rhino 2003)のリイシュー盤は20年前のリマスターだが、アナログっぽい高音質で、1stアルバムのタイトル曲が完奏(LPよりも49秒長い!)し、未発表だった2ndのタイトル曲や違ヴァージョンなども初収録されている。

                        *


    名作には猫がいる

    名作には猫がいる

    • 著者:ジュディス・ロビンソン(Judith Robinson)/ スコット・パック(Scott Pack)
    • 出版社:原書房
    • 発売日:2022/12/20
    • メディア:単行本(ソフトカヴァ)
    • 目次:はじめに / 有名な猫 / 古典の猫 / 詩の猫 / 児童文学の猫 / しゃべる猫 / 作家とその猫 / SFの猫 / ノンフィクションの猫 / 英米文学以外の猫 / おわりに / 訳者あとがき / 注 / 参考文献 / 索引

    シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない たのしい暮しの断片

    シロかクロか、どちらにしてもトラ柄ではない たのしい暮しの断片

    • 著者:金井 美恵子(文)/ 金井 久美子(絵)
    • 出版社:平凡社
    • 発売日:2022/11/28
    • メディア:単行本
    • 目次:木のヘラが台所に再び参加する / 手芸と手すさび / 白髪交りの思い出 / 季節のおやつ / 肥満と反省 / ジンジャーシロップと甘酒 / 時間のかかる買い物 / ファム・ファタル、オム・ファタル?/ 運命の男、スクリーンの中の、/ 輝く眼と頬 / ユニバーサル・デザインとトースター / 命あっての‥‥ / 家にいるとおきること / 心地よい場所 / スイートコー...

    And In The Darkness, Hearts Aglow

    And In The Darkness, Hearts Aglow

    • Artist: Weyes Blood
    • Label: Sub Pop
    • Date: 2022/11/18
    • Media: Audio CD
    • Songs: It's Not Just Me, It's Everybody / Children Of The Empire / Grapevine / God Turn Me Into A Flower / Hearts Aglow / And In The Darkness / Twin Flame / In Holy Flux / The Worst Is Done / A Given Thing


    オレンジ党 最後の歌

    オレンジ党 最後の歌

    • 著者:天沢 退二郎
    • 出版社:復刊ドットコム
    • 発売日: 2011/12/17
    • メディア:単行本(fukkan.com)
    • 目次:まえがき / オレンジ党の復活 / 万福山系の冒険 / 九十九谷へ / 物語の中の冒険 / オレンジ党の最後の歌 / エピローグ /〔付録〕/ あとがき


    Tom Verlaine

    Tom Verlaine

    • Artist: Tom Verlaine
    • Label: Collector's Choice
    • Date: 2003/01/21
    • Media: Audio CD
    • Songs: The Grip Of Love / Souvenir From A Dream / Kingdom Come / Mr. Bingo / Yonki Time / Flash Lightning / Red Leaves / Last Night / Breakin' In My Heart


    Blue Rev

    Blue Rev

    • Artist: Alvvays
    • Label: Transgressive
    • Date: 2022/10/07
    • Media: Audio CD
    • Songs: Pharmacist / Easy On Your Own? / After The Earthquake / Tom Verlaine / Pressed / Many Mirrors / Very Online Guy / Velveteen / Tile By Tile / Pomeranian Spinster / Belinda Says / Bored In Bristol / Lottery Noises / Fourth Figure

    猫のダヤン 1 ダヤン、わちふぃーるどへ

    猫のダヤン 1 ダヤン、わちふぃーるどへ

    • 著者:池田 あきこ
    • 出版社:静山社
    • 発売日:2018/04/11
    • メディア:新書(静山社ペガサス文庫)
    • 目次:猫のダヤン / タシルの仲間たち / ダヤン、はじめての冒険 / あとがき──物語の新たな船出

    妄想鬼 サキ短篇傑作集

    妄想鬼 サキ短篇傑作集

    • 著者:松本零士 / 真崎・守 / 辰巳ヨシヒロ / 上村一夫 / 川本コオ / いけうち誠一 / 石原はるひこ
    • 出版社:奇想天外社
    • 発売日:1979/06/15
    • メディア:コミック
    • 収録作品:妄想鬼(スレドニ・ヴァシュタール)/ 運命 / 人猫(トバモリー)/ 灰色の森(狼少年)/ 古井戸におちた悪魔ちゃん(物置小屋)/ おせっかい / ひとでなし(贖罪)/ 解説・中西 秀男 / 初出一覧


    C'est Si Bon

    C'est Si Bon

    • Artist: Arielle Dombasle
    • Label: Columbia Europe
    • Date: 2006/10/06
    • Media: Audio CD
    • Songs: C'est Magnifique / C'est Si Bon / Tico Tico / Relax Ay Voo / Dream A Little Dream Of Me / Cheek To Cheek / Que Sera Sera / A Fine Romance / Moi, Je M'ennuie / Paris in Delight / South American Way / Boys In The Backroom / Darling, Je Vous Aime Beaucoup / Tenias Qu...e Ser Tu / I'm In The Mood For Love

    コメント(0) 

    コメント 0

    コメントを書く

    お名前:
    URL:
    コメント:
    画像認証:
    下の画像に表示されている文字を入力してください。