ネコ・ログ #67 [c a t a l o g]
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金井 美恵子 「海のスフィンクス」
#595│ケイ│飼い猫 ── 車の下の三毛
車道から角を曲がると突き当たりの民家の玄関から女性が出て来た。その脚元を擦り抜けるように1匹のネコが素速く走り出た。屋内で飼っているネコなのだろうか。女性はネコに注意を向けることなく行ってしまった。家の中から脱走したわけではなく、内と外を自由に行き来しているネコなのかもしれない。『猫たちの世界旅行』(日本放送出版協会 1993)の中で、著者のロジャー・テイバーは屋内に閉じ込められるようになったアメリカのネコたちの未来を憂いていたけれど、ピーター・P・マラ+クリス・サンテラの『ネコ・かわいい殺し屋』(築地書館 2019)ではでは室内で飼うことが推奨されている。ネコの後を追うと、斜向かいの民家のガレージに停車中のクルマの下に潜り込んだ。視線を低くして、地べたから覗き込む。暗くて離れているけれど、ダメ元でシャッタを切った。デジカメのモニタ画面で確認すると、可愛い三毛ネコが丸い目を瞠っていた。
#596│マミ│ノラ猫? ── 塀の上のネコ
O**駅周辺を散策していて道に迷ってしまった。初めて歩く経路を辿り、いつもとは異なるルートを歩いていた。都電A**線の踏切を逆方向から渡った時点から、「猫町」 に迷い込んだ主人公のように、時空が逆転して方向感覚が麻痺してしまったらしい。一周して元の地点に戻って来たような、狐に化かされたような不可解な気分である。現在位置を街区表示板や住居表示街区案内図で確認する。ふと見上げると、歩道の左側に続く高い石塀の上に白黒ネコがいた。格子柵で仕切られた塀の向こう側が公園なのか、マンションの敷地内なのかは不明である。飼い猫なのか、ノラなのかも分からないけれど、何かを待っているように車道を眺めている。近づいても逃げる気配がないので、近距離から写真を撮れた。パラレル・ワ ールドの裂け目に落ち込んだような不思議な日だった。方向音痴なだけだったりして?
#597│アン│ノラ猫 ── 久しぶりの三毛にゃん
I**駅前公園に膝乗り三毛ちゃんがいた。彼女の姿を見るのは2カ月ぶりだろうか、相変わらず毛並みも綺麗で美しい。オジさんがネコたちが棲息する植込みに持参した袋の中のパン切れやチーズ片などを撒いていたが、アンちゃんは見向きもしない。「さっき、女の人から「CIAOちゅ〜る」を貰っていましたよ」 と言うと、「ちゅ〜る」 かぁ、「ちゅ〜る」 じゃなぁと、気落ちした様子をみせる。公園のネコたちはグルメらしく、選り好みをするらしい。毛並みも艶やかで美しい。閑話休題。「BOSS カフェベース」 のキャンペーン 「ねこねこキャップ2」 が始まった。茶トラ、ハチワレ、クロ、シロの4種類+レア1種類の全5匹。第2弾もシークレット・キャップは三毛ネコだった。前回は三毛を見つけるのにスーパーを何軒も梯子しなければならなかったけれど、今回は1軒目で難なくゲット出来た。三毛の発生率が上がった(レア度が下がった)ということではなさそうですが。
#598│バル│飼い猫 ── 右目はアレルギー
「青いエリザベス・カラー」を着けて、元気なさそうだったバルちゃん。どこか怪我をしたのか、手術したのかと心配していたが、どこにも傷痕らしきものはなかった。女飼い主によると、目のアレルギーだったという。改めて青いカラー写真を見ると、少し右目が腫れて心なし小さくなっている。カラーは外れたものの、依然として右目は腫れぼったい。手招きすれば傍に来て腹這いになる。感受性豊かなネコで、微かな音(シャッター音など)にも敏感に反応する。敏捷機敏な身のこなしに変化はないけれど、チャームポイントの目の疾患は痛手である。バルちゃんはアーモンド型の目の形が他のネコとは変わっている。楕円形の吊り目というか、斜めになっていて、文字通り見目麗しいのだ。一日も早く快復して欲しいと願う。腫れぼったい右目が写らないように、バルちゃんの左横顔を撮った。
#599│サイ│ノラ猫 ── 猫のベンチから世界を夢見る
茶トラのサイちゃんが珍しく、図書館裏の遊歩道のベンチの上で寛いでいる。長毛種のロンちゃんとは微妙な関係である。常に一定の距離を保ち、2匹が仲の良い子ネコのように戯れ合うことはない。サイちゃんはロンちゃんに興味があるらしいが、彼女は警戒して(嫌がって?)いるように映る。ネコ同士の単なる縄張り争いなのかもしれないけれど‥‥サイちゃんの右手前に写り込んでいる文庫本はキジ・ジョンスンの『猫の街から世界を夢見る』(東京創元社 2021)。邦題(原題:The Dream-Quest Of Vellitt 2016)は紛らわしいが、萩原朔太郎の「猫町」やルイス・ウェインの「キャットランド」のようなネコ・ファンタジーではない。ウルタール大学女子カレッジの学生が「覚醒する世界」から来た「夢見る人」と駆け落ちしてしまい、数学教授が教え子を連れ戻すために黒猫と一緒に長い旅へ出る。ファンタジー世界(夢の国)から逆視点で描かれたリアル・ワールドへの旅路が新鮮で面白い。
#600│ゴト│飼い猫 ── 都電沿線の三毛にゃん
黒いマスクを被っているバットマン(女の子なのでバットガール?)のような三毛ネコに再会した。かれこれ3年振りだろうか?‥‥たまにしか通らない急な坂道を降りたところ、都電A**線沿いにある民家のネコで、女飼主だけには「お手」をするという隣家の住人の触れ込みだった。ネコに芸を仕込むのは至難の業である。インターネットには飼主と「ハイタッチ」するネコ画像もあるけれど、近所の仲良しネコたちは猫語で呼んで手招きすれば傍に来て懐くけれど、「お手」 はしてくれない。過去に一度会っただけなので、ゴトちゃんにとっては初対面の出合いなのかもしれない。少し警戒している様子なので、中距離から撮った。ブログに載せた写真は立入禁止の線路内に降りて、こちらを見上げたところ。左上に写り込んでいるのはレールの一部である。
#601│オリ│飼い猫 ── 本名は「いのうえこたろう」
S**開運稲荷に立ち寄ると、女性が黒猫マオちゃんの世話をしていた。キャットフードだけでなく、ネコ用のクッションまで持参している本格的なネコおばさんである。情報通の女性らしく、S**製麺所の老ネコが亡くなったことや看板猫サクラ(本名)ちゃんのことなど、近所のネコ事情にも精通している。公園内で暮らす他のネコたちの居場所を訊くと、奥の空き地にオリちゃんがいるという。マオちゃんは人に馴れているが、オリちゃんは用心深い。一定の距離以内に踏み込むと、その分だけ後ず去ってしまうので、中距離からオリちゃんを撮った。デジカメのモニタ画面で拡大してピントが合っているかどうか確認すると、首輪のチャームに本名(いのうえこたろう)と連絡先(Tel)が記されていた。万が一失踪してしまっても帰って来る確率が高い、飼主の愛情が感じられる配慮ではないかしら。
#602│レイン│飼い猫 ── 暗い夜道のネコ
A**からの帰途、滅多に通らない長い路を歩いている途中で、何匹かのネコたちと出合った。じっと凝視して敵か味方かを見定めるネコ、気配を感じるや否や尻尾を巻いて逃げ去ってしまうネコ‥‥お互いに初対面なので、ネコたちが警戒するのも無理はない。その中に1匹だけ人懐っこい茶トラがいた。鳴いて自ら近寄って来て、頭を脚元にスリスリする。距離が離れても、こちらから近づくと律着に戻って来る。写真を撮るには絶好の被写体だったが、時刻は午後7時過ぎ。既に陽も落ちて、夜の帷が降りていた。ちょうどマンションの灯りの前に来たところを斜め後ろから撮った。残念ながら、画面も暗いくて解像度も低い(1/10・F3.5・ISO3200)。この場から立ち去るのが惜しまれるくらい可愛らしいネコだった。後ろ髪を引かれる思いで後にした。機会があれば明るい日中に再会したいネコちゃんです。
#603│キュー│飼い猫 ── プレイリストの猫(RIP)
ウミちゃん(オッドアイの白ネコ)の様子を見に行くと、ネコの世話をしている民家の前に黒い車が停まっていた。昨日まで元気に食事をしていたキューちゃん(白黒ネコ)が急死したという。玄関前の定位置で微睡んでいることの多いウミちゃんの方が先に逝くのではないかと思っていたと話す女性はショックを隠せない。隣家で発見された時は既に瀕死状態だった。持病が悪化したのか、交通事故なのか、熱中症なのか死因は判然としない。子供や小動物は大人に比較して、地面近くに接しているので、より熱中症のリスクが高いと言われている。ネコは涼しい場所を知っているのに、水分補給は足りていたのか、悪意のある人間に虐待されたのか、用心深いネコだったのに?‥‥など、さまざまな思いが交錯する。停車中の黒いワンボックスカーはキューちゃんの亡骸を火葬場へ送る「霊柩車」だった。合掌。
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各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第67集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。今までに600匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第67集の常連ネコは三毛のアンちゃんと茶トラのバルちゃん。先日O**図書館へ行く途中、リニューアルしたA**遊園前に白茶けたネコがいた。ネコを観察していた少年に「他にネコのいるところは?」と訊くと、線路の向こうに20匹ものネコを飼っている家があるという。駐車中のクルマの下に1匹のネコがいた。猫屋敷の前でタクシーを待っていたオバさんと話す。これからN**の動物病院に、ケージの中の子ネコを連れて行くらしい。先のネコが近づいて来た。もう1匹の外ネコも逆方向から現われた。日も暮れて暗くなっていたが、何とか2匹の写真を撮れた。
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- 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^
- オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました
- 「9分割ナンバー表」 の背景画像を白黒からカラー(写真の左上部分)に変更しました
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- 著者:金井 美恵子
- 出版社:集英社
- 発売日:1979/02/28
- メディア:文庫
- 目次:愛あるかぎり / 不滅の夜 / 帰還 / 恋人たち / 森のメリュジーヌ / 腐肉 / 母子像 / 血まみれマリー / 忘れられた土地 / 耳 / 海のスフィンクス / 山姥 / 迷宮の星祭り / 降誕祭の夜 / 兎 / 解説・吉田 健一
- 著者:キジ・ジョンスン(Kij Johnson) / 三角 和代(訳)
- 出版社:東京創元社
- 発売日:2021/06/30
- メディア:文庫(創元SF文庫)
- 内容:猫の街ウルタールの女子カレッジに大問題が起こった。学生のクラリーが“覚醒する世界"の男と駆け落ちしてしまったのだ。彼女の祖父である神が目覚めたら、街を灰燼に帰してしまう──かつて“遠の旅人"だったカレッジの教授ヴェリットは、クラリーを連れ戻すための長い旅に出る。ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作「霧に橋を架ける」の著者がラ...
- 著者:ロジャー・テイバー(Roger Tabor)/ 丸 武志(訳)
- 出版社:日本放送出版協会
- 発売日:1993/03/01
- メディア:大型本
- 目次:古代エジプトのネコ崇拝 / ネコがヨーロッパに来た / 魔女の使いから愛されるペットへ / ネコの社会システム / 原型のネコはタビー / 長い歴史をもつショートヘア / 西欧と中東のロングヘア / アジアのネコたち / 新しい品種 / 育種の行きすぎが何を招いたか / 人とネコのよい関係とは / ネコたち──かわいらしくしたたかな野生(伊澤 雅子)
- 著者:ピーター・P・マラ(Peter P. Marra) / クリス・サンテラ(Chris Santella)
- 出版社:築地書館
- 発売日:2019/04/09
- メディア:単行本
- 目次:イエネコによる絶滅の記録 / イエネコによる絶滅の記録 / 愛鳥家と愛猫家の闘い / ネコによる大量捕殺の実態 / 深刻な病気を媒介するネコ――人獣共通感染症 / 駆除 vs 愛護――何を目標としているのか / TNRは好まれるが、何も解決しない / 鳥、人そしてネコにとって望ましい世界 / どのような自然が待ち受けているのか? / 注 / 訳者あとがき / 参考...
- 著者:萩原 朔太郎 / 金井田 英津子(イラスト)
- 出版社:平凡社
- 発売日:2021/05/21
- メディア:単行本
- 内容:猫、猫、猫、猫……どこを見ても猫ばかり。日本近代文学を詩情あふれる美しい版画で味わう「文学画本」が、新装版になって待望の復刊! 『夢十夜』『冥途』も同時刊行
- メーカー:サントリー
- 商品:ボス カフェベース(BOSS CAFEBASE)
- 発売日:2022/07/06
- メディア:食品&飲料
- 告知:ねこねこキャップ第2弾、もう出会えましたか?? 今回は4種類のねこちゃんと、レアなねこちゃん1種類!店頭でねこちゃん見つけてくださった方は #ねこねこキャップのいる暮らし をつけて教えてくださいね・・?
2022-10-01 00:05
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