妖婆が這う夜 [p a l i n d r o m e]
皆川 博子 「ジャムの真昼」
□ 暇、トリンドル玲奈はTV降り、尾鰭で「花入れる」鈍利?‥‥戸惑い
お昼のワイドショーH**のコメンテータを務めていたトリンドル玲奈が突然降板した。生放送中、司会者M**に「トラウデン‥‥」と言い間違えられたトリンドルが激怒したからではないかという怪情報がSNSで拡散されてしまったが、真相は今持って藪の中である。茶道の話題を振られて、「花を生ける」 ではなく「花を入れる」と発言したことも物議を醸した。理不尽なバッシングに晒されたトリンドルのSNSも炎上して、一時閉鎖を余儀なくされた。同番組では当時のアベ・スガ政権を厳しく批判していた作家・室井佑月が突然降板(2020年12月3日)した過去がある。表向きは再婚相手の前新潟県知事が次期衆院選に新潟5区から立候補することを受けての一時的な出演休止とも思われたが、本人出演のセレモニーもない女子アナがメッセージを代読するだけの恒久的な降板だった。トリンドルにも何か問題発言があったのか、それともなかったのか、彼女は愚鈍なのか利口なのか?‥‥本人だけでなく、視聴者も戸惑っているのではないかしら。
□ キムチ旨い下味、あたし今内向き
コラムニストの長野みどりも2年に渡るコロナ自粛で、引き籠り生活を余儀なくされた。試写会や観劇、旅行にも行けず、ストレスの溜まる日々を送った。週刊誌に長期連載しているコラムも精彩を欠く。東京五輪、映画、相撲、歌舞伎、落語、俳句、歌謡曲などについても繰言が多くなって切れ味も鈍い。コロナ禍による運動不足なのか、加齢による老化現象なのか、鏡に映った自分の顔が見て愕然とした。面長の顔が弛緩して、さらに長く間伸びしてしまったのだ。今夜は月島の自宅マンションで「ひとり鍋」。これ以上長い、あんかけの時次郎みたいな馬面になったら大ショックなので、大好物の桜鍋ではなく、キムチ鍋にした。ピリッと辛い下味が効いて美味しかったが、食後にリトル・シムズのアルバム《Sometimes I Might Be Introvert》(2021)を聴きながら、コロナ鬱とは無縁のノー天気ぶりを自省した‥‥「たまには私もシリアスに内省的にならなくてはね」。
□ 産地偽装の烏賊と貝の嘘、奇珍さ
海外産のアサリを「熊本産」と偽って販売していたことが発覚した。《農林水産省が主要ス ーパーへの調査を元に推計した結果によると、アサリは中国や韓国からの輸入が多いのに、昨年10~12月の販売量の99%が「国産」で、「熊本産」 が約8割を占めた。20年の国内漁獲量4400トンに対し、低迷が続く熊本産は21トンだ。推計とともに行ったDNA鑑定では、「熊本産」 アサリ31パックのうち30パックから海外産が認められた》。海流を自由に回遊する魚類は兎も角、貝類や甲殻類が海を渡って長距離移動するとは考え難い。潮干狩りの貝をごっそり盗掘する不届きな輩は昔からいたけれど、中国産のアサリを大量に有明海に撒いて、「熊本産」 と偽る手口はマネー・ロンダリングならぬ、「シェルフィッシュ・ロンダリング」 ではないか。偽装アサリだけではない。ハマグリ、スルメイカ、うなぎ、わかめなどの海産物に限らず、農水産物や畜産物の産地を偽装する悪習は後を絶たないという。
□ 子ネコは留守番、写真バズる「箱ねこ」
覆面画家バンクシーはイスラエルの空爆によって破壊されたパレスチナ・ガザ地区の家屋の外壁に「子猫の絵」を描いた。定番のネズミでなかった理由を「自分のウェブサイトに写真を掲載することで、ガザでの破壊行為にスポットを当てたかったが、ネットユーザーは「子猫の写真」しか見ないからね」と述べている。家族が外出した後、家の中で留守番している飼い猫が一体何をしているのかは飼主ならずとも興味のあることではないだろうか。子ネコのいる室内にヴィデオ・カメラを設置して定点観測してみた。無我夢中に駈け回ったり、傍若無人に悪戯しているのかと思いきや、意外にもお気に入りのダンボール箱の中で大人しくしていたのだ。ネットは「箱ねこ」の写真や動画で溢れている。初代iMacの筺体を根倉にしているネコちゃんも少なくない。絵本『ねこは るすばん』の茶トラように、クローゼットからニャルニア国(猫町)に行っていたわけではなかった。
□ 依田司、「NyAERA」(ニャエラ)渡した。笑え、ヤニ下がったよ
「2」(ニャン)が6並びする 「スーパー猫の日」(2022・2・22)。朝のワイドショーG**の「お天気検定」は東京・青梅市の住吉神社(招福招き猫「猫祖神」が祀られているネコ神社)から中継だった。気象予報士の依田司が出題する三択クイズ。天気の言い伝え 「猫が顔を洗うと〇〇」(青・雨、赤・晴れ、緑・暴風)。視聴者はリモコンのd(連動データ)ボタンで参加し、正解するとポイントが貯まり、毎月抽選でプレゼントが当たる。「猫の日」 の正解は 「猫が顔を洗うと雨」。《ネコのヒゲはとても敏感なので、風や湿度の変化を素早く感じ取ることができます。雨が降る前は湿気が多くなりますが、そうした湿気や天気が変わることへの不安を取り除くために、ネコは顔を洗う》という。オンエア終了後、女性スタッフから手渡された 「NyAERA 2022」(AERA増刊)の表紙、岩合光昭さんの愛猫タマ(玉三郎)を見て、笑顔になったとか‥‥依田司はネコ好きなのでしょうか?
□ 今朝『ジャムの真昼』読む。夜暇、飲むヤシ酒
ブルーベリー・ジャムを塗った朝食のトーストを食べながら、皆川博子の『ジャムの真昼』を読む。ヘルムート・ニュートン、ロベール・ドアノー、ジェラール・ディマシオ、ラルフ・ギブソン、野波浩、ウジェーヌ・アッジェ、ヤン・ソーデック。1葉の写真、1枚の絵画から7つの物語を紡ぐ短篇集である。表題作は一人称叙述トリックの傑作。第二次大戦後、ドイツ本国に帰るフォルクス・ドイチェの母兄妹に置き去りにされた少年(マチュー)が20年後に家族と一緒に暮らすようになるストーリだが、少年時代の 「僕」(9歳)と大人になった 「ぼく」(29歳)が交互に記述されて行く。読み進めて行くと、父が兄で、「ぼく」 を《子犬》と呼ぶ叔母が妹ハイデ、「白痴」 と罵る母が兄の妻(義姉)、知らない男だと言い放つ認知症の祖母が実母であることが分かって来る。戦争で精神を病んだマチュー(ぼく)は『響きと怒り』のベンジーのように、現実を正しく認識出来ないのだ。夜も暇だったので、ヤシ酒を飲みながら、エイモス・チュツオーラの『ブッシュ・オブ・ゴースツ』を読むことにした。
□ プーチン暴走、忌々しき事態へ。歩兵出し奇手、郵送本チープ
原発施設で核兵器を開発しているなどという虚偽情報を流してウクライナに侵攻したロシア軍。北京五輪とパラリンピックの合間に首都キーウを制圧出来ると甘く見ていたらしいが、ウクライナ軍の徹底抗戦にあって当初の目論見は外れ、長期化の様相を呈し始めた。戦争ではなく演習だと知らされて派兵されたという若いロシア兵の士気も祖国を死守するウクライナ兵には劣る。ロシア軍は燃料・弾薬・食糧などの補給物資を蓄えて、より激烈な総攻撃を仕掛けようとしている。NATOは非加盟国のウクライナに西側から武器や弾薬、ロシアの軍事情報を提供しているが、ロシア軍との兵力の差は大きく、キーウが陥落するのは時間の問題らしい。ロシア軍の補給物資中に小冊子があった。そこには士気の上がらぬロシア兵に戦意高揚を促す檄文が書かれているという。コロナ禍の国民に小さな布マスクを無料配布した総理大臣がいたけれど、独裁者プーチンは若いロシア兵に薄っぺらな本を送ったのだ。
□ 危険視区はウクライナ。核疎開、家族・家内ら、空爆、進撃
ロシア軍のウクライナ侵攻後、ポーランド、ハンガリー、モルドバ、ルーマニア、スロバキアなどの国外に退避する人々が急増加している。その多くは女性と幼い子供たちで、避難を強いられたウクライナ市民は国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると300万人を超えたという(3/15日現在)。原発施設への襲撃、高層マンションやTV塔への空爆、更にプーチンは核ミサイル攻撃も仄めかしてウクライナ国民を脅す。核抑止力という概念は核兵器を使用しないという大前提の上に成り立っている。もし一度でも核兵器を使ってしまったら、報復合戦の全面核戦争に成り兼ねない。第三次世界大戦どころか、人類滅亡の危機である。戦争も始まってしまったら終わりである。その兆候を入手した段階で、戦争勃発を未然に防ぐ外交的な手立てを講じななければならない。21世紀の人間はマス・メディアやインターネット(SNS)などの情報によって、今起こっている侵略戦争を目の当たりにしている。
□ 人道回廊、動揺、道路、厳う頓死
「人道的交通路」(humanitarian corridors)とは一見聞こえは良いけれど、どうやらロシア軍の軍事オペレーションの一環らしい。ウクライナ市民を安全な西側諸国へ避難させる名目なのに、その回廊は侵略戦争しているロシアやベラルーシに通じているのだから。敵国に逃れた市民たちは一体どのように「歓待」されるのだろうか。帰国後にバッシングされている女性コーチを擁護したカミラ・ワリエワ選手のように、「お礼の言葉」 を言わされるのだろうか。人道回廊ではなく、合法的に避難民を自国に拉致する疑心暗鬼の「人狼回廊」ではないかという疑念も湧いて来る。ゼレンスキー大統領はマリウポリの住民に食料や医薬品を届ける道路に地雷が埋められていたり、避難者の乗るバスが砲撃されたと発言している。ウクライナとロシアで行われている停戦協議もロシア軍が首都キーウを総攻撃するアルバイ作りに利用される懸念が高い。この酸鼻な殺戮は一体いつ、どのように終息するのだろうか。
□ 意外カワイレナ、手羽セン。LOVEReS外れ、フランセ?(はてな)‥‥令和、海外
2018年8月23日、河井玲奈は5年間活動していたアイドルユニットloop(ループ)を卒業した。カタカナ表記の「カワイレナ」に改名してフリーランスで舞台に立つなどしていたが、2019年3月28日に「LOVEReS〈ラヴレス〉」に加入し、2020年12月19日に卒業。2021年1月、名古屋を拠点に活動しているアイドル・グループ、手羽先センセーションの新メンバーとなった。「緊急事態宣言」 が解除された秋晴れの日、白金高輪のライヴ会場で開催された 「カワイレナ生誕祭 2021」(2021・11・13)に行った。2021年4月に総入れ替えして新体制となった手羽先センセーション(手羽セン)は日南遥 、佐山すずか、カワイレナ、三好佑季、茉城奈那の5人組。アンコール2曲を含めた全10曲、1時間20分の生誕ライヴだった。終演後、楽屋前でレナぴょんに、仏SSWポム(Pomme)のアルバムを贈った。「千と千尋の神隠し」 の主題歌を日本語で歌う林檎ちゃんに刺戟されて、フランス進出を夢見たりして?
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- 回文と本文はフィクションです。一部で実名も登場しますが、該当者を故意に誹謗・中傷するものではありません。純粋な「言葉遊び」として愉しんで下さい^^;
- 「アサリ産地偽装 解明尽くし悪習を絶て」(朝日新聞 2022・2・11)、「"ネコが顔を洗うと雨になる" と言われる理由」(NEWS ONLINE 2019・2・26)から引用しました
- 男の茶道 沼尻宗真 「茶道【花入と花生の違い】花は入れる生ける?」 を参照しました
- ウクライナ首都の表記を「キエフ」から「キーウ」に変更しました(2022・3・31)
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palindrome / 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 10 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18 / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45 / 46 / 47 / 48 / 49 / 50 / 51 / 52 / 53 / 54 / 55 / 56 / 57 / 58 / 59 / 60 / 61 / 62 / 63 / 64 / 65 / 66 / sknynx 1050
- 著者:町田 尚子
- 出版社:ほるぷ出版
- 発売日:2020/09/10
- メディア:単行本
- 内容:にんげん、でかけていった。ねこは、るすばん。とおもったら? 留守番の間に 、こっそり猫の街にでかけている猫の、知られざる世界。にんげん、でかけていった。ねこは、るすばん。とおもいきや? 猫だってカフェに行くし、身だしなみを整える。──あなたのしらない猫の世界。「ねこがおとなしく、るすばんしてるとおもうなよ」
- 特集:猫とあなたの物語
- 出版社:朝日新聞出版
- 発売日: 2022/02/16
- メディア:雑誌(AERA増刊)
- 目次:愛される猫はかく語りき 川上洋平[Alexandros]×ソイ&ラテ / 石黒亜矢子×てんまる&とんいち / 川島如恵留(Travis Japan)「自分に素直なことが幸せへの近道」 / 時代を読む / 銀河鉄道と猫 漫画家 ますむらひろし / 現代のニャン像 ニャア/作家 阿部智里 / 尾道で理想郷をめざす 猫のいる絵画教室 / 猫は30歳まで生きられる 宮崎徹さんがAIM医...
2022-03-21 00:07
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