ゼロゼロ指令 3 [c o m i c]
森 秀人 「石森マンガの "健康さ" にふれて」
秘密情報員003号(オレ)はベッドに横たわって回想する‥‥今朝早く、指令官(おやじ)に電話で呼び出されて、秘密の研究所から消えた「ミサイル自動制御逆転装置」の設計図と発明者の工学博士・佐々島英樹の行方を追うように指令されたことを。真夜中にミサコが来て、病院から脱け出す手引きをする。盗聴され、猛犬に追われた2人はマンホールから下水道に逃れるが、この脱出劇はミサコたちが仕組んだ計略だった。芝居がバレたミサコは服毒自殺を謀る。003号が腕時計型の通信器で指令官に連絡すると、佐々島博士夫人がサイゴン行きに切符を買ったと告げられた。翌朝、003号はインドシナ航空機206便に夫人と共に同乗していたが、黒服の男たちにハイジャックされてしまう。服毒自殺したと思われていたミサコも乗っていた。一時的に仮死状態になっていただけで、解毒剤を注射されて蘇生したのだ。ハイジャック犯は乗客の中に佐々島博士がいると思っていたが、指令官と003号の通話を盗み聞きしていたミサコからの情報が間違っていた。
着陸に失敗した旅客機から脱出した003号と佐々島夫人は中国人スパイの乗るジープを奪って逃走する。銃声でスパイたちを陽動した仲間の009号は射殺された。逃走中の車内で夫人から、夫婦がソ連のスパイだったこと、夫が消息を絶ったのは設計図を誰の手にも渡したくなかったから、自分だけの研究室(お金)が欲しかったこと、5日後にアンコール・ワットで落ち合うこと‥‥を聞き出す。夫人の身代わりに死んだ女性は研究室の助手だった。彼女が今際の際に遺した謎の言葉は「佐々島先生をさがさないで‥‥先生は世界の平和を考えて逃げたしたのです」という意味だった。2人はジープを乗り捨てて、ジャングルを歩く。谷まで野宿していると、ベトコン(ベトナム共産党のゲリラ)に包囲される。中国人のスパイが助かる方法を2つ提示する。夫人がササジマ博士の居場所を教えること、サカザキ(003号)が自分を倒すこと‥‥少林寺拳法の闘いに勝ったサカザキと夫人は泥深い水溜りの中に身を隠して追手から逃れた。
2時間後、河岸に辿り着いた003号と佐々島夫人は小舟に乗って、2日後ベトナム共和国の主都サイゴンに到着する。サイゴンは地獄だった。「5月8日ベトナムの古都ユエで多勢の仏教徒が政府の宗教差別に対する抗議集会を行っていた時、カトリック信者から成る政府軍が、このデモ隊に発砲し、婦人子どもをふくむ11人を殺した」「6月11日ティチクアンドクという70歳の老僧がガソリンを自分の僧服にかけ、火だるまになって死んだ」‥‥2人の目前で「11人の若い僧が火につつまれて死んでいった」。現地人に変装してサイゴンからプノンペンまで飛行機で移動し、汽車で丸1日、プルサト・トレンサーブ湖を経てアンコール ・ワットに辿り着く。まさに佐々島博士と夫人が会う約束をした「5日後」の午後だった。ところがスパイに銃撃された博士は石塀から落下して絶命する。夫に駆け寄った夫人も撃たれた。博士の死体が中国のスパイによってヘリで持ち去られる。夫人は003号に設計図のマイクロフィルムを差し出す。彼女の最期の願いを聞き入れた「オレ」は帰国する飛行機のトイレで焼き捨てる。
風魔一族の頭領は男に金縛りの術をかけて解放する。外出した指令官が忍者に手裏剣で狙われ、客に変装した男にバーで刺される。坂崎が銃で忍者に応戦し、刺客を取り押さえるが、舌を噛み切って自殺した。坂崎は指令官を襲った忍者のことを警視庁に報告し、病院に見舞うが、真鍋五郎は面会謝絶の重体だった。マナベ商事(00部隊本部)に戻った坂崎は宿直の007、地下で射撃訓練していた009と協力して、謎の忍者たちのことを調査する。年が明けた196X年。正月に009の家を訪れた003は室内に忍び込んでいた忍者に襲われる。坂崎は007からの電話で、警官から拳銃を奪おうとした男が逃げる際に自動車に撥ねられて病院に搬送されたことを知る。意識を取り戻した男は忍者にピストルを盗めと命令されたこと、催眠術をかけられて操られていたことを話す。その直後、ベッドが宙に浮き上がって病室の窓から外に飛び出し、病棟の壁に激突して男は死ぬ。
003、007、009の3人は有名な忍術研究家・黒土三平の家を訪れる。ベッドを動かしたのは男に催眠術をかけた忍者の「観念動力」ではないかと説明される。人口冬眠研究家・星進一博士の家を訪問する。理論的には可能だが、現代の科学では人間を何百年も「人工冬眠」させることは不可能と諭される。原始的な精神力と超現代的な科学力を持った忍者たち‥‥山岳仲間の2人(藤子不二雄?)から、去年の夏に黒部で道に迷った男のことを聞き出す。気を失って倒れていたところを木樵に発見されたという。003たちが黒部渓谷へ捜索に向かう。天正10年6月2日、明智光秀は本能寺で織田信長を暗殺するが、羽柴筑前守秀吉の反撃に遭う。羽柴方に味方した真鍋時貞は阿部左馬介の城を落とすために風魔一族を雇った。ところが秀吉は信長の忍者抹殺政策を推し進め、それを見習った真鍋時貞も風魔一族の集落を襲って皆殺しにした。00部隊と風魔一族の決戦が始まる。形勢不利となった頭領が「観念動力」で雪崩を起こすが、その震動で忍者たちも巻き込まれてしまう。
ゼロゼロ部隊本部では009が指令官と007に、黒部第5ダム建設現場から鉄材や建材などを奪っている巨大ロボット、T大ロケット研究室からラムダ5型ロケットの設計図を盗み出した空飛ぶ怪人、現代科学でも不可能な長時間の冷凍睡眠などから、高度な科学知識を持った忍者がいるのではないかと推理する。不動産会社社長・真鍋彦九郎の用心棒に雇われた003が襲撃して来た忍者たちと闘う。忍者の放った手裏剣で社長は殺され、頭領の「観念動力」で社屋も破壊される。本部へ引き上げて009の推理を聞いた003は再び黒部峡谷へ登り、忍者たちとの最後の決戦に挑む。洞窟への入口を発見した003たちはトンビを捕らえる。焚火の煙に気づいたナガレボシとコマドリ‥‥頭領が「観念動力」でトンビを救出する。ナガレボシは超音波銃で頭領の脳波を乱すとダムが決壊してしまう。空を飛行して難を逃れたナガレボシとトンビはコマドリと共にロケットで脱出する。ナガレボシは300年前、未知の惑星から地球へ飛来した宇宙人だったのか?
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- 「石ノ森章太郎萬画大全集 11-10~11」(角川書店 2008)をテクストに使いました
- スパイ、忍者、巨大ロボ、宇宙人?‥‥1963年にして、石森ワールド全開です^^;
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- 著者:石森 章太郎
- 出版社:虫プロ商事
- 発売日:1970/03/15
- メディア:単行本
- 目次:世界をポケットに // 霧の彼方より / わたしだけのあなた / 作品批評・森 秀人「石森マンガの "健康さ" にふれて」/ 作品メモ
- 著者:石森 章太郎
- 出版社:虫プロ商事
- 発売日:1970/04/15
- メディア:コミック
- 目次:忍者よみがえる / 忍者ナガレボシ // 迷子 / 作品批評・菊池 浅次郎「うらみの重さと展開の構造」/ 作品メモ
タグ:ishinomori comic
2020-02-11 00:03
コメント(2)
ゼロゼロなんとか、って、どうしてゼロゼロがつくんでしょうか?
百人以上になるのが想定済みだから?
ゼロセブンより、ゼロゼロセブンの方が、ゴロはいいような。
by ぶーけ (2020-02-14 15:05)
そんなコト考えたことなかった^^;
「0011ナポレオン・ソロ」というTVドラマもあったことから推測すると、
100番目のスパイはゼロゼロ100(00100)ではないでしょうか?
本家の「007」は「ダブルオーセブン」と読むのが正しいそうで、
数字の「ゼロ」ではなく、英字の「オー」だったのかもしれません。
by sknys (2020-02-14 22:49)