14年目のスニンクス
(sknynx)は72本の記事をアップした(2018・12〜2019・11)。月6本の内訳はメイン記事3本(1日・11日・21日)と別館ミニ・ブログの1カ月分を纏めた
「スニーズ・ラブ」(26日)、一覧リストや企画ものなど2本(6日・16日)である。回文シリーズは新年恒例の「回文かるた」を含めて5本。「ネコ・ログ」は4本。洋楽記事は年間ベストや新譜紹介など6本。「MUSIC MAGAZINE」創刊50周年記念に便乗したジャンル別ベスト・アルバムのリスト7本。石ノ森シリーズは4本。猫ゆりシリーズは
〈猫のフィガロ〉と
〈猫のオインゴ〉、一覧カタログ
〈素晴しきネコ本の世界 2〉もアップした。お気に入りの記事(ベスト10)と人気記事(閲覧数トップ10)で重複したのは
〈アロー・モード(2018)〉〈ヒグチユウコの曲猫団〉〈ムンクの子供たち〉〈つなぐ夏〉の4本。マイブームは『飛ぶ孔雀』(2018)で泉鏡花文学賞と日本SF大賞をW授賞した後、中川多理との共著『小鳥たち』(2019)を上梓した山尾悠子です。
Sknynx's Favorite 10 Articles Of 2019
Sknynx's Top 10 Articles Of 2019
● 猫ゆりシリーズ(猫本・猫盤)アンジェラ・カーターの「長靴をはいた猫」(筑摩書房 1992)は飼いネコのフィガロが主人と貴婦人の性愛を成就させる艶笑パロディ。『不思議な猫たち』(扶桑社 1999)にはネコだけでなく、ネコ科の大型動物‥‥タイガー、マウンテン・ライオン、ジャガー、クーガ ー、レパードも登場する。ヒグチユウコの絵本『ギュスターヴくん』(白泉社 2016)は上半身がネコ、下半身がタコ、両腕がヘビの魔猫。『文豪の猫』(エクスナレッジ 2018)はアンジェラ・カーター、ドリス・レッシング、ホルヘ・ルイス・ボルヘス、スティーヴン・キング、シルヴィア・プラス、アーシュラ・K・ル=グインなどネコ好き作家と愛猫の写真集。『LIL BUB’S LIL BOOK』(学研パブリッシング 2014)は世界で一番有名な子猫リル・バブちゃんのヴィジュアル・ブック。レイチェル・ヘイル・マッケナの写真集『世界の美しい猫 101』(パイインターナショナル 2015)には短毛種、セミロングヘア種、長毛種、エイジアン、オリエンタルなどのネコちゃんが総出演。
ネコ好きのアーティストは「猫ジャケ」率も高い。TipsyやAnna Meredithのアルバム・カヴァには高確率でネコが描かれているし、ダニー・エルフマン(Danny Elfman)が率いていたオインゴ・ボインゴ(Oingo Boingo 1979-1995)にも数枚の「ネコード」がある。Baja FrequenciaがEP「猫ジラ」に続いてリリースしたデビュー・アルバム《Hot Cats》(2019)もモデル女性をネコに変えた、Frank Zappa《Hot Rats》(1969)のパロディだった。Kate Bush《Never For Ever》(1980)のカヴァには風に吹かれて舞い上がった少女のスカートから、ネコも含めた多種多様な動物や魑魅魍魎たちが溢れ出て来るニック・プライス(Nick Price)のイラストが描かれている。ピーテル・ブリューゲルやヒエロニムス・ボスの絵の中から抜け出して来たような奇怪な生物たちが混じっていることを猥褻と感じたのかどうか、国内盤CDのアルバム・カヴァが不自然にトリミングされていたのだ。
● 回文シリーズ〈また絵描き替え玉〉のイメージは覆面画家バンクシー。かつてトマス・ピンチョンは全米図書賞(1974)の授賞式にコメディアンを登壇させて物議を醸したが、バンクシーも替え玉を使いそうだ。エンリーケ・ビラ=マタスの『バートルビーの仲間たち』(新潮社 2008)によると、ピンチョンは2人いるらしい。
〈椎茸焦げ大事!〉は「ヒグチユウコ展」(世田谷文学館 2019)に展示されていた「きのこ会議」‥‥ミュージアムショップで限定販売されていた『ヒグチユウコ画集 CIRCUS』(グラフィック社 2019)に収録されている描き下ろし絵本から発想した。〈「きのこ会議」‥‥大きい鹿子の木〉の回文ストーリは「きのこ会議」(夢野久作)のパロディになっている。
〈イノシシの亥(回文かるた 2019)〉は〈猪ラガー、唐獅子の威〉、
〈つなぐ夏〉は〈つながる春来る遙か夏〉からのイメージ。お気に入りの5つ星回文は〈楽ちんネコ暮らす宿。安らぐ5年ちぐら〉〈飯豊まりえは素顔で 「おかずはエリマヨ」 と言い〉〈「着替えてて、フェルネーコ、伏せよ」 ジョセフ・コーネル絵筆で描き〉〈逆走・子虎と高速・山羊〉〈キャット棄権、力むキリン、激突山羊〉‥‥。
● ネコ・ログ令和元年も月3点、1年間で36点のネコ写真をアップした。街角で見かける外ネコの姿は年年減少しているように感じられる。飼い猫は外に出さず、ノラには避妊手術を施す。久し振りに、ロシアンブルーのアオやスコティッシュ・フォールドのリリ、長毛種のノルちゃんがいたところへ立ち寄ってみたけれど、ネコたちの姿は見えなかった。可愛い2匹の子ネコを見かけなくなって気に懸けていたら、近所の女性に貰われて行ったという。家の前にいるネコを撮らないでと言う女性、家の門の中に入ってネコを撮ってと言う女性‥‥その一方で川に放り投げたり、水をかけたり、石を投げたりする不埒な輩も後を絶たない。I袋駅前公園内を占拠していたプレハブ小屋が漸く撤去されて、ベンチからの見通しが良くなった。ネコたちの姿を1週間見ないと不安になる。三毛猫のアンちゃんが膝の上に乗って寛ぐ姿は心和む。駅前公園で暮らすネコたちも少なくなったようだ。
● 石ノ森シリーズ〈変身忍者・嵐〉は江戸時代、父親を暗殺された主人公ハヤテが血車党に敵討ちする異色の時代劇。
〈ザ・タイム・ハンター〉は22世紀、タイムマシンで時間外に逃亡した男女を、妻を寝取られた時間局員が追う近未来SF。
〈アニマル・ファーム〉はジョージ・オーウェルの風刺寓話「動物農場」(1945)、
〈くだんのママ〉は小松 左京のホラー短篇 「くだんのはは」(1968)で、石森章太郎は原作を忠実にコミック化している。「アニマル・ファーム」の「七戒」が「すべての動物は平等である。しかしある動物は他の動物より平等である」に掏り替わる恐怖‥‥支配階級のブタは今風に言い換えると、母子2人を死亡させ、重軽傷者8人を出しえも未だに逮捕されない高齢の元官僚のような「上級国民」でしょうか。「くだんのはは」の牛少女は虐げられた人々の犠牲によって呪われた「守り神」。種村季弘は「九段の怪談」の中で、内田百閒の「件」(1921)の「パロディ小説」と看做している。石森章太郎は筒井康隆の
「ベトナム観光公社」(1967)もマンガ化している。
● アート〈ムンクの子供たち〉は
〈ムンクの娘〉に続く第2弾。トビカン前の長蛇の列(90分待ち)は令和元年の「悪夢」として長く記憶されるだろう。
〈ヒグチユウコの曲猫団〉は断トツの人気記事。ぬいぐるみのニャンコ・シリーズ、ギュスターヴくん、「バベルの塔」展とのコラボした「BABEL」など、克明に描かれた細密画の小宇宙を堪能した。世田谷文学館まで「ヒグチユウコ展 CIRCUS」を観に行った甲斐がありました。
〈オカノウエトシコ〉は幻のコラージュ作家「岡上淑子 フォトコラージュ 沈黙の奇蹟」(東京都庭園美術館)。米グラフ誌やファッション雑誌を元に切り貼りしているのでコラージュ作品も大きくないけれど、シュールな小宇宙は鑑賞者の想像力を刺戟して止まない。
〈クリムトの猫〉は東京都美術館の「クリムト展」。クリムトは大のネコ好きだったのに、何故か自画像と猫は1枚も描かなかった。その空白を埋め合わせるかのように、ベレニーチェ・カパッティは絵本『クリムトと猫』(西村書店 2005)で、クリムトとネコたちを描きまくっている。
〈モーの一族〉は「ポーの一族展」(松屋銀座)‥‥会場内は元少女たちで埋め尽くされていた。
● スペシャル・スキン今までに作成した記事固有のスペシャル・スキン(テンプレート)は
〈ハロー・ウィーン〉(パンプキン)、
〈月の時計のAlice〉(チョコレート)、
〈メレットの夢魔〉(ブラック・スキン)の3種。スキンを1から作るのは面倒なので暫く放置していたが、5色(レッド・グレー・グリーン・ブルー・パープル)のベーシック・スキンを元に、本文とサイドバー、コメント欄の背景色だけを変えた簡易版スペシャル・スキンを3種作ってみた。クリムトのトレード・カラー「黄金色」をイメージした〈クリムトの猫〉(ゴールド)、黄色いネコと同系色の
〈サンシャイン・キティ〉(イエロー)、1st写真集『白群』のタイトル・カラーに変えた
〈カワイレナ生誕祭 2019〉(ブルー)‥‥これならば最小のアレンジで大きく外観を変えられるし、見映えも良い。「スペシャル・エディション」のような嬉しさや「初回限定パッケージ」のような愉しさもある。
Rough Trade's Albums of the Year 2019
- Fontaines D.C. - Dogrel
- Weyes Blood - Titanic Rising
- Angel Olsen - All Mirrors
- Little Simz - GREY Area
- black midi - schlagenheim
- Sleaford Mods - Eton Alive
- Cate Le Bon - Reward
- Vanishing Twin - The Age Of Immunology
- Ex:Re - Ex:Re
- The Comet Is Coming - Trust in the Lifeforce of the Deep Mystery
Paste's 10 Best Albums of 2019
- Weyes Blood - Titanic Rising
- Angel Olsen - All Mirrors
- Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow
- Big Thief - Two Hands
- FKA twigs - MAGDALENE
- Brittany Howard - Jaime
- Carly Rae Jepsen - Dedicated
- Julia Jacklin - Crushing
- Lizzo - Cuz I Love You
- Faye Webster - Atlanta Millionaires Club
Pitchfork's 10 Best Albums of 2019
- Lana Del Rey - Norman Fucking Rockwell!
- FKA twigs - MAGDALENE
- Big Thief - U.F.O.F.
- Angel Olsen - All Mirrors
- Solange - When I Get Home
- Bad Bunny - X 100PRE
- Helado Negro - This Is How You Smile
- Fennesz - Agora
- Weyes Blood - Titanic Rising
- Purple Mountains - Purple Mountains
● ミュージック〈天才少年(boygenius)〉は若手の女性SSW3人(Phoebe Bridgers、Julien Baker、Lucy Dacus)によるスーパー・グループで、デビューEPのカヴァはCS&Nの1stアルバムを模している。
〈GWセール 2019〉では連休中に入手した低価格のセール品4枚を紹介。年末年始の恒例だったタワレコ・クリアランスは今年も実施されなかったり、ディスクユニオンのアウトレット・セールなども低調だったので、
〈真夏のアルバム 2019〉と
〈秋雨のアルバム 2019〉は旧譜ではなく、新譜アルバム10枚をレヴューした。
〈ニャンドロイドは電気山羊の音楽を聴くか?〉は「山羊」(goat)という名前の3バンド(GOAT、Goat Girl、The Mountain Goats)を纏めた記事。
〈ブラジル音楽を聴こう 1・2〉〈アルゼンチン音楽を聴こう〉〈21世紀のシンガー・ソングライター 1・2〉〈エレクトロニック・ミュージック 1・2〉などのベスト・アルバム・リストは再録で、一部重複している。
〈アロー・モード(2018)〉は年間ベスト・アルバム10‥‥2019年は愛聴アルバムを「真夏と秋雨」で紹介したので、「年間ベスト・アルバム」を書く手間が少し省けた。
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- 各メディアの「年間ベスト・アルバム」は「AOTY」や「Metacritic」でチェック!
- 「Paste」 のベスト10はBig Thief(Adrianne Lenker)を含めると全員女性です^^
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