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ネコ・ログ #54 [c a t a l o g]

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  • フレディは亡くなるまで猫を愛しました。トム、ジェリー、ミコ、リリー、ロメオ、オスカー、ティファニー、ドロシー、ゴライアス、デライア‥‥これらは彼が可愛がった猫達の名前です。その中のデライア(三毛猫)は、「愛しのデライア」という歌にまでしてもらうほど大事にされました。〔‥‥〕/ クイーンのアルバム『世界に捧ぐ』の40周年記念として2017年に新たに制作された「オール・デッド」のミュージック・ビデオも、フレディと猫好きには見逃せないものです。オリジナルの作曲と歌はブライアン・メイですが、この40周年記念ヴァージョンではそれまで未発表だったフレディのヴォーカルがフィーチュアされているのです。しかも、全編アニメーションで描かれた当ビデオの主役は、ブライアンが幼少時に共に暮らしたピクシーという名のハチワレの黒白猫とのこと。そして、この子の動きや仕草が実に生き生きと猫猫しくて見入ってしまうのです。ブライアンがピクシーを通して亡きフレディに思いを伝えているようにも見える本作は、きっとフレディもお気に入りなのではないでしょうか。
    『ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ』


  • #478│ガク│ノラ猫 ── 窓の向こうのニャンコ
    ガングロ・サビネコのガクちゃんはタクシー運転手の飼っていたネコだった。大柄で大人しい性格で、近づいても逃げ去ったりしない。被写体としては理想的なネコだった。最近見かけなくなったなぁと気に懸けていたら、裏手のアパートに住んでいた「運転手がネコを置いて引っ越してしまったので、今は私が室内で飼っている」と民家の女性が話してくれた。座敷ネコになったので、滅多に外に出ることはない。もう撮る機会はないのかと残念に思っていた。ある日家の前を通りかかると、都電A川線に面した窓からガクちゃんが外を眺めていた。カメラを向けると、興味深そうに見つめ返す。ガラス窓越しの撮影なのでペットショップや動物園の写真のように不鮮明だが、幸い後景の映り込みもなくピントも目に合っている。都電の見える眺めの良い部屋には他のネコもいるので、今後チャンスがあれば「盗撮」したい。

    #479│ソラン│飼い猫 ──カレンダー・キャット
    お気に入りのネコ・カレンダーを作るとしたら、黒ネコのソラン、長毛種のロン、白茶のソン、茶トラのレイ、三毛ネコのアン、スコティッシュ・フォールドのミス‥‥などの常連ネコたちが12カ月を飾るでしょう。春は桜、夏は海、秋は紅葉、冬は雪‥‥という風に四季の移ろいを反映させたいけれど、季節感の乏しい都会では難しい。どの月にどのネコ写真が入るかは未定ですが、5月だけはサバトラのサツキ(皐月)ちゃんに決まっています。ちなみに「CALENDAR」にネコ写真を使うようになったのは2012年からで(2011年までは花や「猫町ナーゴ・カレンダー」の写真だった)、ニャゴ(縞ネコ)、サクラ(鯖トラ)、ムンク(灰ネコ)、タバス(雉トラ)、アオ(白ネコ)、ソラン(黒ネコ)、グリ(三毛)が年間のカレンダー・キャットになっています。今まで「CALENDAR」に登場したことのない茶トラや白黒ブチなども入れたいなぁ。

    #480│キノ│飼い猫 ── 良く似た寄り目ちゃん
    ガクちゃんの棲む民家の並び、クルマが停車していたり空車だったりする1階ガレージの前や奥に良く似たサバトラ兄弟姉妹がいる。何匹いるのかどうかは不明だが、親子・親類・縁者などの一家だろうか。毛色や模様も容貌も寄り目なところも双子のように良く似ている。目の前は歩道と車道、その向こうは都電A川線である。都電沿いをMノ輪方面に歩いて行くと、A川車庫〜A川遊園地〜K野前に至る。左にO久図書館、S田川、右にT端・N日暮里というロケーション。寄り目ネコといえば、トルコ・イスタンブールのアヤソフィア博物館(旧大聖堂)に暮らす「オバマキャット」(2009年に同地を訪れたオバマ米大統領が躰を撫でたという)のグリちゃんが世界的に有名ですが、本ブログの一推し寄り目ネコは「2018年カレンダー・キャット」の三毛ちゃんです。

    #481│マオ│地域猫 ── ネコは何匹いるの?
    S井開運稲荷に3匹のネコがいた。黒ネコの左耳後方に1匹、その左奥に1匹‥‥一眼レフで撮ると後景がボケているので、この写真ではネコとは判別出来ないけれど、確かに3匹のネコが点在していたのだ。右耳先がカットされている前景の黒ネコは飼い猫で、首輪のメダルには飼い主の電話番号が記されている。赤い鳥井の開運稲荷は小さい祠のような佇まい。「S井コミュニティ広場」に人気はなく、ネコたちの集会場所になっているようだ。ネコたちの視線は広場の入口に向いていて、その先にはS井銀座商店街が連なっている。その真剣な眼差しから、夕飯を運んで来る人(ネコおばさんやネコおじさん)を待っていることが分かる。広場への入口は意外と狭いので、通行人や買い物客たちの多くは商店街の横に小さな稲荷のあることも、ネコたちが暮らしていることにも気づいていないかもしれない。

    #482│バル│飼い猫 ── 白い靴下をはいた猫
    シャッター音にもビクッと躰を震わせるほど敏感でセンシブルなバルちゃん。何度も通っているので顔を憶えてくれたのか、近寄って来て躰を撫でさせてくれるようになった。同じように逃げ回っていたチビ三毛も先日初めて擦り寄って来て、ブロガーの足に頭をスリスリするではないか。やっと馴れてくれたのかと感慨一入だったが、一番興味を惹かれるのはネコがヒトに対した時の態度‥‥その場に留まるのか、逃げ去るのか、近寄るかの判断を一体どのように行なっているのかということである。バルやチビ三毛の意識に如何なる心境変化があったのだろうか?‥‥ジョン・ブラッドショーは『猫的感覚』(早川書房 2014)の中で《ネコは決定を下すことのできる意識のある動物である。受けとっている情報や同じできごとの記憶だけではなく、その情報に対する自分の感情的な反応に基づいて決定を下せる》と書いている。ちなみにアンジェラ・カーターの「長靴をはいた猫」は飼い主の横恋慕を成就させるために奮闘する。

    #483│マル│飼い猫 ── 赤いクルマの上の猫
    民家のガレージに赤い乗用車が停まっている。そのまま通り過ぎようとしたが、気配を感じて目線を上げると、ルーフの上に1匹のネコが鎮座していた。岩合さん好みの大きな体躯、ボールのように丸い顔‥‥薄茶に白が混じったカフェオレ柄のデカ顔ネコだった。気持ち良く微睡んでいたのか、眠そうな目でカメラを向けても身動ぎしない。目を瞠らず半眼で、視線を合せようとしない。天井のある半屋内なので薄暗いけれど、灰色の壁と薄茶色のネコと紅いクルマの配色がバランス良く収まった写真が撮れた(この写真では見えないけれど、赤い首輪に鈴とメダルを着けている)。この地域には三毛スコのミスや白茶のバル、灰白のアキなどが暮らしていてネコ密度が高い。最低でも1匹のネコに出合える確率の高い「穴場」である。「赤いクルマの上の猫」は真夏の炎天下ならば、「熱いトタン屋根の猫」と化していたでしょう。

    #484│ハン│飼い猫 ── 猫パンチで攻撃にゃん
    茶トラのレイや三毛のマープルの暮らしている地域に新入りが加わった。黒白のハチ割れネコちゃんは小柄なのに血気盛んで勇ましい。写真を撮ろうとして近づくと、足早に逃げて行く。そのまま尻尾を巻いて去って行く小心者なのかと高を括っていたら、急に引き返して来た。何とネコパンチを一発喰らわしに戻って来たのだ。捨てゼリフならぬ、捨てパンチである。「ネコ通り魔」と称すべきかもしれない。ところがネコの鍵爪が手の甲に食い込んで抜けない。その時の困惑したような表情が興味深い。ネコも何かを失敗したり、失態を演じた時にはバツが悪いと感じるのだろうか。トラに肩を咬まれたムツゴロウ(畑正憲)さんがもっと咬めと促すと、当惑したような表情を浮かべたというエピソードを思い出した。トラは戯れているつもりでも、ヒトには大きな力なので大怪我することもあるのだ。ネコパンチごときを怖がっているようでは真の愛猫家とは言えません。

    #485│フジ│ノラ猫 ── 猫と藤
    『ねことはな』(クレヴィス 2018)の「まえがき」で「もしかして、ネコはわかっているのではと思うことがあるのです。決して華美ではない毛模様が、花と共にあると美しい色彩となることを」と岩合さんは書いているけれど、「猫と花」のコラボレーションは意外に難しい。百花繚乱の花々とネコの写真を撮りたいと思っても、気儘なネコは要望に応えてくれない。種子や花粉を運んでくれる小鳥や昆虫を誘惑するために甘い櫁や香りを出す花もネコのことは何も考えていないようだし、強い芳香に惹かれるというネコも熱心に草を食んだり匂いを着けたりするようには花に興味を示さない。S石図書館に通って来る近所の三毛ネコも中庭に咲く色とりどりの花よりも草や紙パック回収ボックスの方に関心があるらしい。白黒のフジちゃんは三毛のミミが産んだ3匹の子ネコの中では一番警戒心が少ない。目の上の藤の花を興味深そうに見つめているように見えますが、空を飛ぶ小鳥に関心があるのかもしれません。
     
    #486│エル│ノラ猫 ── 久々に撮れた三毛ちゃん
    「人間は約9500年前にネコを飼い始めたとされ、現在世界中で6億匹が一緒に暮らしている」‥‥J智大研究チームの実験によると「飼い猫は人間の言葉の中から自分の名前を聞き分けている」(朝日新聞 2019・4・5)という。中央図書館裏の遊歩道にいる長毛種のロンちゃんは名前(ロンは仮名です)を呼ぶと必ず駆けて寄って来るのに、少し離れたところに暮らすエルちゃんは知らんぷり。そもそも何という名前で呼ばれているのか分からないのだが、この日は偶然ネコおばさんが運んで来た夕飯を食べに来ている時に出喰わしたので、6年振りにエルちゃんの写真を撮れた。相変わらず愛くるしいネコである。食事の後もその場を離れることなく、ネコと旧交を温めることが出来た。暫く見かけなかったネコの元気な姿に出会うほど嬉しいことはない。研究チームは「ネコが自分の名前を認識しているというよりは、エサの時間や遊ぶ時などに繰り返し名前を呼ばれてきた経験によるものではないか」と分析している。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第54集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ480匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第54集の常連ネコはソランちゃん。ガクやエルちゃんのように、久々に撮れたネコもあります。『ボヘミニャン・ラプソディ』(シンコーミュージック・エンタテイメント 2019)は映画「ボヘミアン・ラプソディ」に便乗した写真集。フレディ・マーキュリーとインスタグラムに投稿されたネコ写真で構成されています。膨大なフレディのポートレイトと同じようなインスタ・ネコ写真を見つけ出すのは結構大変な作業だったと想われます。子ネコ・パロディ・アルバム集「The Kitten Covers」にも似て、安直なアイディアのようでありながらも意外と愉しめます。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にトリミングしました

    • 画像周りをプチ・カスタマイズ。外枠を点線から実線に変更して、四隅を丸めました

    • 「呼んだ? 飼い猫 名前聞き分け 上智大チーム実験」(朝日新聞)から引用しました
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    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    ボヘミニャン・ラプソディ フレディと猫に捧ぐ

    • 編集人:西村 浩一
    • 出版社:シンコーミュージック・エンタテイメント
    • 発売日:2019/04/25
    • メディア:単行本
    • 目次:フレディとねこのはなし / ボヘミニャン・ラブチョビ あつまれチョビひげニャンコさん / フレディとうたおう!フレディをまねよう!/ ねこのさくいん


    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    ねことはな(IWAGO'S BOOK 4)

    • 著者:岩合 光昭
    • 出版社:クレヴィス
    • 発売日:2018/05/28
    • メディア:単行本
    • 内容:動物写真家・岩合光昭は、ネコを撮りはじめた40年以上も前から、花とともにいるネコを数多く撮影してきました。花の中でうたたねをするネコ、花の中にひっそりと佇むネコ、花をパクッと食べるネコ‥‥。ネコと花は風が苦手と言い、日当たりの良い場所を好むからこそ、一緒にいることが普通なのかもしれません

    タグ:catalog cats
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