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ザビワカ・サッカー・サマー 4 [s o c c e r]

  • © Telegraph Media Group Limited 2018



  • 「プッシー・ライオット」というフェミニスト・パンクロック集団がロシアにいるのをご存じだろうか。「プッシー・ライオット」とはずばり、「にゃんこの反乱」という意味だ。もとをただせば、「去勢」と呼ばれるおぞましい手術から逃れ、動物的欲求を謳歌する権利を死守したにゃんこたちが、真実の愛と出会いを求めてさすらう冬の終わりの時期を指す。その道中、にゃんこたちは歌い、踊り、そしてときにはケンカもする。実害はなくとも、夜空に響く大合唱が、ほかの動物たちの安眠を妨げているやも知れんとの自覚はある。それでもやはり吾輩は、あらゆる生物の(とりわけ猫の)、自由、健康、幸福の権利が尊重されるべきだと思うのだ。そんな吾輩に共感したウジェーヌ・ドラクロワが、「自由」の象徴として吾輩をモデルに抜擢した。見よ、バリケートの上で優雅に舞う吾輩の姿を! 非暴力を掲げる吾輩は、銃を捨て、旗を翻しながら踊っている。人々が思わず笑い出し、殺し合いが止むよう願いながら。
    ツァラトゥストラ(猫♂)「プッシー・ライオットの真実」


  • ウルグアイ 0 ── 2 フランス(7/6 ニジニーノブゴロド)
  • ウルグアイは決勝トーナメント(T)1回戦のポルトガル戦で2得点したFWカヴァーニが負傷欠場。フランスもMFマテュイディが累積警告で出場停止。前半40分、フランスは右サイドでFKを得る。FWグリーズマンがタイミングを外して左足でPA内に蹴り込むと、DFヴァランがヘッドでゴール左隅に流し込んだ。44分、ウルグアイも中央右FKを得た。MFトレイラがゴール前にクロスを入れ、DFカセレスがゴール左にヘディング・シュートするが、GKロリスの右手に阻まれる。ゴール前に詰めたDFゴディンのシュートもクロスバーの上を大きく越えた。同じようなセットプレイで明暗が別れた。フランスは前半を1点リードで折り返す。61分、ハーフウェイ・ラインでボールを奪ったMFポグバがドリブルで駆け上がり、トルソへ繋ぐ。PA左前でパスを受けたグリーズマンが左足を振り抜くと、ブレ球はGKムスレラの手を弾いてゴールに入ってしまう。フランスはドイツ大会(2006)以来の準決勝進出。ウルグアイはカヴァーニの抜けた穴を埋められず、頼みのFWスアレスも不発だった。

  • ブラジル 1 ── 2 ベルギー(7/7 カザン)
  • ブラジルは決勝T1回戦(メキシコ)で欠場したDFマルセロが復帰、ベルギーは日本戦で2得点したMFフェライニとMFシャドリが先発した。前半13分、左CKをシャドリが右足でニアサイドに蹴ると、DFコンパニとFWジェズスの頭を掠めたボールがMFフェルナンジーニョの右肩に当たってゴールに入ってしまう。ブラジルにとっては不運なオウンゴールだった。31分、CKからのカウンター攻撃が実を結ぶ。自陣でボールを受けたFWルカクが高速ドリブルで中央を駆け上がり、左サイドのMFデブライネに左足でパス。PA右前から右足でシュートすると低い弾道を描いたボールがゴール左のサイドネットを揺らした。後半、2点リードされたブラジルは猛攻に転じる。76分、MFペコウチーニョがPA左前から右足でクロスを上げると、途中出場のMFレナト・アウグストがPA内に走り込んでヘディングシュートをゴール右に決める。アディショナルタイム94分、FWネイマールの右足シュートもGKクルトワの右手に弾かれて試合終了。準々決勝で涙を呑んだセレソン。赤い悪魔はメキシコ大会(1986)以来、32年振りのベスト4進出。

  • スウェーデン 0 ── 2 イングランド(7/7 サマラ)
  • スウェーデンはDFルスティグが累積警告で出場停止。イングランドはコロンビア戦(延長〜PK戦)から中3日で、体力面での不安が残る。前半30分、DFヤングの左CKをDFマグワイアがヘディングでゴール左に叩き込んで、イングランドが先制。堅守速攻のスウェーデンは単調で魅力の欠けるが、イングランドの厚みのある波状攻撃には迫力がある。59分、MFリンガードのPA前からのシュートはDFグランクビストにブロックされるが、右サイドで拾ったDFトリッピアーがリンガードへパス。PA内に浮き球を入れると、MFデレ・アリがGKオルセンの頭上を抜くヘディング・シュートを放つ。65分、スウェーデンはFWトイボネンとMFフォルスベリを下げ、DFオルソンとFWグイデッティを投入してパワープレーに転じるが、得点を奪えない。71分、MFクラエソンのスルーパスにグイデッティが抜け出し、PA左から左足で折り返す。FWベリの反転シュートもGKピックフォードの左手に弾かれた。イングランドはイタリア大会(1990)以来、28年振りの準決勝進出。

  • ロシア 2(PK 3 ─ 4)2 クロアチア(7/8 ソチ)
  • 準々決勝4試合目は息詰まる死闘となった。目紛しく攻守が入れ代わる攻撃的でスピーディな展開に目が離せない。前半31分、FWジュバとのパス交換からドリブルで持ち上がったMFチュリシェフがPA左前から左足でミドルシュートをゴール左に決めた。39分、左サイドをドリブルで駆け上がったFWマンジュキッチがPA左に進入して左足てクロスを送ると、ゴール前に走り込んだFWクラマリッチがヘッドでゴール右に合わせた。同点で前半を折り返し、後半も無得点に終わり、今大会4度目の延長戦に突入した。延長前半11分、MFモドリッチが右足で右CKを蹴る。マンジュキッチとDFイグナシェビッチの頭上を越えたボールをDFビダがヘディング・シュートするとゴール右隅に吸い込まれた。直後にロシアはMFゴロビンに替えてMFジャゴエフを投入し、猛攻を仕掛ける。勝ち越したクロアチアも守勢に回らない。後半10分、PA左でMFガジンスキーのヘディング・パスをDFピバリッチの左肘に当たってFKを得る。MFジャゴエフのクロスをDFフェルナンデスがヘッドでゴール左隅に突き刺した。PK戦は土壇場で同点ゴールを決めたフェルナンデスが左に外す皮肉な結末となった。

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  • フランス 1 ── 0 ベルギー(7/11 サンクトペテルブルグ)
  • フランスはウルグアイ戦(準々決勝)で欠場したMFマテュイディが復帰し、ベルギーはDFムニエが累積警告で出場停止。序盤はベルギーがボールを保持し、フランスがカウンターを狙う。前半21分、MFシャドリの右CKをDFアルデルワイレルトが反転して左足シュートをゴール左に放つが、GKロリスにセーヴされる。40分、PA内右に走り込んだDFパバールがFWエムバペのスルーパスを受けて右足シュートを放つも、GKクルトワの右足に阻まれる。後半フランスが均衡を破る。51分、FWグリーズマンが左足で蹴った右CKをニアサイドに走り込んだDFウムティティがヘディングでゴール・ネットを揺らす。ベルギーは60分、MFデンベレに替えてFWメルテンスを投入。MFデ・ブライネを守備的なポジションに下げたことで、逆に単調な攻撃になってしまった。フランスは守備的な布陣に徹して、赤い悪魔の猛攻を凌ぎ切った(アディショナルタイムの露骨な時間稼ぎは見苦しかったけれど)。レ・ブルーはフランス大会(1998)以来、20年振り2度目の優勝を目指す。

  • クロアチア 2(延長 1 ─ 0)1 イングランド(7/12 モスクワ)
  • 準決勝第2試合。前半5分、MFリンガードからパスを受けたMFデレ・アリがPA前中央でMFモドリッチに倒されて得たFKをDFトリッピアーが右足でゴール右に決めて、イングランドが先制。後半68分、DFブルサリコが右サイドから右足でゴール前に入れたクロスをペリシッチが左足で跳び蹴りシュートを放つと、ボールはGKピックフォードの右脇を抜けてゴール左へ入る。同点のまま試合は延長戦に突入。3戦続けて120分間戦うことになったクロアチアの体力が懸念されたが攻勢を強め、逆にイングランドが劣勢に回った。延長後半4分、DFピバリッチの左クロスをDFウォーカーが右足でクリアする。高く上がったボールをFWペリシッチがヘディングでPA内に入れると、一早く飛び出したFWマンジュキッチが左足でゴール左に蹴り込む。イングランドは7分、ウォーカーに替えてFWヴァーディを投入。不運だったのは11分に右足を負傷してピッチ外に出たトリッピアーが戻れず、4人の交代選手枠を使っていたので、残り時間(アディショナルタイム4分を含めた8分)を10人で戦わなければならなくなったこと。クロアチアが逆転で初の決勝に進出した。

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  • ベルギー 2 ── 0 イングランド(7/14 サンクトペテルブルグ)
  • 3位決定戦は奇しくもG組1次リーグ最終戦と同じ組み合わせになった。決勝Tへの進出が決まっていた2チームは先発メンバーを大幅に入れ替えたので、その時の勝敗(1─0でベルギーが勝利)は余り参考にならない。ベルギーは累積警告で準決勝を欠場したDFムニエが復帰し、MFフェライニに替えてMFティーレマンスが先発。中2日のイングランドは5人を入れ替えた。前半4分、FWルカクがセンターサークルから左サイドのMFシャドリにスルーパス。シャドリが左足でクロスを入れると、PA内に走り込んだムニエが右足ボレーでゴール右に合わせた。39分にシャドリは負傷退場するも、ベルギーのカウンターは切れ味鋭い。後半イングランドはFWリンガードとMFラッシュフォードを投入するが、攻撃に精彩を欠いた。82分、ドリブルで持ち上がったMFデブライネがFWエデン・アザールに右足でスルーパスを送ると、アザールがDFジョーンズを躱して右足でゴール左隅に決めた。初のW杯3位となったベルギーはメキシコ大会(1986)の4位以来、32年振りに歴史を書き換えた。

  • フランス 4 ── 2 クロアチア(7/16 モスクワ)
  • 前半18分、右サイドでFKを得たFWグリーズマンがゴール前に入れると、ボールがFWマンジュキッチの頭に触れてゴール左に吸い込まれた。幸運なオウンゴールで先制したフランスだが、クロアチアも28分に中央で得たFKをMFモドリッチが右サイドへロングパスを送り、DFブルサリコがヘッドで折り返す。DFビダが落としたボールをFWペリシッチが左足でゴール右に突き刺した。38分にはグリーズマンの右CKをペリシッチの左手に当たってPK(VAR判定)となる。グリーズマンがPKを左足でゴール左に決めて、フランンスが再び勝ち越す。55分、MFカンテに替えてMFエンゾンジを投入。 59分、PA内右に進入したFWエムバペがクロスを送り、グリーズマンが落としたボールをMFポグバが右足でシュート。モドリッチに当たったボールを今度は左足でゴール左に蹴り込んだ。65分にはDFエルナンデスの左サイドからのパスを受けたエムバペがPA手前で右足を振り抜いてゴール左に決めた。69分、DFウムティティのバックパスを追ったマンジュキッチが、GKロリスのパスを右足に当てて一矢報いるが、2点差のまま試合終了。フランスは母国開催以来、20年振り2度目の優勝を飾った。

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    開幕戦のロシア勝利を予言した耳の聴こえない白ネコ「アキレス」、競技場へ観戦に来ると応援しているチームが必ず敗れる「ミック・ジャガーの呪い」、レッドカード(退場)相当なのに警告で済んだ「クリロナの肘打ち」、大袈裟に転倒して痛がる「ネイマール・チャレンジ」、監視カメラみたいに血も涙もない「VAR判定」‥‥W杯ロシア大会は色々な話題で盛り上がりましたが、掉尾を飾るサプライズは決勝戦の後半7分(52分)、プッシー・ライオット(Pussy Riot)のメンバーがピッチ(Pitchforkの見出しは「Pussy Riot Rush the Field, Stage Protest at World Cup 2018 Final」だった)に乱入したことでしょう。ライヴ中継では誰だか分からなかったけれど、試合後に彼女たちの「犯行声明」がSNSなどで公表された。劣勢のクロアチアの選手は苛立っているように見えたが、1点勝ち越していたフランスは鷹揚な対応だった。写真の中にはエムバペ(「Merci les Bleus ! 」では「ンバペ」(Mbappe)と表記されている)と女性メンバーがハイタッチしているものもあったのだ。

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    • 「Pussy Riotのメンバーが決勝戦のピッチに乱入」を追記しました(2018-07-18)

    • ツァラトゥストラ「プッシー・ライオットの真実」を引用しました(2018-08-20)

    • 「2018 WORLD CUP RUSSIA」「FIFA ワールドカップ」などを参照しました
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    Bon Voyage

    Bon Voyage

    • Artist: Melody's Echo Chamber
    • Label: Fat Possum
    • Date: 2018/06/15
    • Media: Audio CD
    • Songs: Cross My Heart / Breathe in, Breathe Outt / Desert Horset / Var Har Du Vart? / Quand Les Larmes D'un Ange Font Danser La Neiget / Visions Of Someone Special, On A Wall Of Reflectionst / Shirim

    タグ:world cup SOCCER
    コメント(2) 

    コメント 2

    sknys

    ゲスト・アイコンが復旧しました^^
    by sknys (2018-07-19 01:31) 

    sknys

    ランダム・アイコンも復旧しました^^
    by sknys (2018-07-19 01:59) 

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