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スニーズ・コメンツ #50 [c o m m e n t s]



  • 屈折した意地の悪い面がすべてではなく、保には優しいところもあった。伊東に泊まった日の夕方、春志とホテルの庭のベンチに腰かけていると、映子と散歩していた保が猫を抱いて歩いて来た。「春志君、猫、好きじゃない?」「好きだよ。」春志が答えると、保は抱いていた猫を春志の胸に押しつけた。庭園の片隅で見つけたのだと言う。首輪がなく野良猫らしかったが、人に馴れておりおとなしかった。春志はそっと猫の背に掌を当て、大事そうにかかえた。「この手触りが大好きなんだ。犬も好きだけど、毛の手触りは猫の方がいい。」「そうじゃないかと思ったよ。」「猫に触るの、久しぶりだなあ。僕、きっといつか猫を飼うよ。」保は唇の片端を下げた奇妙な微笑を浮かべて春志を見下ろしていた。自分の親切に自分で照れているガキ大将、といった風情だった。そばの映子は、保の性質の良いところを誇らしく噛みしめるような表情で、春志の腕の中の猫を見つめていた。二人は猫を残して、またぶらぶらと歩いて行った。
    松浦 理英子 「親指Pの修業時代」


  • ♭ ブラックパンサー(Black Panther)
  • 映画は未見ですが、「ブラックパンサー」の大ヒットで、動物保護施設の黒猫を引き取るアメリカ人が急増しているというニュースに、頬が緩んでしまった。同じネコ科の動物でも黒豹と黒猫は大きさも顔つきも全然違うのに‥‥。シークリット・ヌーメスの小説「ミッツ」はマーモセットの視点で描いたヴァージニア・ウルフ(夫妻)の擬似半生記。ミッツはロンドンの街角に故郷の南アメリカと同じ黒豹がいたことに驚く。「確かに、あの豹だ。黒い毛、トパーズ色の目、だがひどく小柄になってしまった。クモザルほどに縮んでしまったではないか」と。
    by sknys (2018-03-15 01:07)

  • ♭ 親指Pの修業時代
  • 遅ればせながら「セバスチャン」( 文藝春秋 1981)を読了しました。アヒルを襲うネコを悪者として描く松浦理英子はイヌ派ですね。「親指P」(1993 河出書房新社)の次は「犬身」(朝日新聞社 2007)を読みましょう。
    by sknys (2018-04-18 21:08)

  • ♭ かごの屋 文京千石店 ── 世界ネコ歩き 2
  • 千石図書館には時々本を借りに行きます。運が良ければ、図書館の前庭で三毛ネコちゃんに出会えるかもしれません。近所の飼いネコが遊びに来るという。「岩合光昭の世界ネコ歩き 2」(日本橋三越本店 5/2~14)が始まりました。同時開催の「ねこ・猫・ネコまつり」に合わせて、新館1階日本橋口の「ライオン像」も「ネコ像」に変身しているそうです 新館1階日本橋口には「ネコ像」が鎮座しているそうです。
    by sknys (2018-05-02 23:17:19)

  • ♭ 自分の事を書いていきたい…
  • 中学生時代はN馬区の公立校に通っていた。昼休みに埃っぽいグラウンドでサッカーに興じていると、酒悦の工場から福神漬けの匂いが漂って来た。一般人に開放されていたニチバン工場のグラウンドが使えなくなると、サッカー少年たちは「グランドハイツ」(正式名称は「Grant Heights」)に遠出した。今から思うと不法侵入だが、ボールを蹴れる芝生の広場は「グランドハイツ」だけだった。MPのクルマが巡回に来ると、蜘蛛の子を散らしたように一目散に逃げ出す‥‥光陰矢の如しです。
    by sknys (2018-05-05 未投稿)

  • ♭ 薔薇彫り模様のセット
  • やっぱり「注ぎ口」を作るのは難しいのね。「暮しの手帖」の商品テストで、お茶が急須の注ぎ口から垂れると酷評されたメーカーが編集部へ抗議に来た。目の前で、お茶(湯)を入れると、本当に注ぎ口から水滴が垂れた。水でテストしていたメーカーは温度で水の粘度が変化することを知らなかったのだ!‥‥という有名なエピソードを思い出しました。
    by sknys (2018-05-13 20:05)

  • ♭ Monsters in Nihombashi
  • 「獅子像」はガーゴイル、「麒麟像」はキングギドラの子供たちかしら。「ネコ像」の逸話は上野の森の「さくらパンダ」を想わせます。『袋鼠親爺の手練猫名簿』(評論社 2009)は半猫人(柳瀬尚紀)の翻訳。人語を話すネコで、真っ先に思いつくのはサキの「トバモリー」です。
    by sknys (2018-05-22 01:11)

  • ♭ インスタ始めました!
  • 森博嗣は小説の中で、《「ツイッタですか?」「ええ、そう。みんな喜んでやっているけれど、利用されているって、どれくらい気づいているかしら。私はやらない。利用されるよりは、利用する側に回りたいから」「僕もやりません。でも、常に見ています」「同じ。SNSもね‥‥」》と登場人物に語らせています。フェイスブックも個人情報が大量流出して、大騒ぎになった。個人情報が第三者に利用されたり、ダダ漏れしても構わないという前提でやるべきだと思います。自分のプライヴァシーを護りたければ、ブログで留めておくべきではないかしら?‥‥薔薇の写真は綺麗です。
    by sknys (2018-05-22 未投稿)

  • ♭ ライヴのお知らせ ── ワンマン・ライヴ
  • 5月20日の夜は某地下アイドル・ユニットのワンマン・ライヴに行きました。メンバーの1人が従妹の娘なので、誘われたら断れません(笑)。本当にジョージア(グルジア)に移住しちゃうの?‥‥火星に比べたら近いけれど(PKDのSF小説では、30年前に火星移住が実現している)。中東トビリシからのブログも愉しみにしています。
    by sknys (2018-05-23 22:59)

  • 「冬の朝が晴れていれば起きて木の枝の枯れ葉が朝日という水のように流れるものに洗われているのを見ているうちに時間がたって行く。どの位の時間がたつかというのでなくてただ確実にたって行くので長いのでも短いのでもなくてそれが時間というものなのである。」
    吉田 健一 「時間」

    「時間」の冒頭を、これまでに何度も書き写している。あこがれの書物で、この本が本屋の棚にあるというだけでうれしい。私が持っている文庫本はすっかりよれているので、読みこんでいるような風情になっているのだが、いままで一度も通読したことがない。いつもひらいたページから読みはじめて、もののはずみで閉じる。それを繰り返している。「時間」を読んでいるときほど、時間そのものを感じることはない。生きている感覚そのものが書かれている。時間が経っていることを知るのが現在ということで、時刻というのは現在のしるしにすぎないこと、そして現在はひたすら流れつづける。本を閉じると、読んでいたという実感はあるのに、それが何だったかがわからない。読んでいる時間だけを、ずっと抱え持つ。
    朝吹 真理子 「本を読んでいる時間」


  • ♭ 鉄仮面 ── 創刊30周年 24人の目利きが選ぶ講談社文芸文庫「私の1冊」

     ● 朝吹 真理子・選 『時間』 吉田 健一
  • 『少女コレクション序説』に巻末エッセイを書いたり、ジュンク堂で金井美恵子とロング対談している朝吹真理子は気になる存在。「私が選ぶ国書刊行会の3冊」でも『吉田健一 饗宴』を挙げていました。
    ヤフオクに「講談社文芸文庫創刊テレカ」が出品されています。間に合うかしら?
    by sknys (2018-05-26 12:50)

  • ♭ みよし
  • ロイ・ブキャナンは自殺したミュージシャンという印象が強い。〈Down By The River〉のカヴァでも聴けるピッキング・ハーモニクスは弾くポジション(ピックが弦に当たる位置)によって、鳴ったり鳴らなかったりする。音楽理論的な倍音の法則は難しすぎて、チンプンカンプンです。
    by sknys (2018-05-29 22:47)

                        *

    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第50集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2018/03/01~2018/05/31)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。今回は未投稿のコメントが2つあります。元記事の主旨に沿っていなかったり、批判的な内容なので逡巡しているうちに投稿するタイミングを逸したものです。記事を書くよりも、コメントする方が遙かに難しいと実感します。記事とコメントは「作文」と「感想文」の違いに似ているかもしれません。面白い記事には気の利いたコメント、瀟洒なコメントには同じくエスプリの利いたリプライを心懸けています。

                        *


    親指Pの修業時代 上

    親指Pの修業時代 上

    • 著者:松浦 理英子
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日: 2006/04/05
    • メディア:文庫(河出文庫)
    • 目次:プロローグ / 第1部 / 第2部 / 解説 親指ペニスの哀しみ・内藤 千珠子


    親指Pの修業時代 下

    親指Pの修業時代 下

    • 著者:松浦 理英子
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2006/04/05
    • メディア:文庫(河出文庫)
    • 目次:第2部(承前)/ エピローグ / 親指ペニスとは何か・松浦 理英子


    時間

    時間

    • 著者:吉田 健一
    • 出版社:講談社
    • 発売日:1998/10/10
    • メディア:文庫(講談社文芸文庫)
    • 目次:時間 / 解説・高橋 英夫 / 年譜・藤本 寿彦 / 著書目録・近藤 信行


    私の1冊

    私の1冊 ── 24人の目利きが選ぶ講談社文芸文庫

    • 著者:村上 春樹 / 佐藤 優 / 蓮實 重彦 / 村上 龍 / 町田 康 / 川上 弘美 / 高橋 源一郎 / ...
    • 出版社:講談社
    • 発売日:2018/02
    • メディア:小冊子(非売品)
    • 目次:「鉄仮面」 デュ・フォルチェネ・ボアゴベ / 「ああ玉杯に花うけて」 佐藤紅緑 / 「二葉亭四迷伝」 中村光夫 / 「水の女」 中上健次 / 「厄除け詩集」 井伏鱒二 / 「ワインズバーグ・オハイオ」 シャーウッド・アンダソン / 「贅沢貧乏」 森茉莉 / 「時間」 吉田健一 / 「暗い絵・顔の中の赤い月」 野間宏 / 「ゴットハルト鉄道」 多和田葉子 / 「万延元年のフットボール」 ...


    講談社文芸文庫創刊テレホンカード50

    講談社文芸文庫創刊テレホンカード50

    • 発売元:講談社
    • 発売日:1988/04
    • メディア:テレホンカード50(非売品)
    • 自己紹介:文庫では私の尾しかお見せできません。このテレカが唯一の素顔。水中遊泳を続けるとしましょう

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