SSブログ

スニーズ・シンクス 2 0 1 7 [b l o g]



  • 母は、花の密に寄って来る蜜蜂のことを──胴体に短い毛の生えている縞があるせいで──虫の猫とふざけて呼ぶので私はクスクス笑う。大きくて黒い獰猛な蜂のことを熊ん蜂というくらいなのだから、猫蜂がいたって不思議はないし、それに、花の蜜を吸うために花弁の中にもぐり込んでいる蜂を近くでじっと見ていると、黒と黄色の縞柄の腰をリズミカルに左右に揺らしていて、それは猫が狩の獲物──と言っても、町中に住んでいる猫が狩るのは、スズメや大きくても鳩だが──に狙いを定めて体をぴったり地面に伏せて相手に見つかりにくい体勢をとって、眼光鋭くお尻だけをもぞもぞと動かしてリズムを刻んで、跳びかかるタイミングを計っている時の腰の振り方によく似ていると言い、猫のつもりなのか蜂のつもりなのか、どちらかを真似て、白いエプロンの紐が花結びになって垂れているグレーのタイト・スカートをはいた太っているというのではないけれど、丸くてしっかりした腰を振って笑う。
    金井 美恵子 「廃墟の旋律」


  • 12年目のスニンクス(sknynx)は70本の記事をアップした(2016.12~2017.11)。回文シリーズは新年恒例の「回文かるた」を含めて5本。「ネコ・ログ」は4本。洋楽記事は年間ベストやタワレコと山手レコードのクリアランス、ジェスカ・フープやジョアナ・ケイロスなど8本。石ノ森シリーズは〈空飛ぶ幽霊船〉〈お転婆万歳〉など4本。猫ゆりシリーズは〈猫のピーター〉〈猫のワガハイ〉の2本をアップした。「ネコード100枚」を達成したのは嬉しいけれど、〈素敵なキャット・ソングズ〉でネコ・ソング10曲を紹介出来たのは望外の幸せ!‥‥10年前から温めていた企画なのに、なかなか曲が集まらなかったから。〈人間じゃない〉〈モノクロ・セット〉など、タイトルやカラーで纏めた記事も面白いと思う。しかしブロガーの思惑とは裏腹に、お気に入りの記事と人気記事(閲覧数トップ10)は必ずしも一致しない。重複しているのは〈下足痕刮げ!〉〈ドラコニアランド〉だけだった。

                        *




    猫ジャケ・シリーズ第10集〈猫のピーター〉でネコード100枚を達成したのを機会に、一覧記事のタイトルを「麗しきネコードの世界」から〈素晴しきネコードの世界〉に改題した。同時に懸案事項だったスニンクス版「ネコードの9箇条」の「1. 洋楽アルバムであること(邦楽、シングル、12インチ盤などは含まない)」に抵触していたBjorkの〈Triumph Of A Heart〉(DVDシングル)を〈素敵なキャット・ソングズ〉に移動させ、Gato Perezの《El Ultimo Y El Primero》(K Industria 2005)と入れ替えた。〈猫のワガハイ〉は「漱石の猫」をタイトルにした猫本シリーズ第9集。朝日新聞の朝刊に2016年4月から2017年3月末まで1年間連載された「吾輩は猫である」(全224回)を読み続けたのは贅沢な読書体験だった。2016年は「夏目漱石没後100年&生誕150年記念」として、『吾輩も猫である』というニャンソロジーなども出版された。

    回文シリーズは〈捨て子猫です〉〈意気地なし悔い〉〈子猫・ねこ・ネコ〉〈足痕刮げ!〉の4本をアップ。「パリンデックス」のレイティング(5段階評価)で5つ星に輝いたのは〈人体実験・孤児・混血児・異端児〉〈断食会、がきデカついに5日で飢餓。胃が軋んだ〉〈抜き足・差し足、鯵刺し飽きぬ〉〈自ら無理!‥‥姉、媚びコネ、有村架純〉〈真蛸ネコババは子猫タマ〉〈粧し春の宵よ山桜、草間彌生、夜のルバシカ女〉の6回文。その中でも2つのネコ回文は特に気に入っている。新垣結衣、フジモトマサル、リル・バブ、小池百合子、8マン、河井玲奈(従妹の娘)、マダニャイ(漱石のキャラ・ネコ)、ドナルド・トランプ、ジェシカ・フープ、妖精王、山手レコーズ、すがもん(東京・巣鴨地蔵通り商店街の公式ゆるキャラ)、多部未華子、ヴァンパイア(エリザ)‥‥など、今年話題になった人物やブログ記事で紹介したキャラも多数登場する賑やかで愉しい回文集になったと思う。
    黒猫ソランちゃんの写真を撮っていたら、1年振りにネコ姉さんと出会った。飼主ではないけれど、ソランの世話をしてるネコ好きの女性である。「ちょっと待ってね」と声をかけられた。ネコに呼びかけたのかと思っていたら、ソランの写真の御礼に「越前和紙のふせん」を貰った。「ねこの毛糸あそび」と「にゃーさんぽ」の2種(各20枚入り)で、毛糸玉と戯れるネコたちと足跡と尻尾のイラストが描かれている。本ブログではネコ写真やネコードだけでなく、ネコ本も紹介しているので、こういう心遣いは嬉しい。「ネコ歩き」しているとネコとの交感だけでなく、ネコ好きの人たちとの交流も少なからずあるのだ。近所のネコたちを撮る機会は多いけれど、再び訪れることのない(2度と出会えないかもしれない?)一期一会のネコたちも少なくない。「ネコ・ログ」シリーズのネコちゃんも延べ400匹を越えた。今まで出会った人とネコたちに感謝したい。

    石ノ森シリーズは〈空飛ぶ幽霊船〉〈お転婆万歳〉〈少年リュウの道〉〈番長リュウの道〉の4本をアップした。「幽霊船」は海洋冒険マンガ、「おてんばバンザイ」はリボンの髪飾り(カチューシャ)の少女をヒロインにした学園少女コミック。「リュウ3部作」の未来・過去・現在‥‥「リュウの道」の時代設定は未来の地球だったが、「原始少年リュウ」は過去、「番長惑星」は現在(1970年代)である。過去と現在はSFとして成立し難いからなのか、前者は恐竜(ティラノサウルス)と原始人と未来都市(高度な文明を築いていたアトランティス)が共存する地球、後者はパラレル・ワールド(もう1つの地球)が舞台となる。「原始少年リュウ」は海底に沈んだアトランティス大陸から飛行艇で宇宙へ脱出し、「番長惑星」は最終決戦で逃亡した "影"(シャドウ)を追って元の地球へ帰還する。「過去」にも「現在」にもU・F・O(未確認飛行物体)が飛来するSFになっているところが、石ノ森ワールドの面目躍如たるところである。

    本(小説・エッセイ集)に関する記事は3本。〈人間じゃない〉はフィリップ・K・ディックのSF「人間以前」(早川書房 2014)‥‥(旧タイトルは「まだ人間じゃない」)と綾辻行人のホラー「人間じゃない」(講談社 2017)から発想した。「ちょい悪ネコちゃんのおきて(人間じゃない、オレたちが飼い主を選ぶんだ)」(マガジンボックス 2016)にも登場してもらった。〈カケル×カケル〉は森博嗣のXシリーズが完結したのを機に「イナイ×イナイ」「キラレ×キラレ」(講談社 2007)、「タカイ×タカイ」(2008)、「ムカシ×ムカシ」「サイタ×サイタ」(2014)、「ダマシ×ダマシ」(2017)の6作品を纏めて紹介。〈ドラコニアランド〉では澁澤龍彦没後30年を記念して出版されたムック「澁澤龍彦ふたたび」、単行本「澁澤龍彦玉手匣」、文庫「極楽鳥とカタツムリ」「バビロンの架空園」(河出書房新社 2017)、文庫改版「少女コレクション序説」(中央公論新社 2017)を集めてみた。「澁澤龍彦没後30周年フェア」では「澁澤龍彦ブックガイド」も無料配布された。

    アート関連の記事は〈岩合さんのネコたち〉の1本だけだったが、ミニ・ブログに〈世界ネコ歩き 2017〉〈スーザン・ハーバート〉〈京都のネコたち〉〈草間の自己消滅〉〈エレガンスの女王〉をアップした。スーザン・ハーバート(Susan Herbert)は「猫名画」で知られる女性画家。ザ・ガーディアンの「最も狂ったネコ・クイズ」(The Craziest Cat Quiz Ever)が面白かったので翻訳してみた。「草間彌生展」ではミラーレス(スマホ限定だったの?)でバシャバシャ撮っていたけれど、誰にも注意されなかった。単行本化したポーの一族 『春の夢』(小学館 2017)は期待した以上に面白かった。宮谷一彦の『ライク ア ローリング ストーン』(フリースタイル 2017)が48年の年月を経て初単行本化したのも2017年の特筆すべき事件だった。しかも「第1話と第4話が入れ替わって収録」されていたことが分かり、購入者に改訂版を無料で送る(乱丁本の返品交換ではなく、表紙カヴァだけを送付する)という版元の神対応に感激しました。

                        *

  • Rough Trade's Albums Of The Year 2017
    • Party - Aldous Harding
    • Prisoner - Ryan Adams
    • Utopia - Björk
    • Capacity - Big Thief
    • Colter Wall - Colter Wall
    • Cigarettes After Sex - Cigarettes After Sex
    • Love In The 4th Dimension - The Big Moon
    • Modern Kosmology - Jane Weaver
    • Drunk - Thundercat
    • Here Lies Man - Here Lies Man


  • The Wire's Best Releases Of 2017
    • Paradiso - Chino Amobi
    • Peasant - Richard Dawson
    • Tommy - Klein
    • Black Origami - Jlin
    • The Kid - Kaitlyn Aurelia Smith
    • Pariah - Jana Rush
    • Simultonality - Joshua Abrams
    • Lack - Pan Daijing
    • Fly Or Die - Jaimie Branch
    • Reaching For Indigo - Circuit Des Yeux


  • Pitchfork's 10 Best Albums Of 2017
    • DAMN. - Kendrick Lamar
    • CTRL - SZA
    • The OOZ - King Krule
    • Take Me Apart - Kelela
    • Melodrama - Lorde
    • Aromanticism - Moses Sumney
    • Big Fish Theory - Vince Staples
    • Flower Boy - Tyler, the Creator
    • Plunge - Fever Ray
    • Black Origami - Jlin

    新年のタワレコクリアランスは大幅に縮小(渋谷4F)されてしまい、夏季セールも行なわれなかった。〈クリアランス・セール 2017〉は記事になったが、「夏のクリアランス」はない。その埋め合わせに、ザ・ガーディアンの〈クレイジー・キャッツ・クイズ〉のフォーマットを借りて、〈真夏のネコ・クイズ〉を作ってみた。1枚100円という価格崩壊の激安セールの〈山手レコーズ(2017)〉も今年が最後の開催になるという。〈ジェスカ・フープの輪〉〈ジョアナ・ケイロスの怪〉で女性アーティストのアルバムを時系列順に紹介。〈ありえるピンク〉〈モノクロ・セット〉はアルバム・カヴァのカラー(ピンク、白黒)で揃えてみた。〈ブラジルの春(HARU)〉は新ミナス派などのニュー・アルバム7枚を紹介した洋楽レヴュー。当初のタイトルは「ブラジルの秋」だったが、地球の裏側は「春」だったことに気づいて改題したら、Alexandre AndresとRafael Martiniのアルバムも「春 HARU」というタイトルだった。

                        *
                        *


    s k n y s - s y n k s

    s k n y s - s y n k s

    • Author: sknys
    • Articles: 742
    • Date: 2017/12/11
    • Page View: 2,847,832
    • Media: Internet


    ライク ア ローリング ストーン

    ライク ア ローリング ストーン

    • 著者:宮谷 一彦
    • 出版社:フリースタイル
    • 発売日:2017/08/01
    • メディア:単行本(ソフトカバー)
    • 目次:ライク ア ローリング ストーン(流れの木の葉のように)/ ライク ア ローリング ストーン 1~6 / 白夜 / ならば ぼくは1ページ一時間でかいてやろう!(白夜 1)/ 白夜 2 / 白夜 3 / 白夜 4 悲しき天使(ルイのための童話)/ 白夜 5 ぎゃあ / 解説 日本初の本格的な「私マンガ」 中条省平

    コメント(0) 

    コメント 0

    コメントを書く

    お名前:
    URL:
    コメント:
    画像認証:
    下の画像に表示されている文字を入力してください。