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スニーズ・コメンツ #47 [c o m m e n t s]



  • 私は、そのカタツムリの殻をいくつか拾うと、空になったフィルムのケースのなかに詰め、ぱちんと蓋を閉めて、日本へ持って帰ってきた。わが家にもどってから、付着した泥を洗おうと思って、その貝殻を洗面所の水に漬けると、なんと驚くまいことか、そのなかの一匹はまだ生きていて、タイルの上をのろのろ動き出したのである!/ 私の旅行鞄に突っこまれ、何度も飛行機の貨物室や電車の網棚に押しこまれて、ギリシアからイタリアのヴェネツィア、パドヴァ、ヴィチェンツァ、マントヴァ、ボローニャとまわり、最後にはパリから東京へやってきたカタツムリは、その約一カ月間、水もなしにプラスチックのケースのなかで、ひっそりと生きていたのである。この生命力、さすがはクレタ島のカタツムリだな、と私は大いに感じ入ったものだ。/ 私はこのカタツムリを、庭のアロエの鉢のなかに放してやった。生きている以上、自然のなかに返してやるのが筋だろうと思ったからだ。
    澁澤 龍彦 「クレタ島の蝸牛」


  • ♭ オーランドー
  • 『オーランドー』(ちくま文庫 1998)は閉館したZ司が谷図書館のリサイクル本・フェアで貰って来た1冊です。英語(リーダー)授業のテクストがヴァージニア・ウルフだったので、「Kew Gardens」「Monday or Tuesday」「Modern Fiction」などには特に愛着があります。「The Mark on the Wall」のオチも衝撃的だったなぁ。
    by sknys (2017-06-04 22:28)

  • ♭ 薔薇の咲く庭
  • 「人魚姫」と「浦島太郎」を掛け合わせたような物語ですね。散歩に出たKは風に飛ばされた婦人用帽子を掴んで洋館の中庭に降り立ち、盲目の美少女と出会う。「ロボット刑事」の中のエピソードです。帽子、洋館、少女、薔薇‥‥は物語の普遍的な道具立てなのかもしれません。
    by sknys (2017-06-20 00:46)

  • ♭ コンフォート・プラスに泊まるぞ
  • Sertab Erenerの《La`L》(1994)というアルバムを持っています。Sezen Aksuさまとの関連で購入したのかな?‥‥聴いていると血が騒ぐので、遠い祖先はトルコ辺りから流れて来たのではないかと思います。無事に日本へ帰って来て下さい。
    by sknys (2017-07-10 20:20)

  • ♭ メリーさん
  • 「澁澤龍彦ブックガイド」は未入手(註:丸善お茶の水店で入手しました)ですが、『澁澤龍彦ふたたび』(河出書房新社 2017)を今読んでいます。「澁澤龍彦没後30年記念企画」として全国の書店で澁澤文庫フェアを開催。『極楽鳥とカタツムリ』『バビロンの架空園』という2冊の文庫オリジナル・アンソロジー(表紙カヴァは安野モヨコ)も刊行。10月7日から世田谷文学館で「澁澤龍彦 ドラコニアの地平」が始まるそうです。
    by sknys (2017-07-31 21:52)

  • ♭ フランス語学習、環境激変
  • Wikipediaで人物を調べることがあります。当然のことながら、英米人は英語版、フランス人は仏語版、ブラジル人はポルトガル語版の方が詳しい。英語以外はGoogleの自動翻訳で何とか大意を掴むわけですが‥‥鴎外は日本語でも難しい。昨日読んだ「小さな女の子のいっぱいになった膀胱について」というエッセイ(註:金井美恵子の『カストロの尻』(新潮社 2017)に収録)に、鴎外と森娘(森茉莉)が出て来たのは偶然かしら?‥‥「猫の小物入れ」も可愛いなぁ。
    by sknys (2017-08-22 23:04)

  • ♭ 破壊しに、と彼女は言う
  • ファブ・フォーのアルバムに先行シングル曲が収録されていないのは、若年層のファンが同じ曲を重複して買わないようにという配慮からだった。ジョージ・マーティンは〈When I'm Sixty-Four〉の代わりに〈Strawberry Fields Forever〉か〈Penny Lane〉のどちらかを入れておけば良かったと述懐している。朝日新聞(夕刊)に毎月掲載されていた新作CDレヴュー「for your collection ジャズ&海外ポピュラー」が見当たらない。いつオワコンになったのでしょうか?‥‥「クラシック音楽」はあるのに、不可解です。
    by sknys (2017-08-23 23:03)

  • ♭ 秋田書店プリンセスコミックスエクセレント版「摩利と新吾」4巻 ── 揃えたい縞林檎
  • 「摩利と新吾」(白泉社文庫)は3冊(1・3・5巻)しか手許にありません。ブックオフの百円棚を探していますが、なかなか見つからない。小さな新書判や文庫版ではなく、大きな単行本で読みたいというトミー。さんの気持ちは分かります。それでも資料的にはコンパクトで省スペースの文庫の方が良いかなと思います。「トーマの心臓」が全1巻で読める文庫の利便性は捨て難い。コマ割りの大きい近年のマンガは最初から新書や文庫になることを想定しているような気もしますが‥‥。「しまりんご」第1巻の左に並んでいる『草迷宮・草空間』『マンガ家入門』が気になるにゃぁ。
    by sknys (2017-08-25 21:03:22)

  • ♭ TIME FADES AWAY ── 紙ジャケなのね
  • Harryさん、初めまして。「ORIGINAL RELEASE SERIES DISCS 1-4」の4枚はバラ売り(プラケース)で買いました。ボートラなどの特典は一切ないけれど、安価で音質も良かった。「DISCS 5-8」と「DISCS 8.5-12」はバラ売りしないのでしょうか?‥‥Amazon UKの「Customer reviews」も高価すぎる(£59.99)と怒り心頭です。
    by sknys (2017-08-28 14:08:30)

  • ♭ 白い子猿の夢
  • 忘却の彼方だった「きらら姫」を再読しました。大工の音吉(18歳)が江戸末期から鎌倉時代へタイムスリップする落語風のSF譚。お猿畑の白猿たちが着ぐるみだったリ、きらら姫が姿を現わさなかったり‥‥「このままではE・Tみたいに置いてけぼりを食ってしまうぞ」という音吉の独白も可笑しい。音吉は星舟に乗って、未来(1983)にも行ったことがあるのかしら?
    by sknys (2017-08-31 23:05)

                        *

    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第47集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2017/06/01~08/31)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。東日本(東京)は予想に反して長雨低温の冷夏となってしまったが、対戦格闘ゲーム「鉄拳7」、単行本化したボーの一族『春の夢』、金井美恵子の『カストロの尻』、今年8月で没後30周年を迎えた「澁澤龍彦ふたたび」など、ブロク記事の話題には事欠かなかった。「トラックバック機能提供終了」で削除されたと思っていたlapisさんの記事を発掘したことも感慨深い。遅ればせながら、図書館から『書物の宇宙誌 澁澤龍彦蔵書目録』(国書刊行会 2006)を借りて来ました。

                        *


    オーランドー

    オーランドー(ORLANDO)

    • 著者:ヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)/ 杉山 洋子(訳)
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:1998/10/22
    • メディア:文庫
    • 目次:オーランドー 伝記 / 隠し絵のロマンス──伝記的に(杉山 洋子)/ 訳者あとがき 15年後に / 解説 女王陛下の両性具有(小谷 真理)


    La 'l

    La 'l

    • Artist: Sertab Erener
    • Label: Mpmed
    • Media: Audio CD
    • Date: 1994/10/14
    • Songs: Sevdam Ağlıyor / Rüya / Mecbursun / Gel Barışalım Artık / Büyüde Gel / Lal / Masal / Dargın Değilim / Erkeğim / Günahın Boynuma


    極楽鳥とカタツムリ

    極楽鳥とカタツムリ

    • 著者:澁澤 龍彦
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2017/07/05
    • メディア:文庫
    • 目次:儒艮 / 獏園 / 象 / 犀の図 / ドードー / 鳥のいろいろ / 鳥と風卵 / 極楽鳥について / 桃鳩図について / 海ウサギと海の動物たち / 原初の魚 / 魚の真似をする人類 / 頭足類 / 海胆とペンタグラムマ / 貝 / 貝殻頌 / 貝殻について / 貝殻について / 私の昆虫記 / 箱の中の虫について / スカラベと蟬 / 毛虫と蝶 / 蟻の伝説 / 蟻地獄 / 蠅とエメラルド / タランチ...ュラについて / クレタ島の蝸牛 / 文字食う虫について


    摩利と新吾(ヴェッテンベルク・バンカランゲン)第1巻

    摩利と新吾(ヴェッテンベルク・バンカランゲン)第1巻

    • 著者:木原 敏江
    • 出版社:白泉社
    • 発売日:1995/12/19
    • メディア:文庫
    • 目次:摩利と新吾 / 頭文字 / お花畑不知火の変 / 題知らず / わっしょい!! / 夕日にぎんなん五目飯 / 解説にかえて・木原 敏江


    Official Release Series Discs 1-4

    Official Release Series Discs 1-4

    • Artist: Neil Young
    • Label: Warner Bros UK
    • Date: 2012/06/19
    • Media: Audio CD(4CD)
    • Albums: Neil Young / Everybody Knows This Is Nowhere(1969)/ After The Gold Rush(1970)/ Harvest(1972)


    ねむり姫

    ねむり姫

    • 著者:澁澤 龍彦
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日: 1983/11/15
    • メディア:単行本
    • 目次:ねむり姫 / 狐媚記 / ぼろんじ / 夢ちがえ / 画美人 / きらら姫

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