SSブログ

ネコなのにライオン [c o m i c]



  • レオは やねのうえで はらごなしの ひるねを している。
    あまやかされた かいねこに なやみなど ない。
    えさは いつでも さらのうえ。
    なでまわされ ブラシを かけられ、とても かいてきな まいにち。
    あめが ふると ソファのうえで ねる。
    めのまえで ねずみが おにごっこしたって しらんかお。
    いつだって おなかは いっぱいだ。
    たまに おもい こしを あげ、ちょっと さんぽに でるくらい。
    なにもかも たいくつ。

    あるひ さんぽから かえるとちゅう、
    レオは おおきな ライオンに みられているのに きがついた。
    • ザンジバル サーカス
      ひゃくじゅうの おう エドワルド
  • ポスターには こう かいてある。
    レオは こころを うばわれて しまった。
    リンダ・ヴォルフスグルーバー「ねこだけどライオン」


  • ◎ Feline(Virgin 2015)Ella Eyre
  • エラ・エア(Ella McMahon)は西ロンドン・イーリング出身の女性SSW(父親はジャマイカ人、母親はマルタと英国人のハーフ)。可憐なルックスとは対照的なティナ・ターナーばりのダイナマイト・ヴォイスでリスナーを圧倒する。雄ライオンみたいなロング・カーリーヘア、トラやヒョウ柄のボディ・スーツ(ステージ衣裳)などが「ネコ科」の動物を想わせる。デビュー・アルバムは全英トップ20入りした〈If I Go〉〈Comeback〉〈Together〉の3曲を含む5曲のシングルを収録。DJ Freshのニュー・アルバムの先行シングルとしてリリースされたドラムンベース調の〈Gravity〉もヒットした(強盗殺人犯に扮した2人がパトカーとカーチェイスするPVも痛快!)。床のライオンがベッドの上のエラ・エアを見上げるアルバム・カヴァは写真家パオロ・ゼルビーニ(Paolo Zerbini)が撮っている。黄色いロゴ(アーティスト名とタイトル)の「Deluxe Edition」は4曲多い全18曲入り。

                        *

  • ▢ WILD CATS(白泉社 2006)清水 玲子
  • 雨の日、空き地に捨てられていたダンボール箱の中の子猫たち。捨てネコを拾った龍一少年は一際大きな「ネコ」をシーザーと名づける。ところがシーザーはネコになりたかった雌ライオン、小心者で猜疑心の塊のダメ犬ソロモンを髣髴させるダメ・ライオンだった(語り手の「私」はシーザーである)。愛人だった実母に見捨てられた筧龍一は本妻さんの家で6人兄弟の末っ子として暮らしていた。中学生になった龍一はハーフ美少年ゆえに、同級生たちに苛められる。ある日、公園でライオンの絵を描いている男から、読まずに破いて捨てていた母親からの手紙をシーザーが木の洞に溜め込んでいたことを知る。木に登って手紙を見つけた龍一に、通りかかった中学生たちが再び因縁をつける。頬を殴られて出血した龍一。飼主の窮地を救うべく、シーザーが野性の牙を剥く!‥‥しかし、彼女は「本能を押さえることが出来る強いライオン」だった。

    6年前の初夏、飼い犬のレイディが5匹の子犬を産んだ。その2カ月後にラブラドール・レトリバーの子犬トングは里子に出される。何軒かの飼主たちに盥回しされたトングは宮崎の佐竹家に落ち着く。近所に住む龍一少年が子犬を見に来る。シーザーとトングの出合い‥‥意気投合した2匹(ボスがトングで、子分がシーザー)は一緒になって遊ぶ。池に浮かぶ骨を見つめていたトングは少女・愛良に捕獲されて連れ去られる。両親と離れて寄宿舎に入れられようとしていた少女は子犬に服(モーモージャンプスーツ)を着せ、靴を履かせて、幼い妹に仕立てて家出する。電車の窓から逃走したトングは飼主の許へ帰る。ところが戻ったのも束の間、トングは迎えに来た見知らぬ男に引き渡されてしまう。再びトングは車窓から跳び出して、駅のホームの椅子に座って泣いている愛良に会いに行く‥‥6年後の夏、盲導犬となったトング(佐竹氏は盲導犬候補の子犬を育てるヴォランティアの「パピー・ウォーカー」だった)とシーザーの「再会」は涙なしには読めない。

    龍一ぼっちゃんの花嫁になった夢を見るシーザー。高校生になった龍一は背丈も伸びて、電車内で出遭った中学時代の苛めグループたちを逆に一蹴するほど強くなっていた。帰宅した龍一を出迎えるシーザーの前にボクシング部マネージャーの同級生・菊池舞が現われる。突然の恋のライヴァルの出現に狼狽えるシーザー。恋患いのライオンは絶食して「願かけ」する。「人間になりたい。1日でいい、一瞬でいい、死んでもいいから、人間になりたい」と切望するシーザー。舞に髪飾りをプレゼントしようとする龍一だが、彼女は飼主とライオンの親密な関係に嫉妬していた。バスケ部のキャプテンに交際を申し込まれたと告白する舞は「私とシーザーと、どっちが好き?」と龍一に迫る。プレゼントされた髪飾りを橋の上から投げ捨てる舞。シーザーが川へジャンプして髪飾りを銜える‥‥動物病院で目覚めたライオンは悟る。「ライオンは人間にはなれない。一生このまま、奇跡は起こらない」と。「でも時々、願いはかなう」‥‥飼主が全快祝いに髪飾りをプレゼントしてくれたから。

                        *

  • ▢ ねこだけどライオン(セーラー出版 1991)リンダ・ヴォルフスグルーバー
  • 飼いネコのレオは何不自由ない快適な毎日を過ごしていた。ある日、散歩から帰る途中で、大きなライオンに見られていることに気づく。「ザンジバール・サーカス、百獣の王エドワルド」の特大ポスターだった。ライオンの勇姿に心を奪われたレオは同じネコ科の仲間として、一度くらい百獣の王になってみようかと思う。自分が強く大きくなった気がしたレオはライオン気取りで街から出て行く。遊び仲間のウサギたちの長い耳に咬みつこうとするが、逆に体の具合が悪いのではないかと心配される始末。賢く優しく平和を愛する百獣の王は前肢に止まった小鳥たちを自由に遊ばせる。木に登って獲物を待ち伏せするレオは眠ってしまい夢を見た。アフリカの草原をシマウマやカモシカが通りすぎる。カモシカを目がけて木から跳び降りると、のんびりと牝牛たちが草を食んでいた。からかうように彼らの周りを歩くが、角を向けられて逃げ出す。大きな犬に追い駆けられて銅像の上に攀じ登る。家に帰ったレオは退屈なネコではなかった。ライオンらしさに目覚めて、ネズミ1匹見逃さない。

                        *

    「LaLa原画展」に出品されていた麗しいカラー・イラスト‥‥草叢で美少年が2匹の動物(ネコと?)と微睡んでいる原画に惹かれて、清水玲子の『WILD CATS』(白泉社 2006)を読んでみた。「大山猫」というタイトルなので、主人公はネコに違いないと思っていたけれど、「飼いネコ」として育てられた雌ライオンの物語だった。エラ・エア(Ella Eyre)のデビュー・アルバム《Feline》(Virgin 2015)は「ネコ科」というタイトルだった。「猫ジャケ」を期待したものの、肝腎のネコが見当たらない。エラが座っているベッドの右下の部分が商品タグで隠されている。購入後にアルバム・カヴァを確認すると、ネコの代わりに雄ライオンがいた(歌詞ブックレットにはエラがベッドの上のペルシャ猫を見つめている別ヴァージョンが載っている)。リンダ・ヴォルフスグルーバー(Linda Wolfsgruber)の絵本『ねこだけどライオン』(セーラー出版 1991)は百獣の王のポスターに心を奪われた飼いネコがライオン気取りで、街から出て行く物語です。

                        *
    • ネコ科の動物(ネコではなく、ライオン!)のアルバム、コミック、絵本です^^

    • リンダ・ヴォルフスグルーバーの描くネコやライオンの絵には不思議な魅力がある
                        *




    Feline (Deluxe Edition)

    Feline(Deluxe Edition)

    • Artist: Ella Eyre
    • Label: Virgin
    • Date: 2015/09/04
    • Media: Audio CD
    • Songs: Together / If I Go / Always / Good Times / Comeback / Gravity / Deeper / Two / Even If / All About You / Home / Alone Too / Worry About Me / Typical Me / Waiting All Night / Don't Follow Me / Everyone Goes Your Way / We Don't Have To Take Our Clothes Off


    WILD CATS

    WILD CATS 完全版

    • 著者:清水 玲子
    • 出版社:白泉社
    • 発売日:2006/08/29
    • メディア:コミック
    • 目次:WILD CATS I / WILD CATS II / WILD CATS III / FLOWERS


    ねこだけどライオン

    ねこだけどライオン

    • 著者:リンダ・ヴォルフスグルーバー(Linda Wolfsgruber)/ いずみ ちほこ(訳)
    • 出版社:セーラー出版
    • 発売日:1991/10/20
    • メディア:大型本
    • 内容:ごはんを食べ終ると、屋根の上で昼寝していた飼い猫レオがサーカスのポスター「ザンジバール・サーカス、百獣の王エドワルド」に心を奪われて、ライオンのような百獣の王になろうと決心します

    コメント(2)  トラックバック(0) 

    コメント 2

    ぶーけ

    「猫だけどライオン」おもしろそうですね。
    主人公がレオくん♪
    by ぶーけ (2016-09-21 13:49) 

    sknys

    ぶーけさんの創作童話は『ねこだけどライオン』をヒントにしたのか
    と思いました。
    リア充のレオくんが、ちょっぴり野性を取り戻す話です♪
    by sknys (2016-09-21 20:21) 

    コメントを書く

    お名前:
    URL:
    コメント:
    画像認証:
    下の画像に表示されている文字を入力してください。

    トラックバック 0