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スニーズ・コメンツ #43 [c o m m e n t s]



  • 出版不況が吹き飛んだかのような話を聞いた。小学館の少女漫画誌「フラワーズ」7月号が各地の書店で売り切れた。通常部数より多い5万部を用意したが足りず、増刷分もすぐ完売したという。萩尾望都さんの漫画「ポーの一族」の40年ぶりの続編が載ったからである。思春期に愛読したファンが書店へ走ったらしい。もとは1972年から76年まで連載された。主人公は永遠に14歳を生きる少年エドガー。吸血鬼であることに悩みつつ、数百年の時空を越えて生き続ける。学園ものが主流だった少女漫画の世界を超え、少年にまで読者層を広げた。小学生だった筆者も、詩情に満ちた作風に引きこまれた。「続編は恥ずかしくて。作家夢枕獏さんから『ぜひ続きを』と背中を押され、思い切りました」と萩尾さん。だが40年をへて描いたエドガーは、顔や体形が別人のようで困ったそうだ。
    朝日新聞「天声人語 2016・7・1」


  • ♭ 豊橋市美術博物館「『描く!』マンガ展」
  • しーちゃん 、こんばんは。東京では「萩尾望都SF原画展」(武蔵野市立吉祥寺美術館)が開催。新装版『なのはな』(小学館)、文庫版『一瞬と永遠と』(朝日新聞出版)、『萩尾望都 SFアートワークス』(河出書房新社)、「ポーの一族」の最新作が掲載された月刊flowers 7月号が完売するなど、モト・ブーム再来(?)で盛り上がっています。石森章太郎が描いたアトムは「電光人間」だったと思いますが。
    by sknys (2016-06-01 00:00)

  • ♭ カエルのジェレミー・フィッシャー
  • 「ジェレミー・フィッシャーどん」の「どん」が気になって原題を参照すると、「MR.」の訳語だった。西郷どん、「男おいどん」、それともドン・キホーテ、「わたしの首領(ドン)」の「ドン」かしら?‥‥3人称視点だと思って読み進めると、ラストに「わたし」が感想を述べる。「バッタの丸焼き、テントウムシ・ソースがけ」は僕も気持ち悪いと思いますよ。
    by sknys (2016-06-10 21:55)

  • ♭『悲嘆の門 上・下』 宮部 みゆき
  • 『模倣犯』(小学館 2001)と同じようなシリアル・キラーものだと思い込んで読んでいたので、女戦士ガラの出現には驚愕しました。『英雄の書』(毎日新聞社 2009)の森崎友理子も美少女に成長して登場するとは!‥‥「黒い影」の気味悪い描写は天沢退二郎のファンタジーを想わせる。久々の「黒宮部」でしょうか。「お前の見ているものが、お前の感じていることが、すべて真実とは限らない」というアッシュの言葉にシビレました。三島孝太郎の「左目」から連想したのは〈Hidden Place〉のPV。左目が効力を失っていなければ、続編もあるかしら?
    by sknys (2016-06-24 22:39)

  • ♭ ギリシャ語、興味ある? ── イーファ・オドノヴァンとリンダ・パーハクス
  • その昔、小林克也のラジオ音楽番組で、NYのタワレコから最新売り上げランキングを電話で生レポートしてもらうというコーナーがあった。電話口でベスト10を読み上げるバイト青年(アメリカ人?)はXTCの変名アルバム「Psonic Psunspot」を読み上げられなかった。森博嗣の『χの悲劇』(講談社 2016)はG(ギリシャ文字)シリーズなので、「エックス」ではなく「カイ」と読む。アシッド・フォークのリジェンド、Linda Perhacs、アメリカーナの女性SSW、Aoife O' Donovanも発音出来ませんでした。
    by sknys (2016-07-09 23:18)

  • ♭ 和物は意外に薔薇と合う
  • 黒い花瓶に似合うのは黒い薔薇かもしれません。水原弘の「黒い花びら」は薔薇だと思い込んでいたけれど、歌詞に「薔薇の」2文字はなかった。なぜ黒なのか、赤や青ではダメなのか?‥‥作詞者に訊いてみたかった。子供の頃にヒットしていた邦楽(歌謡曲)は抽象性が高くて、何のことか大人になっても全然分かりません。「ブルー・シャトウ」の「紅いバラの香りが苦しくて、涙をそっと流す」という歌詞も意味不明。青い城に棲んでいる「あなた」は女吸血鬼(カーミラ)だったりして?
    P. S. 紅茶はジャンナッツ(JANAT)を愛飲しているにゃん。
    by sknys (2016-07-16 19:54)

  • ♭ 雪白姫
  • 柳瀬尚紀のエッセイや翻訳は面白かったけれど、ロアルド・ダールの日本語訳には異論があります。ポール・セイヤーの『狂気のやすらぎ』(草思社 1989)を訳した東江一紀さんも、2014年に亡くなっていました。2人の優れた翻訳家に合掌。
    P. S.「文藝別冊 山上たつひこ」(河出書房新社 2016)に特別寄稿した江口寿史のマンガが激ヤバ!‥‥劇画に批判的だった寺田ヒロオが主人公というのも超強烈です。萩尾望都の「こまわり君との対話」も素敵にゃん(註:上半身も下半身もパオーン!)。
    by sknys (2016-08-12 13:43)

  • ♭ オールド大倉
  • 台風が一過二過三過してもスカッと晴れずに蒸し暑い毎日が続きますね。雨に降られたリオ五輪の閉会式を見てしまうと、新国立競技場には「オールド大倉」みたいに綺麗な屋根があった方が良いかなと思いました。土管から出て来た「アベマリオ」には違和感を拭えませんが、ペレやベッカム、ジミー・ペイジやマリーザ・モンチなど、世界的に有名な日本人のアスリートやミュージシャンが見当たらなかった(断られた?)のでしょうか。
    by sknys (2016-08-24 23:05)

  • ♭ In the Flesh ?
  • 「ザ・ウォール」(Pink Floyd - The Wall 1982)は学生時代に試写で観ました。ナチの青年将校みたいな主人公(ボブ・ゲルドフ)とエロティックなアニメが印象に残っています。相模原事件の容疑者は「ヒトラーの思想が降りてきた」と語っているそうですが、マーティン・ルーサー・キングやジョン・レノンは降りて来なかったのでしょうか。少年少女時代からロックを聴いたり、少女マンガを読んだりして自由に育てば、人種や民族、男女、同性愛者(LGBT)などを差別することはなかったのではないかと思います。音楽は特別なものだと考えているアップルのCEOがカミング・アウトしても全然驚かなかったし‥‥。
    by sknys (2016-08-26 23:55)

  • ♭ Lucy 'died falling out of a tree'
  • 法医学サスペンス・ドラマ「BONES -骨は語る-」に、発掘された古代人の人骨から死亡原因を解明するというエピソードがありました。ルーシーは空から落ちたのではなく、木から落ちたのね(註:1974年にエチオピア北東部で発見された女性の化石人骨。320万年前の猿人アウストラロピテクスの名前は〈Lucy In The Sky With Diamonds〉から採られた)。
    by sknys (2016-08-30 20:34)

  • 虎を描いて猫に堕す、と覚えてゐたけれど、本当は、虎を描いて犬に類す、らしい。とにかく絵が下手なことの喩へ。でもそれなら、猫を描いたのに虎に見えたら、これは名人なのか。やはり下手なんでせうね。しかしわたしの友達に言はせると、江戸時代は日本に虎はゐなかつたから、圓山應擧の虎の絵は自分の家の飼猫を見て写生したにちがひないさうである。そのせいで、猛獣でありながらどこか優しい風情があつてよろしいとのことであつた。本当かしら。
    丸谷 才一 「猫のつもりが虎」

  • ♭ Bargain Sale 2
  • 江戸時代、日本に虎は棲息していなかった。圓山應擧の虎の絵は家の飼いネコを見て写生したそうですが、伊藤若冲の「虎図」は中国の「猛虎図」を模写したらしい。Sleater-Kinneyはベースレスの女性パンク・トリオ(ギター2+ドラムス)。2本のギターの絡みはJSBXやThe Exを想わせます。ライオット・ガルー(Riot grrrl)の咆哮もネコからトラへ凄みを増した。ガァル〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!
    by sknys (2016-08-31 17:01)

                        *

    ブログ記事に付けた「外コメント」を纏めてみたら結構面白いかも?‥‥というアイディアから生まれた再録シリーズの第43集です。コメントは原則としてオリジナルのまま時系列順に転載‥‥事実誤認(誤記)や誤字・脱字、改行の無効化、句読点や記号・顔文字の有無などを精査。内容の分かり難いコメントには補足説明(註)を加え、コメントした元記事にリンクしました。過去3ヵ月間(2016/06/01~08/31)に書いたものの中から、第三者がコメントだけ読んでも面白いものを中心にセレクトしています。リオ五輪の記事を書いているブロガーが少なかったので、コメントも控え目。柔道やマラソンなどはTV観戦していましたが、時差が12時間もあるので、決勝を見逃した競技も少なくありません。意外だったのは南半球は冬なのに気温が高かったこと。4年後の東京五輪を酷暑の夏に開催するのは無謀、新国立競技場には屋根があって欲しいと思いました。閉会式のサプライズは土管から出て来た「アベマリオ」ではなく、〈Jack Soul Brasileiro〉を歌ったレニーニ兄貴です。

                        *






    萩尾望都SF原画展

    萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく

    • アーティスト:萩尾 望都
    • 会場:武蔵野市立吉祥寺美術館
    • 会期:2016/04/09 - 05/29
    • メディア:コミック
    • 展示構成:1970s SF初期 / 1970s・1980s コラボレーション / 1980s・1990s SF中期 / 2000s SF近作 / 関連資料


    ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし ピーターラビットの絵本 17

    ジェレミー・フィッシャーどんのおはなし(ピーターラビットの絵本 17)

    • 著者:ビアトリクス・ポター(Beatrix Potter)/ いしいももこ(訳)
    • 出版社:福音館書店
    • 発売日:2002/10/01
    • メディア:単行本
    • 内容紹介:さかな釣りに出かけたカエルのジェレミーですが、やっと釣れたトゲウオに刺され、今度は大きなマスが出てきて‥‥


    山上たつひこ 漫画家生活50周年記念号

    山上たつひこ 漫画家生活50周年記念号(KAWADE夢ムック 文藝別冊)

    • 著者:山上 たつひこ
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2016/06/28
    • メディア: ムック
    • 目次:「がきデカ」 週刊少年チャンピオン 表紙ギャラリー / 山上たつひこ 3万字ロングインタビュー「日本のギャグ漫画は帝王・山上たつひこを抜きには語れない」/ 特別寄稿・諸星大二郎、萩尾望都、吾妻ひでお、いがらしみきお、江口寿史、鴨川つばめ、高橋留美子、とり・みき、喜国雅彦、吉田戦車 / スペシャルインタビュー 細野晴臣 / 貴重なマンガ2本 ...


    Pink Floyd The Wall

    Pink Floyd The Wall

    • Director: Alan Parker
    • Cast: Bob Geldof / Christine Hargreaves / James Laurenson / Eleanor David / Kevin McKeon
    • Studio: Sony Music Records
    • Date: 2000/12/27
    • Media: DVD


    No Cities To Love

    No Cities To Love

    • Artist: Sleater-Kinney
    • Label: Sub Pop
    • Date: 2015/01/20
    • Media: AudioCD
    • Songs: Price Tag / Fangless / Surface Envy / No Cities To Love / A New Wave / No Anthems / Gimme Love / Bury Our Friends / Hey Darling / Fade

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