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Pal 2016
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毎年夏になると薮蚊に刺された鼻先や耳の後ろが赤剥けになって痛々しかったパルちゃん。ネコおじさんに軟膏を塗ってもら っていたのに、爪で引っ掻き過ぎて毛根細胞が死滅してしまったという。子ネコの頃のような純真無垢な可愛さはないものの 、呼びかければ駆け寄って来たし、顔馴染みの人には挨拶に来た。パルが回復の見込みのない病に冒されていることは、動物病院で診てもらったというネコおじさんやネコおばさんから聞いていたけれど、今年1月に容態が急変して亡くなっ...
#369
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Toy 2016
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中央公園内に設置された公衆トイレの裏で屯していることの多いトイちゃん。絨毯のように枯葉が敷き詰められた空き地に木漏れ日が差す。気持ち良さそうにゴロニャンすると、枯葉や枯れ枝が体中に纏いつく。いつも眠たそうな半眼というか、近視の美男美女のように目を細めているせいで、トイちゃんの魅力は半減している。綺麗なエメラルド・ グリーンの目が際立たないから。自転車に乗った人が舗装路を通りがかると、足早に駆け寄って行行く。間違えちゃった!‥‥ゴハンを持っ...
#366
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Chico 2016
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I袋駅前公園のシコちゃんは目が合うと律儀にも挨拶しに来る。触れ合いのセレモニーが終わると、何事もなかったように離れて行ってしまう。人間の恋人たちのようにベタベタしないところがシコらしい。白と黒のツートン・カラーで、マズルから胸‥‥前肢だけが白い。口の下の黒い部分は「顎髭」のように見えなくもない。マンガやアニメ・キャラの次元大介やポップ・アーティストの村上隆を想い浮かべる人もいるかもしれない。シコのチャーム・ポイントはミント・グリーン色...
#365
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Mis 2016
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三毛スコのミスちゃんに魅了される。初めて出合った時の表情には脅えや警戒心が見て取れたものの、2度目からは打ち解けて仲良くなった。周囲に気配がなくても、猫語で呼びかけると女忍者くノ一みたいに突如として姿を現わす。家の中にいても呼び声が聞こえると、玄関扉の下にあるキャット・スルーを駆け抜けて来るという仕掛け。鉢植えのある民家の飼い猫だとばかり思い込んでいたら、斜め向かいの家ネコだった(鉢植えの家の飼いネコはビックリ眼の茶トラの方だった)。人...
#364
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Aku 2016
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片耳折れのアクちゃんは黒ネコのソランと同じ家で女主人に飼われている。人懐っこくて社交的なソランとは対照的に、気難しくてセンシティヴなアクちゃん。初対面の時は余りにも妖艶で、ネコではない何か他の生き物の化身のようにも想えた。「 ミャウ、ミャウ」 と鳴いて近寄って来るけれど、体に触れられるのは嫌いらしく、下半身に触ると鋭く鳴いて威嚇する。とても繊細なネコなのだ。ロシアンブルー系の高貴な色合いとマリン・ブルーから淡いイエローにグラデーションする目...
#361
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Ana 2015
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記事のトップを飾るネコちゃんの写真は「月3枚」という暗黙のルールに則っている。3カ月経って9枚になると「ネコ・ログ」に纏めて、モデルになったネコたちのプロフィールやエピソードなどを紹介して来た。今回で連載第40回を迎えて、ネコ写真も360枚(常連ネコも含めて延べ360匹)となったが、諸般の事情で11月は2枚しかアップ出来なかった(7月が2枚になったのは6月に4枚アップしたから)。急遽の処置として、毎月26日に纏めてアップしている〈スニーズ・ラブ 1...
#360
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Malo 2015
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「白い恋人たち」はグルノーブル冬季五輪(1968)の記録映画、「白い妖精」はモントリオール五輪(1976)で3つの金メダルを獲得したナディア・コマネチの愛称、「白い婚礼」(19 89)はヴァネッサ・パラディ主演の映画‥‥血統書付きの純血種は兎も角、野良(雑種)で真っ白いネコは珍しい。黒ネコは時々見かけるのに、白ネコには滅多に出遭わない。I袋駅前公園のマロちゃんは左頬の怪我も癒えて、表情も大人っぽくなった。鷹揚で高貴なイメージもある。人間ならば由緒正...
#358
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Marple 2015
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レイが追い回すのでマープルは逃げる。常に追われる立場の彼女は2階のヴェランダの上に退避して、手招きしても下に降りて来ない。暫くレイちゃんの写真を撮っていると、用心深く遠巻きに近寄って来る。飼主の家の横にあった駐車場は先代のトミーやサビたちにとっては絶好の遊び場だったが、数年前に低層マンションが建ってしまった。その代わりにというか、狭い車道を隔てた向かい側が広い駐車場になった。駐車中の赤いクルマの前で腹這いになって寛ぐマープルさん。今日は...
#356
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Rei 2015
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ネコは真正面から見られることを極度に嫌う。人見知りとか、対人恐怖症というわけではなく、目の前の視界を遮られるのが嫌なのだろう。正面からネコの写真を撮ろうとしてカメラを構えると「あっち向いてホイ」みたいにプイと横を向く。左右に回り込んで対峙すると再び顔を逸らす。この繰り返しに悩まされる撮影者も少なくない。ネコが真正面から対象を見つめているのは初対面の相手に興味を持っている時(敵か、味方か、人畜無害か、品定めをしている)、あるいは遠くの方を...
#355
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Rus 2015
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ニール・ニャングの「錆は決して眠らない」(1979)はパンク・ムーヴメントに触発されたライヴ・アルバムである。「錆つくよりは燃え尽きたい」(It's better to burn out than it is to rust)という歌詞の一節が自殺したキャット・コバーン(ニャルヴァーナ)に遺書に引用されていたことでも知られる。類は友を呼ぶのか、黒と茶色のサビ模様のネコが錆びて変色した鉄柱に纏わりついていた。まるで昆虫の擬態や保護色のように鉄柱と同化している。錆と一体化するだけでな...
#352
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Aki 2015
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ファブと同じところ(K浜東北線沿い)で出会ったネコ。薄茶色の毛並みがエレガントなアキちゃんは可愛くて人懐っこい。たまたま手に持っていたMacFan(2015年6月号)が気に入ったらしく、表紙(木村文乃)の上でポーズを決めてくれた。歴代Mac OS Xのコードネームはネコ科の動物シリーズ(チータ ー、ピューマ、ジャガー、パンサー、タイガー、レパード、スノーレパード、ライオン、マウンテンライオン)だった。初代iMacの筐体の中で寛いでいるネコたちの画像(19 Lu...
#350
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Fab 2015
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K浜東北線沿いの空き地に数匹のネコたちがいた。ノラ仲間なのだろうか、身を屈めて手招きすると半信半疑で近寄って来る。生憎の雨模様で小雨が降っている。悪条件に抗して写真を撮っていると、ネコおばさんが夕食を運んできた。ネコ缶の中身を地面に盛る。顔の一部と胸の部分だけが白い黒ネコ。未だ子ネコなのに鮮やかなオレンジ色の目に野生の精悍さが宿っている。曇りのない鋭い眼差しでカメラを真正面から見つめる。ノラとして自立しているのだろう。「ネコ歩き」 の中で...
#349
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Soran 2015
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黒ネコのソランちゃんとは大の仲良しで、姿を目視すると遠くの方からでもミャーミャー鳴いて挨拶に来る。足許に纏わりついて顔を見上げる。ソランとは強い絆で結ばれていると実感する瞬間である(勝手な思い込みかもしれないけれど‥‥)。それから暫くはソランのパトロールに付き合うことになる。お腹を見せてゴロニャンしたり、指先や手を舐めてくれたり、雑草や草木の葉っぱを食べたり、自転車やバイクのタイヤ(ゴム)の匂いを嗅いだり、民家の木塀や木立で爪を研いだり...
#347
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Son 2015
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1歩近寄ると少し後退りをする。もう1歩進むと、また少し離れて何事もなかったように毛繕いをする。ソンちゃんとの距離は一向に縮まらない。常にヒトとの一定の間合いを保つソンち ゃんの躰に触れるのは難しい。高いところが好きなので、觔斗雲に乗って空を翔け回る孫悟空から「ソン」と名付けられたという(某携帯電話会社の会長とは無関係)。地上ではシャッタ ーチャンスはなかったけれど、民家の門柱の上に登ってからは真下に行行っても逃げなくなった。下から仰ぎ見て、...
#344
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Momo 2015
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カフェオレ色の毛並み、面長の顔立ち‥‥中央公園のモモちゃんは一般的な日本ネコからは「ネコ離れ」している。ネコというよりもネコ科の大型獣のヒョウやマウンテン・ライオンに似ているかもしれない。ゴハンを運んでくるネコおばさんも、外国種の血が混じっているのではないかと話す。陰影のある彫りの深いハーフ顔という感じだろうか。愁いを帯びた表情も耽美的で思慮深げな哲学者を想わせる。写真を撮っていると、食事係のネコおばさんは「私が近づくと逃げちゃうのよ」...
#343
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Dai 2015
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I袋駅前公園のダイちゃんは栄養満点の食事に恵まれているのか、いつの間にかメタボ体型になってしまったが、エメラルド・グリーンの目は相変わらず麗しい。都内23区に棲むノラネコたちにも地域格差があるらしい。大声で鳴いていたK華公園の白ネコから分かったのは中心部よりも周辺区の方が未だしも手厚く保護されているのではないかということ。C代田区やM区は住民もネコも高級そうに見えるけれど、その実体は真逆なのかもしれない。区民数も少ないし、自治会もヴォラ...
#342
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Dera 2015
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O無親水公園の黒ネコ2匹は躰の大きさ(大・小)で区別出来るが、単体で見分けるのは難しい。右耳先カットが大(♂)で左耳先カットが小(♀)と覚えておくと良いかもしれない。黒ネコ2匹は人懐っこい。でも、小の方は毛並みを撫でていると 、不意のネコパンチに襲われることがあるので要注意。都内23区にもネコたちを虐待するゾンビどもが徘徊しているので、見知らぬ人には馴れ馴れしく近づかず、不審者には遠慮なくネコパンチで先制攻撃するべきである。「元少年A」もネ...
#339
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Oki 2015
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三毛ネコのレナさんも昨年亡くなって、赤茶のクーちゃんも行方知れず‥‥寂しくなってしまった「ネコ横町」。飼主の表情も気落ちしているのか、いつもの生気がない。今でも健在な飼いネコは白黒のロブと老齢のオキの2匹。「憎まれっ子世に憚る」という諺もあるけれど、虐めの対象(レナ)を失ったロブの心中を慮ると複雑な気分に陥る。老ネコのオキは若い頃から老け役だった名俳優みたいで、若いのか年寄りなのか、黒と茶色の混じり合った顔の配色に紛れて本当の年齢が分か...
#337
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Kuri 2015
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青い眼の洋ネコ。顔と尻尾、前肢の一部だけがグレーで、躰は白い。ブルーとグレー、マズルの黒との配色が美しく気品が漂う。クリちゃんと道端でバッタリ出会う。これから外回りのパトロールに出かけるのだろうか。近づいても逃げ出したりはしないけれど、自分からは擦り寄っては来ない。適度に人馴れした大型の飼いネコ。人間とのスキンシップに飽きると毛繕いを始めたり、駐車中のバイクのタイヤの匂いを嗅いだり、飼主の家玄関ドアの方へ行ったり(家の中に入りたい?)‥...
#336
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Ron 2015
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雨の日、今日はロンに声をかけるのは止めて、中央図書館裏の遊歩道を黙って通り過ぎた。すると、どこからともなく聞こえて来るビャービャーと鳴くネコの声‥‥いつの間にかロンちゃんが足許で鳴いている。「どうして、黙って行っちゃうの?」と訴えているようだ。呼びかける声に反応して来るのかと思っていたのだが、どこかで往来する通行人や散歩者を見張っていたのだろうか。雨に濡れた長い毛並みを撫でて、濡れないように雨傘でネコを守る。内藤陳に似た痩身痩躯のネコ・...
#335
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岩合光昭写真集 猫にまた旅 フィルムカメラ編
- 著者:岩合 光昭
- 出版社:朝日新聞出版
- 発売日:2016/02/19
- メディア:単行本
- 目次:Prologue / 1月 / 2月 / 3月 / 4月 / 5月 / 6月 / 7月 / 8月 / 9月 / 10月 / 11月 / 12月 / Epilogue / 岩合さんの "猫撮り" フォトヒストリー
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