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ネコ・ログ #37 [c a t a l o g]

  
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  • 何年も前のことになるが、猫を主人公とした小説を出版したことがきっかけで、私は英国王室の方々やお子さまたちとの午餐会に招かれた。王家に猫好きの方がおいでだったのだ。昼食の後で、全員が納屋へと向かった。そこで王室のペットである貴重な猫が飼われていた。私は、トムという名の大きな白黒の猫に紹介された。私は猫については何でも知っている、と思われていた。高貴な方々が、私とトムが一目でひかれあい、仲良しになるのを待ちかまえるなか、だれかが私の胸にトムを抱かせてくれた。だが、何ということ! トムは私の顔にツバを吐きかけ、頬をひっかき、ギャッと叫びながら、私の腕を逃れて、どこかへすっとんで行くと、何かの下に隠れてもう出てこなかったのだ。応急手当てをしてもらってから、私は午餐会の場を後にした。私は猫好きのふりをしていただけだろうか、王室の高貴なペットに化けの皮をはがされたのだろうか、ペテン師が当然の報いを受けたのかもしれない、という疑いの雲は、当然胸の内の巻きおこり、長く留まったのであった。とほほ。
    ポール・ギャリコ 「高貴な猫と、高貴とは言えない人間について」


  • #325│ラピ│地域猫 ── 開運稲荷にゃんこ
    「S井開運稲荷」では飼いネコとノラたちが共存している。薄緑色の目をした灰白ネコのラピちゃんは左の耳先がカットされているので、一目瞭然でノラだと分かる。赤い鳥居、左右に鎮座する黒白2匹のキツネに護られた祠。開運稲荷自体は小さな佇まいだが、その左奥が中庭風の広場になっていて、数匹のネコたちが屯している。周囲の民家やアパートの住人にとっては顔馴染みのネコたち、見慣れた風景なのだろう。開運稲荷への入口は意外と狭いので、通行人や買い物客たちの多くはS井銀座商店街の横に小さな稲荷や広場のあることも、そこにネコたちがいることにも気づいていないかもしれない。もし入口にいたネコに気づかなかったら、見過ごしていただろう。ネコ好きの男女がデジカメやスマホで写真を撮っていたりする「穴場」なのだ。

    #326│モル│飼い猫? ── ちょっと人見知り
    民家と民家の狭間にネコがいた。塀の上に乗ってカメラを見つめているモルちゃん。顔の左側を隠した構図はエルサレム生まれのセファルディ女性歌手モル・カルバシ嬢の《春の娘》(Daughter Of The Spring 2011)を想わせなくもない。迂回して裏手へ回り込むと駐車場になっていて、奥には廃材なども雑然と置かれていた。お世辞にも綺麗な場所とは言い難いけれど、ネコたちが身を潜める絶好の「隠れ家」になっているらしく、モルちゃんの仲間が何匹かいた。ブロック塀やボンネットの上、クルマの下などで昼寝をしていたり、毛繕いをしたり‥‥思い思いに寛いでいる。ここのネコたちは警戒心が強くて、近づくと身を翻して迷路の中へ逃げ去ってしまう。少しずつ距離を縮めて接近すれば辛うじて写真は撮れるのだが、3倍標準ズーム・レンズではベスト・ショットというわけにはいかない。とほほ。

    #327│ジェイ│ノラ猫? ── 自撮りネコにゃん
    ロンパルが暮らしている某中央図書館横の遊歩道に新参者が現われた。ニャーニャーと良く鳴く茶トラは初対面なのに妙に人懐っこい。散歩者の足許に纏いつき、ベンチに座った女性の膝の上に跳び乗って困らせたりする。ノラではなく、飼いネコなのかもしれない。膝の上に乗って爪を立て、腰を定めて前を向く。これでは通常の写真が撮れないので、カメラ・レンズをネコの目線に対面させて「自撮り」してみた。愛機のミラーレスは液晶画面が180°チルトする最新タイプではないし、「自撮り」にも興味がないのでカンでシャッターを押すしかない。結果的に余り撮ったことのないネコ顔の度アップ写真になってしまったが、これはこれで面白い。「自撮りネコ」写真も悪くない?‥‥不機嫌そうな三白眼のブス顔に写っているけれど、実物はもっと可愛いネコなんですよ。

    #328│ニル│飼い猫 ── 未年(2015)もよろしくね
    耳先カットのラピはノラだが、同じくS井開運稲荷の広場で見かけたニルちゃんは首輪をしているので、一見して飼いネコと分かる。写真で見る以上に大きな黒ネコで、ヴェルヴェットのような毛並みの色艶も良好。きっと飼主や家族に愛されているのでしょう。黒ネコ特有の高貴そうな気品も漂う。開運稲荷には総勢5〜6匹のネコたちがいるのではないかと思われるが、お互いに縄張り争いもせずに平然と暮らしている。開運稲荷の出口から露地を左折した裏には秘密の空き地もある(ネコの集会場?)。ノラと飼いネコたちの分け隔てない共同生活は理想的なコミュニティにも映る(開運稲荷のある「S井コ­ミュニティ広場」は「ネコミュニティ広場」と改名すべきかもしれません)。お狐さまの御利益でしょうか。

    #329│マシュロ│ノラ猫 ── 君も完璧さ!(by カルニャー・クラブ)
    黒ネコを見かけることは時々あっても、真っ白いネコに出会うことは稀である。I袋駅前公園のマシュロはノラにしては珍しい白ネコで、両耳と鼻先のピンクが逆に目立つほど。子ネコの可愛さと相俟って愛らしく美しい。しかもマシュロの存在は謎めいている。駅前公園で暮らしているノラたちは耳先カット(不妊手術済み)しているので、彼らから産まれたとは考え難い。捨てネコの可能性も高いのだ。しかし、こんなに綺麗で可愛い子ネコを捨てるだろうか?‥‥という疑念も湧いて来る。真っ白いマシュロは「完璧なる子ネコちゃん」と称するべきだが、英語の「パーフェクト・プシー」には性的な意味も隠されているらしい。NYシラキュースのノイズ・ロック、ハードコア・パンク・バンド、Perfect Pussyのデビュー・アルバム《Say Yes To Love》(Captured Tracks 2014)も「ホワイト・アルバム」のように真っ白だった。

    #330│マープル│飼い猫 ── ヴェランダの三毛さん
    人懐っこい茶トラのレイちゃんは姿が見えなくても猫語で呼べば一目散に駆け寄って来るのに、三毛ネコのマープルさんは遠巻きに用心深く周囲を移動するだけで容易に近寄って来ない。弧を描いて注意深く忍び歩く姿はオフサイドにないように相手DFと駆け引きする賢いFW選手のようだ。それでも機嫌の良い時は近づいても逃げずに毛並みを撫でさせてくれる。三毛の体毛はフワフワしていて柔らかい。でも調子に乗って腹部を撫でると、不意のネコパンチに襲われてしまう。先代のトミーちゃんと同じく、マープルも気の強い牝ネコなのだ。今日のマープル嬢は機嫌が悪いのか、猫撫で声で呼びかけても2階のヴェランダから降りて来る素振りが全くない。仕方がないので、手摺りの柵の間から顔を出しているところを下から手を斜め上に伸ばして仰ぎ撮った。ちょっと怒っているようにも見えるけれど、会心の三毛ネコ写真が撮れました。

    #331│コノ│ノラ猫 ── にゃんこと落ち葉
    S神井川沿いの遊歩道は桜が開花する季節になると花見客や散歩者などで溢れ返る。K区では区役所から板橋(という地名の由来となった橋)までの区間、約6.5kmを往復する「桜ウォーク」を毎年4月第1日曜日に開催しているが、今年も満開のタイミングを逃してしまった。春爛漫の桜と秋絢爛の紅葉。花の散る春は諸行無常に想いを馳せ、落ち葉の舞う秋はメランコリックな物思いに耽る。NY州北部の山岳地帯、トバイアス山の中腹の家で暮らしている小手鞠るいの愛猫プーは舞い落ちて来る枯葉を2本足で直立して捕らえ、地面に落ちた葉っぱを追うという。《風がそよげば落ち葉舞う。落ち葉が舞えば猫踊る‥‥。/ 名づけて「秋の円舞曲」》‥‥。S神井川沿いのコノはプーちゃんのように落ち葉と戯れて踊ることはないけれど、にゃんこと落ち葉の印象深い2ショット写真になった。

    #332│チャリ│ノラ猫 ── 車輪の下で身構える
    常に周囲に鋭い視線を放って警戒を怠らないチビネコ。目が合うや否や、物凄いスピードで逃げ去って行く。駐輪場の車輪の下に身を隠して身構える。「これ以上、少しでも近づいたら尻尾を巻いて一目散に逃げ出すにゃん。いつでも遁走する準備は出来ているんだからね」というネコの心の声が聞こえて来る。エアコンの室外機や卓上テーブルの上で暖かい陽射しを浴び、気持ち良さそうに微睡んでいる白黒牛柄模様のネコは何度か会っているうちに毛並みを撫でさせてくれるまで仲良くなったのに、チャリは人間に馴れる気配が全く感じられない。臆病な小心者なのか、それとも人間嫌いの筋金入りのノラなのだろうか。いずれにしても元気に生きているのだから、誰かにゴハンを貰っているはずなのだが‥‥。ネコとヒトの断絶や乖離に改善の余地はあるのかしら?

    #333│ラム│飼い猫 ── 元気になったの?
    大病をしたという病み上がりのラムちゃんは可哀想なくらい痩せ細っていて、目ぢからもなかった。不用意に手を出して毛並みに触れようとすると、果敢にネコパンチを繰り出した元気な頃とは別猫28号のような変わりように愕然とした。飼主ならずとも健康状態を気に懸けていたのだが、久しぶりに会ったラムちゃんは少し肥って、目にも輝きが戻って来た。何よりも飼いネコらしい穏やかで生気のある表情に安堵した。ネコに限らず動物は我が儘で自己中心的な人間たちのように、躰の変調や不調を家族や医師に声高に訴えたりはしないし、泣き言も一切吐かない。病気や怪我の治療で動物病院へ行くことも嫌がる。必死に自力で生きようとしている動物たちは人間(患者)に施されるような手術や延命処置は希んでいないのかもしれない。小手鞠るいも「たとえ深刻な病気にかかってしまったとしても、わたしは猫に過酷な手術をうけさせたり、入院させてひとりぼっちにさせたり、薬漬けにさせたりはしたくないと思っている」と書いている。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第37集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ300匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第37集の常連ネコはマープルとラムちゃん。初対面の用心深いネコでも何度か接しているうちに声や顔を憶えてくれているのか、次第に馴れて来ます。『猫語のノート』(筑摩書房 2013)は『猫語の教科書』(1995)の姉妹篇。「教科書」が母猫が書いた子ネコのための処世術だったのに対し、「ノート」は韻文で書かれた詩になっています。『おしゃべりねこ』(佑学社 1989)のガスパール君のように人語で詠んだとは書いていないので、「教科書」と同じように著者のポール・ギャリコが猫語を翻訳したのでしょう。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にリサイズしています
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    猫語のノート

    猫語のノート

    • 著者:ポール ギャリコ(Paul Gallico)/ 灰島 かり(訳)
    • 出版社:筑摩書房
    • 発売日:2013/12/09
    • メディア:単行本
    • 目次:私と猫との生活 / 高貴な猫をたたえる歌 / 子猫のための子守歌 / 高貴な猫と、高貴とは言えない人間について / 訳者あとがき


    結婚するなら、猫好きオトコ

    結婚するなら、猫好きオトコ

    • 著者:小手鞠 るい
    • 出版社:河出書房新社
    • 発売日:2008/02/04
    • メディア:文庫(『オトコのことは猫に訊け』を改題、一部加筆)
    • 目次:結婚するなら、猫好きな男 / 猫に学ぶコミュニケーション術 / 人はなぜ、猫に癒されるのか

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