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ネコ・ログ #36 [c a t a l o g]

  
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  • 真っ白な月が中天に輝く8年前の夏の深夜、隣の墓地で真っ白な子猫を拾いました。それがすべての始まりでした。/ 子猫は「馬尾神経症候群」という障害を持っていました。尻尾の付け根の脊髄を損傷していたのです。先天性の障害ではなく、何らかの事故によるものと思われます。運動にはほとんど問題は無いのですが、排泄のコントロールができないのです。ちょこまか動き回るのに、おしっこ・ウンコタレ流し!/ 当時父親は、「いや〜‥‥オレも尿モレだから、捨てろとは言えないなぁ」と言いましたが、とにかくキレイ好きの母親は、「どうするつもりなのよ! 飼う気なの? この子に罪はないけど、私はニオイがダメなのよ。飼うなら私が出てくから!」と、常套手段を繰り出しました。うちの母親は、いわゆる "支配する母" です。これが始まったら、私はおろか父ですら屈服せざるを得ません。この "手段" の前に、私は幾度人生の重要な局面で、がっくりとひざをつき、くずれおれてきたことでしょう。しかしこの時、何か未知の力に押されるように、「イヤ! お母さんは出ていかなくていい。私がこのコを連れて出ていくから」という言葉が口を衝いて出たのです。
    ハルノ 宵子 「それでも猫は出かけていく」


  • #316│レイ│飼い猫 ── 縞ネコ戦線異状なし
    室内飼いのネコは兎も角、放し飼いのネコやノラにとって自分たちのテリトリー内を巡回するパトロールは毎日欠かせない日課である。雨の日も雪の日も、暑い日も寒い日もネコは外へ出かけていく。飼いネコのレイちゃんも玄関前で周囲を見渡し、異常がないかどうかの確認作業を怠らない。青空駐車場だった右隣には新築マンションが建って、視界は悪くなってしまったけれど、狭い車道を挟んだ向こうには新たな駐車場も出来た。周辺の環境が変化してもネコは何事もなかったように適応して、敷地ギリギリに建った新マンションとの隙間の奥(キャットウォーク)に消えて行く。気楽に寛げる隣の空地はなくなってしまったが、クルマが出入りしないだけでもネコの安全性は増したのかもしれない。今まで親しげに纏わりついていたレイちゃんの姿が消え、暫くすると意外な場所から顔を出して再び戻って来る。やっぱり、パトロール中ということなのだろうか。

    #317│レナ│ノラ猫 ── フラッシュは使わないで
    ネコ撮り用のカメラをミラーレス一眼(NEX-5N)に替えてから、フラッシュを使用することは一切なくなった。デジカメ本体の感度が高い(キット・レンズは暗い)ということもあるけれど、フラッシュ撮影がネコたちに良くないという理由も少なからずある。暗闇でAF補助光を使わなくても、オート・フォーカス(AF)からダイレクト・マニュアル・フォーカス(DMF)に切り替えて手動でピントを微調整すれば周囲が暗くても鮮明な写真が撮れる(撮影中にネコが動かず、手ブレしないことが絶対条件)。その場所が安全だと思っていて、木陰や物陰に隠れているネコの多くは近寄っても直ぐには逃げ出したりはしない。レナちゃんも逃げずに注意深く対象(カメラと撮影者)を見つめていたので、フラッシュなしでもボケない写真が撮れた。オリジナル画像は暗いけれど、iPhotoで自動補正すると見違えほど鮮明な画像になる(ユミやトロの写真もノン・フラッシュ撮影→自動補正しています)。

    #318│ゼプ│ノラ猫 ── おっとり癒し系ですか?
    確かブロック塀の上にいるところを撮ったのだと思う。大柄のデブ猫は動作も緩慢で、近づいても逃げ出したりはしなかった。被写体としては理想的なネコである。子ネコのような可愛らしさはないけれど、心和む癒し系?‥‥一般に忙しなく動き回るネコは撮り難く、大人しく静止しているネコは撮り易い。しかし前者の方が活溌で魅力的に感じられるジレンマに悩まされて来た。撮り難いネコの写真の方が激ムズのゲームを攻略した時のような達成感が湧くのだ。人間の場合は地味な年寄りよりも派手な若い子の方に惹かれてしまうが、誰の目から見ても可愛いと思う子ネコを除き、ネコの年齢は見た目では分かり難い。人間の女性のように化粧をしたり最新のファッションを身に纏ったりもしない。老齢でも美しいネコは存在する(老人や老婆が醜いという意味ではない)。暫くするとゼプさんは塀の中(民家の敷地内)に姿を消してしまった。

    #319│イツキ│飼い猫 ── 初対面なのに友好的です
    スズちゃんの飼主からの情報‥‥「近所に良く似た飼いネコがいる。無愛想で可愛げのないウチの子とは対照的に、人懐っこくて大人しい」。スズは長年一緒に暮らしている飼主に対しても素っ気ない態度を貫いているらしい。家の中に姿を消してしまったスズのことは潔く諦めて、女飼主に「良く似たネコ」のいる場所を訊く。図書館裏手の教えられた民家へ行くと、鉢植えの前に1匹のネコが鎮座していた。スズと同じようなサバトラ(シルヴァー・タビー)でマズル部分と胸の一部だけが白い。目の色は薄いエメラルド・グリーン。躰は小柄なスズちゃんよりも2回りほど大きく、恐らく年齢も年上だと思われる。生憎の小雨模様にも拘らず、しかも初対面なのに嫌がらずモデル(被写体)になってくれた。「ありがとう、サツキちゃん。良い天気の日に、また来るからね」

    #320│マシュロ│ノラ猫 ── チビ猫の好奇心
    I袋駅前公園に見慣れないネコが2匹いた。真っ白いネコと白黒ネコ。新しく産まれた子ネコなのかと思ったけれど、「うなぎ公園」内に棲息する殆どのネコたちは耳先カット(避妊済みのマーク)されている‥‥ということは捨てネコなのだろうか。子ネコたちの耳は当然カットされていない。真っ白い子ネコは線路沿いの細長い植え込みの陰から、公園内を往来する人々を興味深そうに見つめている。警戒心と好奇心が相半ばする子ネコのアンビヴァレントな感情が窺える。驚かさないように、ゆっくり近づいてカメラ・レンズを向ける。陽も落ちて周辺は暗くなっているので、手ブレしないようにカメラを固定して手動でピントを合せる。背後に張ってある緑色の防塵ネットが良い感じ。両耳が横に寝ているのは緊張している時のサイン。それでも子ネコの両目は外界への好奇心に溢れている。

    #321│ビー│ノラ猫 ── 黒ネコの眼差し
    黒ネコには特別な想いがある。外を歩いていても黒い影が視界を過ると、黒ネコではないかと思って立ち止まり、ネコの後ろ姿を目で追ってしまう。多くのネコは猫語で呼びかけても戻って来ないが、振り返って不審気に見つめるネコもいる。腰を落として「ネコちゃんおいで」とヘレン・ハンター(ガミッチの女飼主)のように声をかけてみる。O無親水公園にも大小2匹の黒ネコがいる。お互いに仲睦まじいので兄弟姉妹、あるいは親子関係なのかもしれない。置き石や丸木橋の上から、石畳の遊歩道を往来する人々‥‥通勤者や学生、主婦や子供たち、犬を連れた散歩者、自転車に乗った人などを日々観察している。近づいて黒い毛並みに触れようとすると、チビ黒は爪を立てたネコパンチを繰り出すけれど、親ネコの方は従順で人馴れしている。伏せの姿勢で鋭い視線を投げかける黒ネコ‥‥獲物(小鳥)を狙っているのかしら?

    #322│マウ│ノラ猫 ── いつも色っぽいね
    O無親水公園のマウちゃんは色っぽい表情でネコ・ウォッチャーたちを魅了する。強面顔や笑い顔、ビックリ顔の人のように、たまたま妖艶な風貌に見えるだけでネコ自身が意識的にセクシーに振る舞っているわけではないし、ある種の女性のように媚び諂って科を作っているわけでもない。いつもは間合いを詰めようとして接近すると、踵を返して遠ざかってしまうのだが、今日は珍しく逃げ去らない。運良くネコおばさんが夕食を運んで来た時に居合わせれば、ネコたちもリラックスしているので、もっと親交を暖められるかもしれない。マウちゃんがフェミニンでエレガントに見えるのは、カプチーノやカフェオレっぽい毛並みの色合いによるところも大きいのではないかと思う。カップに注いだコーヒーの表面に泡立てたミルクで可愛い絵を描く「ラテ・アート」のように愛好者の心を和ませている。

    #323│トロ│ノラ猫 ── 白黒チビも興味津々
    I袋駅前公園のトロもマシュロと同じ捨てネコならば、2匹は兄弟姉妹の可能性が高い。先住ネコのシコちゃんと良く似た白黒ツートン・カラー。伊賀の影丸やバットマンみたいな黒い覆面で顔を隠したようなハチ割れの子ネコである。その表情からはマシュロと同じように相反する警戒心と好奇心が見て取れる。中央公園のネコたちを世話していたというヴォランティアの中年女性は「うなぎ公園」に1匹のネコを放したと語る。彼女も2匹の新入りネコたちの存在を知らなかったというのだから、恐らくトロもマシュロも捨てネコなのだろう。公園を後にして某家電量販店のカメラ売場でネコ写真をプリント注文していると、別れたばかりのヴォランティア女性と再び出合った。飼いネコの写真を加工して年賀状を作成する気らしい。今回初めて目にしたのだが、プリクラのようにカラフルで可愛いデザイン・プレートが何種類もあって、お気に入りの写真に誰でも簡単にデコレーション出来るのだった。

    #324│クー│飼い猫 ── 魅惑のゴロニャン II
    茶トラ模様の美しい毛並み、南海のプライヴェート・ビーチのように青く澄み切ったターコイズ・ブルーの目の色‥‥クーちゃんは人懐っこくて可愛い。いつも対面した時は少し驚いて後退りするけれど、名前を呼んで手招きすれば直ぐに近寄って来て足許に纏わりつく。腰を屈めて躰を撫でると、横たわってゴロニャン状態になる。何度も寝返りを打って魅惑の表情を見せる。お腹に触れると前肢や後脚で果敢に戯れつく。撫でていた指に爪が刺さって抜けなくなってしまった時にはクーちゃんも当惑の表情を浮かべていましたね。光量不足の時には塀の上に乗せて撮ったこともありました。逆光で暗い写真になってしまったけれど、嫌がらずにモデルになってくれました。容姿も性格も良い理想的なネコではないでしょうか。最近見かけないのが少し気懸かりです。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第36集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると該当紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ300匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。第36集の常連ネコはレイとクーちゃん。ユミとトロの新入りも可愛い。『それでも猫は出かけていく』(幻冬舎 2014)は少女マンガ家・ハルノ宵子(吉本隆明の長女)のよる実録「シロミ介護日誌」。著者は8年前の夏の深夜、隣の墓地に捨てられていた真っ白い子ネコを拾った。「馬尾神経症候群」という障碍を持つネコと家ネコ、ノラ猫たちの8年間のドキュメントは「吉本家最後の8年間の記録」でもある。可愛いネコ・イラストも満載されているけれど、ネコ・エッセイであるところが大島弓子のエッセイ・コミックとは異なっている。少女マンガ家のネコ・エッセイと見下して舐めてかかると足許を掬われます。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の縦横比は2:3ですが、サムネイルは3:4にリサイズしています
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    それでも猫は出かけていく

    それでも猫は出かけていく

    • 著者:ハルノ 宵子
    • 出版社:幻冬舎
    • 発売日::2014/05/09
    • メディア:単行本
    • 目次:白猫の呪い / さらなる試練 / 野戦病院 / 獣医師の力量 / それでもネコは出かけてく / モレるんです / 欲の深い人間 / 集会に出る / 薬・くすり / 予想外です!/ 明日は明日の / 超ヘン猫 / うちのコに限って / 大惨事 / 最後の女王 / 愛がなくちゃね / 想定外の入居者 / 身代わり / 北斎かっ / 猫の耳 / クロイヤツ / トホホ・クイーン / 怖くない死体 / マザー...

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