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サイボーグ 009ノ8 [c o m i c]



  • 「雪割草交響曲編」(少年サンデー 1980)
  • オーストリア・チロル地方の山間にあるヒューベン村に移り住んだ変わり者の音楽家ストリンドナー爺さんに食べ物を届ける娘エリザベート。冬籠りするストリンドナーは雪割草が咲く日までに彼女のための交響曲を書くことにした。ザルツブルグから老音楽家を訪ねて来たハインリヒ。ストリンドナーの山小屋へ向かう途中で雪割草を見つけたエリザベート。雪崩が山小屋を襲い、ハインリヒの右手マシンガンが火を噴く。雪崩を相殺してエリザベートを救うが、ストリンガーは雪崩で死んでしまう。ハインリヒはザルツブルグ市主催の「モーツアルト記念国際作曲コンクール」で愛弟子E・H・ヘルベックの指揮した「交響曲第三番」が第1位(グランプリ)に選ばれたことを知らせに来たのだった。ヘルベックの名前でエントリーした交響曲はストリンドナーが作曲したものだった。遺体の周囲に散らばった楽譜。エリザベートの願いを聞き入れた弟子のハインリヒが「雪割草交響曲」をピアノで弾く。

  • 「ファラオ・ウイルス編」(少年サンデー 1980)
  • エジプト・カイロ郊外にあるギザのピラミッド群‥‥ツタンカーメンの墓を見学に来た島村ジョー、フランソワーズ・アルヌール、ギルモア博士たちは墓の閉鎖に落胆するが、「ミイラの健康診断」をしていたハーシェル博士がギルモア博士の旧友だったことから特別に見学を許される。墓の調査を終えた後に、ミイラをロンドンへ運び、ウイルスによる破壊を防ぐ方法を検討するという。石棺の中のミイラに供えられたエジプト紅花(カルタマス・ティンクトリアス)。ミイラを英国に輸送中の航空機が改造ハゲタカの群れに襲われて墜落する。N・B・G(ネオ・ブラック・ゴースト)団の潜水艦が海底に沈んだミイラの柩を密かに回収する。彼らの狙いはツタンカーメンのミイラの中に生存する「古代のウイルス」だった。調査船に発見されたミイラは大英博物館に送られたが、検査したハーシェル博士たちは原因不明の病いに侵されて急死してしまう。

    「ミイラの呪い」の正体は三千年の古代から現代に甦った「ファラオ・ウイルス」だった。大英図書館の閲覧室で手懸かりを捜すジョーとギルモア博士の2人にフランソワーズが毎晩見る不思議な夢‥‥女神イシスが目の前に現われて、彼女がアンケセナーメンになって、夫のツタンカーメン(ジョー)の柩に花束を捧げる夢のことを話す。王の墓を発掘したカーナボン卿とカーターの2人。カーナボン卿は死亡し、死なずに生き延びたカーターの上着の襟元にあった紅花。ジョー、フランソワーズ、ギルモア博士の3人はエジプト紅花の群生地を訪れたが、何者かによって1本残らず刈り取られ、除草剤で枯らされた後だった。N・B・G団の目的はミイラから採ったウイルスを大量にバラ撒いてロンドンをパニックに陥れ、紅花から抽出した特効薬を売り出して大儲けすることだった。恐怖で震える3人の前に1人の少女が現われて、隠し持っていた紅花の鉢植えを差し出す。エジプト紅花には「ファラオ・ウイルス抗生物質」の成分が含まれていたのだ。

  • 「ザ・モダーン・ナルシス編」(少年サンデー 1980)
  • 東京・原宿にあるスタジオ・エピステーメの楽屋のソファに座る2人の女性モデル、セリーヌ・ノエリーとフランソワーズ。人気ファッション・カメラマン多羅尾一にスカウトされたフランソワーズは撮影に今一乗れないセリーヌと共演することになる。ソバカスだらけで煙草を喫う不良少女は憂鬱で自信喪失していた。化粧台の鏡に映った自分自身に香水ビンを投げつけて粉々に破壊する。その夜、セリーヌのマンションを訪れたフランソワーズは彼女の自然な美しさに嫉妬したというセリーヌに対して、「アタシだって実は自然な姿に、"人間" に戻りたいと願っている」と告白し、「今度はアタシの家に遊びに来て」と彼女を誘う。水芭蕉の花が咲き乱れる池に2人の姿を映しながら、フランソワーズは「‥‥虚像の虚しさや寂しさを知って、初めて真実の姿が見えて来て、本当の美しさや幸福が分かるようになるんじゃないか‥‥」とセリーヌに語りかける。

  • 「七ツの子編」(少年サンデー 1980)
  • イワン(001)を乳母車に乗せて散歩に出たフランソワーズは泣きじゃくる乳児を抱いた母親と擦れ違う。突然泣き止んだ赤子に喜ぶ母親。イワンが精神感応で宥めたのは赤ちゃんではなく、イワンが宥めたのは久々の外出で神経質になっていた母親の方だった。イワンに諭されたフランソワーズは聖ジョアンナ病院の会議室で交わされている医師団の会話を盗み聞く。母胎の7つ子の中で肥育不良の2体に薬殺防腐処理を施して摘出しょうとする医師たちに激しく反発するフランソワーズ‥‥「強い赤ちゃんだけを残して、弱い赤ちゃんを殺してしまうなんて! そんなこと、許せないわ!!」。教会の礼拝堂の中に入って聖母マリア像に祈りを捧げるフランソワーズ。イワンが7体の胎児にテレパシーで話しかけて、無事に7つ子を誕生させる。

  • 「見えない糸編」(少年サンデー 1980)
  • 人工臓器学会から帰宅したギルモア博士は誰もいないリヴィング・ルームのテーブルの上の置き手紙を見つける。ジョーとフランソワーズたちは「長崎の浜でイルカの大群が漁場を荒らし、漁民たちがイルカを大量に殺害するという事件」の調査へドルフィン号で出かけていて留守だった。海辺を散歩する博士は砂浜で川を作って遊んでいる男児と出会う。ピノキオを名乗る子供はゼペット爺さんの許には戻らず、海を作ってイルカを飼い、イルカに乗って遠い海の向こうへ旅に出ると言う。ピノキオは博士に流木でガール・フレンドを作って欲しいと頼む。その夜、流木を削って少女の人形を作った博士は翌朝、ガール・フレンドを携えて海辺へ行くが、いつまで待ってもピノキオ少年は姿を現わさなかった。諦めて帰ろうとした博士が振り向くと、波打ち際にピノキオの人形が流れ着いていた。博士は「糸を付けないで、自由でいたいの」と喋る2体の人形を並べて海へ流す。少年少女を見送るギルモア博士に、帰って来たジョーたちが呼びかけて駆け寄る。

                        *

  • 「コスモ・チャイルド編」(少年サンデー 1980)
  • エンパイア・ステート・ビルの上に建造中の宇宙植民衛星が出現し、自由の女神像がナイアガラ瀑布の中に姿を隠す。富士五湖でキャンプを楽しむジョー、フランソワーズ、張々湖の3人。湖上に浮かぶボートで釣りをしていたジョーと張々湖はキャンピング・カーの近くに落ちる流星を目撃する。墜落した宇宙船から脱出した5人の異星人たち。ジョーたちは一言も言葉を発しない子供たちをギルモア邸に保護した。イワンが彼らの言語(精神感応)で話しかけて、少女リロたちの言葉を代弁する。銀河系の惑星フルルは突如襲来した異星宇宙船団によって破壊された。母星から脱出したフルル星人は太陽系第三惑星の地球に逃れたが、追跡されて大人たちは着陸寸前に全員死亡したという。東京・新宿、フランス・パリ、アメリカ・テキサス、アフリカ・ジンバブエ‥‥侵略者たちが地上に姿を現わす。フルル星人が宇宙植民衛星や自由の女神像を観念動力で移動させたのは地球人に異変を報せようとしたから、彼らが侵略異星種族を撃退出来なかったのは「生きている者は殺せない。殺せば自分たちも死んでしまう」からだった。

    突起のある巨大な次元錯卵は戦車の砲撃を跳ね返して自爆させ、破壊した建物を元に戻す。時間と空間を自由に操る怖しい侵略者だった。ジョー(009)たちは不時着した宇宙船に乗り込んで新宿へ向かう。次元錯卵に接近し、イワン(001)とフルル星人の子供たちが協力して009をシールドの中へ移送。加速装置を作動させて内部に侵入した009が光線銃(レイガン)で次元錯卵を破壊する。テキサス、ニューヨーク、パリ‥‥世界各都市に現われた次元錯卵を破壊しながら、ジェロニモ(005)、ジェット(002)、グレート(007)たちを拾って行く。しかし、001が "眠り" の時間に入ってしまうと、009の戦術も通じない。フルル星人の子供たちと遭遇していたハインリヒ(004)は巨大な円盤の中央で宇宙船の到着を待っていた。少女リロの兄パルが言葉を喋り出し、生きている円盤と宇宙船が変形〜合体する。ジンバブエで合流したピュンマ(008)は果敢に攻め込んだ黒人兵士を1度殺し、生き返らせて再び殺す侵略者の遊びに戦慄していた。

    1つの惑星を破壊して滅亡させるゲームだったとは!‥‥009たちのUFO型宇宙船は無数の次元錯卵に襲われる。海底に一時退却した宇宙船を次元錯卵が追って来る。004が009と同じ戦法で次元錯卵を破壊した。子供たちをレイガンで脅すことで、自ら封印した移送能力を解き放ったのだ。木星の衛星ガニメデにある基地で製造されている次元錯卵を母艦に囚われている大人たちと協力して殺戮した子供たちは涙を流して笑い、新しいフルル星人に生まれ変わる。黒い異星宇宙船と合体して灰色に変色した子供たちの宇宙船は惑星フルルへ帰還する。そして、凄まじいパワーで異星人・侵略者たちを全滅させた。"力" に目醒めた子供たちは惑星フルルの新しい指導者として生きて行く。しかし、フランソワーズ(003)は懐疑的に自問する。「戦うことを覚えさせてしまったのは哀しみや憎しみや怒りを‥‥アタシたち地球人と同じような感情を目醒めさせてしまったのは‥‥あの子たちにとって本当に幸福なことだったのかしら!?」と。

                        *

  • 「山手線梅雨風景編」(少年サンデー 1980)
  • 雨模様の国鉄渋谷駅ハチ公前のスクランブル交差点、PARCO前の公園通り、原宿ホコ天、暴走族‥‥降り続く雨に憂鬱になって街に出たジョーの心は晴れない。砂漠のように乾いている都会。町中に溢れる無神経な騒音と無気力な人々。老人に席を譲ろうとしない勝手気儘な若者たち。子供に自分の考えを強制する教育ママ。擦れ違いざまに、老人の傘の柄が女の聴いているウォークマンのケーブルに引っ懸かる。怒った連れの男が老人から補聴器を取り上げて踏み潰し、押し倒す。その様子を見ていたジョーは思わず、男を殴ってしまう。現場から逃げ去ったジョーは後悔する。「自分自身の鬱積した暗い怒り」だった。高層ビルから下界を眺めるジョーは「自分のことばかり考えて、他人を愛する心を忘れていたのはボク自身だった‥‥」と気づく。

  • 「星祭りの夜編」(少年サンデー 1980)
  • ギルモア邸のバルコニーから夜空に煌めく星々を眺めるジョー、フランソワーズ、ギルモア博士。貴生川の里へ来たジョーは七夕星祭りの夜、短冊を吊るした竹を川に流している少女と出会う。太陽が宇宙から滅び去ろうとする日。2人だけになってしまったジョーとフランソワーズ。ディノス星人の植民星、アルクトゥールス系第4惑星オルペウスとエリダタスε系第3惑星エウリディケ‥‥男女が別れて住む種族の恋人たちの1年に1度だけの逢瀬。太陽の熱流に呑み込まれて消滅する惑星から「愛のメッセージ」を送った恋人たち。旅から帰って来たジョーはギルモア博士から、アメリカのOZ計画の電波望遠鏡が七夕の夜に知的生命体からと思しき電波をキャッチし、その分析に成功したと聞かされる。24時間後の7月8日深夜にワシ座アルタイルとコト座ベガの間に超新星が出現したという。1つの太陽が週末を迎える前日に通信を送った宇宙人が存在したかもしれない。旅先で幻視した遠い惑星の情景はイワンが母親に会いたがっていたジョーに時間・精神旅行させた結果だった。

  • 「幻の蝶編」(少年サンデー 1980)
  • 北海道・大雪山高原で蝶を採集する少年と出会ったジェットはギルモア博士の友人の山荘へ招く。海外旅行中の友人が留守の間だけ借りた別荘にはジョーやフランソワーズも避暑に来ていた。別荘の主が蒐集した蝶のコレクションに目を瞠る崎川涼少年。10年前に天人峡で捕獲した幻の蝶・アカボシウスバシロチョウは貴重な種だった。翌日、無人の別荘に再び遊びに来た少年は蝶の標本を見ているうちに魔がさして、アカボシウスバシロチョウを盗み出してしまう。しかし、帰宅してみるとポケットの中の蝶の翅はボロボロに千切れていた。必死になって幻の蝶を捕らえようとしている少年の姿を見兼ねたジェットは自慢げにコレクションを見せた自分にも責任があると感じて、幻の蝶が棲息するシベリアへ飛ぶ。そして、捕獲したアカボシウスバシロチョウ疲れ果てて眠っている少年の捕虫網の中に忍び込ませる。

  • 「イルカと少年編」(少年サンデー 1980)
  • 五島列島・福江村中之浦へ海水浴に来ていたジョー、フランソワーズ、イワン、ギルモア博士。民宿の少年・信次とフランソワーズが海で仲良く遊んでいると、漁船から金属音が聞こえて来た。漁民たちが漁場を荒らすイルカの群れを海辺に誘き寄せて撲殺していたのだ。その夜、生き残ったイルカを捕獲している網を切って逃がした信次は罰として蔵の中に閉じ込められてしまう。フランソワーズは壊れた屋根に梯子を渡して少年を逃がす。小学2年生の頃、小舟に乗って海に出たものの大波を食らって転覆し、サメに襲われそうになった時、1匹のイルカに救けられたと信次から聞かされる。網の中に捕われた1頭が少年と友達になったイルカのトンガリだった。網の内と外で離れ離れになった母イルカと子イルカ。船上の信次がお守りの札を海中で振ると、音を聞きつけた母子イルカが泳いで来た。フランソワーズは人間とイルカが仲良く共存する道を思案する。イワンがイルカたちに話しかけて、マグロの大群を浜へ追い込む。

  • 「変身編」(少年サンデー 1980)
  • 日曜の朝、グレート・ブリテンは張々湖飯店から国立劇場へロイヤル・シェークスピア劇団の公演を観に行く。「ロメオとジュリエット」の暗い運命に涙する隣席の女性。終演後、激しい雷雨に立ち往生している少女に1人の若者が傘を差し出す。娘の名前は尾形梨江子、青年は北人正直と名乗る。マンションに帰宅した娘を待っていた父親は劇団を辞めて(舞台女優になる夢は止めて)実家へ戻るように諭す。女の子からの電話が昨日から3回もあったと張々湖大人が愚痴ると動揺したグレートの顔が一瞬、青年に変わる。北人正直はグレートの変身した姿だった。尾形梨江子はグレートがロンドンで演劇青年だった頃に好きだった女性に良く似ていた。大学の演劇博物館で初デートすることになったグレート。ジュリエットの舞台衣裳を纏って現われた梨江子は北人正直にもロミオの衣裳を着せて芝居をする。その最中に突然倒れたジュリエット‥‥同じ頃、父親の尾形有造が張々湖飯店を訪れて主人に真実を話していた。2回目のデートでも真実を告白する勇気のないグレート。父親から娘の急変を告げる電話が来る。今際の際に北人正直と対面した江梨子は永眠する。

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    • 「石ノ森シリーズ」の第17弾「サイボーグ・ゼロゼロナイン8」です^^

    • 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2008)をテクストに使いました
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    サイボーグ 009 23 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-1

    サイボーグ 009 23 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-1

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/08/31
    • メディア:コミック
    • 目次:雪割草交響曲編 / ファラオ・ウイルス編 / ザ・モダーン・ナルシス編 / 七ツの子編 / 見えない糸編 / コスモ・チャイルド編 星の子どもたち / インベード(侵入)/ 次元錯卵 / 宇宙船は生きている / イラストコレクション


    サイボーグ 009 24 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-2

    サイボーグ 009 24 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 11-2

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/08/31
    • メディア:コミック
    • 目次:コスモ・チャイルド編 戦士たち / 精神革命 / 木星へ‥‥衛星ガニメデに基地あり / 木星──精神跳躍──深宇宙へ / 帰還 / 山手線梅雨風景編 / 星祭りの夜編 / 幻の蝶編 / イルカと少年編 / 変身編

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