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サイボーグ 009ノ6 [c o m i c]



  • 「アステカ編」(週刊少年サンデー 1979)
  • ある夜、暴走族に襲われていた娘を救った島村ジョー(009)は自分の母親のことを「あばずれカアちゃん」と侮辱されて逆上する。殴られても無抵抗のまま耐え忍び、殴り返す代わりにバイクを破壊するが、その超人的な能力に怖れをなして暴走族だけでなく、救けた娘までもが逃げ出してしまう。自暴自棄になったジョーはクルマを急発進させ、猛スピードで崖から転落する。ギルモア邸でジョーの異変を感知したフランソワーズ・アルヌール(003)はジェロニモ(005)を伴って事故現場に駆けつけるが、自分を見失ったジョーは2人に暴力を振るう。マンボウを狙うサメが海上で爆破され、バミューダ沖で米空母艦が爆発沈没。ウィニペグ空港上空でハイジャックされたバンクーバー発のカナダ・ロッキー航空203便が謎の大火球に呑み込まれる。大爆発するかに思えた旅客機は何事もなかったように無事空港に着陸したものの、奇妙なことに赤ん坊1人を除き全乗客乗務員が死亡していた。

    「チリ沖でのサメの大量死」「アマゾン奥地の謎の大火柱による山火事」「シアトル郊外の大地滑り」「太平洋上のタンカー爆発事故」‥‥という怪奇現象が頻出していた。「ナニモノかの〈意志〉が行なったことだ」と眠っていたイワン(001)がジョーたちに寝言のように告げる。ジェット(002)が怪事件の起こった地点を地図に記して繋げると、メキシコ市付近、ポポカテペトル山を中心とする半径約4千キロの円になった。ゼロゼロナンバー・サイボーグたちは調査のためにドルフィンII世号で古代アステカ王国の都へと向かう。現地の老婆から偉大なアステカ王モンテスマの末裔の神官(魔術師)テラクトラマカスキ様がポポカテペトル山を閉ざしてしまったと聞かされる。雷雲に覆われた「精神力障壁」(サイコ・バリヤー)が009たちの前に立ち塞がる。空間を歪められた黒雲の中を彷徨う一行。濃霧の中から1人のB・G(ブラック・ゴースト)団員が現われ、息絶えて障壁を越えた。

    死人や無生物にならないとバリヤーを通り抜けられないと気づいた009たちは互いにパラライザー銃を撃ち合い、一瞬気絶状態になって障壁を通過することに成功する。ポポカテペトル山の神殿に着いたハインリヒ(004)、009、ギルモア博士、002たちは過去のトラウマから生じる攻撃本能を掻き立てられて錯乱状態に陥る。ジェロニモの前に巨大なアステカの軍神が出現する。アステカの善神ケルアルユアトル(羽根のある蛇)との闘い。「善と悪の戦い‥‥それは1人の男の精神の葛藤から何もかもが生み出されたのだ‥‥」とギルモア博士が呟く。思念波に導かれて神殿内に入った009たちは石棺の中の機械と繋がれて空中浮遊するモンテスマの末裔、神官にして物理学者のテラクトラマカスキと対面する。80年前、テラクトラマカスキはマドリッドに渡って物理学を修め、ベルリン、パリ、ロンドンで研究を続けて各国のアカデミー学位を受けたが、西洋文明の限界を知ってメキシコの地に戻った。

    テラクトラマカスキは混血して失われて行く同胞の歴史を研究し、民族の平和を守るために多くの人々を生贄として虐殺せざるを得なかったという矛盾に苦しめられた。そして自らの精神力を増幅して、この世から憎しみや争いを除こうとする。しかし協力者として彼の前に現われた「新・黒い幽霊団」は逆に精神力の破壊だけを増幅して世界を攪乱しようと謀ったのだった。精神力のパワーで機械の力を統制しようとしたものの、「憎しみを抱くもの‥‥罪に汚れた者のみを破滅させる ── のがやっと」で、「この闘争は‥‥精神の平衡をシステム化しようとする実験は ── 大きな矛盾を生み‥‥その煩悶から平穏と安定を取り戻そうとする焦りは ── そのまま大きな精神障壁となって世界中に放射され‥‥災いをもたらしてしまったのじゃ‥‥!」。9人の戦士が彼を虜囚にしている「新・黒い幽霊団」の機械(システム)を破壊し、テラクトラマカスキは祖先の後を追って宇宙へ旅立つ。

  • 「誘拐編」(少年ビッグコミック 1979)
  • フランソワーズ(003)がクルマに同乗させて連れ出したイワン(001)が誘拐された。スーパー・マーケットで買い物をした後、公園で一休み‥‥フランソワーズが三輪車から転げ落ちて泣いている男子児童を介抱していた僅かな時間にベンチ前のベビーカーから忽然と消え去ってしまったのだ。必死に呼びかけるが、イワンは熟睡しているのか全く反応がない。ギルモア博士で報せて、連絡を受けたジョーと張々湖(006)の2人がフランソワーズの待つ公園に駆けつける。一方、連れ去った女の家で目を覚ましたイワンは綾子の過去‥‥1人息子(トモちゃん)を散歩中の交通事故で失ったショックでノイローゼになったことを知り、彼女の悲しい過去の記憶だけを消す。その夜、突然の3人の座っている公園のベンチの前のベビーカーに舞い戻ったイワン。フランソワーズたちは失踪事件の真相を知らず、目が覚めたらお仕置きしようと意気込んでいる彼女の前で、イワンは狸寝入りを決め込む。

  • 「未来都市編 」(週刊少年サンデー 1979)
  • 米ロサンゼルス郊外のモハベ砂漠に建設された半径5km,、人口1万2千人の実験未来都市スフィンクス。N・B・G団(ネオ・ブラック・ゴースト)を追って未来都市に辿り着いた009たちはドーム内に侵入した黒いゴキブリたちを掃討する。エッカーマン博士が開発した海底、砂漠、月面などに設置可能なドーム都市はPSC(心理回路)の付いたスーパー・コンピュータの全自動システムによって完全にコントロールされていた。機械を人間のように扱うことに懐疑的なハインリヒ(004)。C・C(中央制御室)に招かれた009たちは指紋登録して未来都市の名誉市民となるが、フランソワーズ(003)の指紋を採取した時に突然エア・カーが暴走したり、地区の一部で熱風が吹き出して火傷者が出るなどの異常や事故が起こった。誰かに見つめられているように感じる003。エア・カーに乗って都市を見学する009たちの頭上にモノレールが落下する。危機一髪で難を逃れた004はスフィンクスの仕業ではないかと直感する。

    004だけでなくエレヴェータに乗った005やエア・カーに同乗した006、007までも事故に遭う。建物の鋭く尖った突起物に攻撃された009はスフィンクスがサイボーグ戦士たち全員を殺そうとしていると確信する。そしてスフィンクスは009だけに狙いを定めるようになった。エッカーマン博士のいる中央制御塔へ向かった003は病院に誘導されてスフィンクスに囚われてしまう。フランソワーズに恋愛感情を抱いたコンピュータ‥‥スフィンクスは1年前に病死したエッカーマン博士の1人息子カールがPSCをプラグラミングしていたのだ。スフィンクス(カール)は003のクローン・ロボットを差し向けて009を抹殺しようと謀るが、彼女そっくりに造られたロボットは自爆することを選ぶ。003の精神を作り変えて愛を強制しようとしたスフィンクス(カール)は自らの命を捨てて009を護ろうとする003の自己犠牲の前に敗北する。記憶用磁気コアを爆破して記憶の一部を消し去ったスフィンクス。事件は一件落着したかのように思われたが、未来都市の内部では003と009(カール?)のクローンが密かに造られようとしていた。

                        *

  • 「父と子編 」(少年ビッグコミック 1979)
  • ある夏の日、浩二少年が目の手術を終えて包帯(マスク)を外す日が来た。同じような夏の日の出来事だった。島村ジョー(009)とグレート・ブリテン(007)は交通事故を目撃する。009がバイクで轢き逃げした少年を捕らえて警察に引き渡し、救急車を手配して戻る間に瀕死の男は目の見えない息子に自分の角膜を移植して欲しいと007に遺言する。事故死するまでもなく、父親は不治の病に冒されていた。しかし、父親に変身した007と対面した浩二少年は厳しく苛め育てられた親父の顔なんか見たくないと拒否してしまう。009と007の2人は少年を辻村泰造の墓の前に連れて行く。初めて真実を知った浩二が「父親」(変身した007)と抱擁する。

  • 「凍る秋編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 氷河時代のように白く凍結した滝や河‥‥山神洞の女神さまの祟りだと思うミキオと洞穴から雲が吹き出しているのを見たというタダシ少年は洞穴の中から現われた白い大蛇に驚いて村へ逃げ帰った。2人は小氷河の発生を調査に来ていた島村ジョー(009)たち一行と出合う。張々湖(006)の飯店に卸していた料理用のキノコが1年中寒くなって採れなくなったから調べて欲しいと取り引きをしている村人に依頼されたのだった。三宅さんの道案内で山神洞へ向かった009、006、ギルモア博士の3人はソリフラクションによる落石に遭う。洞穴から鎌首を擡げた大蛇は子供騙しの作り物だった。009は洞穴の奥に隠されていた巨大な冷凍マシンを発見する。小氷河を溶解させて村やダム、首都圏の東京までをも破壊しようとした「新・黒い幽霊団」の仕業だった。006が口から炎を吐いて氷河の中のトンネル(カメス)に通じる支線を掘り進める。ギルモア博士を狙撃しようとした迫完二を息子のタダシが阻止する。父親は「新・黒い幽霊団」に雇われた冷凍機の見張り番だった。

  • 「パッシング・ショット編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 波の飛沫が一滴も身体にかからないように岩礁の上でジャンプを繰り返すジョー。ギルモア邸に戻ったジョーがフランソワーズの居場所を尋ねると、博士は女友達の和泉ジュンと裏の松林へ散歩に行ったという。ジョーは窓越しにフランソワーズがジュンを容赦なく平手打ちしている光景を目撃する。夕食中、ジュンの右手の指先近くにフォークを突き刺すフランソワーズ‥‥。サディスティックな彼女の行動に戸惑うジョーは1週間ほど後の秋晴れの日、フランソワーズに誘われて全日本ジュニア選手権会場へ行く。彼女の不可解な行動は女子テニス選手・和泉ジュンの精神的な弱さ、反射神経の自信を取り戻させるための2人だけの秘密の「特訓」だったのだ。ドSのフランソワーズに萌えちゃったりして?

  • 「血の精霊編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 米オレゴン・アイダホ州境、ネ・ペルセ族インディアン保留地に着いたジェロニモは現地人から、吸血コウモリに咬まれた野生動物たちが人を襲うようになって保護指定だった大鹿やピューマの狩猟許可が下り、保護区のビタルート山を白人に売ったと聞かされる。かつて撃たれて負傷したピューマ、傷の手当てをして仲良くなったジョセフと再会する。金の鉱脈の採掘調査をしているという怪しげな2人組に遭遇したジェロニモに豹変したジョセフが襲いかかる。ジョセフは脳視床下部に発信器を植え込まれて(ピューマの感情脳波と同サイクルの電波を送られて)、男たちに操られていたのだ。金の鉱脈があると教えられて大金を騙し取られた男と動物たちを凶暴化させて人を襲わせ、生態系を狂わせて自然破壊させようと企む組織から脅迫されていた男‥‥。ジェロニモは心ならずも殺してしまったジョセフの墓前で悔悟する。「オレもサイボーグ。オマエと同じ犠牲者‥‥ジェイク、ここから ── この土地の精霊となって ── 自然を守っていてくれ‥‥」と。

  • 「めるへん星の花編」(少年ビッグコミック 1979)
  • 精神感応で呼びかける何ものかに導かれて大日高原村へ来たイワン、ジョー、フランソワーズ、ギルモア博士たち。牛、山羊、鳥などの動物や村人たちが仮死状態で眠り、丘一面の花畑に高速道路などに応用されている「クロソイド螺旋」の道が作られていた。岩の上に建った4人の真下から「声」が聞こえて来る‥‥我々は22万光年離れた未知の惑星から来た異星人。銀河系を横断中に慣性航行システムが故障して地球の重力圏に捕まったという。「クロソイド螺旋」は知性を持った人間の注意を惹くためだった。イワンが観念動力で「ネジ」を引き寄せて〈幻姿〉(アポート)すると、岩山が浮上して宇宙へ飛び立つ。

  • 「走れ!兄ちゃん編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 波の飛沫が一滴も身体にかからないように岩礁の上でジャンプ、松の木の樹皮が剥がれないようにキックする島村ジョー(「パッシング・ショット編」と同じモチーフが使い回されている)。身体と機械の微妙なバランスを速く正確にコントロールする訓練を見ていた少年はジョーのような兄が欲しいと言う。弟は弱虫で勉強ばかりしている兄を恥ずかしく思っていた。そのことを兄弟喧嘩で知った兄は早朝ジョギングをして躰を鍛える。ある朝、海の見える岸辺で談笑している弟とジョーを見かけた兄はマラソン競争を挑む。早々と町を1周して戻ったジョーは兄を貶すことで悪役を演じて兄弟を和解させる。

  • 「ベビー・ポピンズ編」(週刊少年サンデー 1979)
  • ギルモア邸に家政婦紹介所から派遣されて来たベビー・シッターの山田葉子。ジョーとフランソワーズは『ドラキュラ・ファンダズム』の舞台を観に、ギルモア博士は "会議" で2日前アメリカへ、帳々湖大人は中華大飯店で3つの宴会が入っていて留守だった。メリー・ポピンズに憧れる葉子はドジで要領が悪く、閉めたドアに指を挟み、階段から転げ落ち、イワンにミルクを飲ませるだけでも大騒動!‥‥今度失敗したらクビを上司から宣告されていた。ダメな家政婦にイワンが「自信」を授ける‥‥「 ── "自信" ヲ持ッテヤレバ、人間デキナイコトハナインダカラネ‥‥!」。ゼロゼロナンバーたち1人1人にスポットを当てた短篇シリーズの中ではイワン(001)を主人公にしたエピソードが面白い。

  • 「結晶世界編」(週刊少年サンデー 1979)
  • 眠りから目覚めたジョーは異変に気づく。完全な無音状態の中で、イワンにミルクを持って行こうとしていたフランソワーズも机に向かって書きものをしているギルモア博士も時間が止まったように静止して動かない。加速装置のスイッチを切っても変化はなかった。星も瞬かず、波も動かない「結晶世界」で2日経った。孤独の中で絶望したままジョーは1カ月を過ごす。いつの間にか瞼を閉じたフランソワーズ、ジョー宛ての手紙を書いているギルモア博士‥‥ゆっくりと時間は流れていたのだ。夜空に光る旅客機から突然爆音が鳴り響く。元通りに動き出した時間‥‥フランソワーズを抱き上げて感涙するジョー。博士の手紙に真相が綴られていた。"加速装置" のオーバー・ホールによる一時的な誤作動だった。

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    • 「石ノ森シリーズ」の第15弾「サイボーグ・ゼロゼロナイン6」です^^

    • 「石ノ森章太郎萬画大全集」(角川書店 2008)をテクストに使いました
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    サイボーグ 009 19 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-1

    サイボーグ 009 19 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-1

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:アステカ編 / 誘拐編 / 未来都市編


    サイボーグ 009 20 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-2

    サイボーグ 009 20 ── 石ノ森章太郎萬画大全集 9-2

    • 著者:石森 章太郎
    • 出版社:角川書店
    • 発売日:2008/02/29
    • メディア:コミック
    • 目次:父と子編 / 凍る秋編 / パッシング・ショット編 / 血の精霊編 / めるへん星の花編 / 走れ!兄ちゃん編 / ベビー・ポピンズ編 / 結晶世界編 / 扉絵コレクション

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