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ネコ・ログ #32 [c a t a l o g]

  
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  • 昨年の秋、わたしは飼い猫のサビを失いました。18歳と7ケ月、猫としては充分長生きしたとはいえ、そしてペットは先に逝くものと覚悟はしていてもいつも本当につらいです! まして今回のサビの最期はここに記すのもつらいほど、苦しんで苦しみぬいての事だったので、どうすることもできず、あがくサビを抱きつづけるしかありませんでした。わたしはサビの死に大きな大きな罪の意識を持ってしまいました。わたしの看護の仕方が悪かった! 息を引き取る時、あんなに長く苦しんだのは、まだまだ生きる体力が残っていたのに必要以上に心臓に負担をかけてしまったからだ!! あまりに苦しんで死んだサビが可哀想だったのと自分のいたらなさに打ちのめされて、しばらくは声も出ませんでした。アシさん達にも度々お世話になり、仕事が終わった時もみんな心配してくれたのですが、そのアシさん達にもサビの死をすぐには告げられず、翌日わたしは1人でサビの葬式を出しました。私がマンガ家になってから飼った代々の猫が納められているJ院。それはそれは寂しく悲しい野辺送りでした。
    山岸 凉子 「猫・ねこ・ネコ」


  • ♯280│スズ│飼い猫 ── 可愛いチビにゃんこ
    子ネコの頃から知っているチビ猫のスズちゃんは同じ体型のままで、何年経っても大きくならない(成長しても大きくならないネコ種なのだろうか)。警戒心の強い(小心者?)の性格も小さな躰に違わず変わらない。いつもならば仲良くなっても些細なことで、クルマやバイク、自転車、散歩中の犬などが目の前を通っただけで、家の中に駆け込んで隠れてしまうのに、この日は逃げる気配が全く感じられなかった。陽も翳って少し暗くなっていたが、民家や車庫の前で何枚か撮れた。リラックスしているのか、耳もピンと立っている。後日、飼家の玄関の前で大人しく座っているスズちゃんを見つけた。これは絶好のシャッター・チャンス!‥‥腰を落ち着けて撮れるかもと期待して1枚撮った直後にクルマが路地に入って来た。驚いたスズちゃんは家の奥に引っ込んでしまい、何度呼んでも出て来なかった。

    ♯281│レイ│飼い猫 ── 可愛いデカ目にゃんこ
    2011年に亡くなったトミーさんの後釜として飼われているレイちゃんは人懐っこくて動作も機敏だ。いつも休むことなく動き回っているし、正面に座ってカメラを向けると必ず近づいてくるので、間合いを取るのに苦労する。それでも躰を撫でると気持ち良さそうに寝転んでゴロニャン状態になったりする。女飼主によると「決して私には躰を触らせない外面の良いネコ」だという。周囲にネコの気配は感じられなくても猫語で呼びかければ、どこからともなく姿を現わす。三毛ネコ(マープル)の後を追い駆けて民家と民家の狭い隙間に消えたと思ったら、いつの間にか何事もなかったように戻っている。ネコが疲れて休むのが先か、それともカメラマンの痺れの切れるのが先か‥‥辛抱強く待たないと写真は撮れない。長らく露天駐車場だった空き地にマンションが建って、ネコたちの遊び場が減ってしまうのは残念だが、クルマに轢かれるリスクも減ったと好意的に考えておこう。

    ♯282│ドリス│飼い猫 ── 青い目はシャミー系?
    青い綺麗な目はシャム猫の血を引いているのだろうか。ビックリ顔のドリスちゃん。I袋駅前公園の植え込みの陰に隠れて往来する人間や散歩中の犬などを注意深く観察している。食事の時間には姿を現わすものの、不用意に近寄ると逃げられてしまうので、シャッター・チャンスは少ない。もう少しズーム・レンズの倍率が高ければ遠くからでも撮れるのにと思わなくもないけれど、ネコに気づかれない「盗撮」は趣味ではないし、ネコ撮り用には3倍ズームくらいで充分だと思う。望遠レンズよりも明るい標準ズーム・レンズが欲しい。今使っているミラーレス(NEX-5N)は先代のサイバーショット(DSC-P8)に較べると、どうしても暗く沈んだ色合いに写ってしまうから‥‥。ネコの毛並みまで鮮明に撮れるという解像度の高いフルサイズ・ミラーレス(α7)にも惹かれるが、今のところ明るいFEズーム・レンズがない。APS-C(Eマウント)の標準ズーム・レンズ(F2.8)が出るという噂は本当なの?

    ♯283│エミリ│飼い猫 ── 真顔で挨拶する
    ある民家の前でネコの気配を感じて立ち止まる。鉢植えやバケツなどが無造作に置かれている奥に潜んでいたネコと目が合った。物陰から鋭い視線を発しているエミリちゃんは対峙している相手が敵か味方か、有害か有益か、それとも人畜無害人物なのかを用心深く品定めしている。H幡神社商店会通りから脇道に入ったところに数匹のネコたちが棲息している。レモンちゃん(スズメちゃんの母ネコ)以外のネコは人馴れしていないので、近寄るや否や民家と民家の狭間に素早く逃げ去ってしまう。それでも多少の興味はあるらしく、ブロック塀の奥‥‥一定の距離を保った場所から見つめている。エミリが逃げ出さないのは鉢植えなどの障害物が目隠しになっているから安全だという判断が働いているからだろう。この緊迫したシチュエーションはネコを撮るのには好都合だったりする。食事の世話をしている民家の老人はネコの写真には全く興味がないらしく、余り撮り甲斐はないけれど。

    ♯284│マイ│飼い猫 ── ボクも翼がほしい
    ネコが空を見上げている時は形を変えて流れて行く白い雲や色彩が変化して行く美しい夕焼けではなく、鳥たちに関心があるからだろう。マイちゃんも空を飛ぶ鳩や電線に止まっている雀を見つめているはずである。小鳥たちが地上に舞い降りて来た時には姿勢を低く身構えた戦闘モードに入って獲物を狙うハンターに変身する。I袋駅前公園に暮らすネコたちは食生活に恵まれているので、可愛いマイちゃんも御覧の通り立派なメタボ体型になってしまった。ネコ族は人間の若い女性のように人気アイドルや美人女優、セレブ・モデルなどの体型に憧れてダイエットしようとは夢にも思わないらしい。サバンナやジャングルで自給自足しなければならない野生のネコ科動物たちは贅肉を削ぎ落した精悍な肢体なのだが、公園のネコたちは丸々と肥っている。でも、もう少し痩せないと、もし背中に翼が生えても「空飛び猫」(講談社 1993)のように自由に大空を羽ばたけないよ。

    ♯285│ポン│飼い猫 ── ボンネットの上の猫
    暖かいボンネットの上のネコ。モトアビと疑似家族を形成していたポンちゃんは大黒柱的な役割を演じていたのだろうか。灯籠の上や雑居ビルの外階段の上に昇って寛いでいた姿は今はもう見られない。ネコ・ウォッチャーの女性によると、ポンちゃんはネコ虐待者にS神井川に投げ捨てられたという。俄かには信じられない話だが、この周辺にはノラ猫を虐める不届きな不審者がいるらしい。恐らく犯人の身元も名前も特定されているはずなのに日本には動物虐待者を厳しく罰する法律がないので事実上、野放し状態なのだ。児童虐待や生徒間の虐めで死者や自殺者が続出する病んだ社会では「ネコの虐待死事件」まで手が回らないのでしょうか。動物写真家の岩合光昭氏も「アメリカでは動物虐待は禁固刑に当たる。ヒトが増えればいろいろあるだろう。ネコには対応できないことも起こってくる。その結果いのちを落とす。ネコはおちおち外を歩けなくなってしまうだろうか」と書いている。

    ♯286│ロリ│飼い猫 ── 笑う三毛ネコちゃん
    I袋水天宮神社の置き石の上でニッコリ微笑むネコちゃん。写真を撮っていた時は素っ気ない態度だったのに、帰ろうとした途端、こんな魅力的な表情をするんです。ロリちゃんだけでなく、甘えたように引っくり返ってゴロニャンするダイや寝転がって見つめるクリちゃんなど、まるで恋人との別れを惜しむような表情や態度で魅惑するネコたち。もっと一緒に遊んで欲しいという意思表示なのかもしれませんが、ロリちゃんはチェシャ猫のように意図的に笑っているわけではないでしょう。口を開けて舌を出した表情が笑っているように見えるだけのこと‥‥でも、これが『猫語の教科書』(筑摩書房 1995)の中で言及されている必殺技の「声を出さないニャーオ」(silent meaow)なのではないかしら。人間の耳には聞こえない高周波数の鳴き声が一体何を意味しているのかは謎ですが、牝猫のツィツァ(ポール・ギャリコ)も書いているように人間の心を揺さぶって止まない。チェシャ猫のニヤニヤ笑いもサイレント・ミュウの一種だった?

    ♯287│パル│飼い猫 ── 一緒に遊ぼうよ
    マンションの外壁と柵の間の狭い空間に隠れるように座っていたパルちゃん。その物欲しそうな表情は、もし手が届くならば思わず抱きしめてあげたい衝動に駆られてしまう。もちろん脅えて逃げ隠れしているわけではなく、この場所が気に入っているのでしょう。もう一棟のマンションの前の階段を降りると某区中央図書館横の遊歩道に通じる。この段差のある周辺地域がパルやロンちゃんの遊び場になっているようだ。遊歩道には木製のベンチも設置されているが、背後の植え込みが蚊の巣窟になっているので、夏場は緑陰で涼むどころではない。パルちゃんも蚊に刺された鼻や耳が赤剥けになっていて可哀そうだった。ネコたちの姿は見えなくても、遊歩道を歩きながら猫語で呼びかけると姿を現わすことも少なくない。食べ物を期待して出て来るわけではないので(毎日食事を運んで来るネコオバさんやオジさんたちがいる)、純粋に遊んで欲しいのだと思われる。

    ♯288│ロン│飼い猫 ── 日向で毛繕いする
    長毛種のグルーミングは見ているだけでも大変そうだ。マンション前の駐車場も兼ねた広場に座って入念に毛繕いをするロンちゃん。ちょうど躰の右半身に暖かい陽射しが当たって黄金色にキラキラと輝いている(写真の左端、右後足の下の垂直に立っている線状のものは瑕やノイズではなく毛に絡まった小枝!)。ネコが一心不乱にグルーミングを始めるとシャッター・チャンスは殆ど無いに等しいのだが、この時は絶妙のタイミングで快心の写真が撮れた。構図も決まっていて、トリミングする必要も余りなかった。ロンゲの手入れは長い髪の女性や長髪の男子と同じく時間も労力も費やしそう。それだけに毛並みは柔らかくて肌触りも気持ち良い。抱き上げると意外に軽いのも長毛種の特徴ではないかしら。パルと同じように手招きして呼べば挨拶に来る可愛いネコちゃんである。

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    各記事のトップを飾ってくれたネコちゃん(9匹)のプロフィールを紹介する「ネコ・カタログ」の第32集です。サムネイルをクリックすると掲載したネコ写真に、右下のナンバー表の数字をクリックすると紹介文にジャンプ、ネコ・タイトルをクリックするとトップに戻ります。ノラ猫や地域猫、飼い猫を差別しない方針で、これまでに延べ280匹以上のネコちゃんを紹介して来ましたが、こんなにも多くのネコたちが棲息していることに驚かされます。今回の常連ネコはスズ、マイ、ロンちゃん。怪談雑誌「幽」の姉妹誌「Mei(冥)」(メディアファクトリー 2012)の創刊号に山岸凉子の特別描き下ろしマンガ「猫・ねこ・ネコ」が載っている。2011年の秋、作者は飼い猫のサビちゃん(18歳7カ月)を喪った。苦しんで逝ったネコへの罪悪感に苛まれた彼女は四十九日の法要を済ませてJ院に納骨した後、ボランティア団体から被災地のネコ2匹を引き取ることになる(先代の愛猫ケイトちゃんを亡くした後は4年間もネコを飼えなかった)。桜の散る中、山岸家にやって来た2匹のネコ、グレーのシマ猫ハルと白黒ブチ猫コバンは仲が悪くて‥‥という心霊ネコ・エッセイです。

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    • 記事タイトルの右に一覧リストのリンク・ボタン(黒猫アイコン)を付けました^^

    • オリジナル写真の横縦比は3:2ですが、サムネイルは4:3にリサイズしています

    • 山岸凉子の「猫・ねこ・ネコ」は『ケサラン・パサラン 2』 (メディアファクトリー 2012)に同時収録されています
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    Mei(冥)Ghostly Magazine for girls Vol. 01

    Mei(冥)Ghostly Magazine for girls Vol. 01 創刊号

    • 著者:山岸 凉子 / 辻村 深月 / 波津 彬子 / 伊藤 三巳華 / 加門 七海 / ...
    • 出版社:メディアファクトリー
    • 発売日:2012/10/19
    • メディア:雑誌
    • 目次:特集 闇を歩く / 特別描き下ろしマンガ 「猫・ねこ・ネコ」 / 怪談小説 「丘の上」 「いたって、いいじゃない。」「イボの神様」 「私のサイクロプス」 / 怪談漫画 怪談古裂帖 「心中」 川端康成 / 「ミミカの遠野物語」 / たそがれの市 「紅の皿」 / door 「堅信礼」 / あやし黄表紙 「開幕」 「百物語して蜘の足を切る事」 / 怪談実話 「怪談暮らし」 「私は幽霊を見ない」 ...

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